難波和彦+界工作舎
HOME 難波和彦 難波研究室
箱の家 PROJECT 青本往来記
AND OR

コンパクト箱の家

2021年01月27日(水)

曇り時々雨で午後は晴れるやや暖かい一日。8時半出社。「171葉山計画」の断面図と立面図のスケッチ。1階床下にエアアクアシステムを組み込んだ場合、1階の共用空間の空調は問題ないとして、吹抜がないため2階の宿泊スペースに空調空気を回す経路が難しい。しかも2段ベッドがかなり密に並ぶため、空調負荷も大きいので大量の空気を回さねばならない。とはいえ1,2階とも一室空間なので分散的な気流の経路を確保すれば何とかなるようにも思える。2階床によって分断されているが、空気の流れを一体化するにはどうするかという問題である。しばらくスタディを続けてみよう。「167N邸」の詳細納まりについて(株)藤忠とメールのやりとり。『建築雑誌』3月号連載のレイアウトが届いたのでチェックバックし編集部に送信する。コロナ禍における政府の予算編成で国債発行の問題について議論が展開しているようだ。国債の発行は国の借金を増やすので将来の世代に負担を残すだけであるという従来の主張に対して、MMT論者が強行に反対している。MMT(現代貨幣理論 Modern Monetary Theory)とは、ケインズ経済学・ポストケインズ派経済学の流れを汲むマクロ経済学理論で、政府に通貨発行権があれば、政府の意思に基づいて通貨発行による支出が可能であると主張する。つまり政府が通貨発行で支出可能なのだから、財源のために徴税が必要だという理屈は成立しないという主張である。MMTのこの見解は、政府の財源を税と債券発行によって先買権的に調達すべきであるとする従来の主流派経済学の見方に挑戦するものである。要するに政府と日銀が一体となって貨幣を発行すれば〈国の借金〉という概念は存在しないというわけである。安倍政権が日銀の黒田総裁を通して実施したのもそれである。しかしながら最終的にデフレを脱却できなかったのは、MMTの理解不足のために財政政策の発動が伴わなかったからだというのがMMT論者の指摘である。MMTは一種の社会主義経済理論に近い発想であり、形を変えたケインズ主義の再来ともいえる。少し気になるので勉強してみようか。『スケール』は生命の単純性、調和、複雑性」を読み終わり、第5章「人新世から都市新世へ:都市が支配する惑星」に進む。第4章の後半は〈死〉に関する生物理学的な解明である。世界的な統計から、以下のような2つのポイントが明らかにされている。1)死の主要因は圧倒的に器官(心臓発作、脳卒中)や、分子の損傷(癌)と結びついており、感染症疾患は比較的小さな役割しか果たしていない。2)死のあらゆる原因が取り除かれても、すべての人間は125歳になる前に死ぬ運命にある。この2点は人体内のフラクタルな循環器系の劣化と損傷によるものであることが証明される。人間の寿命限界である125歳は、通常の哺乳類の2倍だが、それは社会共同体と都市の発生がもたらした現象であることが5章以降の議論である。今日の東京都のコロナ感染者は973人、全国の感染者は3970人で、昨日よりも若干増えているが、大きな変化はない。


2021年01月26日(火)

晴れのち曇りのやや暖かい一日。『建築雑誌』3月号連載の原稿ゲラが届く。文字数がやや多いので削減するように要求されたが、文脈的に内容を削減するのは難しいので、全体的に細かな削減によって原稿を縮めた上で再校正を依頼し返送する。午前中一杯をかけて「171葉山計画」の平面図スケッチをまとめる。まだ十分に納得できる案ではないが、面積を計算してみるとプログラムに指定された面積近くに収まっていることが確認できたので、とりあえず高さ方向のチェックに進むことにする。昨日に引き続きMさんから「170M邸」第2案に関するメールが届く。どんどん詳細な打ち合わせに進む傾向があるので、この辺りで一旦休止し、第2案の問題点を解決した上で次のステップに進むべきなので、しばらく時間が欲しい旨のメールを返信する。まず2階浴室とその真下の玄関の天井高を確認する規矩図のスタディをくり返す。何とか解決の見通しがついたので、引き続き北側斜線と軒高の確認のスタディに進み、軒樋の取付がギリギリ可能であることを確認する。これで現案の2つの問題は解決できる見通しが立つ。16時から『建築雑誌』7、8月号特集「プレデザイン」と「コンペ」のzoom会議に出席する。「何をつくるか」と「いかにつくるか」というテーマで特集を2ヶ月連続させる方針を確認した上で、新国立競技場問題のまとめの座談会を行うことを提案して17時に退席。戸田と「169菅野邸」の平面詳細図の打ち合わせ。西側テラス面のサッシのみ木製とし、その他は「箱の家」の標準仕様であるアルミ断熱サッシにすることを確認する。浴室の給湯給水排水管の経路を確認し、浴槽の仕様を再検討する。お年寄りなので手すりの設置が必要であることを確認する。『スケール』は第4章「生命の第4次元:成長、老化、そして死」を読み続ける。生物の誕生、成長、死に至るプロセスについて著者はこうまとめている。「深いレベルで見れば、誕生、成長、死はすべて、代謝率を原動力とし、ネットワークの力学と構造に内含された、同じ根本力学に支配されているのだ」。ここにも生物学、物理学、数学を統合する知見がある。幼い頃にイングマル・ベルイマンの映画を見て死について考え始めた興味深いエピソードも紹介されている。今日の東京都のコロナ感染者は1026人、全国の感染者は3853人で昨日よりもかなり増えている。やはり統計的な偏差のようである。


2021年01月25日(月)

晴れでやや暖かい一日。8時半出社。9時前に事務所を出て表参道経由で青山の銀行へ。天気が良く朝日が暖かい。銀行で雑用を済ませ青山通りを少し遠回りして10時前に帰社。The UTokyo EdX Teamから再び『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』の第3回「City:Architect and Work of Module 4:Worldly Architecture - Kengo Kuma, Nagaoka City Hall Aore (2012)」が届く。解説にはこう書かれている。” In this module, Kengo Kuma (the 4th generation) will appear in the interview. We visited Nagaoka City Hall Aore. Interview videos with Kuma (approx. 43 minutes in total) are now available,”
https://learning.edx.org/course/course-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@sequential+block@da4730b6be444e8bad42728d98852df2/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@vertical+block@03f8237dbb014f128b378ff4a3447879
ビデオは長岡の市民ホール〈アオーレ〉でのインタビューである。前面道路からスムーズに連続する民家の前土間や中土間のような屋内広場を取り囲むように、市役所の窓口や議会ホールがランダムに配置され、一番奥に広場に開かれた市民アリーナが置かれている。壁や天井に地元産の越後檜をランダムに張ったパネルが取り付けられている。隈によればこれは空間に寛容さを与える装置であり、日本の建築空間の伝統の継承だという。反オブジェクト、反モニュメンタリティ、パラメトリックな手法によってランダムネスをつくり出すといった説明がくり出される。地元産の材料を使った表層の粒子化という手法は隈のデザインの常套手段である。ビデオを見ながら、今読んでいる『スケール』で指摘されている、建築空間におけるノイズ、襞、フラクタル性などを連想する。午後に安藤忠雄さんから『domus』最新号と新聞記事が届く。手紙が添えられており、今年1年間、domusの編集長を務めること、フランス共和国のレジョンドヌール勲章コマンドールを受賞すること、児童図書館を大阪中之島、神戸、遠野につくっていることなどが綴られている。先週日曜日の電話で聞いたことだが、本当に気さくな人である。早速、お礼とお祝いの手紙を送りfacebookで紹介する。前田記念財団から前田工学賞審査対象になった11編の博士論文が届く。例年よりずっと重い荷物である。僕の担当締切は2月10日である。じっくりと取り組むことにしよう。Mさんから昨日送ったメールに対する返信メールが届く。Mさんは毎回、自分で描いた図面を添付してくれるのだが、細部が読み取りにくい。その質問を含めて再度の返信メールを送る。木村からの転送で、府中市から届いた「165箱の長屋」の遺跡調査の見積書が届く。なかなか厳しい金額だが、見積金額についてネゴシエーションの余地はないようだ。まったくのお役所仕事である。クライアントのOさんと田中会計士に見積書を転送し、既存構造物の撤去工事を鈴木工務店に依頼する。『スケール』は第4章「生命の第4次元:成長、老化、そして死」を読み続ける。今日の東京都のコロナ感染者は618人、全国の感染者は2764人で、昨日よりもグッと減ったが、毎週月曜日の傾向だろうか。


