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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2021年02月24日(水)

快晴で北風が強く昨日とは打って変わり寒い一日。8時半出社。昨日から本格的に花粉症の症状が出てきてクシャミと鼻水が止まらなくなる。昨年春に処方してもらった抗生物質を服み始める。辻堂の坂本さんから「168坂本邸」の第2案の設計依頼メールが届く。新しいプログラムが添付されているので読んでみると第1案からかなり変わっている。再度打ち合わせの必要がある旨の返信メールを送る。松江の菅野さんから島根県立美術館で開催中の菊竹清訓展「山陰と建築」のパンフレットと一緒に先の打ち合わせで渡した詳細図やカタログデータに関する検討メールが届く。特に大きな問題はないようだが2点変更希望がある。1階ガレージと玄関通路の間の展示スクリーンをはっきり分けたいというので、乳白ポリカ板の可動建具によって仕切る旨を提案し承諾を受ける。食卓は〈箱の家〉の標準仕様の机ではなく夫妻で選びたいようなのでpendingとする。「167N邸」の工事詳細についてNさんと藤忠とメールのやりとり。『人新世の資本論』は、第6章「欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム」を読み終わり、第7章「脱成長コミュニズムが世界を救う」へ進む。第6章ではコミュニテイが共有する〈コモン〉の重要性が論じられている。価値と使用価値の差異も重要なテーマである。資本主義は(交換)価値を追求し、コミュニズムは使用価値を追求する。しかしながら価値と使用価値は明確に区別できるとは思えない。使用価値すなわち必要性はイノベーションによって新たにつくられると同時に交換価値として資本主義を駆動してきたからである。とはいえ科学は事実をあきらにするが価値=目標を提案することはできないという指摘は確かである。議論がコモンにもとづくコミュニズムの提案に進むにつれてユートピア的な印象が強くなるので要注意である。今日の東京都のコロナ感染者は213人、全国の感染者は921人で、減少傾向がはっきりしてきたようだ。


2021年02月23日(火)

晴れで北風が強く昨日よりやや寒い一日。9時出社。KENCHIKUの連載原稿スケッチを開始する。昨年末からアイデアを暖めていた「一般解と特殊解」について議論してみよう。要するに〈箱の家シリーズ〉に絶えず付き纏っている問題である。12時前に事務所を出て表参道駅から半蔵門線、田園都市線を乗り継ぎ桜新町駅にて下車。表参道も桜新町もかなり人出が多い。歩いて約20分で「166 K邸」の現場に13時前に着く。既に担当の木村が到着し現場監督や大工と打ち合わせをしている。まもなくK一家が到着。13時から僕の司会で略式の上棟式。略式の祭壇に二礼二拍一礼し、建物四隅を塩、米、神酒にて浄め、再び祭壇に二礼二拍一礼。引き続き神酒で乾杯し、僕が簡単なお祝いの挨拶を述べ、長女のMさんが能の鶴亀を謳い上げた後に、皆で記念写真を撮ってすべて完了。14時に木村と現場を発ちバスで駒澤大学前駅から田園都市線に乗車。電車内はかなり混んでいる。15時過ぎに帰社。千葉工大の今村創平さんから昨日送った『建築雑誌』への寄稿依頼メールに対する前向きの返事が届いたので、直ちに編集部、長澤さん、宮原さんに転送して対応を依頼する。法政大の渡辺真理さんから『W-Met Working』(渡辺真理+W-Met Working:編・著 2021)が届く。渡辺さんの法政大学退職記念の著作で自費出版らしい。1995-2020の間の法政大学での活動と設計組織ADHの仕事を一緒にまとめているようだ。直ちにお礼のメールを送信する。『人新世の資本論』は、第4章「〈人新世〉のマルクス」と第5章「加速主義という現実逃避」を読み終わり、第6章「欠乏の資本主義、潤沢なコミュニズム」へ進む。第4章は、マルクスが1867年に『資本論』の第1巻を発表して以降も研究を続け、膨大なノートを書き残しているのを読み込むことによって、当初の〈生産力至上主義〉から、地球全体をコモンとみなす〈脱成長コミュニズム〉へと大きく転換していることを検証している。第5章は、資本主義による技術革新をより加速させることによって気候変動を解決しようとする〈エコ近代主義〉の欺瞞が明らかにされている。原子力発電技術の推進もその一つに過ぎないという指摘には目から鱗である。今日の東京都のコロナ感染者は275人、全国の感染者は1083人で、やはり昨日よりもやや増えている。


2021年02月22日(月)

晴れで昨日に続く暖かい一日。8時半出社。鈴木工務店に「165箱の長屋」の再見積の確認と今後のスケジュールに関するメールを送る。引き続き、これまでの府中市役所との打ち合わせの経緯、結論としての基礎仕様の変更の承認、図面一式の変更、鈴木工務店への再見積の依頼、3月2日(火)に再見積が出る予定であることなどの報告をまとめてクライアントのOさんにメールを送る。加えて鈴木工務店社長との顔合わせの日程についても打診する。戸田が「169菅野邸」の2階床のアクアレイヤー配列図をまとめたので、敷地の資料、松江市の気候データ、断熱仕様、平面断面詳細図と合わせてイゼナに送り、床下空調機の能力、台数、配置の検討を依頼する。モデル・ティの都倉さんから太陽光発電とエコキュートを組み合わせた省エネシステムのシミュレーション・データが届いたので「170 M邸」のMさんに転送し検討を依頼する。千葉工大の今村創平さんに『建築雑誌』編集幹事の長澤夏子さんと編集担当の宮原真美子さんがまとめた7,8月号特集「プレデザイン」の趣旨文を添えて論考執筆の依頼メールを送る。『人新世の資本論』は、第3章「資本主義システムでの脱成長を撃つ」を読み終わり。第4章「〈人新世〉のマルクス」へ進む。第3章では、資本主義場経済を維持しながら脱成長を目指そうとする内外の識者たちの主張を批判し、最近発見されたカール・マルクスの『資本論』の第2、3巻の草稿を読み込むことによって新しい脱成長の可能性を探る方向が提唱されている。今日の東京都のコロナ感染者は178人、全国の感染者は740人で、かなり減っている。いつもの月曜日現象にも思えるがどうだろうか。


2021年02月21日(日)

晴れで昨日よりさらに暖かい一日。10時過ぎ出社。昨日送った「165箱の長屋」の再見積に関する返信メールが鈴木工務店から届く。見積がまとまるのは3月2日(火)になるとのこと。これである程度スケジュールの見通しが立ったので、田中会計士にクライアントのOさんと鈴木工務店との顔合わせと工事契約のスケジュールに関する報告メールを送る。建報社からKENCHIKUの第26号が届く。連載「現代住宅をめぐってNo.2」の「住宅の機能とは何か」が掲載されている。No.3の原稿の締切は今週末である、家早何友。午後は帰宅し読書と仮眠。『人新世の資本論』は、第2章「気候ケインズ主義の限界」を読み終わり。第3章「資本主義システムでの脱成長を撃つ」へ進む。人新世は世界全体に広がる〈生態学的帝国主義〉であることが、レアメタルやリチウムなどさまざまな資源の搾取を事例として紹介されている。第2章の結論は、経済成長を前提にした気候ケインズ主義(緑の経済成長)は不可能であり現実逃避に過ぎず、残された選択肢は〈脱成長〉しかないという主張である。今日の東京都のコロナ感染者は272人、全国の感染者は1032人で、減少の傾向が続いている。このまま収束するのだろうか。


