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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2020年01月22日(水)

曇りで寒い一日。『建築雑誌』4月号特集の竹原義二さんとトライウッドの取材原稿が立て続けに届いたので急いで加筆校正して返送。3月号の巻頭座談会の最終原稿が届いたので少しだけ校正して返送。いずれも特集のテーマを発案したのは僕なので座談会やインタビューにはできるだけ参加するようにしたが、特集全体としては僕の意図を超えて自律運動した感じである。編集委員会は独立した組織だし編集顧問としての僕の役割もそこまでで十分だろう。シグマ建設から「箱の家164」の1〜3月の工程表が届く。工程表では根切工事は1月27日(月)から31日(金)の予定なので30日(木)に支持地盤の確認に行く旨を連絡する。「なおび幼稚園」の神保園長から第2案についてのコメントが届く。法的な規定まで考慮されていないので、とりあえず代替案2案をまとめて送信する。小平市の保育化との相談は明後日に設定される。それまでに神保園長からのフィードバックがあることを期待しよう。木村と「分倍河原集合住宅」の配置計画について打ち合わせ。審査機関に問い合わせたところ長屋とするためには完全な分棟配置では法的に難しく何らかの形で一体の建物にしなければならないとのこと。そのためにプランの変更する必要がある。クライアントへのプレゼンテーションは2月初旬に決まったので、できるだけ早く第1案をまとめて田中会計士に送ることとする。都庁が〈葛西臨海水族園〉の建替方針を出したことに対してJIAが長寿命化の反対運動を展開している。〈葛西臨海水族園〉には僕は家族で何度か訪れたことがあり好きな建築の一つだが老朽化が進んでいるのだろうか。友人の建築家からメールやfacebookで働きかけの情報が届く。何とか延命が実現することを期待したいが、僕にはこれもポリティカルコレクトネスの一種に思えてなかなか腰が上がらない。ノーマン・フォスターが、ハイテック建築の名作〈セインズベリー視覚芸術センター(1978)〉のデザインプロセスについて語っている。世界で最初に高性能な尿素発泡樹脂断熱材を採用した外装アルミパネルが発泡時の遊離水の残留によるイオン化傾向の相違が原因でアルミパネルが腐食し全面的に取り替えられたことは有名である。このため当初のアルミコルゲートの軽快な表情は消えて現在は白色のスチールパネルに変わっているのが残念だがフレキシブルな室内空間は健在である。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=xO7trDWyq54&feature=emb_logo


2020年01月21日(火)

晴れで昨日よりやや寒い一日。「箱の家164」の工程表がまだ届かないのでシグマ建設に催促のメールを送る。まもなく返事が届き明日までにはまとめるとのこと。1月27日(月)から地盤切削工事を開始するそうだ。「なおび幼稚園」の神保園長から第1案に関するコメントメールが届く。南側の敷地境界幅一杯にスクリーン的な建築を建てるというコンセプトは承諾してもらったが、斜路の位置と2階の部屋の配置については代案を示されたので早急に第2案を検討し夕方までに返送する。木村と「分倍河原集合住宅」の敷地に関する打ち合わせ。現在の地目は畑地であり住宅地への地目変換に関する都の条例が来年度には変わるらしい。報告を兼ねて確認のメールを田中さんに送る。まもなく地目は畑である旨の返事が届く。プレゼンテーションの日時についても問い合わせたが調整がつかないので2月になりそうだ。放送大学草書の編集を続行。第2章「仮設住宅」を終えて第3章「家族の変容」へと進む。『建築雑誌』slackへ今日の座談会に関する短いコメントと来週の南後由和インタビューの質問について私案を書き込む。14時過ぎに事務所を出て田町の建築学会へ。15時から『建築雑誌』5月号特集「マテリアライゼーションと社会学」のための久保明教さんとの座談会。久保さんは一橋大学准教授で『ブルーの・ラトゥールの取説』(久保明教:著 月曜社 2019)の著者である。参加者は長澤夏子、能作文徳、宮原真美子、川島範久と僕の5人。最初の45分間はラトゥールが提唱するANT(アクターネットワーク理論)に関する久保さんのスライドレクチャー。YGSAでも同じレクチャーをしたそうだ。ほとんど文字のスライドなので『ブルーノ・ラトゥールの取説』を読むのと同じである。ANTは対象から身を引くモダンなスタンスではなくアクターの一員としてネットワークに介入(内在)するノンモダンなスタンスを提唱しているだけであり具体的な内容を持たないため、建築への適用については久保さんはやや否定的である。YGSAでは乾久美子さんが3.11以降に建築家のANT的立場が鮮明になったとコメントしたらしい。しかし僕の考えでは建築家という職能はそれよりもずっと前からANT的である。それが明確になったのは50年前、1960年代末の世界的な文化革命以降である。ラトゥールもその世代に属しその影響を強く受けてANTを提唱したのだと思う。レクチャー終了後に座談会開始。記憶に残るような発見的なトピックはなかったが、徹底した非還元主義がANTの核心であることを確認できたのは収穫である。研究者とは異なり建築家は日々社会を変える作業をしているのであり、その点を自覚すべきだという久保さんの指摘が印象に残る。座談会は2時間半を過ぎても続くようなので僕は途中で退席し18時半に帰社。シグマ建設から「箱の家164」の瑕疵担保保険のための地盤調査結果の考察と指示地盤に関する検討書類を請求されたので佐々木構造計画に相談した上でたたき台を作成して送信する。21時半帰宅。『日本近現代史講義』を読みながら夜半就寝。


2020年01月20日(月)

晴れでやや暖かい一日。8時半出社。木村と「分倍河原集合住宅」のチェックバックについて打ち合わせ。午後、木村は役所との事前協議に出かけたので、田中治樹さんに今後のスケジュールについて報告しクライアントへのプレゼンテーション前の準備打ち合わせの依頼メールを送る。戸田も「なおび幼稚園」増築計画の事前協議のために確認申請機関へ赴く。『建築雑誌』4月号の竹原さんのインタビューのゲラ原稿が届いたので思い切って加筆校正しライターと小見山さんに返送する。工事中の写真をどこまで掲載するかが課題である。同号掲載の「縦ログ構法」に関する座談会の訂正原稿が届いたので改めて加筆校正して返送する。熊本大学工学部事務局から来月初めに同校で開催される顧問会議のプログラム、往復航空券、ホテル宿泊券が届いたので、熊本大学の田中智之さんとの顧問会議後の会合と翌日の「163保田邸」6ヶ月検査のスケジュールについて連絡する。夕方に木村が帰社したので府中市役所との事前協議について報告を受け基本計画を若干変更することにする。戸田からも審査機関との事前協議の報告を受け小平市との事前協議の指導を受けた旨の報告メールをなおび幼稚園の神保園長に送る。明日の『建築雑誌』5月号特集の座談会のために『ブルーノ・ラトゥールの取説』(久野明教:著 月曜社 2019)をザッと読み返し問題点を整理する。座談会に参加する著者の久保さんは〈社会構築主義〉を徹底した〈汎デザイン主義〉を唱えているので、そのスタンスの建築デザインへの適用可能性について問うてみようか。さらに久保さんに興味があるようならクリストファー・アレグザンダーについても概要を説明し意見交換してみたい。YGSAでの久保さんのスライドレクチャー縮小版から座談会を開始するのがいいのではないかと参加編集委員に提案する。21時半帰宅。『日本近現代史講義』を読みながら夜半就寝。


2020年01月19日(日)