2021年01月24日(日)

今日も冷たい雨の寒い一日。昨夜遅く鈴木工務店から「165箱の長屋」の査定回答が届く。予想ほど金額が下がっていないので少々残念だが、とりあえず期日通りの回答に対するお礼のメールと遺跡調査の件を報告する返信メールを送る。さらにクライアントのOさんと田中会計士にこの査定回答を転送し、予算額までコストダウンするとともに、遺跡の本調査を含めて府中市役所からの連絡を待ってから今後のスケジュールを再策定する旨のメールを送る。10時過ぎにMさんから「170M邸」第1案に対する検討結果について長いメールが届く。第1案の基本的な設計方針は受け入れてもらえたようだが、細部についての変更希望と質問項目がかなり多い。構造に関する問題以外はほぼ対応できるので、ひとつひとつの希望と質問に詳細に応えるメールをまとめて返信する。午後には雨があがったので15時過ぎに事務所を出て、散歩がてら南青山のスーパーマーケットまで足を伸ばし夕食用のビーフステーキ肉と赤ワイン2本を購入して16時前に帰宅する。妻と一緒にステーキにポテトとほうれん草を加えた赤ワインの夕食。『スケール』は第4章「生命の第4次元:成長、老化、そして死」を読み続ける。生体機能のフラクタル性を高めるために自然淘汰によって進化した生物が指数1/4のスケールへと収斂したのに対して、工業製品や建築人などの人工物にはほとんどフラクタル性がなく指数1/3にとどまっている。しかし人間が時間をかけてつくった都市は無意識のうちに自己相似フラクタルな構造を形成し、その性能を最適化させているように見える。これが本書の後半の主題である。何となくクリストファー・アレグザンダーの『都市はツリーではない』を想起させる。今日の東京都のコロナ感染者は986人、全国の感染者は3990人で、昨日よりもさらに減っている。この流れが続いてほしい。


2021年01月23日(土)

氷雨が降り続く寒い一日。8時半出社。今日も「171葉山計画」のスケッチを続行する。南と西の日射制御や庇テラスなどの細部を組み込み、シャワー室の平面や宿泊室のベッド配置などを検討する。2階建てでは吹抜が取れそうにないので、建物全体の空調システムとアクアレイヤーをどう組み立てるかのスタディを試行錯誤するが解決法は見えない。11時半から戸田と週末の定例打ち合わせ。「169菅野邸」の平面詳細図についてはまだ進行中なので来週前半に打ち合わせることにする。ステンレス屋根は狭い面積ではコストが高くなるため代替工法を検討する。それ以外は〈箱の家〉の標準仕様とする。正午過ぎに解散。僕は午後も出社し夕方まで「171葉山計画」のスケッチを続行する。『スケール』は第3章「生命の単純性、調和、複雑性」を読み終わり、第4章「生命の第4次元:成長、老化、そして死」に進む。第3章の後半では、生命体の循環器系の3次元ネットワークはフラクタルなシステムなので、フラクタル次元が3次元から1次元上った4次元的に作用していることがフラクタル幾何学に基づいて説明されている。これによって生物ネットワークが指数1/4でスケールすることが証明される。こうして生物学と物理学が数学によって結びつけられたわけである。今日の東京都のコロナ感染者は1070人、全国の感染者は4717人で、昨日よりもわずかに減っている。


2021年01月22日(金)

晴れのち曇りで昨日よりやや暖かい。昨日に引き続き「171葉山計画」のスケッチを続行する。プログラムを何度も読み返し参考平図面の機能配置を参考にしながら、できるだけコンパクトにまとめるように何度もスケッチを繰り返す。丸一日かけて夕方までに何とかぼんやりと光明が見えてくる。とりあえず面積を概算してみると、参考平面図の約半分の面積に収まっている。しかし〈箱の家〉の工事単価で建設費を概算してみると予算の倍近くになりそうだ。とはいえまずはこのコンパクト案でさらに細部をスタディしてみよう。昼過ぎにテレワーク中の木村が出社する。まもなく小川建設の高木監督とプレカットメーカーが来所。13時半から「166 K邸」のプレカットの打ち合わせ。打ち合わせは木村に任せて、僕はzoomで低炭素社会推進会議主催の第7階シンポジウム「コロナ禍での脱酸素型デザイン」を傍聴する。前半の一部は聴き飛ばし、後半第2部の中村勉さんの講義を中心に聴く。中村さんは大学時代の同級生で、サステイナブル・デザインの第一人者である。講義前半の理論篇は早足なのでよく理解できないが、後半はこれまで中村さんの仕事を外観する実例集で共感できる部分が多い。とはいえこの種の総花的なシンポジウムは焦点がはっきりしないので苦手である。16時に途中退席する。『スケール』の第3章「生命の単純性、調和、複雑性」を読み続ける。昨日読んだ、ネットワークが成立するための3前提から必然的にネットワークの自己相似性とフラクタル性が導き出され、マジックナンバー4の起源はフラクタル次元にあることが説明される。今日の東京都のコロナ感染者は1175人、全国の感染者は5045人で、昨日よりもわずかに減っている。このまま行けばいいのだが。


2021年01月21日(木)

今日も冬晴れのピーカンで寒い一日。9時出社。イゼナと「166K邸」のアクアレイヤーシステムの工事についてメールのやりとり。建方が2月中旬なのでアクアレイヤーの敷設工事は2月末か3月初めになるだろう。思い立って「171葉山計画」のスケッチを開始する。都倉尚吾さんから届いた「東大ヨット部合宿所計画」を読みながら、全体から部分に向かって敷地図に機能ダイアグラムを配置していく。ヨットの配置、駐車場、アプローチまでは屋外で、内部空間の構成はプログラムを読み込まないと整理できない。住宅とはかなり勝手が異なるので、「箱の家」のコンセプトに従って可能な限り一室空間に近い平面計画で進めることとし、しばらく時間をかけてスタディしていこう。昨日、いよいよジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任し、ネットやTVのニュースはその話題で持ちきりである。しかしいまだにトランプの業績を高く評価する人が多いのは何故だろうか。熱狂的なファンは別にして、気になるのはフランスの社会学者エマヌエル・トッドの主張である。トランプの人格には大いに問題があるとはいえ、〈保護主義〉〈孤立主義〉〈中国との対峙〉〈ヨーロッパからの離脱〉といったトランプの政策は、今後の米国の政治のあり方を方向づけたからだという。それに対してバイデン大統領には〈反トランプ〉〈反コロナ〉という空虚なヴィジョンしかないという厳しい評価である。果たしてどうなのだろうか。彼こそ正統な政治家に思えるのだが。
https://bunshun.jp/articles/-/42999
『スケール』の第3章「生命の単純性、調和、複雑性」を読み続ける。著者のウェストは彼の専門である理論物理学と生物学とを結びつけるために、次のような前提条件に注目している。「理論の概念的枠組みの基盤となっているのは、これら(多種多様な生物)の物理的デザインが完全に尖っていても、どの種類のネットワークにも同じ三前提からの制約があることだ。1」空間充填、2)不変の端末ユニット、3)システム内に液体を送り込むために必要なエネルギーの最小化、の三つだ」。ウェストはこの三つの前提から、生物の代謝率の〈クライバーの法則〉と4分の1乗スケーリング全般を導き出したのである。今日の東京都のコロナ感染者は1471人、全国の感染者は5653人で、昨日より漸増である。