2021年02月20日(土)

晴れで春のように暖かい一日。昨日「162酒井邸」の酒井さんから届いた質問に対して、木村が作成した回答メールを転送する。11時半に戸田と週末定例の所内打ち合わせ。「170 M邸」の修正図面と現地調査した家具リストを確認した後、まとめてMさんに送信する。来週は「169菅野邸」の作業に集中してアクアレイヤー図面と給排水設備図を先行してまとめるように指示する。13時に事務所を出て、表参道駅から半蔵門線、田園都市線を乗り継いで桜新町駅にて下車、歩いて約20分で14時過ぎに「166K邸」の現場に着く。今日から木造軸組の建方が始まっている。すでに河野夫人と小川建設社長が待機している。現場監督の高木さんに挨拶し、建方の進行状況をつぶさに観察する。柱の建方が終わり2階床の構造用合板を設置中である。今日は屋根桁の取り付けまで進み、小梁の設置は明日になるそうだ。隣家に住んでいる若い建築家の松井元靖さんが見学に来る。Kさんとは昔馴染みで、現在は西沢立衛さんの事務所で働いているそうだ。軽井沢の千住美術館を担当したとのこと。9年前に側の敷地に建てた「箱の家144」の頃から気になっていたそうだ。しばらくの間立ち話。15時前に現場を発ち15時半に帰社。木村から、府中市との話し合いの結果、浅い基礎に変更して遺跡の本調査を避けることになった旨のメールが届いたので田中会計士に転送する。引き続き木村から届いた「165箱の長屋」の変更図面一式を鈴木工務店に転送し再見積を依頼する。16時半に事務所を出て外苑前の診療所へ。17時から心臓の超音波検査。心臓の弁膜には問題はないようだが心室の筋肉がやや肥大しており高血圧の傾向があるとのこと。今まで通り養生することを指摘される。18時前に帰社。『人新世の資本論』は、第2章「気候ケインズ主義の限界」を読み続ける。かつての南北問題が現在は世界的に拡大し、グローバルノースとグローバルサウスに分断され、経済成長と気候変動の連動の分断すなわち〈デカップリング〉を目指すグリーンニューディール政策も結局はグローバルノースによるグローバルサウスの搾取に他ならないことが指摘されている。今日の東京都のコロナ感染者は327人、全国の感染者は1234人で、昨日より僅かに減りつつあるようだ。


2021年02月19日(金)

晴れで今日も寒い一日。8時半出社。昨日に引き続き『建築雑誌』4月号連載「MUJIHOUSEの意匠権」の最後の2枚分を書き足して正午前に書き終え、図版4枚を添えて編集部に送信する。結論で述べた、建築デザインの意匠権は建築界の暗黙的なハビトゥスであり、デジタル・ターンと生態学的な危機が建築界の既存ハビトゥスを揺り動かしているという指摘が、今回のもっとも重要なメッセージである。昨日、KENCHIKU編集部から、来週末の26日(金)が連載「現代住宅をめぐって」第3回の原稿締切というリマインドメールが届いたので、原稿スケッチを始める。テーマは「一般解と個別解」として「箱の家」のプロトタイプと個別解への展開に関する理論的背景について書いてみよう。昨年、ギンズブルグの著作を読んでいて思いついたテーマである。15時過ぎに戸田が甲府の「167 N邸」の現場監理から帰社する。現場写真を見ながら報告を受ける。外部足場が除去さて外観が姿を表している。外構工事と内装工事は進行中である。塗装工事が始まり透明オスモカラーが木目を浮かび上がらせている。台所カウンターや食洗機の変更について確認し、現場監理報告をNさんにメール送信する。17時に東大ヨット部OBの都倉尚吾さんと浅田素之さんが、OB会長の島田保之さんと副会長の岸野寛さん、最初の図面を描いた建築学科出身の師田さんとヨット部の現役部長の4人と一緒に来所する。zoomで他のOBも参加する。まず僕から現案の法的な問題点について木村が作成したリストにもとづいて説明した後にメンバーの質問と意見を聴く。会長と副会長から工事予算の縮小を求められ、現役部長からは新しい機能的要求が出る。その結果、崖地条例への対策や予算の方針を含めてプログラムを再検討することになる。新しいプログラムの作成を依頼して18時半に終了。夜、木村から「165箱の長屋」敷地の遺跡本調査なしで済ませる基礎仕様について、府中市との話し合いがついた旨の報告が届く。明日、田中会計士にその旨を報告し、概算見積が出た時点でクライアントのOさんにも報告するように指示する。『人新世の資本論』は、第1章「気候変動と帝国的生活様式」を読み終えて、第2章「気候ケインズ主義の限界」へ進む。「はじめに」ではマルクスの宗教論に倣って「SDGsは〈大衆のアヘン〉である」と宣言される。第1章では、本書で人新世の問題をマルクスの資本論にもとづいて再検討する趣旨が述べられ、資本主義が自らがもたらした矛盾である環境危機問題を、1)技術的転嫁、2)空間的転嫁、3)時間的転嫁、によって隠蔽している事実が明らかにされる。若い社会・経済思想家らしい歯切れのいい論理展開に引き込まれる。今日の東京都のコロナ感染者は353人、全国の感染者は1303人で、昨日よりもやや減っている。このまま進むことを期待しよう。


2021年02月18日(木)

快晴で昨日よりさらに寒い一日。8時半出社。『建築雑誌』の連載原稿を続行し昼までに7枚まで進む。結論部がうまく繋がらないので残り2枚は明日に回す。13時半過ぎに戸田と事務所を出て、表参道駅から千代田線、小田急線を乗り継ぎ豪徳寺駅にて下車。約10分歩いて14時半前にM邸に着く。M夫妻に「170 M邸」第3案の図面と模型について約30分説明する。防火構造の法規のために構造軸組、室内仕上、階段の構造にも再検討が必要である旨を伝える。その後、再利用する予定の既存の建築部品や家具のサイズを測定して回る。Yさんの設計による2か所の窓部品の高さが2,260で天井高と同じであることに膝を打つ。この寸法は明らかにル・コルビュジエのモデュロールの天井高だからである。父君の本棚や食器棚、仕事場の材料棚なども採寸し、床のフローリングの幅も確認する。外部照明器具の写真も撮る。採寸が終了した後にコーヒーとお茶をいただきながらM夫妻としばらく歓談。さまざまな思い出話を聞く。17過ぎにお暇して18時に帰社する。「170 M邸」第3案の模型写真をfacebookにアップする。甲府のNさんから「167 N邸」の台所カウンターについて質問メールが届いたので、戸田と打ち合わせ返信メールを送る。『スケール』は「あとがき」と「訳者解説」を一気に読み通して読了。フラクタル幾何学と複雑系科学の組み合わせによって、生命体から都市や企業など社会経済までをスケーリング現象として一貫して理解できたのは大きな収穫である。フラクタル幾何学も複雑系科学も1980年代から断片的に学んできたが。それらが一挙に統合されたので充実して読書だった。次は、昨日光嶋さんに強く勧められた『人新世の資本論』(斉藤幸平:著 集英社 2020)を読んでみよう。今日の東京都のコロナ感染者は445人、全国の感染者は1537人で、漸増傾向は依然として続いている。昨日からワクチン接種が始まったので、徐々に減少することを期待しよう。