晴れのち曇りの寒い一日。9時出社。木村がまとめた「分倍河原集合住宅」図面を詳細にチェックし「箱の集合住宅」の特性を確認する。このような集合化は1995年の「箱の家」の初期から想定していたので特に新しい発見はないが、後に東西に長い敷地に対して間口が広く奥行の浅いタイプの「箱の家」も実現したので集合化のヴァリエーションが増えた。今回はその両方を取り入れた計画になっているので木造シリーズ「箱の家」としては一つの結論になるだろう。一昨日に『建築雑誌』Slackに5月号特集「マテリアライゼーションと社会学」趣旨の改訂版を書き込み日記にもコピーした。これに対し長澤夏子さんは好意的に受けとめてくれたようだが、加藤耕一さんは社会学に対するやや攻撃的である点に関する危惧を含めて批判的なコメントを書き込んでいる。確かに少し挑戦的な文体になっているけれど問題提起としては明解でいいのではないかと思う。加藤さんのコメントは建築史家らしい冷静な視点からではあるが、やや腰が引けている印象を受ける。いずれにせよ今のところ山本理顕のインタビューを終えただけで、残りの座談会、インタビュー、論考はこれからもつづくので、一通り出揃った時点で再考する旨の返事を書き込む。12時前に事務所を出て千代田線で日比谷駅にて下車。ミッドタウン日比谷ビルのシネコンで『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ:監督 2019)を観る。昨年のカンヌ映画祭グランプリ受賞作品なので館内は若い人たちで満員である。ポン・ジュノ監督の作品は『殺人の記憶』(2003)で度肝を抜かれたし『母なる証明』(2009)でも期待を裏切られなかった。本作も色々考えさせられる傑作である。一昨年のグランプリが『万引家族』(2018)で今回は『寄生家族』なので家族のテーマが続いているが映画としてはまったく異なる。僕がもっとも興味を持ったのは、物語が展開する舞台がアパートの半地下と戸建の豪邸の2つの場所だけに限定されている点である。おまけに戸建の豪邸は有名建築家が設計した典型的なモダニズムデザインの住宅という設定である。本作の隠れた主役はこの二つの対照的な住居だといってもよい。『万引家族』の舞台が廃屋に近い木造平家の住宅だったことと対照的である。日本とは異なり韓国では戸建住宅はソウル中心部の丘の南斜面に集中している高級住宅地にしか存在しない。他の大部分の住宅は集合住宅である。そのことを念頭に置いて観ると、この映画の社会的な意味がよく分かる。戸建住宅はセレブの豪邸であり、アパートの半地下は下層階級の住居なのである。半地下の住居にもメタフォリカルな意味が込められているのだが、これ以上説明するとネタバレになるのでやめておく。15時半終了。16時過ぎに帰宅。夜はNHKスペシャル「追跡:ファーウェイショック:5G米中攻防の最前線」を観る。ファーウェイ(Huawei Technologies Co., Ltd.)は中国の深圳に本社を置く中国の通信機器メーカーである。次世代5Gの技術開発で最先端を走る巨大企業で年間売上が13兆円だという。僕のiPhoneは4Gだが5Gは通信データ量と通信速度が10倍になるそうだ。アメリカ政府が軍事技術への転用を含めて危機感を持って対応しているため政治問題にまで発展しておりヨーロッパでも政治を巻き込む事態になっている。『日本近現代史講義』を読みながら夜半就寝。


2020年01月18日(土)

朝から冷たい雨が昼前には小雪に変わるこの冬一番の寒さ。昼8時半出社。過ぎにはさらに気温が下がる。昨日まとめた『建築雑誌』5月号特集「マテリアライゼーションと社会学」の趣旨を日記にも掲載しコメントを加える。問題を整理してみると、このテーマは山本理顕だけでなくクリストファー・アレグザンダーからも来ていることに気づく。その後は放送大学叢書の編集を少々。1月も半ばを過ぎたので編集作業は少しピッチを上げねばならない。『建築雑誌』4月号連載原稿のスケッチを再開。縦ログ構法を工業化木材のコンテクストの中に位置付けることをテーマとしよう。11時に週末の所内打ち合わせ。木村がまとめた「分倍河原集合住宅」の平面図、断面図、立面図を見ながら階高、屋根構法、高窓など細部の検討。一通り見通しがついたので来週からは模型製作に着手するように指示する。昼前に田中治樹さんから敷地測量図が届いたが当該敷地の面積は依然としてはっきりしない。戸田がまとめた「なおび幼稚園」のスクリーン建築の基本計画の基本方針が決まったので、来週は審査機関に相談してみるように指示。できれば集成材を使った木造建築とすることを確認する。その後事務所内外を掃除し昼過ぎに解散。午後は『日本近現代史講義』を読み続ける。1920年代以降の日中関係の変遷が詳細に辿られているが、史実の解釈が日中で大きく異なることが問題になっている。史実と地理との関係つまり地政学的関係に注目しながら読む。朝鮮半島と満洲をめぐる政治的関係が西欧の列強を巻き込んで第二次大戦へと雪崩れ込む。日本政府内部の力学が満州事変へと展開するプロセスが興味深い。


2020年01月17日(金)

曇りで夜は雨の冷たい一日。8時半出社。昨日「箱の家164」の地盤調査結果がシグマ建設から届く。やや軟弱地盤気味なので佐々木構造計画に転送し検討を依頼する。今日、佐々木構造計画からメールが届き建物がきわめて軽量であるためローム層が出なくても床付け面を十分に転圧すれば大丈夫であるという結論なのでシグマ建設に転送し今後の作業手順について伝え、地盤改良は必要ないので早急に工程表を作成するよう依頼メールを送る。『建築雑誌』5月号特集「マテリアライゼーションと社会学」の趣旨文の改訂版をまとめて担当編集員にメール送信し『建築雑誌』slackにも投稿する。以下が新しい趣旨文である。

***

『建築雑誌』5月号特集 「マテリアライゼーションと社会学」 趣旨

社会学は人間の社会活動を研究する学問として19世紀に生まれた。しかし人間のあらゆる活動が、建築や都市という物理的な環境において展開しているにもかかわらず、これまでは人間の活動と、都市や建築との関係については、ほとんど注目されることはなく、研究対象としてもとり挙げられてこなかった。最近になってようやく人文地理学や歴史学が、人間の活動の地域的・空間的条件を考慮に入れるようになってきた。

建築や都市は、人間活動の要求に応えるべき存在だと考えられている。つまり、まず社会があり、建築や都市は、社会の要求に合わせて建設されるべきであるという考え方が一般常識になっている。その考え方を前提にして、人間の活動を研究する社会学は、社会の要求を明らかにし、それに基づいて建築や都市のあるべき姿を示す学問だと考えられているのである。

果たして、本当にそうだろうか。ここには二つの問題があるように思われる。

一つは理論的な問題である。最初に指摘したように、人間の活動は常に建築や都市という物理的環境の中で展開している。人間の活動は物理的環境なしには存在しないといってもよい。したがって、人間の活動は、なんらかの形で物理的環境によって条件づけられているはずである。人間の活動と物理的環境は、常に一つのセットとして考えられるべきではないだろうか。だとすれば、人間の活動だけを抽象し、物理的環境条件を捨象してきた社会学は、学問として片手落ちだったのではないか。

もう一つは実践的な問題である。一般的に社会学は、既に存在する建築や都市において生起する現象を調べ、そこに潜む問題を明らかにし、それにもとづいて建築や都市のプログラムを提案すると考えられている。しかし人間の活動は物理的環境に結びついている以上、そこから抽出された問題は、既存の都市や建築に条件づけられている。したがって、新しい人間の活動のあり方は、新しい都市や建築のあり方とともに提案されなければリアリティを持ち得ないのではないか。つまり社会的要求やプログラムは、建築化・空間化(マテリアライゼーション)とともに提案されることによって、初めて人々に共有されるのではないか。