2021年01月20日(水)

今日も快晴で寒い一日。8時半出社。9時半に事務所を出て行きつけの外苑の診療所へ。10時から渋谷区指定の無料検診を受ける。血圧測定、心電図、レントゲン、採血、問診で11時前に終了。来週の診察結果の予約をして11時過ぎに帰社。昼食後13時前に事務所を出て乃木坂のギャラリー間へ。明日から公開される「中川エリカ展」のオープニングに出席。予約した人を1時間に8人ずつ会場に入れるという限定的なオープニング。中川さん自身の案内で、会場に並べられた膨大なスタディ模型と写真を見て回る。巨大な敷地模型から、高張力ボルトまでつくり込んだ鉄骨ジョイントの現寸模型まで、さまざまなスケールの模型が所狭しと並べられている。抽象と具象が混合した不思議な模型群である。ひとつずつ詳細に見るというよりも、膨大な数の模型を作ったという事実と熱量に圧倒される。3階の会場はチリで撮影した写真が壁いっぱいに展示されている。会場では野沢正光、藤原徹平、小西泰孝といった人たちに会う。人数が少ないのでゆっくりと立話ができる。15時前に帰社。京都大学の小見山陽介さんから『建築情報学へ』(建築情報学会:監修 millegraph 2020)が届く。情報学の英訳はInformaticsである。僕も『建築雑誌』2020年10月号の連載に「デジタル・ターンの記号問題」を書いたので、問題意識には重なる部分があるようだ。建築情報学は、コンピュータの情報処理能力が膨大になり、現実の建築と建築情報の距離が限りなく縮まったことから生まれた研究ジャンルだと思うが、逆にいえば、建築家と建築デザインが現実の建築から疎外されていることの現れでもある。意地悪な見方をすれば、建築情報学の専門家は現実の建築に到達しないことをアイデンティティにしているといえなくもない。ともかく小見山さんが書いた「建築情報史試論」だけはじっくり読んでみよう。『スケール』は、第2章「すべての尺度―スケーリング入門」を読み終わり、第3章「生命の単純性、調和、複雑性」へ進む。第2章の後半では、19世紀末の熱力学理論の進展によって誕生したモデリング・システムについて論じられている。現実をモデル化する際の最大の問題はスケーリングであり、そこから非線形な複雑系理論が誕生するのである。これも情報学の一環といえなくもない。今日の東京都の感染者は1274人、全国の感染者は5550人で、依然として地方拡散が止まらない。


2021年01月19日(火)

快晴で寒い一日。8時半出社。昨夜『建築雑誌』4月号のzoom座談会の原稿が届いたので、僕の発言部分だけに手を入れて返信する。昼過ぎに木村から府中市ふるさと文化財課による「165箱の長屋」敷地の予備調査について報告メールが届く。既存住宅と武蔵野線との隙間なので、何も出てこないだろうとタカを括っていたが、豈図らんや遺跡が見つかったとのこと。このため本格調査が必要になるのでスケジュールが遅れることになる。家早何友である。クライアントのOさんはその場に立ち会って事態を把握しているので、田中会計士に報告メールを送る。昨日に引き続き『建築雑誌』3月号の連載原稿「3.11からの学び」を書き続ける。途中で少し紆余曲折があったが15時過ぎまでに何とか9枚余を書き終わり、図版3点を加えて編集部に送信する。気になっていた原稿を書き終えて少々気が抜けるが「165箱の長屋」の遺跡問題が勃発して気が休まる暇がない。戸田に「171葉山計画」の敷地図を書くように指示する。そろそろスケッチを始めることにしよう。原稿を書くことよりもデザインの方が楽しい。『スケール』の第2章「すべての尺度―スケーリング入門」を読み続ける。19世紀の技術者のスケーリングに関する成功談と失敗談が続く。英国のイザンバード・キングダム・ブルネルの業績はあまりにも有名だが、彼でさえ太平洋を横断する巨大な蒸気船の設計でスケーリングを間違えて失速したらしい。21時半帰宅。熱い風呂に入り疲れを解しウイスキーを煽って今日一日を振り返る。今日の東京都のCOVID-19感染者は1240人、全国の感染者は5321 人で、地方拡散の動きが納まる気配は一向に見られない。


2021年01月18日(月)

曇りのち晴れで寒い一日。8時半出社。The UTokyo EdX Teamから再び『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』の第3回「City:Architect and Work of Module 3:Transparency: Literal & Behavioral - Riken Yamamoto, Saitama Prefectural University (1999)」が届く。解説にはこう書かれている。”In this module, Riken Yamamoto (the 3rd generation) will appear in the interview held at Saitama Prefectural University. Interview videos with Yamamoto”
https://learning.edx.org/course/course-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@sequential+block@353a98cab8ee4921a312b278d82c59a4/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@vertical+block@6835a960cce9474d8e18adc4f8aee428
ビデオは〈埼玉県立大学キャンパス(1999)〉での山本理顕のインタビューである。この建築については、記憶に残る思い出がある。2000年に多木浩二に新幹線の中で、気になる建築について問うたとき、多木さんは見学したばかりの伊東豊雄の〈せんだいメディアテーク〉と並んで、この〈埼玉県立大学キャンパス〉を挙げたことである。多木さんはこの建築を完璧な「システムの建築」として高く評価していた。校内を歩きながら、山本さんは1970年代の原広司研究室での集落調査から学んだこととして、レヴィ=ストロースの『親族の基本構造』を傍証に挙げて、建築の平面は近代建築が唱えた〈機能〉ではなく、人間の社会的行動の作法によって成立していることを発見したことだと述懐している。そしてその作法は、建築空間がつくりあげるのだとも主張し、地域社会圏論がつくるコミュニティの作法へと話題を展開させている。『建築雑誌』2020年5月号特集「社会のマテリアライゼーションー建築の社会的構築力」のためにインタビューしたときに、山本さんが主張していたことと同じ内容である。その時に山本さんは『都市美』第2号の特集テーマは「作法」になるといっていたが、2号はまだ出版されていない。午後は『建築雑誌』3月号の連載原稿を書き始める。「3.11から学んだこと」として、3.11を契機としてこの10年間に行ったことについて整理してみる。夕方までに5枚余書いて明日に回す。佐々木構造計画へ「169菅野邸」の設計監理契約を締結したこと、現場監理を依頼する出雲市のナック設計事務所、見積を依頼する建設会社、今後のスケジュールをまとめた報告メールを送る。15時過ぎに戸田が甲府の「167N邸」の現場監理から帰社する。現場は屋根の板金工事が完了し、外壁工事が始まっている。現場写真を見ながら細かな納まりについて打ち合わせる。Nさんに現場写真を添えて現場監理報告メールを送る。引き続き(株)藤忠に次回の現場監理は、外壁工事が完了し外部足場が外れる頃にする旨のメールを送る。夜、妻と今年のヨーロッパ旅行について話し合う。当然ながら、ワクチンの接種を受けることができてCOVID-19禍が納まることが前提条件だが、9月下旬にスケジューリングすることで意見が一致する。今日の東京都のCOVID-19感染者は1204人。全国の感染者は4925人。徐々に減少している。このまま進むといいのだが。


2021年01月17日(日)