2021年02月17日(水)

晴れで北風が強く寒い一日。8時半出社。10時に光嶋裕介さんが博士論文のエスキスのために来所する。こちらから論文のテーマについて質問する前に、光嶋さんは博士論文を書くに至ったこれまでの経緯について話し始める。神戸大学への准教授就任の確定のためは博士論文の合格が大前提なのだそうだ。ひとしきりテーマについて話を聞いた後、僕からは2点のアドバイスを行う。1点目は、論文の冒頭で建築デザインにおけるドローイングの歴史的位置づけが必要であることを指摘した上で、クリストファー・アレグザンダーの『形の合成に関するノート』におけるデザインプロセスの3段階と、マリオ・カルボが提唱したデジタル・ターンについて書いた『建築雑誌』2020年10月号連載「デジタル・ターンの記号問題」のコピーを渡す。2点目は、結論部分で生態的なデザインプロセスの中にドローイングを位置づけようとする発想の唐突さと曖昧さを指摘し、光嶋さんのドローイングの特異性を浮かび上がらせるために、複雑系理論による意味づけを採用することを勧める。というのも彼のドローイングには完結性がなくフラクタルでエンドレスに見えるからである。そうすればアナログなドローイングとデジタル・ターンの橋渡しが可能になることを指摘する。話しながら『シンゴジラ』( 庵野秀明:監督 2016)のラストシーンのゴジラの尻尾のフラクタルなクローズアップ映像を思い出す。正午過ぎに終了。『建築雑誌』4月号連載「MUJIHOUSEの開発と意匠権」を書き始める。いつもの書き方を変えて「無印良品の商品ライアンアップの中でのMUJIHOUSEの位置づけ」「MUJIHOUSEのコンセプト」「建築家の工業化住宅の現代的意義」という3つの小テーマを別々に書き進め2/3まで進む。明日に3つのテーマを結びつけてみよう。甲府のNさんから「167N邸」の玄関アプローチの床の斜面について質問メールが届く。急いで手描きのスケッチを送り、現設計で進めるべきであることことを確認する。夕方までに戸田が「170M邸」の図面と模型の修正を完成させたのでチェックバック。今夜中に撮影しておくように指示する。『スケール』は、第10章「持続可能性についての大統一理論の展望」を読み終わり「あとがき」に進む。第10章ではスケーリング理論から導かれる都市の持続可能性の限界が指摘され、リノベーションの加速による〈有限時間シンギュラリティ(特異点)〉(レイ・カーツワイル)の可能性が論じられているが、この辺りの論旨は少々眉唾に思える。今日の東京都のコロナ感染者は378人、全国の感染者は1447人で、昨日よりもさらに増えている。


2021年02月16日(火)

昨日とは打って変わり快晴で暖かい一日。8時半出社。昨夜遅く光嶋裕介さんからメールで博士論文の草稿ファイルが届いたので、早速読んでみる。光嶋さんの空想的なドローイングは有名だが、ドローイングと建築デザインの相互作用が論文のテーマである。光嶋さんはドローイングを、1)実在する建築のスケッチ、2)設計のためのスタディ・スケッチ、3)空想上のドローイング、4)竣工後のプレゼンテーション・ドローイング、の4種類に分類し、歴史的な事例を紹介しながら検討している。読んでいて気になったのは、ドローイングが光嶋さんの建築デザインを豊かにしていることは確かだが、そのことが相対化されていない点である。豊かな建築デザインを続けるだけであれば、改めて自己の方法を相対化する必要はないだろう。しかし建築家として自己の方法について博士論文をまとめるのであれば、その方法を歴史的に位置づけ相対化することが必要不可欠である。草稿ではピラネージ以降のさまざまな建築家のドローイングが紹介されているが、建築デザインにおけるドローイングのあり方の変遷を歴史的に辿っているわけではない。今やポスト・アルベルティといわれているように、現代の建築デザインはドローイング以降のデジタル化を目指している。その潮流の中でドローイングの有効性を主張するには、アナログなドローイングの有効性を歴史的な視点から問い直す必要があると思う。明日は、その点を指摘し、参考文献を紹介しよう。昨日に引き続き『建築雑誌』連載原稿のスケッチを続行する。あとは本文を書くだけまでに煮詰まり、結論も見えてきたので、MUJIHOUSEの模型写真と図版を集める。『スケール』は、第9章「企業科学を目指して」を読み終わり、第10章「持続可能性についての大統一理論の展望」に進む。第9章では、その多様性にもかかわらず企業にも普遍的な原動力が働いていることが示唆されている。企業にも寿命があるが、最も寿命の長い企業の多くが日本に存在していることが実例を挙げて紹介されている。本章の結論はこうである。「スケーリングのメガネ腰に見たとき、企業と生命体の成長と死が似ているーそして都市とは似ていないーことに驚かずにはいられない。企業は驚くほど生命的で、進化論的視点から見ると、その死は〈創造的破壊〉と〈適者生存〉がもたらす革新的活力を生み出すための重要な要素だ」。今日の東京都のコロナ感染者は350人、全国の感染者は1308人で、やはり昨日よりも増えている。


2021年02月15日(月)

雨が降り続くやや暖かい一日。夕方から晴れてくる。8時半出社。The UTokyo EdX Teamから『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』第3回の最終回 ”The last videos, “Module 7 Review – 3rd Facet:City”が届く。内容についてこう説明されている。” Professors Kengo Kuma and Yusuke Obuchi will look back at the interviews with architects in this course, and consider various issues about the third facet: city. You will have no quizzes in Module 7.”
https://learning.edx.org/course/course-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@sequential+block@975ad31bc0ed4048954885f31e6d0df6/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@vertical+block@08b2ca4d2a1b4511b9695db2c6160a0a
”The last videos, “Module 7 Review – 3rd Facet::City” のまとめのビデオである。槇文彦、長谷川逸子、山本理顕、隈研吾、青木淳、アトリエワン(塚本由晴*貝島桃代)の6回の取材を担当した小渕恵介の問いかけに対して隈研吾が応えるというインタビュー形式で進む。隈は、戦後建築史を辿りつつ、その中に最近のコミュニティ再評価、村的コミュニテイの混成的な集合体としてのこれからの都市、空間と時間の加算的な建築の可能性といった動向を位置づけながら、融通無碍な自分のスタンスの時代への適合性について説明している。批評性のないレム・コールハースというか、今世紀初頭の建築家エドウィン・ラッチェンズを連想しながら視聴する。『建築雑誌』4月号連載原稿のスケッチ続行。書きたいことはほぼ固まったが、いつもながらなかなか発火しない。木村から「171葉山計画」の敷地が開発行為の条例の対象になる旨のメールが届いたので、問題点を整理して都倉さんに転送する。開発行為の審査には6ヶ月程度の期間がかかるだけでなく、現案をかなり変更する必要があるようだ。戸田と「170 M邸」の図面修正について打ち合わせ。引き続き模型の修正に進むように指示する。『スケール』の第9章「企業科学を目指して」を読み続ける。ナシーム・タレブの『ブラックスワン』を引用して、生命体と都市の中間的な存在である企業の分析の難しさの要因が、歴史の短さにあることを著者は説明しながら、データのばらつきは大きいけれども企業は普遍的な力学に従っていることが指摘されている。今日の東京都のコロナ感染者は266人、全国の感染者は965人で昨日よりもグッと減ったが、恒例の月曜日現象かもしれない。


