難波和彦+界工作舎
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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2017年09月22日(金)

6時前に目が覚めるが、外はまだ暗い。ゆっくりとシャワーを浴びてしばらく休憩。7時半にペントハウスに上がり朝食。今日も僕たちが最初である。ボーイもウェイトレスも昨日とは異なる。昨日よりも多めに食べて英気を養う。屋上テラスに登ると、今日も快晴で風はない。入江の景色をしばらくボンヤリと眺めながら沈思黙考。部屋に戻り、日記を書き込んだ後、今日以降のシチリアの旅について妻と話し合う。11時半にチェックアウト。11時45分に予約したタクシーでマルタ国際空港へ。マルタ航空のシチリアのカターニャ・フォタナロッサ空港行の便にチェックイン。今回の旅行では、これまですべての航空便がプリントアウトして持参した予約票なしでパスポートだけ提示すればチェックインできる。インターネット予約、恐るべしだが、そのために観光客が増えたのだろう。13時20分過ぎに滑走路に出て、歩いて飛行機へ。定刻13時35分に出発。45分の飛行で14時20分にカターニャ空港着。荷物の受け取りに時間がかかり14時30分に到着ロビーに出るとシラクーサのホテルに予約しておいたタクシー運転手が待機している。地中海を遠望する高速道路を南下。道中、左手の地中海沿岸にはオリーブやブドウ畑の向こうに工場や火力発電所の煙突が立ち並び、空中に高圧電線が走る不思議な風景。約50分走ってシラクーサのオルティージャ島のホテルに到着。チェェックインし荷物を置いて町に出る。ここもヴァレッタに似て岩の島である。歩いて直ぐ脇にドゥオーモがある。ファサードは明らかにバロックで新しいが、側面や内部はドリス式の列柱という不思議な組み合わせ。どこから持って来た柱だろうか、柱脚が壊れかなり風化している。屋根は木造である。ドゥオーモ前の南北に細長い変形の広場が興味深い。坂を下って南に進むと地中海に面した広場に出る。しばらく海を眺め、岸辺を北に向かって散策し、町中を見学してから再びドゥオーモ広場に戻りファサードを眺めていると、正装し着飾った人々が三々五々集まってくる。カフェでビールを飲みながら眺めていると、まもなく正面階段前に車が止まり、ウェデイングドレスを気や女性が降りてくる。今日は金曜日で休日前日なので、教会で結婚式があるらしい。ファサードの正面に西日が差し、着飾った男女が集まり、まるで絵に描いたような風景である。一旦ホテルに戻り、受付嬢に安くて美味しいレストランを教えてもらう。北へ4ブロック歩いたところにある洞窟のようなレストランで、エビのパスタと白魚のムニエルを白ワインでいただく。それほど安くはなかったが、マルタとはまったく異なる高級な料理を堪能。夫婦共々感動する。帰途ジェラートで口直しし、9時半過ぎにホテルに戻り、シャワーを浴びてベッドに横になる。


2017年09月21日(木)