以上のような視点から、5月号の「マテリアライゼーションと社会科学」では、あらためて人間の活動と物理的環境の相互作用について検証してみたい。社会学において、建築や都市という物理的環境をどのように位置づけることができるだろうか。建築学と社会学とをどのように結びつけることができるだろうか。さらには、新しい社会のプログラムと、新しい建築的・都市的プログラムとはどのように結びつけることができるだろうかといった問題について、仮説的な提案を行ってみたい。

***

この趣旨文は山本理顕とクリストファー・アレグザンダーの建築思想に基づいて書かれている。両者の思想の具体的な内容はかなり異なるけれど人間の活動と物理的環境(出来事と空間)との結びつきに関する理論仮説に基づいて建築や都市をデザインしようとしている点では共通している。5月号では山本理顕にインタビューしたので、僕の連載ではアレグザンダーについて再考する記事を書くことになるだろう。放送大学叢書の編集を続ける。第1章「住宅の現在」を終えて第2章「仮設住宅」に進む。スピード感を出すために神宮前日記のように文章を連続させるのではなくできるだけ短い文章に分割する方針で編集する。『日本近現代史講義』を読み続ける。日本と東アジアとりわけ中国と朝鮮半島の関係が中心的なテーマのようである。


2020年01月16日(木)

晴れ後曇りの寒い一日。8時半出社。9時過ぎに事務所を出て千代田線で湯島駅にて下車。歩いて近現代建築資料館へ。10時から日本構造家倶楽部主催の「建築構造資料アーカイブWG」開催。去年10月の会には出席できなかったが、WGの作業はかなり進んでいるようだ。10人の構造家倶楽部メンバーが出席。竹内徹座長の司会でまず『我が国の近代建築に関わる構造資料の概要把握調査』の平成30年度の報告書が配布され簡単な説明。その後、今年度に進行中の120ページの調査データをiPad上で見ながら各担当者が報告。今年度のまとめの方針を決定し次回2月の最終WG会の日時を決めて12時に終了。館を出て近くのレストランで京都工繊大の満田衛資さんと昼食。満田さんは『建築雑誌』の前の編集幹事だったので編集の進め方について訊く。編集委員の年齢がかなり若いので藤村龍至編集委員長のリーダーシップが大きく泊まりがけの合宿などを行い編集顧問の深尾精一さんはあまり口を出さなかったと言われて少し考え込む。13時に別れて14時前に帰社。はりゅうウッドスタジオの滑田さんからのメールで毎日新聞の夕刊に掲載された芳賀沼整さんに関する五十嵐太郎さんの記事が届いたのでfacebookに掲載する。木村と「分倍河原集合住宅」の敷地面積と建蔽率について打ち合わせ。敷地の測量図を会計士の田中さんに依頼するが正確な測量図はないようなので基本計画は暫定的な敷地面積で進めることにする。「なおび幼稚園」の増築計画について戸田と打ち合わせ。基本的な法的条件を調べたようだが、具体的な提案がなければ審査機関には相談できない。早急に基本案をまとめて相談に行くことにする。「141小澤邸」メンテナンス工事の査定に対する工務店からの回答がようやく届く。査定回答だけではわかりにくいので当初見積との比較表に整理して小澤さんに送る。夜は『建築雑誌』5月号特集「マテリアライゼーションと社会学」の現在の趣旨文はやや不明解でテーマもはっきりしないので僕なりに改訂版をまとめてみる。文章にすると自分の考えが整理されるだけだけでなく新しい発見がある。このテーマには理論的問題と実践的問題の二つの問題があることに思い至ったことがそれである。明日、整理して担当編集委員に送ろう。21時半帰宅。『日本近現代史講義』を読みながら夜半就寝。


2020年01月15日(水)

雨後曇り時々晴れの寒い一日。8時半出社。昨日の『建築雑誌』5月豪特集の山本理顕インタビューについて再考する。山本さんは人間のアクティビティを、目的を持った〈機能〉ではなく意味を孕んだ〈作法〉としてとらえ〈作法〉は必ず空間と対応していると主張する。そしてレヴィ=ストロースの文化人類学はその調査から生まれたのではないかと指摘する。つまりアクティビティは常に空間に結びついていること、イデアがモノに先行する(プラトン思想)のでもインテリゲンチャの〈知〉が空間に先行する「カール・マンハイムの知識社会学」のでもなく両者は並行して存在しているという主張である。だから5月号特集のタイトル「マテリアライゼーションと社会学」の意図は、社会学が研究する人間の「アクティビティがマテリアライズされる」のではなく「アクティビティは常にマテリアライゼーションとともにある」と解釈すべきである。特集の趣旨分にははっきりとそう書くことにしよう。5月号特集の最後のインタビューを依頼していた南後由和さんに決まりプログラムがようやく完結する。10時半に淡青舎の長野紘平さんが消費税還付の書類に関する打ち合わせのために来所する。MUJIHOUSEのライセンス契約書のコピーを渡し12時前に終了。『建築雑誌』4月号の縦ログ構法に関する座談会ゲラ原稿を芳賀沼整さんを思い出しながら校正し返送する。16時に事務所を出て田町の建築学会へ。17時から第8回の『建築雑誌』編集委員会で15人が出席。近現代建築資料館の藤本貴子さんと東理大の長谷川香さんとは久し振りの再会。6月号の特集「建築学と生物学の接点:多様なる合理性を求めて(仮)」のプログラムについて岩元真明さんが報告。引き続き7月号以降の特集のテーマについて意見交換。新国立競技場の取材が難しいらしいので高口編集委員長と一緒に隈研吾さんの最終講義に参加し頼み込んでみることにする。来年末までの候補案がほぼ出揃ったが僕としてはポリティカル・コレクトネスについてはぜひとり挙げてもらいたいので来年10月号の候補案にねじ込む。特集テーマはほぼポリティカル・コレクトなので、それに対する反省の特集もさし挟む必要があると考えたからである。19時過ぎ終了。近くの居酒屋に移動し新年会。長澤さんや宮原さんと昨夜のインタビューの反省会やマテリアライゼーションの意味について加藤耕一さんとの意見交換。21時半に解散し22時半に帰社。『日本近現代史講義』を読みながら夜半就寝。


2020年01月14日(火)