2021年02月14日(日)

晴れで初春のように暖かい一日。10時出社。昨夜遅く鈴木工務店から「「165 箱の長屋」の修正見積が届いたので、お礼のメールと共に、遺跡調査への対応策として基礎工事の仕様変更について府中市と打ち合わせ中である旨のメールを送る。『建築雑誌』4月号の連載原稿のスケッチを続行する。無印良品のコンセプトと〈MUJIHOUSE木の家〉が誕生した経緯、ギャラリー間での無印良品の展覧会での発表、販売開始から数年間の苦戦、ネット販売と環境情報の浸透による販売数の飛躍、建築界の暗黙知的な意匠権などについてまとめるつもりである。14時に事務所を出て、散歩がてら南青山のスーパーマーケットまで歩き夕食の食材を購入する。相変わらず北青山に散在するカフェはどこも若い人で満員である。16時に「166 K邸」のクライアントK夫人が突然来所し、バレンタインデーのチョコレートを届けてもらい恐縮至極。17時過ぎに帰宅。『スケール』は第8章「結論と予測:流動性とライフペースから社会接続性、多様性、代謝、成長へ」を読み終わり、第9章「企業科学を目指して」へ進む。第8章では、生命体の代謝成長モデルは都市の生態には通用しないことが明らかにされる。生命体の場合は、エネルギー供給による成長が代謝率とバランスした時点で成長は止まるが、都市においてはそうならないからである。その点についてこう書かれている。「重要な点は、富の創造とイノベーションを含む、成長の根底にある社会代謝へのすべての社会経済的成長が、共通指数約1.15の古典的な超線形べき乗則に従って概ね同じようにスケールすることだ。すべての構成要素がこのようにスケールすることで、都市の総社会代謝率も同様に指数1.15で超線形的にスケールする。(中略)。代謝の超線形スケーリングは、成長にとって大きな意味を持つ。生物の場合とは対照的に、成長とともに都市が生み出す代謝エネルギーの供給は、その維持に必要な要求量よりも早く増大する。その結果、社会代謝率と維持に必要な割合の差である成長に利用可能なエネルギー量は、都市が大きくなると増え続ける。都市は大きくなればなるほど、成長も加速する」。かくして8章の結論はこうである。「生物を支配する線形未満スケーリングと規模の経済は、安定した有限の成長とライフ・スペースの原則をもたらすが、社会経済活動を支配する超線形スケーリングと規模の経済の増大が、無限の成長とライフ・スペースの加速をもたらす」。これがまさに〈都市新世〉の原理であり、その詳細については最終の第10章「持続可能性についての大統一理論の展望」で論じられるようだ。今日の東京都のコロナ感染者は371人、全国の感染者は1364人、依然として定常状態である。


2021年02月13日(土)

晴れのち曇りの暖かい一日。9時出社。「171葉山計画」の敷地の地目、分筆図、測量図について都倉さんとメールのやりとり。地目が宅地ではなく雑種地のようなので開発規制に当たるかどうかを確認する必要があるからである。14時に菅野夫妻が「169菅野邸」の実施設計についての打ち合わせのために来所される。概要書、平面詳細図、断面詳細図について説明しながら、夫妻の希望を聴く。床置暖炉の仕様、防犯カメラの設置位置、駐車場にスキー板の棚を追加すること、台所カウンターの高さになどついて注文を受ける。使用する予定の建材や設備機器のカタログ一式のファイルを渡して検討を依頼する。見積を依頼する建設会社について説明を受ける。次回の打ち合わせはナック建築事務所の龜谷清さんや建設会社との顔合わせを兼ねて、できれば3月末あたりに松江に赴く予定であることを伝えて15時半に終了。その後、概要書と詳細図一式を佐々木に送信し、作業のスケジュールを再確認する。さらに詳細図にカタログのデータを加えて現場監理を依頼するナック設計事務所の龜谷さんと東本さんにも送信する。戸田と今後の作業について打ち合わせ。まずは来週半ばの「170M邸」の現地調査に備えて基本図面と模型を修正し、引き続き「169菅野邸」のアクアレイヤーの検討図をまとめる手順とする。『建築雑誌』4月号連載原稿のスケッチを開始する。今回は〈MUJIHOUSE〉の開発経緯と意匠権についてまとめてみる。17時帰宅。早めに夕食を済ませベッドで読書をしていたらそのまま寝入ってしまい、23時過ぎに大きな揺に襲われる。福島沖でマグニチュード7.1の地震が発生したらしい。ニュースでは余震の可能性があるので中止するように警告している。今日の東京都のコロナ感染者は369人、全国の感染者は1362人で、依然として減少する気配はない。


2021年02月12日(金)

曇り一時晴れの寒い一日。6時半起床。7時に出社。昨夜、木村から届いた「171葉山計画」の空調システム図を修正し木村に返信する。7時半に事務所を出てJR山手線で新宿まで行き8時発の特急あずさに乗車。車内で戸田と待ち合わせ。乗客は6割程度で意外に多い。9時半に甲府着。10時前バスターミナル発の韮崎行バスに乗り10時15分に県立美術館前にて下車。約5分歩いて「167 N邸」の現場に到着。外部足場は残っているが外装工事はほぼ終了している。足場を上り南側のテラス周りを中心に外装工事の細部をチェックする。軒天井は予想以上にうまく納まっている。軒樋両端の納まりが気になったので蓋の角度の修正を戸田に指示する。内装工事は着々と進行しているが、シナ合板張がフラットに仕上がっているので、集成材軸組、LVL小梁、天井の構造用合板のラフな仕上がりとの対比がやや気になる。今回はオスモカラーのクリア塗装なので、シナ合板にやや赤身がつけば対比は収まるだろう。藤忠の遠山社長と大工に挨拶して11時50分に現場を発ち、美術館前バス停まで歩き12時過ぎのバスで12時半前に甲府着。13時16分甲府発のあずさに乗車し15時半に帰社。現場監理事項と写真をまとめてNさんに現場監理報告を送る。光嶋裕介さんから進行中の博士論文エスキス依頼のメールが届いたので来週の来所を約束する。戸田と明日の菅野夫妻との実施設計打ち合わせの資料を確認する。東大ヨット部OBの都倉さんから「171葉山計画」敷地の測量資料が届く。ジャズピアニストの巨匠チック・コリア(Chick Corea)が今月9日に癌で亡くなった。79歳だったそうだ。彼のアルバムは何枚か僕のiPhoneに入っている。冥福を祈りながら、しばらくの間彼のピアノに聴き入る。
https://www.youtube.com/watch?v=w-XZu8DBLSs&t=209s
21時半帰宅。TVでは森喜朗のオリパラリンピック組織委員会委員長辞任のニュースで持ちきりである。今日の東京都のコロナ感染者は307人、全国の感染者は1301人で、少し減ってきた。