曇りで昨日と打って変わって寒い一日。朝4時に目が覚め、その後は眠れないので、iPadで昨日プレゼンテーションした「170 M邸」や「169菅野邸」の図面を見ながらあれこれ考えを巡らせる。8時過ぎに起床するが、いささか寝不足気味である。ゆっくりと朝食を摂ってから10時に出社。久しぶりに安藤忠雄さんから電話が入る。いつもながら特に用事はないようだが、話し相手が欲しいのだろうか。まずはCOVID-19禍でのお互いの仕事の状況についての話題。僕の方はボチボチ住宅の設計を続けていますという。安藤さんの方は、中国で10件以上の巨大プロジェクト、モナコで豪邸2軒、銀座一丁目で中国人富豪のセカンドハウスを設計しているとのこと。香港の香港上海銀行の裏に中国のアリババの会長ジャック・マーの邸宅を設計し建築は完成したが、本人はまだ住んでいないそうで、住み手のジャック・マーが行方不明になっているのはニュースでも報じられている。パリのリノベーション美術館の建築は完成したが、ロックダウンのため未だに開館できないとのこと。大阪中之島の児童図書館〈こども本の森〉の話題から、現在、神戸と岩手県の遠野にも児童図書館をつくっているそうだ。聞けば設計料だけでなく建設費も安藤さん自身の寄付だという。「金は持っとってもしゃあない。社会に還元せんとあかん」という安藤流の格言に感心する。話のついでに〈新国立競技場〉コンペについてインタビューを依頼したら受けてくれるか問うと「もう終わったことやないか」と体良く断られる。延々と話して、この電話で話したことを日記に書いても構わないこと確認し11時前に電話を切る。家早何友、途方もない建築家である。昨夜遅くMさんから届いた「170 M邸」のプレゼンテーションに対するお礼のメールに対して、夫妻でじっくり話し合うように依頼する返信メールを送る。ゆっくりと進めていこう。小川建設から「166 K邸」のプレカット図とアルミサッシ製作図が届く。眠気に襲われたので16時に帰宅し仮眠と読書。『スケール』の第2章「すべての尺度―スケーリング入門」を読み続ける。今日の東京都のCOVID-19感染者は1592人。全国の感染者は5759人。ニュースでは今週末の人の流れはあまり途絶えていないことを報じている。


2021年01月16日(土)

晴れで暖かい一日。8時半出社。10時にM夫妻と5歳の長男の一家が来所。「170 M邸」第1案の模型を見ながら設計要旨と平面図について説明する。M夫妻の希望条件をほぼ満足させた案なので反応は良好である。夫人は『進化する箱』を読み「箱の家」のコンセプトに共感を抱いたので、それが自邸として実現していることに納得してくれたようだ。Mさんからは、かつて幼い頃に住んでいたYさん設計の旧M邸の写真を持参し、その部分デザインのモチーフを新居に盛り込んでほしいという希望について話す。ひとつはル・コルビュジエがモデュロールを適用してデザインした〈波動式ガラス壁〉のガラスのなり枠組だけのスクリーン。もう一つはル・コルビュジエが絵画に描いているオブジェクティブなドア把手である。写真を見ながら、直ちに玄関土間の南面スクリーンへの適用を思いつく。模型を持ち帰りじっくり、一家でじっくり検討するように依頼して12時前に終了。その直後に松江の菅野さんから電話が入る。現場監理を委託するナック建築事務所と工務店の件について意見交換する。敷地の門扉については僕のアドバイス通り中止することになる。夫妻は精神医学会の会議のため2月中旬に状況するので、その際に界工作舎で打ち合わせをすることになる、それまでにできれば平面詳細図まではまとめておきたい。16時半に木村から「165 箱の長屋」の見積査定が届いたので、来週末までに査定に対する回答をまとめてほしい旨のコメントを加えて鈴木工務店に転送する。5時前に帰宅。今日の東京都のCOVID-19感染者は1809人。全国の感染者は7014人。感染が減少する気配は感じられない。今週末が臨界点ではないか。誤解を恐れずにいえば。小池都知事がくり返す「ステイホーム」という提言は、基本的人権である移動の自由に対する制約であり、都市に住むことの基本的否定である。人々が従順に従うはずがないと思うがどうだろうか。


2021年01月15日(金)

曇りで肌寒い一日。8時半出社。明日の「170 M邸」プレゼンテーションに備えて設計要旨、図面、模型を見直す。緩やかな斜屋根なので、もし予算が許せば太陽電池を搭載することも考慮することを思いつく。さらに耐力壁の長さが許せば、土間南面の壁を採光壁に変えることも検討しよう。細かなアイデアは色々あるが、まずはプレゼンテーション後の検討条件である。『建築雑誌』3月号の連載原稿スケッチ続行。週末には何とか原稿を書き始めよう。夕方、木村が「166 K邸」の基礎の配筋検査から帰社する。特に問題はないようなので、現場監理報告と現場写真をKさんに送信する。「165箱の長屋」の見積査定について基本方針を再確認し、明日中には査定結果をまとめるように指示する。The UTokyo EdX Teamから『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』の第3回「City:Architect and Work of Module 2:Architecture for the People - Itsuko Hasegawa, Niigata City Performing Arts Center (1998)」が届く。解説にはこう書かれている。” In this module, Itsuko Hasegawa (the 3rd generation) will appear in the interview. We visited Niigata City Performance Arts Center “RYUTOPIA.” Interview videos with Hasegawa “
https://mail.google.com/mail/u/0/#label/「建築家」/FMfcgxwKkRJRsFcsFntJsvSZqBjMtXfk?compose=new
長谷川逸子さんは〈新潟市民芸術文化会館(1998)〉を紹介しながら、菊竹清訓事務所に入所して5年間勤め、その後に東工大の篠原一男研究室に入り〈谷川俊太郎の住宅(1974)〉を担当したときの興味深いエピソードについて語った後に〈湘南台文化センター(1990)〉で試みた市民ワークショップの社会的な意義について自説を展開している。そのプロセスの中から〈建築は第2の自然である〉や〈人々のための公共建築〉といったキーワードが生まれたのだそうだ。長谷川さんのやや過剰なデザインには、僕はついていけない面があるのだが、〈新潟市民芸術文化会館〉は、周辺環境のランドスケープ・デザインを含めて名作だと思う。ビデオを見ながら、長谷川さんは改めて再評価されるべき建築家だと感じる。『スケール』の第2章「すべての尺度―スケーリング入門」を読み続ける。〈冪乗法則〉の基礎理論である。建築のスケールが、面積、体積、構造強度にどう結びついているかというお馴染みの議論が展開されている。今日の東京都のCOVID-19感染者は2001人。全国の感染者は7133人。感染の地方拡散は止まらないようだ。


2021年01月14日(木)

晴れで初春のような暖かさ。8時半出社。戸田が昨夜撮影した「170 N邸」の模型写真をチェックしてアングルを選びトリミングを指示する。10時半に事務所を出て表参道経由で青山の銀行へ。天気はいいのだが緊急事態宣言中なので人出はチラホラ。銀行で雑用を済ませて青山通り経由で11時半に帰社する。松江の菅野さんから設計監理契約書の複本が届いたので、お礼のメールを送る。豪徳寺のMさんに今週末1月16日(土)に「170 M邸」第1案のプレゼンテーションを行いたい旨のメールを送る。まもなく返信メールが届き予定通りにプレゼンテーションを実施することを確認する。建築家の中川エリカさんから、1月20日(水)に開催予定だったギャラリー間での展覧会オープニングの一般公開がコロナ禍のため中止になったので、個別的に案内して開催したい旨のメールが届く。当初から予定に入れていたので、喜んで参加する旨の返信メールを送る。東大の千葉学さんから『Bicycle Urbanism』(2101 a+u 604号)が届く。千葉さんの自転車好きは有名だが、趣味が昂じて都市論にまで展開した興味深い特集である。サンフランシスコ、ニューヨーク、チューリッヒ、東京における自転車交通の未来像について論じている。運転免許を持たない僕は2000年頃まで都内の移動には自転車を使っていた。しかし高級自転車を買った直後に表参道駅近くで盗まれて以来、運動不足の解消も兼ねて思い立って自転車をやめてもっぱら歩くことにした。将来、車は電気自動車に変わるだろうが、都市内の移動も自転車に変わるかもしれない。『スケール』は第1章「全体像」を読み終わり、第2章「すべての尺度―スケーリング入門」に進む。第1章は総論として、エネルギーとエントロピー問題やサイズに応じてシステムの特性がどう変わるかというスケーリングの問題から始めて、複雑性科学における自己組織化と創発問題、サイズと特性の関係に潜む〈冪乗ベキジョウ則〉が紹介され、それらの問題が地球と都市の持続可能性に深く結びついていることが指摘されている。2章以降はその詳論である。今日の東京都のCOVID-19感染者は1502人。全国の感染者は6605人。地方への拡散は急速に進んでいるようである。