晴れ後曇りでやや風がある寒い一日。8時半出社。朝早く木村から急用で出社が午後になるという連絡メールが届いたので今日のスケジュールの確認と手描き図面の清書を指示するメールを返送する。放送大学叢書の第1章の編集を少々。スピード感のある文体について試行錯誤を続ける。11時に戸田と事務所を出て原宿駅から山手線で新宿駅にて中央線に乗り換え国分寺駅に12時前に到着。北口に出ると駅前の再開発が進行中で風景が一変している。戸田が探したファミレスで昼食を済ませバス停へ。小平駅行のバス停は以前と変わらない駅裏の場所にある。12時40分発のバスに乗りなおび幼稚園前で下車。園の玄関で神保園長が出迎えている。職員コーナーで打ち合わせ。あちこちから園児たちの声が聞こえてくる。竣工後15年経過してようやく間仕切りのないオープン園舎の運営のし方に慣れてきたという神保さんの述懐。一室空間住居には住まい方のルールが必要であるのと同じ条件である。現在の園児数は約160人だそうだ。「箱の家007」には長女夫婦が3人の子供と犬と一緒に住み、次女は独立してなおび幼稚園の教員に就任し、ご主人と次男が園の事務を担っているとのこと。園の南側にあった自動車学校が数年前に閉鎖され来年から中層集合住宅の建設が始まるそうだ。これに対してなおび幼稚園としては集合住宅との敷地境界の幅で奥行5mの土地を購入したので工事が始まる来年4月までに目隠しスクリーンの役割を果たすような2層の遊戯室をつくり1階は通り抜けできる通路にしたいとのこと。園庭に出て現地を見学する。現在の園庭には樹木が散在し疎らな雑木林のような雰囲気である。敷地境界にはスクリーンのように樹木が立ち並んでいるが2本の桜の大木を残して他の樹は伐採してもいいとのこと。もし法的に可能なら木造で建てたらどうかと提案し神保さんも承認してくれる。その後は現状の園舎内を見学して回る。教室は変わりないが舞台のあるホールや2階会議室は地域に開放しているとのこと。急いで案を作成することを約束して14時半にお暇し、神保さんの車で国分寺駅まで送ってもらう。15時半に帰社。一休みした後16時に事務所を出て田町の建築会館へ。17時から『建築雑誌』5月号の山本理顕さんのインタビュー。参加者は宮原真美子、國廣順子、川島範久、中川純、少し遅れて長澤夏子が加わり編集委員5人。最初に宮原さんの〈閾〉に関する質問に対する山本さんの回答から始まる。山本さんは現在編集中の『都市美』第2号特集「作法」に引き寄せながら回答を展開しているように思える。僕以外の編集委員は山本さんとは初対面であるためか最初のうちは『都市美』創刊号を読んで臨んでいる編集員とのやりとりに少々ズレが感じられたが、まもなく会話が噛み合い始める。國廣さんの質問が具体的な体験を通しているので山本さんの回答も勢い具体性を帯びる。山本さんが徹底して歴史的事例を示しながら回答している点が印象的である。僕としてはもうし少し突っ込んだ議論を期待していたが、意外に和やかな会話に終始する。山本さんもそう感じたらしい。しかし活字になると雰囲気が変わるかもしれない。19時15分にインタビュー終了。建築会館の地下の居酒屋に移動しビールを呑みながら歓談。20時半解散。21時半過ぎに帰社。直ちに帰宅しウィスキーを呑み直しながらインタビューを振り返る。やや宙ぶらりんで物足りない印象が残る。アマゾンから届いた『日本近現代史講義 成功と失敗の歴史に学ぶ』(山内昌之+細谷雄一:編著 中公新書2019)を読みながら夜半就寝。


2020年01月13日(月)

快晴でやや暖かい一日。9時出社。明日の山本理顕インタビューの準備。一昨日に抜き書きした文章を読み返しながら頭を整理する。山本の主張は実体験に裏打ちされているので説得力があるが、あくまで個別的な体験なので一般的に通用するかとどうかは即断できない。ハンナ・アレントの引用は彼自身の主張に引き寄せた解釈に思える。しかしその点を指摘して反論しても生産的ではないので別の角度から議論を投げかける必要があるだろう。『都市美』の二つの対談をその検証として再読してみよう。「分倍河原集合住宅」のスケッチを何度かくり返し夕方までに第1案の1/100平面図をまとめる。全体は南北に細長い町屋タイプの並列住戸と東西に長く奥行の狭いタイプの住戸の2種類の住戸によって構成する。各住戸は「箱の家」と同じように深い庇、自然採光と通風のための高窓、吹抜、小さな庭を備えた一室空間住居とする。メーター類、ガス湯沸器、空調室外機をコンパクトにまとめて前庭に置き、駐車場は後者の住戸に付属させる。明日、木村に清書と法的なチェックを指示し早急にまとめよう。『ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』を一気に読み通す。最後のあたりで『退行の時代を生きる 人々はなぜレトロピアに魅せられるのか』(ジグムント・バウマン:著 青土社 伊藤茂:訳 2018)が参照されているところからも分かるように〈暗黒啓蒙〉や〈加速主義〉はリベラルな民主主義や資本主義の展望が見えない事態に対するニヒルな反動であり裏返しなので、つまるところは同じ穴の狢のように思える。新反動主義の音楽版としてVaporwaveという音楽ジャンルが紹介されているのでYou Tubeで聴いてみると1980年代の音楽をサンプリングしてピッチを下げたダルイ音楽である。〈新反動主義〉や〈人新世〉に同調しているのは1980年代から90年代初めに生まれた僕の子供達の世代である点も興味深い。


2020年01月12日(日)

曇り一時小雨の寒い一日。9時半出社。木村がまとめた「分倍河原集合住宅」の配置計画を見ながら内部プランをスケッチする。可能な限りコンパクトな案にまとめるようにあれこれ試行錯誤をくり返す。限られたスペースの中で自然採光、ダイレクトゲイン、設備スペースを確保するのはなかなか難しい。午後までかかって何とか光明が見えてくる。明日には何とかまとまるだろう。山本理顕の『権力の空間/空間の権力』と『都市美』を読みながら『建築文化』197912号に掲載された原広司の論文「<もの>からの反撃--ありうべき建築を求めて」を想い出す。細かな内容は忘れてしまったが、建築という〈もの〉つまり〈物化〉が社会的要求へとフィードバックされるという主張だったように記憶している。昨日想い出した八束はじめの『空間思考』とともに山本は1970年代に原研究室に所属していた経験や1980年代の記号論を最近の建築的思想へと統合していることを改めて理解する。藤森照信から『日本建築の自画像 探求者たちのもの語り』(藤森照信他:著 香川県立ミュージアム 2019)が届く。昨年2019年9月から12月まで香川県立ミュージアムで開催された展覧会のカタログである。350ページを越える大部の図録で藤森以外にも様々な人が寄稿している。写真が豊富なので見ていて楽しいが全体のコンテクストがイマイチ掴みにくいのが残念である。『ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』を読み続ける。スタンフォード大学出身でシリコンバレーの人でありオンライン決済サービスPayPalの共同創業者でありながらドナルド・トランプの支持者でもある〈新反動主義〉の起源的存在ピーター・ティールの紹介から始まり、カーティス・ヤーヴィンの〈暗黒啓蒙Dark Enlightenment〉の思想を経てドゥルーズ+ガタリの『アンチ・オイディプス』に基づくニック・ランドの〈新反動主義〉へと進む。ルネ・ジラールの〈他者の欲望論〉やカントの相関主義批判など、最近の〈加速主義〉や思弁的実在論へと展開する思想のようだ。200ページ余の新書なので一気に読んでしまおう。


2020年01月11日(土)