2021年02月11日(木)

今日もピーカンの快晴だが昨日よりやや暖かい。9時半出社。11時前に界工作舎OBの中川純さんが来所。4月から新しい大学に就任する件について報告に来られた。環境系と計画系を統合するような講座の開設を求められているのだという。まさに中川さんにぴったりのテーマである。互いの近況を報告し合い、「171葉山計画」について若干のアドバイスをもらって12時半に解散。午後は「171葉山計画」の設計要旨をまとめる。平面図と断面図に一部辻褄の合わない点を発見したがが、とりあえずまとめて、法的な規制と崖条例のチェック図を加えてヨット部OBの都倉さんと戸田さんに送信する。夕方に返信メールが届き、やはり工事予算が最大の課題だとのこと。僕たちにとっては工事予算の確保も重要だが、それ以上に、敷地が狭い沢にあり崖崩れ指定区域内にあるため、構造的な制約への対応が最大の課題である。夕方5時半に妻と一緒に家を出て、散歩がてらキャットストリートの裏道を経由して渋谷まで歩く。改築された宮下公園の夜景はなかなか賑やかで、かっての裏通りの1階には新しく屋台の居酒屋が並んでいる。のんべい横丁は手つかずで残されている。渋谷は相変わらず若者で賑わっている。百貨店内の行きつけの天麩羅屋で夕食。7時半過ぎに店を出てタクシーで帰宅。今日の東京都のコロナ感染者は434人、全国の感染者は1693人で、昨日よりも僅かに減っている。


2021年02月10日(水)

ピーカンで寒い1日。8時半出社。9時半に事務所を出て外苑前の診療所へ。9時45分から3週間前の渋谷区健康診断の結果を聴く。肝臓が弱っていること、脂肪を採り過ぎであること、心臓からの血流に僅かな乱れがあることなど人間ドックとは異なる所見が出たので、新たに循環器系の診療を受けることになり予約を行う。10時半に帰社。昨夜木村から届いた「171葉山計画」の図面をチェックバックして返信。早急な修正を指示する。午後に修正図が届いたので、空調システムの変更案を追記して再びチェックバック。夜に換気空調システム全体の変更図がまとまったので、変更の趣旨コメントを添えて川島さんに転送する。南側の庇テラスを元に戻したため1、2階が切り離されてしまったが、換気システムによって2階の空気は玄関吹抜と会談室を通って1階床下チャンバーに引き戻されるだろうという考え方である。1階と2階を連続させることが必要であれば、2階床の通路部分を空気が通過するグレーチング床にすることも検討しよう。Nさんから「167N邸」の塗装の仕様に関する問と階段収納の扉の追加希望のメールが届いたので藤忠に転送する。夜、戸田と「169菅野邸」について打ち合わせ。暖炉のカタログが届いたので給気の経路について検討するように指示する。『スケール』は第8章「結論と予測:流動性とライフペースから社会接続性、多様性、代謝、成長へ」を読み続ける。都市における移動と輸送のシステムがきわめて複雑であるにもかかわらず、どのような都市においても、移動時間と頻度の積が同じであれば、移動のパターン(移動人数)は変わらないという秩序と規則が存在する驚くべき事実が明らかにされている。今日の東京都のコロナ感染者は491人、全国の感染者は1886人で、昨日よりもさらに増加している。


2021年02月09日(火)

晴れで風が強く寒い一日。8時半出社。9時過ぎに事務所を出て、竹下通りを経由して原宿駅へ。予約しておいた今週末の甲府行の特急乗車券を受け取る。そのまま表参道を下り、青山通り角の銀行に立ち寄ってから10時過ぎに帰社。戸田と「169菅野邸」の室内駐車場の展示パネルシステムについて方針を決める。さらに断面詳細図についても打ち合わせ。今週末の菅野夫妻との打ち合わせには間に合わせるように指示する。出雲市の龜谷さんから電話が入り菅野さんとの話し合いについて報告を受ける。14時に川島範久さんが来所。一昨日に回答が届いた「171葉山計画」の換気と空調のシステムについて説明を受ける。滞在人数が多い施設なので換気量が大きいのは当然として、提案では暖房と冷房が別系統になっているが、空調として一体化する方法についてアドバイスを受ける。ヨット部OBの都倉さんに基本計画の報告スケジュールについて打診メールを送り、来週末にOB数人が一緒に来所することになる。電機大の能作文徳さんから『野生のエディフィス』(能作文徳:著 LIXIL出版 2021)が届く。写真と図面が豊富に入り、日本文と英文が併記された充実したエッセイである。直ちにお礼のメールを送る。世田谷のKさんとメールをやりとりし、上棟式を2月23日(火)の午後に決める。夜、木村から作業報告が届く。「165箱の長屋」については遺跡を痛めない基礎の仕様について府中市と話し合いを続けている。「171葉山計画」の修正図面が届いたので、明朝チェックバックする旨を返信。21時半帰宅。風呂に入った後『スケール』は第8章を読みながら夜半就寝。今日の東京都のコロナ感染者は412人、全国の感染者は1570人で、昨日よりやや漸増である。


2021年02月08日(月)