2021年01月13日(水)

晴れで昨日よりもやや暖かい一日。「169菅野邸」の設計監理契約が無事締結されたので、現場監理を依頼する予定の出雲市のナック設計事務所と社長の龜谷清さん、龜谷さんが推薦する松江市の建設会社を紹介する報告書をまとめて菅野さんと田中会計士にメール送信する。さらにその報告書をプリントアウトして手紙でも送る。戸田が「170 M邸」の模型をほぼ完成させたので、外構のつくり方について打ち合わせ。狭い庭なので地衣類と低木を中心に高木は数本植えるだけとする。『建築雑誌』連載原稿のスケッチ。締切は過ぎているのだが、なかなか発火しない。3.11について改めて書くには気が重い。昨日届いた「東大ヨット部合宿所計画」をプリントアウトして再読し、敷地写真を見ながらスケッチを開始する。敷地条件とプログラムが複雑なので難しいデザインになりそうだ。じっくり時間をかけてスタディする必要がある。18時から『建築雑誌』のzoom編集委員会。今年3月号の3.11特集について、タイトルにある〈復興〉の英訳を〈Redesign〉としていることに引っかかる。Redesignはモノになる前までのソフトな作業であり、復興はハードなモノに至るまでの作業なのでReconstructionとすべきではないかと主張する。引き続き7月号の特集「プレデザイン」と8月号の特集「入札とコンペ」を連続させる企画について意見交換。僕からは〈新国立競技場〉の決定プロセスが歴史的な転換点に位置することに注意を喚起する。6月号「建築生産」特集についても私見を述べて19時半に退席する。『スケール』は第1章「全体像」を読み続ける。本書のテーマについて著者はこう書いている。「本書の中心となる主題は、都市とグローバルな都市化が地球の将来の決定に果たし大きな役割だ。都市は人間が社会化して以来、地球が直面してきた最大級の課題を生み出してきた。人類の未来と地球の長期的な持続可能性は、都市の運命と不可分に結びついている」。先日、読み終わった『ブルー・プリント』のやや社会性偏重に対するカウンター的なテーマなので、比較しながら読んでみよう。『ブルー・プリント』の著者ニコラス・クリスタキスはネットワーク科学と進化生物学の専門家で社会学寄りの科学者であるのに対し、本書の著者ジェフリー・ウエストは理論物理学者なので対照的である。両者の視点は『建築雑誌』2020年5月号特集「社会のマテリアライゼーションー建築の社会的構築力」にも関係が深いし、かつて読んだ『歴史は「べき乗則」で動く』(マーク・ブキャナン:著 水谷淳:訳 早川書房 2009)や『複雑な世界、単純な法則』(マーク・ブキャナン:著 阪本 芳久:訳 草思社 2005)とも関連が深いように思える。今日の東京都のCOVID-19感染者は1433人。全国の感染者は5870人。感染はさらに地方へ拡散しているようだ。


2021年01月12日(火)

曇り後小雨の寒い一日。甲府の藤忠に「167 N邸」の工事状況を問い合わせる。午後に工事報告と現場写真が届く。今日の甲府は小雪が降っているようだ。外壁の足元に水切りが取り付けられ、いよいよ外装工事が始まるところである。明日には吹抜に面した南面FIXガラスが入るので内部の工事がし易くなるだろう。写真を添えて現場監理報告メールをNさんに送る。昨日会った都倉尚吾さんから、これまでの経緯や要件をまとめた「東大ヨット部合宿所計画」のプログラムが届く。これまで幾つかの大学は東京湾に面した横浜市の八景島に合宿所を置いて練習していたらしいが、徐々に相模湾に面した葉山のヨットハーバーに移動するようになっているとのこと。東大のヨット部も八景島と葉山に合宿所を置いているが、葉山に本格的な合宿所をつくろうという結論になったらしい。じっくり読み込んでスタディを開始する旨の返信メールを送る。先頃、構造金物メーカーのストローグ社から熊本の「163保田邸」をカタログに掲載したい旨の依頼が届いたので、保田さんと竣工写真の撮影を依頼した写真家の八代哲哉さんに連絡するように指示した。今日、カタログの掲載見本が届いたので、建築と軸組のアクソメ図を添えて返信メールを送る。『ゲンロン戦記』(東浩紀:著 中央公論新社 2020)を一気に読み通す。本書は、著者・東浩紀自身の2010年代の〈ゲンロン〉をめぐる活動の自伝的な記録である。『ゲド戦記』に引っ掛けたタイトルだろうか。東は1971年生まれだから僕よりも二回りほど若い思想家だが、学ぶことが多々あり感心しながら読んだ。本書のキーワードは、ジャック・デリダが提唱した〈誤配〉である。誤配とは郵便が宛先を誤って届くことだが、広義には事態が当初の予定通りに進まずズレることを意味する。東によれば、言語と現実のズレは一種の誤配であり、観光は観光案内と現実の観光との誤配であり、コミュニケーションは誤配=誤解によって生産的に展開する。さらに誤配とはクリエーションにおける予期しないノイズであり、広くは進化論における突然変異である。東は最後に「誤配とは啓蒙である」と結論づけている。ゲンロンは何度も潰れかけたが、その都度、誤配によって立ち直り、徐々に新しい方向に展開して現在に至っていると東はいう。本書は、誤配を絶えず生産的に捉え直し、新しい方向へと前向きに展開させることの重要性を、東自身の経験によって実証した記録だといってよい。僕は今日までの界工作舎の経緯や建築デザインのプロセスを頭の片隅に置きながら読んだ。通常の建築デザインでは、当初のスケジュールが守られ、設計図通りに建築が出来上がることが当たり前と考えられているが、本書は設計=言語と現場=現実とのズレを、新しいクリエーションに展開させないことのつまらなさを明らかにしているようにも思える。と同時に本書は、ボトムアップ的な社会活動の意義に関する宣言書でもある。引き続き『スケール―生命、都市、経済を巡る普遍的法則』(ジェフリー・ウェスト:著 山形浩生+森本正史:訳 早川書房 2020)を読み始める。今日の東京都のCOVID-19感染者は970人で久しぶりに1000人を下回ったが、重症者は144人と過去最多となる。全国の感染者は4539人だが、感染は地方に拡散しているようである。


2021年01月11日(月)