曇り後晴れの寒い一日。8時半出社。『建築雑誌』4月号の滑田崇志さんとの座談会のゲラ原稿が届いたので加筆校正してライターに返送する。座談会の中で縦ログ構法の背景についてある程度話しているので同号の連載記事では〈KAMAISHIの箱〉について詳細に説明することにしてスケッチを開始する。11時から週末の所内打ち合わせ。木村とは「分倍河原集合住宅」の基本計画について打ち合わせ。「箱の集合住宅」の方針で配置計画の方針がほぼ決まったので来週からは住戸の平面計画と断面計画ついて検討することにしよう。連休中には僕もスケッチを試みるつもりである。戸田に「箱の家164」の基礎施工図に配管スリーブを描き込むようシグマ建設に依頼するように指示する。引き続き14日(火)の「なおび幼稚園」の資料を準備し国分寺行きのスケジュールを確認する。昼前に事務所の内外を清掃して解散。午後は放送大学叢書の編集を少々。机に積み上げた本の中から『権力の空間/空間の権力』と『都市美』を探し出して目を通す。読みながら気になるフレーズを抜き書きしてみる。「社会的要請に従って建築があるわけではない。社会的要請が建築として実現することによって、いかにもそれが社会的要請であるかのように見えるのである。建築として実現される(されてしまう)ことによって、いかにもその要請(命令)に客観性があるかのように見えるのである」「〈物化(materialization)〉は支配の理論の根本なのである」「〈閾〉はそこに住む人たちを“結びつけると同時に分け隔てる”ための建築的装置である。この図式は空間図式であると同時に、そこでの人間の生活の仕方を示す概念図式である」「“活動と言論と思考”は〈物化〉されない限りリアリティを持つことがない。“活動と言論と思考”はそのままでは触知できない。活動し、語り、考えられることはその瞬間に消え失せてしまうからである」「建築空間を実際に体験することによって、建築空間と共にその思想をリアルなものとして私たちは感じることができるのである」「思想は建築に先立ってある。その思想に従属することが建築の設計である。それが機能的という意味である。それは今でも多くの人たちにとって疑う余地のない〈常識〉になっている。建築がその逆の役割を演じるときには、常にそれはユートピアのように見える」「〈物化〉に先立って根拠のある〈知〉があるわけではない。〈知〉と〈物化〉は一体的なものである。というよりもむしろ〈知〉の根拠が〈物化〉なのである」「〈物化〉というプロセスが官僚制的に支配されることによって、支配と服従の関係それ自体が無意識化されるのである」「空間的な提案は共同体の思想の〈物化〉なのである。〈地域ごとの権力〉の〈物化〉である。思想が〈物化〉されることによって初めてその思想を共有することができるのである」。『建築雑誌』5月号の特集を「Materializationと社会学」としたことに対する総合的な回答が本書だといってもいいかもしれない。読み返すうちに昔読んだ『空間思考』(八束はじめ著 弘文堂 1986)という著作を思い出した。空間を言語として捉える記号論的な内容だったと記憶している。夜はアマゾンから届いた『ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想』(木澤佐登志:著 星海社 2019)を読み始める。リベラルな思想におけるポリティカル・コレクトネスに対する批判の書として読んでみようと思っている。夜NHKTVスペシャルで『認知症の第一人者が認知症になった』を観る。認知症についてもっともよく理解している医師自身が認知症になったらどうなるかという社会的にも医学的にもさらには論理的にも興味深いテーマのドキュメンタリーである。認知症の専門医である佐々木和夫医師は先輩医師から「君自身が認知症になって初めて君の研究は完成する」と言われた言葉を胸に自らが認知症である事実を公表した。脳の生物的変化が確実に思考を変化させていくが佐々木医師はその変化を相対化しようと必死で努力する。しかし脳の縮小は思考の変化を加速させ思考力を弱めていき俯瞰的な相対化を押しとどめる。そのせめぎ合いは家族をも巻き込んでいく。今後どうなるのか90歳の佐々木医師の記録は昨年末で終わっている。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20200111


2020年01月10日(金)

快晴で寒い一日。8時過ぎ出社。直ちに事務所を出て青山の歯科医院へ。アップルストア表参道店の前には少し列ができている。欅並木の下ではモデル撮影の準備でカメラマンが屯している。朝早いのに天気がいいので表参道は賑わっている。8時半から定例の歯のメンテナンス。正月中に右下の奥歯が痛み始めたので歯科医に伝えるとお節料理は硬いものが多いので奥歯に負担がかかったせいではないかという。歯垢を除去し奥歯の噛み合わせを調整して次回の予約を済ませ9時過ぎに終了。9時半帰社。はりゅうウッドスタジオの滑田崇志さんから「芳賀沼整さんを偲ぶ会」の開催に関する相談メールが届く。3月1日(日)に郡山のホテルで開催予定なので出席する旨の返信メールを送る。『建築雑誌』4月号特集インタビューのゲラ原稿が届いたので少しだけ校正して返送。5月号特集の最後ひとりのインタビュー相手がまだ決まっていないので担当幹事の長澤夏子さんに代案を考えるべきではないかと進言を書き込む。僕からは南後由和さんを推薦する。来週14日(火)の山本理顕さんのインタビューの準備に参加者各自が一つの質問を用意し山本さんに投げかけてはどうかと提案し僕の質問を書き込む。連休中に『権力の空間/空間の権力』と『都市美』を読み返して問題点を整理しておこう。戸田がまとめた「箱の家164」の駐車場ブレース図面をチェックバック。建築では部品図と組立図を一緒に描くため製作する部品の形態とサイズを分離して思考できない。部品へのフィードバック回路を持つようにあえて部品の製作図を書くように指示する。午後遅くシグマ建設から今日実施した「箱の家164」の地盤調査速報が届いたので佐々木構造計画に転送する。まもなくほぼ想定通りであるという返信が佐々木構造計画から届いたので戸田がまとめたブレース図と一緒にシグマ建設に送り支持地盤面は最終的にローム層を実見して確認することを伝える。『スクエア・アンド・タワー』は第56章「ドナルド・トランプの選挙戦」、第9部「結論―サイバースペースの攻防戦」第57章「階層制対ネットワーク」、第58章「ネットワークの機能停止」、第59章「FANG とBATとEU」、第60章「広場と塔の再来」を読み終わり。あとがき「広場と塔の起源―14世紀シエナにおけるネットワークと階層制」へと進む。スクエア・アンド・タワーとは広場と塔でありネットワークと階層制である。明日には読み終わるので週末にまとめよう。


2020年01月09日(木)

晴れでやや暖かいが今日も風が強い一日。8時半出社。9時前に事務所を出て表参道駅から銀座線で渋谷駅へ。銀座線の渋谷駅ターミナルはホームが一体になり以前よりも100m以上手前に移動している。ホームの幅は大幅に広がり電車は井の頭線と同じようにホーム両側から発着する形である。ホームの屋根は鉄骨の緩やかなM字形アーチによって支えられ両側から自然採光されているので以前よりもずっと明るく開放的である。進行方向の突き当たりに改札口があり全体としてきわめて分かりやすい駅になっている。しかし改札口から出た先のJRや井の頭線への乗り継ぎ動線は逆に錯綜してますます分かりにくくなっている。工事中なので止むを得ないとはいえ完全に整理されるのは2028年だという。井の頭線との相互乗り入れも検討されているらしい。家早何友何である。JR湘南新宿ラインのホームまでは紆余曲折した経路を通り10分弱も歩かねばならずユニバーサルデザインとしては最悪である。9時19分発の籠原行に乗車。1時間半余の車内で日記をまとめて書き込む。懸案の駐車場水平ブレースについて妙案を思いついたのでiPadの図面に走り書きする。10時40分過ぎに籠原駅着。戸田と合流し歩いて5分で「箱の家164」の敷地に着く。11時から地鎮祭開始。地域の神社による正式な地鎮祭で30分かかる。終了後はシグマ建設と各種書類の引き渡しと確認。その後は近所の挨拶回り。ウィークデーの昼間だが半分は留守である。12時半にU夫妻に挨拶して現場を発ち籠原駅近くのトンカツ屋で昼食を済ませ13時過ぎの湘南新宿ラインに乗車。熊谷駅で市役所に行く戸田と別れて15時に帰社。正栄産業から「162酒井邸」のガスメーターカバーの見積が届いたが高額なのであまり意味がない旨のコメントをつけて酒井さんに転送する。それにしても詳細図まで描いて中止とは迷惑千万である。夕方に戸田が帰社したので「箱の家164」の地鎮祭写真を界工作舎HPとFacebookにアップする。「箱の家164」の駐車場屋根のブレースについて変更案を伝え今夜中に図面をまとめるように指示する。夜は木村と「分倍河原の集合住宅」について打ち合わせ。収集した長屋型集合住宅の比較表を見ながら意見交換した結果、全住戸を木造2階建てスタジオタイプとして地上レベルからアクセスし、小さくてもいいから住戸毎に庭を持った独立住宅的な集合住宅とすることを決める。要するに「箱の家」集合住宅である。駐車場は2台程度でいいだろう。『建築雑誌』slackに宮原真美子さんが佐藤学さんの対談集『身体のダイアローグ』の学校建築に関する芦原太郎と鮎川徹との対談を掲載してくれたので読んでみる。2000年以前に主流になったオープンスクールの関する話題が中心で現在の視点からはやや古いトピックだが教室の壁を取り去り地域との壁も取り去るという方針は現在も有効かもしれない。『スクエア・アンド・タワー』は第54章「グローバル化と不平等」、第55章「革命をツイートする」を終えて第56章「ドナルド・トランプの選挙戦」へと進む。グローバルにスマートフォンが普及しSNSによってネットワークが濃密になった状況がもたらした社会政治現象が分析されている。