曇りのち晴れで北風が強く寒い一日。8時半出社。前田工学賞の二次評価リストを事務局にメール送信した後に論文一式を宅急便で次の審査委員に送る。10時から『建築雑誌』6月号特集「建築生産」の座談会「建築をつくる世界の変化」に参加する。広島大の角倉英明さんと早稲田大の石田航星さんの司会で、参加者は東京大の権藤智之さん、京都大の西野佐弥香さん、清水建設の石岡宏晃さん、大成建設の坪沼一希さん、明治大の川島範久さん、清水建設の石岡宏晃さんで、最後あたりに少しだけお茶の水大の長澤夏子さんが顔を出す。参加者が多いので話題は多方面に渡るが、新しい発見も多い。構法と工法の定義に関する話題からスタートするが、両者の英訳は、構法がBuilding System、工法がConstruction Methodということで、これまでの僕の考えと逆なのに些かカルチャーショックを受ける。僕にはConstructionという言葉への過剰な思い入れがあるからである。その後は設計と施工が分離した歴史的経緯、両者を統合していた棟梁という日本的伝統から設計と施工を担うゼネコンが生まれた経緯、構法は研究の対象になっても工法は研究対象にはならない理由や、情報化やBIMによる構工法の転換などへと話題が広がる。僕は香港上海銀行の建設におけるフォスター事務所によるConstruction Managementとクライアント側のQuantity Surveyorの区別について紹介する。建築学会の構法委員会に中に構法史小委員会があることから、最近の若い研究者が構法に興味を持ち始めた理由について、近代建築におけるロシア構成(構築)主義Russian Constructivismから、それを引き継いだ脱構築主義Deconstructivismの流行と関係があるのではないかと指摘する。しかし、上の英訳だと僕の理解は少しズレていることになる。Constructionはいわゆる施工を意味することになるからである。話題が拡散してきたので11時半に途中退席する。The UTokyo EdX Teamからメールで『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』の「City:Architects and Work of Module 6:architecture After Architecture - Atelier Bow-Wow, Koisuru-Buta Laboratory (2012)」が届く。解説にはこう書かれている。” in this module, Atelier Bow-Wow (Yoshiharu Tsukamoto and Momoyo Kaijima, the 5th generation) will appear in the interview held at Koisuru-Buta Laboratory and House & Atelier Bow-Wow. Interview videos with Tsukamoto & Kaijima”
https://learning.edx.org/course/course-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@sequential+block@5f9fa5f5283245ffb48e43ac964eedec/block-v1:UTokyoX+UTokyo009x+1T2019+type@vertical+block@6caed1ffe8534d839e4398a754f0a94d
千葉県香取市の〈恋する豚研究所〉を見学しながらの塚本由晴のインタビューと、四谷三丁目の〈ハウス&アトリエワン〉での塚本由晴と貝島桃代のインタビューである。〈恋する豚研究所〉は都市と農村の境界における新しいライフスタイルを追求する施設だという指摘や、ヴェネチア貴族がヴェネト地方に建設したパッラディオのヴィラをモデルにしているという指摘に興味を持つ。後半の貝島桃代が加わった建築論議も興味深い。1970年代の建築家たちによる建築の自律性に関する議論の乗り越え、Program-Typology-Ecologyのトリレンマを踏まえた多重的な形での批評性の復権、塚本はそれを〈叙事詩〉と呼ぶが、貝島は重すぎると反論する。男女ユニット建築家の弁証法的な対話が刺激的でインタビューはこれまでの回よりも10分以上長くなっている。二人とも建築を語る言葉が豊富だからだろう。川島範久さんから「171葉山計画」の空調システムのスケッチが届くが、やや複雑すぎるように思える。松江の菅野さんから暖炉に関するメールが届いたので、直ちにメーカーに問い合わせるように戸田に指示する。豪徳寺のMさんに来週半ばに現地調査を行いたい旨のメールを送信する。今日の東京都のコロナ感染者は276人、全国の感染者は1217人で、徐々に減少している。このまま減少して今週末あたりにに非常事態宣言が解除されればいいのだが。


2021年02月07日(日)

晴れで春のような暖かさの一日。10時半出社。前田工学賞と研究助成の評価リストを再チェックし、引き続き国際会議助成の評価を書き込む。これで全体の評価作業が終わったので、明朝もう一度評価リストをチェックして事務局に送信し、論文一式を次の審査委員に転送しよう。Dropboxから戸田がまとめた「169菅野邸」の概要書と平面詳細図を引き出しチェックする。建物の配置も変わったので、変更図の作成が必要だろう。駐車場の展示パネルのシステム金物のカタログも必要だろう。16時から『建築雑誌』2021年10月号の特集「ポリティカル・コレクトネス」に関するzoom 会議に参加する。能作文徳さんがホストで、高口洋人編集委員長、川島範久さんと僕の4人が参加。僕としてはSDGsのpolitical correctnessだけに焦点を当てるのではなく、3,11以降の建築界の保守化について総合的に議論すべきであり、そのためにはまずは歴史的視点から問題点の整理をした上で、テーマを明らかにする必要がある旨を指摘する。エネルギー問題、人新世と都市新世の問題。近代建築の批評性の問題、3.11以降のデザインの保守化の問題などである。それぞれのテーマで論考を依頼する人の候補をあげて18時に退席する。18時半に帰宅。夜、川島範久さんと高瀬幸造さんに「171葉山計画」に作業の進行状況について打診する。まもなく返信メールが届き、明日中には計画をまとめてくれるそうだ。『スケール』は第8章「結論と予測:流動性とライフペースから社会接続性、多様性、代謝、成長へ」を読み続ける。今日の東京都のコロナ感染者は429人、全国の感染者は1631人で、徐々に減少に向かっている。このまま続いてほしいが。


2021年02月06日(土)

晴れでやや暖かい一日。8時半出社。昨夜遅く、界工作舎OBで現在は早稲田大大学院にいるNさんからメールで東京都市大学の准教授への就任が決まった旨の連絡が届く。今年4月から着任するそうだ。丸査(博士論文審査資格)も獲得したそうなので、歴史と環境デザインを統合するレイナー・バンハムのような人材を育ててほしい旨を返信する。11時半に戸田と週末の定例打ち合わせ。「169菅野邸」のカタログの収集を確認し、平面詳細図と概要書をチェックバックしてdropboxに入れておくように指示する。さらに再来週までに「170M邸」の実施案に合わせて図面を修正し模型を作り直すように指示する。正午過ぎに解散。その後、散歩がてら南青山のスーパーマーケットまで夕食の買物に出かける。天気が良く暖かいので人出はかなり多い。夕方、甲府のNさんから「167N邸」の詳細についてメールが届いたので藤忠に転送する。世田谷のKさんと「166 K邸」に設置するユニットバスの詳細についてメールのやりとり。夕方に木村から「165箱の長屋」の基礎の設計変更に関するメールが届いたので方針について返送。鈴木工務店からJRに提出する工事の仕様と工程表が届く。17時帰宅。『スケール』は第8章「結論と予測:流動性とライフペースから社会接続性、多様性、代謝、成長へ」を読み続ける。今日の東京都のコロナ感染者は639人、全国の感染者は2279人で、依然として定常状態である。


2021年02月05日(金)

