共著 |
建築家の読書塾 |
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「モダニズムの建築・都市理論は、いまや現実と乖離し説得力を失っている状況にある。〔…〕近代建築への〈異議申し立て〉としてあらわれたポストモダニズムは、たしかにモダニズム理論の弱点を衝いた面もあったが、その建築的な表現は一時的な流行として消費されてしまった。逆にポストモダニズムの表現上の空転は、現代がいまだに〈近代化=モダニゼーション〉の影響下にあることの逆証明のように思われる」「ぼくたちは現在においても〈近代化=モダニゼーション〉の潮流から逃れることはできない。問題はモダニズムの建築・都市理論が、あまりにも純粋で抽象的すぎた点にあるのではないか」 難波が東大退官後の2010年、研究室OBを中心に始まった読書会の記録。とりあげられるのはベンヤミン『パサージュ論』、ギブソン『生態学的視覚論』、ルロワ=グーラン『身ぶりと言葉』、多木浩二『生きられた家』、コールハース『S、 M、 L、 XL+』ほか。「日常性」「複雑性」「具体性」「歴史性」「無名性」「無意識」をキーワードに掲げつつ、全編担当者による問題提起的レビューと編者解説というゼミ形式で「ひとりで読むにはややヘヴィで、メンバー相互で突っ込んだ議論をしてみたい」12の書を読みとく。建築家からユーザーの立場へ、アートからデザインへ。「モダニズム運動の陰で捨象された〈近代〉をとらえる精細でオルタナティヴな視点の探索」の試み。巻末に「難波研究室必読書30冊」を付す。
みすず書房:2015年12月
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