2020年01月08日(水)

雨のち晴れで南風が強い生暖かい一日。8時半出社。『建築雑誌』連載原稿のスケッチと放送大学叢書の編集を少々。戸田と「箱の家164」のブレース接合部について打ち合わせ。なかなかうまい解決形に収斂しないので別の方針で描き直しを指示する。13時過ぎに事務所を出て表参道駅から千代田線で湯島駅にて下車し近現代建築資料館へ。14時から今年度最初の運営委員会が開催される。僕が座長に指名され松隈章さんを副座長に指名するといういつもの形式的な手続き。出席者は岡本任弘新館長、浅田副館長、運営委員は京都工繊大の松隈洋、慶應大の渡部葉子、日本建築事務所協会会長の佐々木宏幸と僕の4人。さらに主任調査官の桐原武志、川向正人、加藤道夫と事務局4人。外部からの資料の受け入れ状況、今後の展覧会開催計画、その他資料館の事業の実施状況など多くの議題について報告と意見交換。松隈さんから生存中の建築家の資料の受け入れ方について問題提起があったのでしばらく議論。開館後6年経過したので展覧会のあり方についても再考すべきという意見も出る。副館長から去年始まった日本博への資料館の参加について報告。予定の2時間を超えて16時15分に終了。その後に川向、加藤両氏と開催中の展覧会『吉田鉄郎の近代 モダニズムと伝統の架け橋』を観る。吉田鉄郎のスケッチや絵のうまさに感心するが建築の方はいまいちピンとこない。丹下健三が〈衛生陶器〉と評した意味が何となく了解できる。17時半に帰社。昨年末に『建築雑誌』2020年1月号が届いたが今週正式に出版されたのでfacebookと界工作舎HPにアップする。
http://jabs.aij.or.jp
夜は戸田と明日の「箱の家164」の地鎮祭に持参する資料の確認。『スクエア・アンド・タワー』は第52章「肥大した行政国家」、第53章「Web2・0とフェイスブック」を読み終わり第54章「グローバル化と不平等」へ進む。


2020年01月07日(火)

曇り後雨の寒い一日。8時半出社。「067大塚邸」メンテナンス工事の参考のために「124佐藤邸」のアルミ通風雨戸の取付詳細図のスキャンデータを杉村さんに送る。取付工事のためには一旦鋼板の庇を取り外し雨戸枠の取付に必要なサイズ分上に移動する必要がありそうだ。戸田が「箱の家164」の長期優良住宅書類の修正のために審査機関に出向き昼前に帰社。今日のうちに修正認可証を得られそうだとのこと。13時半に近現代建築資料館の浅田副館長、調査官の山口俊浩さん、加藤道夫さんが来所。加藤さんは昨年から主任調査官に就任しているそうだ。明日の午後に開催される今年度の運営委員会の準備のために来所し概要の説明を受ける。運営委員会は1年振りなので議論項目が多いために前もって打ち合わせに来られたとのこと。午後に小平市の〈なおび幼稚園〉園長、神保佳世子さんからメールが届く。幼稚園の南側に8階建てのアパートが建つので対応策に南側に園舎を増築したいとのこと。メールをやり取りし14日(火)に現地調査に伺うことにする。4年前に増築計画を相談され基本計画をまとめたが予算が合わないために頓挫した経緯がある。今度は実現することを期待しよう。昨年末に届いた消費税の還付に必要な書類作成のために会計事務所とのメールのやり取り。前期外注費の書類のスキャンデータを送信する。木村と〈分倍河原集合住宅〉の打ち合わせ。図書館で収集した事例集を見ながら意見交換。クライアントへの説明資料としてロケーション、敷地面積、法的条件、住戸数と面積、構造システムなど基本データの比較表を作成するように指示する。戸田と「箱の家164」の鉄骨製作図と詳細図について打ち合わせ。鉄骨製作図は佐々木構造計画からのチェックバックをまとめてシグマ建設に送信。引き続きブレース接合部の原寸図を描くように指示。『スクエア・アンド・タワー』は第48章「ダヴォス会議のネルソン・マンデラ」、第49章「ジョージ・ソロスとイングランド銀行」から第8部「21世紀のネットワーク」の第50章「アメリカ同時多発テロ」までを読み終わり第51章「リーマンショック」へと進む。第48章では南アフリカ連邦の大統領ネルソン・マンデラによる1992年のダヴォス会議での演説を紹介しながら、マンデラが社会主義経済化を目指していたそれまでの主張を民営化・市場化へと転換した理由は、社会主義国である中国とヴェトナムが既に市場主義経済を導入していたことにあることが明らかにされる。第49章ではヘッジファンド(クォンタムファンド)のマネージャーであるジョージ・ソロスが1992年に欧州為替相場メカニズム(ERM)に介入しイギリス・ポンドの空売りによって10億ドルを稼ぎ出した経緯が詳細に紹介されている。当時の金融危機がソロス一人によるものではなく彼に同調するネットワークによるものであり、彼はその経緯を〈再帰性〉の概念によってこう説明する。「再帰性とは事実上、双方向のフィードバック・メカニズムで、このメカニズムを通して、現実が参加者の思考形成に影響し、参加者の思考が現実の形成に影響する」。つまり多数の参加者(ヘッジファンドのネットワーク)が加わることによって彼らの思考が現実になるのである。その後に欧州市場が単一通貨(ユーロ)に向かったのはこの時の金融危機が契機になったと著者は指摘する。第50章はアメリカの2000年の9・11同時多発テロを引き起こしたテロ集団アルカイダのハードで閉じたネットワークとブッシュ政権の時代遅れの階層ネットワークがもたらしたイラク侵攻に関する説明である。


2020年01月06日(月)