ピーカンの晴れで寒い一日。8時半出社。10時半に「170 M邸」の設計監理契約の締結のためにM夫妻が来所する。思い返せば、昨年12月2日(水)の9時過ぎに電話をもらい、その11時過ぎに来所され、いきなり自邸建替の相談を受けた。そして現在住んでいる住宅がYさんの設計であることを知ってビックリ仰天した。1週間後の12月10日(木)朝に豪徳寺のM邸を訪問し、M夫妻から建替を決心した紆余曲折の経緯について4時間近く話を聴いた。その日から正月休みにかけて集中的にスタディをくり返し、正月明けに模型を作成して1月16日(土)にM夫妻にプレゼンテーションした。基本コンセプトはM夫妻のイメージにピッタリと嵌ったようだった。その後、数回メールのやりとりを繰り返して案を微調整し、2月初めに第2案を提出して実施案が確定した。その結果、今日、設計監理契約締結に至ったのである。初対面から2ヶ月という短い期間で案が一気に収斂したのは初めての経験である。50年前に竣工した既存住居が、尊敬する建築家Yさんの設計で、その建替という名誉ある依頼であることもさることながら、常日頃からつくりたいと考え続けている職住近接住居であるという条件も相俟って、集中的にスタディした結果、これ以外にはないと思われる決定的な「箱の家」に収斂したのである。M夫妻によれば、僕の案はトポロジカルに見るとYさんが設計した両親の住まいとどことなく似ているという。つらつらと図面を比べて見ると確かにそのようである。持参された旧宅の図面と写真を見ながら思い出話を聴いた後に、契約書と重要事項説明書に捺印する。その後、2階の自宅に案内し、仕上のシナ合板を確認してもらう。再来週にM邸に伺い、再利用する窓のサイズや床板を確認することを約束して正午過ぎに解散する。午後、思い立って昨年にM邸を取材された建築家の齋藤祐子さんに電話し、今日までの経緯を報告する。斉藤さんは事情を十分に承知されているようで、あまり公にせず粛々と作業を進めてくださいとアドバイスされ、胸を撫で下ろす。昨日に引き続き前田工学賞の博士論文の読み込みを続行し16時過ぎに11編すべての審査を完了する。今週末に研究助成と国際会議の審査を行い、来週初めに次の審査委員に転送しよう。16時半に戸田が甲府の「167N邸」の現場監理から帰社したので、現場写真を見ながら報告を受ける。細部の納まりを確認し、Nさんに監理報告のメールを送る。来週は僕も現場監理に同行しよう。『スケール』は第7章「都市の科学に向けて」を読み終わり、第8章「結論と予測:流動性とライフペースから社会接続性、多様性、代謝、成長へ」へ進む。21時から〈よなよなzoom〉の第16夜「社会を組み替える構法」に参加する。テーマの趣旨にはこう書かれている。「建築の構法に対する考え方がまるきり変わると、世界が変わると思います。それは全く新しい素材を使う、ということだけでなく、既存の技術や産業に介入しながらも発見できます。宮大工で昭和の大棟梁である西岡常一は「木に学べ」の中で、薬師寺や法隆寺の五重塔の修理の際、飛鳥時代の技術と鎌倉時代の技術の技術、江戸の技術は違っていて、図面は残っていなくとも形に表れていて、しかもその技術に優劣がある、とおっしゃっています。そこには思想の違いもあり、お金の価値観や貧富の違いなど、それが形として引き継がれ、世界を壊しつつ引き継いで新しくしていくことにつながっています。今回は「社会を組み替える構法」というテーマです。能作さんの〈明野の高床〉や〈西大井のあな〉、河合さんの〈SLBH〉、岩元さんの〈節穴の家〉や〈TRIAXIS〉など、皆さんの活動はいろんな媒体ですでに存じ上げており、どの活動も現在の世界観とは異なる活動で、現状の社会の危うさを越えていくような希望を感じます」。ちょうど『建築雑誌』2月号のローコスト特集が出たばかりで、共通するテーマなので参加した。途中の21時半に一旦帰宅し風呂に入った後にiPadで再度参加する。河合啓吾さんの仕事はまったく知らなかったが、木造軸組の論理的な構築性に興味を持った。能作文徳さんの一連の仕事はSDGsのヴィジョンを建築化したデザインなので、今後のプロトタイプになる予感がする。岩元真明さんの仕事はおおよそ知ってはいたが、通しでみると知的で多様なアプローチに改めて感心する。ウィスキーを呑みながら視聴したが、なかなか終わりそうにないので一言だけコメントをして夜半前に就寝。今日の東京都のコロナ感染者は577人、全国の感染者は2372人で、依然として定常状態である。


2021年02月04日(木)

今日も冬晴れでやや暖かい一日。8時半出社。10時に田中会計士が来所し木村を交えて「165 箱の長屋」の遺跡調査への対応策について相談する。代替案として1)鋼管杭を打ち建物全体を遺跡から浮かせる方法とした場合の調査費用の見積を依頼すること、2)別業者から遺跡調査の相見積を取ることの2案を府中市に提案してみることとする。木村が府中市と電話で相談し夕方までに方針が決まったので田中会計士にメール報告する。Mさんから「170 M邸」の設計監理契約を締結したい旨のメールが届いたので都合の良い日時を打診したところ、明日来所されることになる。年末から年始にかけてじっくり時間をかけて練り込んだ案が一気に収斂した感じである。久しぶりに職住近接住宅が実現できそうだ。昨日に引き続き前田工学賞の博士論文の審査を続行する。今日は3編を読み、評価リストに講評と評価を書き込む。工学系の論文よりも歴史系の論文が多いがテーマが多様なので大いに勉強になる。明日は戸田が甲府の167 N邸」へ現場監理に行くので、その方針について簡単な打ち合わせを行い21時半に帰宅。『スケール』の第7章「都市の科学に向けて」を読み続ける。ネットワーク科学と〈スモールワールド問題〉、友人関係における6次の隔たり論、ダンバーによる集団の階層構造など馴染みのある所見が次々と紹介され、都市の科学へと統合されていく。池辺陽も人間集団と空間構成の対応の階層性について〈3-1-3論〉を提唱したが、これもスケーリング論の一種であり、その原型であるル・コルビュジエが提唱したモデュロールも同様である。スケーリング論は都市の規模の増大による効率性の向上というというメリットとは反対に、大都市の生活におけるストレスや犯罪の増加という負の側面が必然的にもたらされるという現象も都市心理学から紹介されている。今日の東京都のコロナ感染者は734人、全国の感染者は2576人で、定常状態に達しているようである。


2021年02月03日(水)

快晴で寒い一日。8時半出社。「171葉山計画」のチェックバックを木村に送り、夕方までの修正を指示する。9時過ぎに妻の車で四谷三丁目の東長寺に赴く。今日は鈴木博之の8周忌である。とともに初孫の7歳の誕生日でもある。2014年2月3日の日記を読み返してみると、初孫の誕生については記しているが、鈴木博之の死についてはまったく触れていない。しかし早朝に鈴木の死を確認した直後に、妻からの電話で孫の誕生を知ったことを思い出す。鈴木さんは2013年の末に入院し、僕と石山修武さんは毎日のように築地の癌センターに通った。鈴木さんの強い希望で、そのことには一切触れず、他の用件を捏造して日記を書き続けたので、よく読むと不自然な日記になっている。後に葬儀の手配を始めた頃から正確な日記を書き始めたが、いつ頃からそうなったかは今では忘れてしまった。この間のフェイク日記は僕にとってはトラウマのように記憶に刻み込まれている。Mさんから「170 M邸」の基本設計が収斂したので、次のステップに進みたい旨のメールが届く。早速、設計業務委託契約書と重要事項説明書のたたき台の作成に着手する。昨日に続き前田工学賞の審査を続行する。一次書類審査の印象と本論文を読んだ感想との落差に驚く論文も多く評価も大きく変わる。今日は1編だけ読んだので残すところは5論文である。何とか今週末までには終えるように頑張ろう。5時半過ぎに事務所を出て近くのトンカツ屋へ行く。まもなく明治大学の川島範久さんと東京理科大学の高瀬幸造さんが合流する。二人とも東大の教え子だが大学院は環境研究室の出身である。熱燗で夕ご飯をいただきながら互いの近況報告。7時前に事務所に戻り「171葉山計画」の敷地条件や計画概要について説明し、設備システムについての相談する。一人当たりの必要換気回数や熱負荷は一定のようだが、住宅に比べると面積あたりの人数が多いので換気空調システムも大きく異なる結果になる。宿泊人数の多い施設なので換気・空調システムがかなりヘヴィーになるとのこと。宿泊者も若い人が多いので熱負荷が大きくなることを考慮しなければならない。検討資料一式を渡し今週中の検討を依頼して20時過ぎに解散する。疲れが噴き出したので21時前に帰宅。木村からメールで届いた「165箱の長屋」の資料を鈴木工務店に「166 K邸」の資料をKさんにそれぞれ転送する。今日の東京都のコロナ感染者は676人、全国の感染者は2631人で一向に減る気配はない。ウィスキーを呑み直し22時前に就寝。