曇りで寒い一日。9時10分前に事務所を出て、副都心線、明治神宮前駅から東横線急行に乗り横浜駅で下車。京浜急行線急行の逗子葉山行に乗り換えて10時半前に終点の逗子葉山駅着。改札口で都倉尚吾さんと清水建設技術者エネルギー技術センター長の浅田素之さんと待ち合わせ。浅田さんは1985年に都市工学科卒業でヨット部のOBである。浅田さんの車に同乗して葉山マリーナの裏山にある東大ヨット部合宿所の敷地へ向かう。幹線道路から左折し幅2m程度の沢沿いの道路を上る。曲がりくねっているため自家用車は何とか通ることができるが2tトラックの通行はかなり難しい感じである。敷地は南北両側を急斜面に挟まれた緩やかな斜面の造成地で、2段に造成された東側奥の段である。手前の段には建築予定の看板が立てられており、2階建ての長屋4戸が建てられるらしい。敷地の西側一角はすでに購入されているので、合宿所敷地はL型平面の面積は120坪弱。一段上の敷地には2階建てと3階建ての住宅が沢幅一杯に建てられている。南北両側が急斜面なので日当たりはあまりよくない。開けているのは西側だけで、3階建ての窓からは富士山が遠望できるらしい。もし合宿所を3階建てにすると、東側の住宅の視界が遮断されるのでクレームが出るかもしれない。沢なので地盤と地下水に注意が必要だが、側溝には水は流れていない。敷地境界の杭を確認し周囲の写真を撮った後に、歩いて南側の山の反対側にある現在の合宿所に回る。木板下見張りの古い住宅を借り受けた合宿所で、コロナ禍で練習ができないため維持管理が悪く廃屋のように見えるが、裏庭にボートが置かれ洗濯物が吊るされたままになっている。歩いて幹線道路まで戻り、歩いて葉山マリーナに向かいながら道路から東工大、明治大、慶應大の合宿所を見学する。どれも比較的新しい建築だが特に目につくような特性はない。入口の施設からアリーナの敷地内に入り全体を見学。大学のヨット以外に沢山の豪華なクルーザーも並んでいる。寒くて風が強いにもかかわらず海上にはウィンドサーフィンを楽しんでいる人も散見される。相模湾の西方に雪のない富士山が遠望できる。正午を過ぎたので浅田さんの車で森戸海岸まで足を伸ばし、2003年に完成した「箱の家060」を見学する。新しい建築が建て込んでいるため周辺の環境は当時から大きく変わり一瞬見迷ったが、外観の変化はなく海の側でも〈箱の家〉は健在である。名札は変わっていないがブラインドが閉じられ留守のようなので外観だけを撮影し、都倉さんの知り合いの老舗の蕎麦屋へ向かう。刺身、天麩羅、熱燗をいただきながら歓談。僕からは最近の「箱の家」の建設単価について話し、都倉さんと浅田さんには合宿所のプログラムをまとめることを依頼する。最後に熱い蕎麦で仕上げて15時前に店を出る。逗子葉山駅で浅田さんと別れ、都倉さんとは横浜駅で別れて16時半に明治神宮前駅に到着。電車も一杯で表参道も人出が多く非常事態宣言期間とは思えない。17時前に帰社。今日の東京都のCOVID-19感染者は1219人、全国では4876人で一息ついた感じだが、どうなることか。『ゲンロン戦記』(東浩紀:著 中央公論新社 2020)を読みながら夜半就寝。


2021年01月10日(日)

快晴で寒い一日。9時半出社。昨夜遅く、鈴木工務店からメールで「165箱の長屋」の見積が届く。当初の予算から約1割オーバーした見積金額である。かなり仕様を抑えたつもりなので、少々意外な金額だが、ともかく結果は結果である。見積期間が短かったことも一因と思われるので、急いで精査し査定を行うことにしよう。とりあえず鈴木工務店にお礼のメールを送り、今後の作業スケジュールを伝える。引き続きクライアントのOさんと田中会計士に、今後の作業手順をまとめたコメントを添えて見積書を転送する。そろそろ『建築雑誌』3月号の連載原稿に本格的に取り組まねばならないが、なかなか発火しない。やむなく読書に集中する。『ブループリント』は、第11章「遺伝子と文化」と第12章「自然の法則と社会の法則」を一気に読み通して読了する。第11章で著者は〈文化〉を、道具や芸術といった物質的な所産によりも人間関係の面つまり〈社会性〉において捉え、社会性としての文化的知識は人工物としての文化よりも先立つと主張している。しかしながら私見では、社会性と人工物を対立させて捉えるのは間違いとは言えないまでも、問題の核心を両者の相互作用から逸らしてしまうと思う。言語をはじめとして、道具や建築のように外化=物質化されたテクノロジーを媒介にしないと、社会性は進化しないと考えるからである。著者は遺伝子と文化の関係にも同じような相互作用が存在すると指摘している。第12章では、トーマス・ホッブスが提唱した〈リヴァイアサン〉(1651)における〈国家(コモンウェルス)〉も人間の社会性一式の表れであり、遺伝子に起源をもつと指摘している。要するに著者は自然の法則と社会の法則を自然選択によって生み出されたシームレスな進化の過程として理解しようとしているのである。著者の結論はこうである。「人間の社会を説明しようとするときに、進化的な力よりも歴史的な力のほうが突出していると見なすことには重大な危うさがある。そうすると人類の物語が脆くなってしまうのだ。」この主張が、本書の最大の問題提起だろう。今日の東京都のCOVID-19感染者は1492人、全国では6113人で、昨日よりも若干減ったが、日曜日としては最多である。


2021年01月09日(土)

今日も冬晴れで寒い日が続く。8時半出社。「170 M邸」の設計要旨を見直し、既存建物の解体、植栽の移植、地盤改良などの追加費用を書き加える。熱源は将来のエネルギー事情を考えてオール電化を提案しよう。11時半に戸田と週末定例の所内打ち合わせ。「170 M邸」の設計要旨と蓄熱給湯器や排水溝を加えた基本図面のチェックバックを渡し、模型の進行状況を確認して正午に終了。来週中には模型を完成させる予定。午後はいくつかの原稿をスケッチ。今日、Twitter、facebook、YouTubeはトランプ大統領のアカウントを永久に閉鎖すると発表した。これに対してトランプは、メジャーではないが〈パーマー〉や〈ランブル〉といった検閲なしの右派SNSに動画を掲載し続け、トランプに同調するコメントが殺到しているという。まさに情報戦である。トランプが4年前の大統領就任直後からTwitterを通じて政策を発表し始めたときは驚いたが、Twitterアカウントの閉鎖とともに退任するという事実は歴史の狡知というべきだろう。アメリカ大統領専用のアカウントもあるようだが、これもトランプの就任期間は閉鎖される。次期大統領のバイデンは就任後どのように情報発信するか興味のあるところである。今日の東京都のCOVID-19感染者は2268人、全国では7790人で、昨日とほぼ同じ高止まりである。『ブループリント』は、第11章「遺伝子と文化」を読み続ける。


2021年01月08日(金)

晴れ時々曇りの寒い一日。8時半出社。富山の酒井さんから「162酒井邸」の設計積雪荷重に関する質問が届く。今朝までに80僂寮兩磴あり、依然として雪が降り続けているので、雪下ろしの可能性が生じているようだ。担当の木村に確認し150cmの積雪で荷重30N/屬鯀枋蠅靴討い觧櫃離瓠璽襪鯤崛する。「170 M邸」の設計要旨を描き始めて夕方までにまとめる。松江の菅野さんから電話で、設計契約書が届い旨の連絡がある。明日には捺印して返送するとのこと。木村から「166 K邸」の基礎施工図のチェックバックと規矩図が届いたので小川建設に転送する。藤忠と「167N邸」の納まりについてメールのやりとり。正月明けでいよいよ現場が動き始めたようだ。昨夕に1都3県に緊急事態宣言が発出され今日から施行される。今日の東京都のCOVID-19感染者は、昨日の2447人よりもやや少ない2392人、しかし全国では7883人となり昨日よりも増加している。『ブループリント』は、第10章「遺伝子のリモートコントロール」を読み終わり第11章「遺伝子と文化」に進む。人間の言語と対話能力の発現は〈外的表現型exophenotype〉の一種ではないかと著者は主張している。つまり突然変異によって言語・発話能力を得たヒトが2人でも生まれれば、その能力は爆発的に拡散するわけである。つまりリチャード・ドーキンスのいう文化的遺伝子としての〈ミーム〉である。


