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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2023年06月03日(土)

午前中は雨だが午後には晴れる過ごしやすい一日。9時半出社。思い立って松江の〈箱の家169〉の1年検査の日程を暫定的に決めてJAL出雲行便をネットでチェックすると、1ヶ月以上前でも予約購入が可能なので。クライアントのK夫妻に打診メールを送信する。合わせて会計事務所、龜谷清さん、大同建設にも確認メールを送る。NHKライジオのテキスト原稿第10回「エコハウスの条件」の原稿を少々。しかしイマイチ気分が乗らないので1枚程度で休止。14時に事務所を出て外苑前駅で銀座線に乗り銀座駅にて下車。午前中まで雨が残っていたせいか、乗客は比較的少ない。三越地下の食品街で久しぶりに亀戸升本の観劇弁当を購入し15時過ぎに帰社。『ヨコとタテの建築論』は、第3部「タテはいかに可能かーバラバラな世界に」の第7講「饒舌と沈黙―喧騒の中のサイレンス」を読み続ける。ここまで読んできて、著者の青井哲人は、本書で人類史の中に近代建築史を位置づけようとしていることが、ようやく了解できる。言い換えれば、近代建築史を相対化しようとしているわけである。布野修司さんがオンラインで続けている〈世界建築史シリーズ〉を補完しようとしているのかもしれない。日本酒で弁当を食べながら18時からBS朝日TVで〈イタリアの小さな村〉を観る。今日は南イタリアの貧しい村に生きる老人夫婦の物悲しい話である。


2023年06月02日(金)

台風に刺激された梅雨前線のせいで、激しい雨が降り続く肌寒い一日。TH-1から〈箱の家039〉の補修工事の追加契約書が届いたので、署名捺印して返送する。NHKラジオテキストの第10回「エコハウスの条件」の原稿を書き始める。いつもながら冒頭で躓くが、何とか乗り越えて〈実験住宅アルミエコハウス〉の紹介の1枚分を書く。午後は雨が激しくなり、空も暗くなる。気分を変えるために3冊の本の散読。『ヨコとタテの建築論』は、第6講「平衡と進化―わたしたちは想念のなかで都市建築を分解する」を読み終わり、第3部「タテはいかに可能かーバラバラな世界に」の第7講「饒舌と沈黙―喧騒の中のサイレンス」に進む。第6講では、参考文献にグレゴリー・ベイトソンの『精神と自然』が挙げられているのだが、どのような論点で参照されているのかよくわからないので再読する。どうやらアルド・ロッシの『都市の建築』に関連して、建築類型が時間とともに展開していくことの理論的な根拠として参照しているらしいがはっきりしない。都市の建築が基本的にアノニマスでであることを〈ヨコ〉としてとらえ、その中に差し込まれる建築家によって設計される建築を〈タテ〉として位置づけるのが第3部のようである。『メランコリーと建築』ではアルド・ロッシがどのように紹介されているのか、気になるところである。昨日、ロッシと同年のイタリアの建築家パオロ・ポルトゲージが逝去したことを今村創平さんのfacebookで知る。
https://buff.ly/43zMjfA


2023年06月01日(木)

曇り一時晴れの過ごしやすい一日。11時前に高井戸のO医院の看板工事を担当する予定の工務店社長が金物業者と電気業者を連れて来所する。僕が描いた看板のスケッチを見ながら、その仕様について打ち合わせる。看板面となる色ガラスの大きさが幅10.2m、高さ1.5mなので、ガラス1枚でつくるには難しいことを確認する。中央の医院名部分は1枚にする必要があるため、3等分すると1枚当たり3.4m×1.5mになる。水捌けを考えて上部の枠は雨樋式にしてガラス面に水がかからないようにし、枠にはガラスの重量を支える強度が必要である。とりあえず叩き台を作成することを依頼して12時前に終了。直ちにこの打ち合わせ経過をOさんにメールで報告する。13時前に事務所を出て、表参道駅から千代田線で二重橋前駅にて下車し、東京会館7階の会議室へ。13時半から前田記念工学振興財団の定時理事会に出席。僕は理事ではなく前田工学賞の選考委員なので、選考経過に関する質問があれば答える立場である。しかし理事からの質問はなく14時半に終了。会場を移動して14時45分から村上周三東大名誉教授による前田工学賞設立30周年の記念講演「住まいと健康 低い室温がもたらす生活環境病」を1時間聴講する。住宅の断熱・気密性能が健康に及ぼす影響をさまざまな視点から検証した講演で、学ぶところが多い。寒冷地よりも、冬季にあまり寒くならない地域での死亡率が高いというデータが意外であり興味深い。寒さがあまり問題にならないので断熱に気を配らないことが原因だそうだ。確保すべき室温の目安は18度以上である。講演終了後、宴会場に移動して16時半から懇親会の開始。30周年で招待者が多く、部屋の外周に屋台が並ぶ盛大な宴会である。九州大の難波研OB岩元真明さん、奈良女子大の難波研OBの坂井禎介さん、東大農学部の稲山正弘さん、関西学院大の石榑督和さん、歴史家の嶋崎礼さんなど、かつての受賞者の懐かしい面々に再会して歓談。大いに盛り上がる。赤ワインをたっぷり呑んでいい気分になる。19時に終了。20時前に帰宅。そのままベッドに倒れ込む。


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