晴れのち曇りで昨日よりもやや寒い一日。今日から仕事始めである。界工作舎OGの花巻裕子さんから「箱の家067」の担当者である宮内さんの連絡先が届いたので電話連絡してみるが繋がらない。しかし午後に電話が入り現在も工務店を続けているのでメンテナンス工事を頼めそうである。既存の界工作舎デスクトップから「箱の家067」の竣工図を探し出し先日の打ち合わせ図面をスキャンして杉村浩一郎さんに転送する。午後一番に戸田が「箱の家164」の長期優良住宅の認可を受けるため深谷市役所へ向かう。僕は表参道を経由して青山の銀行へ向かう。表参道の人出は先週と変わりなくアップルストア周りに人垣ができている。銀行で雑用を済ませて14時に帰社。夕方に戸田が帰社。認可書類に軽微な間違いがあり再度出直すことになったらしい。明日、出社前に審査期間に出向き書類の修正を行うように指示する。家早何友。仕事始めから幸先が悪い。『建築雑誌』3月号と5月号の表紙について能作さんと意見交換。パリの新古典主義建築を紹介する。長澤夏子さんと宮原真美子さんに紹介された佐藤学さんのHP資料に目を通す。創造性教育に関するシンポジウム資料を見ながら建築との関係について考える。思いついて連載記事のスケッチを少々。『スクエア・アンド・タワー』は第44章「複雑化する消費社会」、第45章「ヘンリー・キッシンジャーの権力ネットワーク」、第46章「インターネットの誕生」、第47章「ソヴィエト帝国の崩壊」を読み終わり第48章「ダヴォス会議のネルソン・マンデラ」へと進む。第44章では1970年代に生じた階層システム(タワー)から複雑なフラットネットワーク(スクェア)への転換が論じられている。第45章ではその転換点を代表する人物でニクソン政権とフォード政権の大統領補佐官を務めたヘンリー・キッシンジャーの世界的ネットワークと具体的な活動が詳細に紹介されている。第46章ではインターネットが開発された経緯が紹介され、第47章では1980年代末から1990年代初めにかけての社会主義諸国の崩壊はインターネットの普及が契機になったという一般的通説は間違いであり、階層システム(タワー)の矛盾がもたらしたものであることが確認される。つまりインターネットは逆に社会が階層システムから水平システムへと移行した結果としてうみ出されたのである。


2020年01月05日(日)

快晴でやや暖かい一日。6時半起床。さすがに朝は寒い。7時に妻と家を出て車で明治神宮へ初詣に出かける。境内はまだ人は多くないが警備員の数がやけに多いところを見ると昼間にはすごい人出になるのだろう。守護矢2本と御守札を購入して8時帰宅。朝食後9時半に出社。「箱の家067」のメンテナンス工事について界工作舎OGの花巻裕子さんに問い合わせメールを送る。彼女は5年前に小金井市の集合住宅のオープンハウスを開催したが、その工事を請け負ったのが「箱の家067」の工事を請け負った工務店の担当者だったことを思い出したからである。『建築雑誌』slackで5月号特集のインタビュー候補に挙がっていた教育学者の佐藤学さんの承諾が取れたらしい。インタビューは1月下旬に決まる。佐藤学さんは東大教育学部の名誉教授でウィキペディアにはこう紹介されている。「佐藤において学びとは、モノ(対象世界)との出会いと対話による「活動(action)」、他者との出会いと対話による「協同(collaboration)」、自分自身との出会いと対話による「反省(reflection)」が三位一体となって遂行される〈意味と関係の編み直し(re-contextualization)〉の永続的な過程として定義されている」。冒頭の「モノ(対象世界)との出会いと対話による「活動(action)」という記述から学校建築と教育の関係について突っ込んだ話を聞けそうである。佐藤さんは僕より4歳年下で大学は東大出身ではないから関係ないと思うが、僕自身は東大教育学部については嫌な思い出がある。1968年の東大闘争の際に教育学部は民青(民主青年同盟)の拠点だったが、機動隊が安田講堂に突入する数日前に僕は赤門に近い教育学部棟脇の公衆便所内で民青のデモ集団にボコボコにされた経験があるからである。当時の僕は全共闘に所属していたとはいえ田舎から出てきた政治嫌いのノンポリ学生だったから学内の政治状況についてはまったく無知だった。後に教育学部が共産党の下部組織である民青の根城だったことを知ったのである。そんな訳で東大教育学部に対しては嫌な記憶しかない。『スクエア・アンド・タワー』は第40章「スターリンの全体主義国家」、第41章「マフィアのネットワーク」から第7部「冷戦とゲリラ戦」の第42章「冷戦下の〈長い平和〉」、第43章「ネットワーク化された戦闘」を読み終えて第44章「複雑化する消費社会」へと進む。第40章ではラトヴィア生まれのユダヤ人でイギリスの哲学家アイザイア・バーリンとソ連の詩人アンナ・アフマトーヴァとの交流が当時のスターリン政権によって監視されていた状況が詳しく紹介されている。その影響を受けてバーリンの『自由論』が生み出されたのではないかというのが著者の主張である。本書で紹介されるネットワークはほとんど固有名で説明されている。マフィアのネットワークもシチリアの架空のコルレオーネ家のモデルとなったネットワークにまで辿っている。マリオ・ブーヅォの小説を映画化した『ゴッドファーザー』があまりにも現実に近いのでマフィアのメンバーもびっくりしたというエピソードが興味深い。


2020年01月04日(土)

晴れ後曇りの寒い一日。昨夜は1時過ぎまで『スクエア・アンド・タワー』を読み続けたのでやや遅く8時半に起床。9時半出社。界工作舎の仕事始めは6日の来週月曜日だが、僕は今日から通常のペースに戻す。最初の作業は「箱の家164」の関係書類の作成と佐々木構造計画への連絡である。引き続き『新しい住宅の世界』の放送大学叢書第1章の編集を続行する。『建築雑誌』slackに5月号特集のインタビューに関する書き込みがあったのでコメントする。残りのインタビューの日程も決まりそうだ。『スクエア・アンド・タワー』は第36章「ボリシェヴィキ革命と強制労働収容所」、第37章「ヒトラーの躍進」、第38章「ナチスと反ユダヤ主義」、第39章「ケンブリッジのスパイたち」を読み終えて第40章「スターリンの全体主義国家」へと進む。ボルシェヴィキの指導者レーニンを亡命先のスイスからヘルシンキを経由してロシアへと移動させ1917年のロシア革命のへと導く資金の提供を行ったのはドイツだったが、革命がドイツにも逆輸入されて政権を揺るがすことになったという歴史的皮肉、ヒトラーのナチズムと反ユダヤ主義は一種の政治的宗教だったこと、ケンブリッジの〈使徒会(ザ・ソサエティ)〉のメンバーがソヴィエトKGB(モスクワセンター)のスパイになった経緯など多くの新しい知見を学ぶ。本書で論じられているネットワークとはアクターネットワーク理論(ATN)のような広義のネットワークではなくあくまで人的ネットワークである。そこでは交通や電信のイノベーションは人的ネットワークを強化する技術的手段に過ぎない。その点では本書は古典的な社会学的視点に留まっているようだ。


2020年01月03日(金)