2021年02月02日(火)

雨のち晴れの暖かい一日。8時半出社。戸田がまとめた「170 M邸」第2案をdropboxから引き出しチェックバックして修正を指示する。正午過ぎまでにまとまったので第2案についてのコメントを添えて平・断・立面図一式をMさんに送信する。『建築雑誌』2021年2月号が届く。特集テーマは『建築の豊かさを問い直す--ローコスト建築の諸相』。石山修武自邸〈世田谷村〉でのインタビューや深澤直人の「心地よい居場所」などローコスト建築の多様なあり方がとり挙げられている。特集をめぐる連載記事では「ブリコラージュとしてのローコスト・デザイン」と題して、ローコストデザインはブリコラージュの一種であり「箱の家」では工業化と自然的表現の両義性を目指していることについて論じた。直ちにfacebookで紹介する。昨日から前田工学賞の博士論文の審査を開始している。昨日は2編の論文今日は3編を読み込み、事務局から届いた評価リストに講評と評価を書き込む。工学系論文は十分には理解できないテーマなので、冒頭と結論だけを読み、社会的意義の視点から評価する、歴史計画系論文は研究の背景、目的、結論を中心に読み込み、気になる点を本文でチェックする。夜、木村から「171葉山計画」の平面図が届く。敷地が逗子市の砂災害警戒ゾーン(いわゆるイエローゾーン)に該当しているために、建物の構造に関して色々制約がありそうである。『スケール』の第7章「都市の科学に向けて」を読み続ける。都市が生物と同じようなアロメトリックなスケーリングを持つ理由に関する議論が届く。生物のスケーリングの根底にある3条件は、1)空間充填的であること、2)端末ユニットが不変(細胞)であること、3)ネットワークは進化によって最適していることだが、都市は1)2)の条件は同じでも、3)のための時間が短いことが指摘されている。つまり都市は誕生後の歴史が浅いために、スケーリングが十分に収斂していないのである。夜遅くMさんから「170M邸」第2案に対する返信メールが届く。ほぼ満足してもらえたようなので、実施設計に進めそうである。今日の東京都のコロナ感染者は556人、全国の感染者は2324人で昨日よりも若干増えている。今夕に11都道府県での緊急事態宣言は3月7日まで1ヶ月延長された。


2021年02月01日(月)

曇り一時晴れの寒い一日。8時過ぎに出社。直ちに事務所を出て表参道経由で青山歯科医院へ。8時半から1ヶ月半ぶりの歯のメンテナンス。歯垢を除去し歯間を掃除して9時過ぎに終了。1ヶ月半後の診療を予約して9時半に帰社。木村に「171葉山計画」の敷地図と僕が描いたスケッチのデータを送信し図面化を依頼する。10時に出社した戸田と「169菅野邸」平面詳細図のチェックバックと「170 M邸」第2案の打ち合わせ。早急な図面化を指示する。藤忠と「167 N邸」の工事の進行状況についてメールのやりとり。Nさん現状の工事写真を添えて報告メールを送ったところ、界工作舎の現場監理の頻度が少ないのではという質問メールが届く。確かに通常の〈箱の家〉に比べると現場監理の回数は少な目だが、その理由は藤忠社長の遠山さんが〈箱の家〉の仕様を十分に理解し、絶えず質問を投げかけてくるので安心して工事を任せている旨を説明する。とはいえ工事は仕上の最終段階に入っているので、今後は現場監理の頻度を上げることとし、まずは今週末に現場監理に行くことをNさんと藤忠に連絡する。田中会計士から電話が入り「165箱の長屋」の遺跡調査に関する打ち合わせのため2月4日(木)に来所することになったので、その旨を木村に伝える。松江の菅野さんに電話し来週末の「169菅野邸」の打ち合わせの確認。現場監理を依頼するナック建築事務所の龜谷清さんに会いたいと言われたので、直ちに龜谷さんに電話し、菅野さんに連絡するように依頼する。淡青社の長野会計士に確定申告の資料を宅急便で送る。光嶋裕介さんから『つくるをひらく』(光嶋裕介:著 ミシマ社 2021)が届く。同封の手紙によれば本日(2月1日)から神戸大学特命准教授に就任したそうだ。直ちにお礼のメールを送ると返事が届き、現在、早稲田大の古谷誠章研究室で博士論文を書いているので相談に乗って欲しいとのこと。The UTokyo EdX Teamからメールで『Four Facets of Contemporary Japanese Architecture』の第3回「City:Architect and Work of Module 5:Towards an Architecture of Emancipation - Jun Aoki, Omiyamae Gymnasium (2014)」が届く。解説にはこう書かれている。” In this module, Jun Aoki (the 4th generation) will appear in the interview held at Omiyamae Gymnasium in Tokyo. Interview videos with Aoki ,”
〈杉並大宮前体育館〉でのインタビューである。内外を歩きながら青木淳さんは、複雑で多様な〈ルーズさ〉を精細にデザインするための自身のデザイン手法について淡々と説明している。密集住宅地のスケールの踏襲、ブロック塀の景観の引用、既存の4本の銀杏の木を残すこと、バス停のシェルターの追加、緩やかに起伏する通り抜け通路の床仕上、体育館とプールの2つの楕円形平面の配置、亜鉛ドブ付メッキのパラペット幅の変化、GRCパネルの研ぎ出し仕上のテクスチャー、屋上植栽の芝生とクローバー、武蔵野の植生、天井と照明の配置、体育館の壁の緩やかなうねりとラフな仕上、柔道場からの見上げたピラネージ的な視界などなど、至る所にカジュアルだが気が付かないが細心のデザインが展開していることに感心する。今日の東京都のコロナ感染者は393人、全国の感染者は1792人で昨日よりもさらに減っている。しかし菅首相は明日にも緊急事態宣言の延長を発出するそうだ。家早何友。


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