2021年01月07日(木)

冬晴れで風が強く寒い一日。保田さんが2019年7月に完成した「163保田邸」に入居する前の社宅に住んでいた2015年から2020年末までの光熱費(電気代・ガス代・水道代)のリストを送ってくれる。以前住んでいた社宅に比べると電気代はやや少ない程度だが、ガス代や水道代はかなり減っている。しかし快適性の違いは大きくて比べるべくもないほど改良されているとのこと。ここまで詳細なデータを記録し報告してくれるクライントは、後にも先にも保田さんが初めてである。富山の酒井さんは1年検査を契機に、2018年末に「162酒井邸」に入居して以降の1年間の温熱環境について体験的なまとめを送ってくれた。富山の夏季は東京や熊本と大体同じ気候だが、冬季は日射日が少なくダイレクトゲインが僅かなので室内環境はかなり異なるようだ。13時にMODEL-T社の都倉尚吾社長が来所する。都倉さんは東大工学部化学工学科を1983年に卒業なので、僕よりも14歳以上若いエンジニアである。Model-T社は建築の屋根に太陽電池を設置し、設置費用は取らずに電気代だけを徴収する事業を行なっている会社である。イノベーションによって太陽電池のコストが大幅に下がったので成立するようになった事業だとのこと。いずれ事業内容についてじっくり話を聴いてみよう。Model-Tの共同出資者で東大ヨット部のOBが葉山に敷地を購入してくれたので、OBOGが利用するクラブハウスを建てたいのだという。もらった平面図からはプログラムの詳細は十分に読み取れないので、改めてプログラムをまとめてほしい旨を伝える。建設資金はOBからの募金なので金額は未定である。界工作舎に連絡したのはネットで探し出し、設計に興味を持ったからだそうだ。僕の本を読んだことがないというので『進化する箱』を贈呈する。とりあえず敷地を調査するため、来週早々に葉山に同行することを約束する。来週末のプレゼンテーションに備えて「170 M邸」の設計要旨のスケッチを開始する。戸田は「170 M邸」の模型製作を続行中である。小川建設から「166K邸」の工程表が届いたので、新年の挨拶を加えてKさんに転送する。今日の東京都のCOVID-19感染者は、昨日の1591人を大きく超えて過去最多の2447人となり、全国では7504人に達する。東京の感染者は全国の1/3、関東3県を加えると1/2である。18時に菅総理大臣が1都3県に緊急事態宣言を発令したのも宜なるかなである。木村にメールし来週に予定されている「165箱の長屋」の遺跡調査に立ち会う以外は、しばらくの間は在宅勤務を続ける旨を伝える。昨日6日はアメリカ議会でジョン・バイデンの時期大統領を確定する日だったが、トランプ大統領が議事堂前で集会を行い、一部が議事堂に乱入して議会を妨害した。その後、議会は再開されたが、暴動を扇動した廉でツィートとフェイスブックのアカウントを閉鎖されたトランプ大統領は、ホワイトハウス首席補佐官代理のダン・スカヴィーノ氏のTwitterを通して「選挙の結果には同意できないが、1月20日には規則に従った政権移行を行う」とツィートした。一件落着しそうではあるが、トランプの無責任な行動にはまったく開いた口が塞がらない。YouTubeではいまだにトランプを礼賛する人たちの投稿が相次いでいる。家早何友、理解できないことばかりである。『ブループリント』は、第10章「遺伝子のリモートコントロール」を読み続ける。生物個体の遺伝子が生物の社会性に及ぼす効果に関する議論であり、リチャード・ドーキンスが提唱した〈延長された表現型〉のことだが、著者はそれを〈外的表現型exo-phenotype〉と言い換えている。


2021年01月06日(水)

曇り一時晴れの寒い一日。7時起床。朝食を済ませ8時過ぎに家を出て妻の車に同乗して明治神宮へ向かう。北参道口から境内に入り警備員の指示に従い境内の道路に縦列駐車。約10分歩いて本殿へ。新年の参拝をした後に鏑矢と御札を購入して9時半に帰宅。明治神宮もいつになく参拝客が少ない。10時過ぎに松江の菅野紘さんから電話が入る。出雲空港が積雪で閉鎖され東京での会議に出席できなくなったため9日(土)の来所はキャンセルになる。設計監理契約は郵送で締結したいとのこと。その他に見積を依頼する工務店や門扉の問題などについて意見交換。直ちに契約書類を作成し、界工作舎の捺印をした書類を宅急便で菅野さん宛に送る。引き続き出雲市の龜谷清さんにメールを送り、菅野さんから聞いた松江の工務店に関する意見を訊く。まもなく返信メールが届き、龜谷さんが主宰するナック建築事務所の担当者を東出貴弘さんに決めた旨に加えて、鉄骨建築に相応しい松江の工務店の情報をもらう。直ちに菅野さんに報告する旨の返信メールを送る。その後は昨日届いた葉山の計画の敷地と図面を精査する。敷地へのアプローチ道路がかなり狭いので、建設資材の搬入が難しそうなので鉄骨造は難しいかもしれない。引き続き「169菅野邸」の門扉スタディ。インターフォンはいいとして、郵便や宅配便を門扉で受け取るのは難しいので検討の余地がありそうだ。『建築雑誌』3月号の原稿スケッチを続行。起承転結のトピックを決める。夕方、甲府のNさんから「167 N邸」の内装工事に関する指摘メールが届いたので、(株)藤忠に転送し対応を指示する。今日の東京都のCOVID-19感染者は昨年末の1337人を超えて過去最多の1591人、全国では6001人に達する。いよいよ感染爆発が近いのかもしれない。『ブループリント』は、第9章「社会性への一本道」を読み終わり、第10章「遺伝子のリモートコントロール」に進む。第9章では教えることは利他行動の一種であり文化の根拠であることが論じられている。とはいえフロイトが主張する〈文化への不満〉はどこから来るのか気になるところである。


2021年01月05日(火)

曇りのち晴れの寒い一日。8時半出社。木村から「162酒井邸」1年検査への回答リストが届く。内容を読み直し、一部を書き換えて富山の酒井夫妻と横山天心さんに送信する。The UTokyo EdX Teamから『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』の第3回「City: Architect and Work of Module 1:Architectures in Unconditional Love - Fumihiko Maki, Hillside Terrace (1969-1992)」が届く。解説にはこう書かれている。“In this first module, Maki Fumihiko (the 2nd generation) visits the Hillside Terrace at Daikanyama, Tokyo. Interview videos with Maki (approx. 47 minutes in total) are now available.” 早速ヴィデオを観る。ヴィデオの最後あたりで槇さんは〈ヒューマニティと建築への愛〉について語っている。正面からは否定し難いという意味でpolitical correctness(政治的正義)的な主張といってよいが、槇さんの知性と経験に裏打ちされており、単純に「批評性に欠ける」と片付けられない主張である。3.11以降の〈みんなの家〉や共同体(コミュニティ)の再発見、さらにはサステイナブル・デザインに関する主張まで、何か共通する底流があるような気がする。これは『建築雑誌』でとり挙げるべきテーマかもしれない。午後、東京大学ヨット部のOBで現在は再生可能エネルギーによる電力事業を行っている人から、葉山にヨットの合宿所兼民泊の建物を計画しているので相談に乗ってほしいというメールが届く。敷地図と平面図が添えられている。平面図はヨット部に所属する建築学科修士課程の学生が描いたらしい。一度、界工作舎に来て話を聴きたい旨の返信メールを送り、今週7日に来所することになる。戸田がまとめた「170 M邸」第1案の基本図をチェックバック。ほぼ収斂したので、明日から模型製作に着手するように指示する。今日の東京都のCOVID-19感染者は1278人、全国では4961人に達する。1都3県緊急事態宣言はいよいよ明後日7日に決定されるようだ。『ブループリント』は、第9章「社会性への一本道」を読み続ける。顔の識別能力から自己と他者の識別能力へと展開し〈悲しみ〉の進化論的な説明へ続く。悲しみと協力との緊密な関係が〈フリーライダー〉への怒りと処罰へと展開し、最終的に〈正義〉の感覚へと収斂する。つまり〈倫理〉の進化論的な根拠である。