快晴で寒い一日。7時半起床。8時からTBS TVで『安藤忠雄 青春を生きる』を観る。最近の安藤の仕事、ミラノのアルマーニ美術館での安藤忠雄展、フランスのエクス・アン・プロヴァンスのホテル兼美術館のコレクション、建設中のパリのピノー・コレクションのコンバージョン、工事中の大阪の子供図書館などが紹介される。ピノー・コレクションはかつての穀物取引所(ブルス・ド・ コメルス)を改装した美術館で今年中には開館の予定だそうである。
https://jp.france.fr/ja/paris/list/pinault-collection-paris
安藤のインタビューを聴いているとほとんど反論のしようがないポリティカルコレクトな主張がくり返される。その点が安藤の人気を支える一方で反対者を生む要因でもあるのだろう。安藤の話を聴きながら僕は絶えずクリストファー・アレグザンダーの発言を思い出していた。アレグザンダーの発言もあからさまなポリティカルコレクトネスだが、それを実現するために彼は悪戦苦闘してきたのである。安藤もまったく同じだろうと思う。目標と実現プロセスの巨大な落差を埋めることが建築家の仕事であることを改めて確認させられる番組である。もう一つ学んだことは建築でもし批評という行為が可能だとしたら設計目標や設計趣旨ではなく建築そのもので批評すべきだろうということである。9時過ぎに出社。9時半に事務所を出て表参道から半蔵門線、田園都市線を乗り継ぎあざみ野駅に10時過ぎ着。改札口で界工作舎OBの杉村浩一郎さんと待ち合わせ駅前ロータリーで大塚さんの車にピックアップしてもらい「067大塚邸」へ向かう。2003年に完成した〈箱の家〉で17年を経過しているが建物の外観に大きな変化はない。食卓に座りメンテナンスについて話を聞く。大きくは北側高窓の結露、台風時のガラス強度の問題、洗面所の巾木の腐食などである。結露は台所脇の高窓だけなので台所からの湯気のせいかもしれないがペアガラスの間に結露しているのでガラス外周枠の気密封印が切れた可能性もある。北面に高窓やテラス窓を設置しているのはこの〈箱の家〉だけである。高窓についてはポリカーボネートのダブルスキンと飛散防止フィルム貼、テラス窓はアルミ通風雨戸と飛散防止フィルム貼を提案する。「067大塚邸」の工事を担当した工務店は社長が引退してすでに廃業しているため当時の工事監督にメンテナンス工事を打診することを約して13時半にお暇する。あざみ野駅近くのレストランで簡単な昼食を摂った後15時前に帰社。保田さんから昨日の日記に関するコメントメールが届く。「162保田邸」では日中の日射によって室内温度が26℃以上になり、夜も寝る時にも24℃以上あるという報告を受けてダイレクトゲイン(日射による輻射熱の取得)の条件を見落としていたことに気づく。「162酒井邸」は富山にあるので冬季はほとんど日射がない。床もフローリングなのでアクアレーヤー水温を上げないと効果が薄いようである。どうやらこの差異が設定温度と床暖房効果の差異をもたらしていることが判明した。夜は22時から2時間のNHKBS1スペシャル『欲望の資本主義2020年〜日本・不確実性への挑戦』を観る。人口が減少すれば一人当たりの生産性が上昇しない限りGDPは縮小せざるを得ないという事実、情報産業はかつての重工業産業に比べて一人当たりの生産性の格差を増大させるため必然的に経済格差も増大させるという事実、2013年に始まる金融緩和(アベノミクス)が7年経過しても目標の2%の物価上昇を未だに実現していないが1%そこそこの物価上昇をもたらしているという事実、人々の経済合理的な行動が総体的には不安定な経済をもたらすというパラドクスなどさまざまな知見が紹介されるが当然ながら具体的な展望は見出せない。根本的な要因は貨幣が本質的に〈投機〉である点にあるという原理的な結論で番組は終わる。『スクエア・アンド・タワー』は第35章「三国協商に対するジハード」を終えて第36章「ボリシェヴィキ革命と強制労働収容所」に進む。


2020年01月02日(木)

晴れ時々曇りの寒い一日。7時半起床。ゆっくりと雑煮を食べて箱根駅伝のスタートを確認した後に9時半出社。熊本の「箱の家162」の保田さんから年賀メールが届く。昨年末も床下空調機の設定温度についてメール交換したが、保田さんは実体感から今まで通り室内気温モニター23度の設定で稼働し続けているとのこと。アクアレイヤー水温はほとんど上がらず24度のままだそうである。それでもアクアレイターと基礎コンクリートの蓄熱量には問題はないようで、室内気温は昼間は23度、夜間は21度程度だそうだ。床面の暖かさもとくに問題ないという。ならばそれが定常状態なのかもしれないと伝える。富山の「箱の家162」では引渡当初は室内気温を30度に設定しアクアレイヤー水温が28度まで上がった時点で室内気温も23度にまで上がったので、そこで室内気温の設定温度を23度に下げた。その後の詳細な経過については聞いていないが年末に届いたメールでは快適に過ごしているとのことである。この相違はなかなか理解しにくい。熊本と富山では気候にどのような相違があるのか。エアアクアは夏季からスタートした稼働と冬季からスタートした稼働によって蓄熱のモードが異なるのだろうか。あるいは居住者によって温度感覚が異なるのだろうか。この問題は建物の性能、気候の相違、人の体感というパラメータで研究の余地がありそうである。保田さんからは追加で台所の吸気レジスターの結露を指摘されたので他の箇所の吸気口を開けてみるように進言する。「箱の家」は気密性がきわめて高いので浴室やトイレの排気によって外気の流入が台所のレジスターに集中したからではないかと推察する。試してみたが大きな差はないようだという保田さんからの返信メールが届いたが、この種の問題は時間をかけて検証する必要があるだろう。床下気温計の設置場所についても問われたがはっきりいってよく分からない。床下の気温は均一ではなく位置によってかなりバラツキがあると思われるからである。『スクエア・アンド・タワー』は第29章「間接支配と中央集権」、第30章「太平天国の乱」、第31章「アメリカにおける中国人排斥運動」、第32章「南アフリカ連邦という大英帝国の幻想」、第33章「ケンブリッジ〈使徒会〉のネットワーク」、第34章「第1次大戦の勃発」。上巻を読了し下巻の第6部「革命と独裁者」第35章「三国協商に対するジハード」に進む。大英帝国の間接支配のネットワークやオックスフォード大学の人脈による南アフリカ連邦のアパルトヘイトの確立など興味深いテーマが多い。それに比べるとJ・M・ケインズを含むケンブリッジ大学の〈使徒会〉や〈ブルームズベリー・グループ〉は個人的で反社会的である。ようやく下巻に進んだが興味深い歴史的エピソードが満載だがネットワークが徐々に拡大し複雑化していくという大きな潮流以外の〈物語〉は見えてこない。


2020年01月01日(水)

快晴で昨日に比べて寒い元旦。8時前に起床。今日は一日正月休みを決め込み雑煮を食べた後おせち料理をいただきながら朝から冷酒を呑む。10時過ぎに年賀状の整理。数はそれほど多くはないが例年同じ人たちから年賀状をもらう。ありがたいことだがこの慣習は僕たちの世代で終わるような気がする。昼前に娘と孫がやってくる。一緒におせちと蕎麦と冷酒の昼食。さすがに酔いがまわりしばらくの間ベッドで休息。目が覚めるとiPadで放送大学叢書の編集を少々。『スクエア・アンド・タワー』を読み続ける。第25章「ロスチャイルド家」、第26章「産業革命のネットワーク」、第27章「5大国体制からイギリスの覇権主義へ」から第5部「大英帝国の秘密結社」第28章「〈ラウンド・テーブル〉あるいはミルナーの〈幼稚園〉」を読み終えて第29章「間接支配と中央集権」に進む。19世紀前半のヨーロッパの5大国支配を経済的に支えたのはフランクフルトのゲットーから叩き上げたマイヤー・アムシェル・ロートシルトの5人の息子が築き上げたロスチャイルド家の金融ネットワークだった。ロスチャイルド家の金融ネットワークは当時最速の人的な情報ネットワークによって支えられていたという。19世紀後半になると交通と電信ネットワークのイノベーションによって大英帝国が世界を支配するようになる。大英帝国による世界支配がきわめて少人数の貴族階級による間接支配によって支えられていたことが分析されている。


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