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『建築士』 2006 年8月号  「 職住近接のすすめ 」

難波和彦

サステイナブル・デザインの視点から都市住宅の条件について考えてみたい。都市の消費エネルギーのうち、人や物の移動に必要なエネルギーは膨大な量である。朝夕の通勤ラッシュをみるにつけ、なぜ毎日こんなことまでして郊外と都心の間を移動しなければならないのかと疑問に思うのは僕だけではないだろう。サステイナブルな都市にとって、都心で働き郊外に住むという都市形態は明らかに間違っている。そうなった遠因は近代的な都市計画の考え方、異なる機能には異なる空間を当てるという機能主義にある。ル・コルビュジエは 1932 年開催の第4回 CIAM (近代建築国際会議) の『アテネ憲章』で、都市を4つの機能 すなわち「住居」「労働」「余暇」「交通」に分離し、それぞれに相応しい空間を与えるべきだと主張した。小さな都市ならいざ知らず、東京のようなメトロポリスにとって、このような考え方は百害あって一利なしである。

僕はル・コルビュジエの「機能的都市」に代えて、働く場所と住む場所が一体になった職住近接都市を提唱したい。近未来の都市には毎日の生活は最小限の移動ですむような空間組織がふさわしい。オフィスや店舗のようなサービス業だけでなく、工場や物流業も職住近接になることが相応しい。そのためには解決すべき多くの問題がある。しかし高密度でコンパクトな都市を実現するには、職住近接は必要不可欠の条件である。

 

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