2021年01月04日(月)

今日も冬晴れで寒い一日。8時半出社。今日から仕事始めだが、COVID-19の感染拡大のため木村は当面の間は在宅勤務とする。まずは「162酒井邸」の1年検査の回答をまとめるように頼む。10時に戸田が出社。新年の挨拶を済ませた後に10時半から「167 N邸」「169菅野邸」「170M邸」の打ち合わせ。まず、昨日、甲府のNさんから届いたメールを転送し、直ちに藤忠に電話するように指示する。次に、年末に佐々木構造計画から届いた「169菅野邸」の構造システムの検討結果を図面化し基本図をまとめること、引き続き、僕のスケッチを渡して「170M邸」の立面図をまとめるように指示する。藤忠はまだ正月休暇中だが、遠山社長が現場に赴いてくれるそうだ。昼までに「169菅野邸」の基本図がまとまったので、第1案の模型写真を添えて出雲市の龜谷さんに送信する。午後に木村から「166 K邸」のテラスの矩計検討図が届いたので、小川建設に転送する。その後は原稿スケッチと読書を続行。夜までに戸田が「170M邸」の立面図をまとめたので、直ちにチェックバックする。明日から模型製作に着手できそうだ。21時半に帰宅。昨日の東京のCOVID-19感染者は884人。政府は今週中にも緊急事態宣言を出しそうだがどういう規制になるのだろうか。熱い風呂に入り正月の疲れを解す、『ブループリント』は、第8章「友か、敵か」を読み終わり、第9章「社会性への一本道」へ進む。目の収斂進化や人間の〈社会性一式〉を支えるアイデンティティ認知のための、顔の精細な識別能力の進化に関する議論が続く。


2021年01月03日(日)

今日も冬晴れのピーカンで寒い一日。8時半起床。箱根駅伝を見ながら、ゆっくりとお雑煮を食べてから10時半に出社。「170 M邸」の立面図スケッチ続行。なかなか突破口が見つからないのでスケッチを続けるしかない。昼過ぎに甲府のNさんから年賀メールが届く。併せて「167 N邸」の現場に赴いて気になることを指摘される。昨年末に(株)藤忠に指摘したことと基本的に同じ内容である。要するに外部工事から内部工事へという通常の現場手順が実行されていないことに対する疑問である。現場でやむを得ない事情があることは十分に理解しているが、手順の前後を正月休暇に挟んだことには疑問が残る。その旨を再度確認するメールを(株)藤忠に送る。箱根駅伝は最後の第10区で大逆転があった。往路優勝した創価大学のランナーが優勝を目の前にしてプレッシャーに押し潰された感じである。14時に出社しスケッチを続ける。『ブループリント』は、『ブループリント』は、第7章「動物の友達」を読み終わり、第8章「友か、敵か」へ進む。第7章では人間が集団に自己同一し易く、結果的に敵をつくり易い性向があることが遺伝子レベルで検証されている。遺伝子の構造が近い人間は発現する性向も近いので互いに集まる傾向があり、自然淘汰によって集団を形成しやすくなるのである。要するに社会性一式(social suite)は婚姻関係や血縁関係だけでなく〈友達関係〉という人間関係にもとづいて形成されるわけである。


2021年01月02日(土)

晴れ一時曇りの寒い一日。相変わらず二日酔いが続き、頭がぼんやりしている。そのせいか明け方に不思議な夢を見る。僕は博覧会のパヴィリオンに対照的な2つの提案をデザインしている。一方は古典的で建築的なデザインだが、他方は先進的だが仮設的なデザインである。前者は問題なく受け容れられるが、後者は賛否両論である。前者を選べば間違いなく評価されるが、僕は後者の方に惹かれている。どちらを選ぶか思案しているところで目が覚める。宙ぶらりんな気分ではあるが、なぜか寝覚めはいい気分である。これが僕の深層心理だろうか。ゆっくりと雑煮を食べ、箱根駅伝のスタートを見てから9時半に出社。2階の床暖房の天井輻射熱で事務所はほんのり暖かいが、足元は底冷えがするので電気ヒーターを点ける。戸田がまとめた「170 M邸」の断面図を見ながら道路側の西立面図と南立面をスケッチする。土間の道路側壁面に旧M邸のYさんがデザインした窓部品を嵌め込んだ立面図をスケッチしてみるがいまいちピンとこない。しかし他に埋め込む箇所は見当たらない。ハテサテどうしたものか。依然として頭はぼんやりとしているので、帰宅し昼食抜きでベッドの中でiPadザッピングと仮眠。箱根駅伝の往路は創価大がトップで、去年の覇者青学大は12位というドラマ。その後は読書。18時に早目の夕食。酒は控えめに抑える。21時にぼんやりとTVを観ながらウィスキーを煽る。ベッドに横になり。日記を過去形ではなく現在形の文章で書いていることの意味について考えを巡らせる。通常、日記は過ぎ去った出来事について書くものだから、本来は過去形になるはずだが、無意識的に現在形で書き続けている。なぜだろうか。おそらく日記を過去の記録としてだけではなく、現在から未来に続く時間の記録と考えているからではないかと思う。平たくいえば、やり終えたことを、これからやることに連続させ、できれば先取りしたい気持ちがあるからだろう。この歳なので、できれば時間を止めたくないのだ。


2021年01月01日(金)

ピーカンで寒い一日。昨夜呑みすぎたせいか、やや二日酔い気味で頭が痛い。ゆっくりとお雑煮をいただき、しばらくベッドで休んだ後に9時半に出社する。昨夜遅く熊本の保田和豊さんから「163保田邸」の12月の温湿度データが届く。12月中は空調機の設定温度はほぼ22度で一定。その結果アクアレイヤー水温も23度で一定だが、ダイニングの気温は23℃前後、床下気温は25℃前後を変動している。天井扇と還流ファンはずっと停止しているにも関わらず1階と2階の気温差はほとんどないようだ。お礼のメールと一緒にその点を問うてみると、昨年の冬でこの設定は経験済みだという回答が返ってくる。「箱の家164」を掲載した〈jt 新建築住宅特集〉12月号で、明治大の川島範久さんとCOVID-19禍に対する〈箱の家〉の有効性について対談したが、保田さんは「163保田邸」に住んだ自身の経験から僕たちの指摘に賛同してくれた。直接的な因果関係ははっきりしないが、気密性、蓄熱性、一室空間住居の大きな気積などが相乗してとCOVID-19感染防止に効果があるようだ。年賀はがきの整理を始めるが、頭痛が止まらないので一旦帰宅してしばらく仮眠。熱はないのだが身体全体がだるく何もやる気がしない。iPadを開くとあちこちから年賀メールが届いている。ベッドの中で『ブループリント』の第7章「動物の友達」を読み続ける。18時まで仮眠し早目に夕食を摂る。たっぷりと迎え酒を呑んだので20時に早々眠りにつく。早朝2時頃に目が醒めて眠れなくなったのでリビングに出てNHKEテレの〈空港ピアノ〉を観ながらウィスキーを呑む。3時過ぎに再び眠りにつく。


▲TOP

Copyright (C) 2003 KAZUHIKO NAMBA+KAI WORKSHOP. All Rights Reserved.
No portion of this web site may be reproduced or duplicated without the express written permission.
This web site is written in Japanese only.