ぐっすりと眠って6時半過ぎに起床。僕たちの部屋は小さな中庭に面しているので、朝日は見えないが、空を見るといい天気のようだ。シャワーを浴びて目を覚まし、7時半にペントハウスの小さな食堂へ。バイキング式のイタリアン朝食だが、トレイを持って回り階段を上るのは難しいので、若いボーイがサーブしてくれる。7部屋に対して7組の机しかないが、どうやら僕たちが初めての朝食客のようだ。しっかり腹ごしらえをしてから屋上テラスに出ると、ピーカンの快晴で朝日が眩しい。南向きのテラスなのでヴァレッタの壮大な入江が一望できる。ヴァレッタは、中谷礼仁さんが指摘するように二つの大陸プレートが衝突して生まれた天然の要塞であることがよく分かる。日差しと風が強いので15分で部屋に戻る。メールチェックし日記を書き込んだ後、9時半過ぎにホテルを出て、北を目指してヴァレッタ半島を縦断する。20分も歩けば北岸が見えてくる。案内書にある教会が開いていたので入ってみると、巨大な楕円形ドームのある教会でミサを行なっている。ドームを見上げながら、しばらくぼんやりした後に外に出て、階段を下って北岸に出て、堤防に沿って東の方向に歩く。ヴァレッタの街は小高い岩山の半島の上にあり、外周の待望に沿って自動車道路が巡っているようだ。北の入江の対岸には近代的な集合住宅群が見える。フェリー船が往き来しているのは、入江の奥に港があるからだろう。空は真っ青な快晴で風がやや強い。日差しが刺すように暑いけれど、日陰に入ると途端に涼しくなるのは空気が乾燥しているからである。何しろヴァレッタの北緯はアフリカ北岸とほぼ同じである。東側の岬一帯は軍事施設になっているので、その手前を南下し西に向きを変えてしばらく歩くと小さな公園があり、ここからも北の入江を遠望できる。ホテルの真下まで歩き、そこから急な坂道を登るとホテルに着く。約1時間半で半島を半周したわけである。しばらく休んで昼過ぎにホテルを出て、昨夜のレストランでハムとメロン、魚介のスパゲッティとビールの昼食。お腹が落ち着いたところでリパブリック通りを西に向かい、議事堂を再訪した後、南へ曲がり屋外劇場の裏を抜けて、南側の街路を東に向けて歩き、3時半過ぎにホテルに戻る。たっぷりとビールを飲んだのでしばらくベッドで仮眠。6時半に一旦起きて、屋上テラスでワインとつまみをいただいたところで一気に眠気に襲われ、部屋に戻ってベッドに倒れ込む。ジェットラグの再来だろうか。夕食を忘れて、そのまま眠りについてしまう。


2017年09月20日(水)

ジェットラグと少し早めに寝たせいで3時前に目がさめる。その後はウトウトして6時前に起床。外はまだ真っ暗である。シャワーを浴びて目を覚ませた後、日記をまとめて書き込み、日本とのメール交換。連休明けで仕事の連絡が多い。7時あたりで少しずつ明るくなってくる。7時半にチェックアウト。これもカードの鍵をセンサーにかざして支払いを確認するだけである。外に出るとかなり寒い。天気はいいがパリは完全に秋である。ターミナル3のシャトル駅で終点のターミナル2駅まで戻り、TGV駅上を通り過ぎて約5分歩くとターミナル2Dに着く。入口で手荷物をチェックされ、さらに数分歩くと格安航空のチェックイン・カウンターが並び大勢の乗客が列をなしているが、マルタ航空のカウンターは一番奥である。少し早めに着いたので数人待つだけでチェックインできる。手荷物チェックを通って待合ゾーンに入ったのは8時半。出発時刻の10時20分まで十分に時間があるので、近くのカフェでクロワッサンとカプチーノの朝食。マルタの案内書を読んでびっくり。目当のハイポジウム遺跡は1ヶ月以上前の予約が必要だと書いてある。大急ぎで空港のWIFIでアクセスしてみるが時すでに遅しである。今日も明日も予約で一杯で天を仰ぐ。タレブ流にこれをプラスに変えることを考えていると、日本の佐々木睦朗さんからメールが届く。僕の日記を読んで『半脆弱性』を読み始めたという。先日の京都のコンペでYGSAチームに協力し勝利したそうなので、これも一つのプラスである。JIAマガジン9月号の僕の巻頭インタビューを読んだらしいが、僕はまだ読んでいない。帰国したら是非感想を聞いてみよう。一番奥のゲートからリムジンバスに乗り、マルタ行きの飛行機にタラップから乗り込み、定刻少し遅れの10時40分に出発。機内は9割の入り。2時間半の飛行で13時240分にマルタ国際空港着。荷物を受け取り14時過ぎに到着カウンターでホテルに頼んでおいたタクシー運転手と待ち合わせ、ヴァレッタのホテルへ14時半着。7室しかない街中の小さなホテルで最近リノベーションしたばかりの新しい建物である。荷物を開きしばらく休んだ後、15時過ぎにホテルを出て、歩いてヴァレッタの街の中心を東西に貫通するリパブリック通りを西に歩き、街の入り口脇に建つ〈マルタ国会議事堂〉へ。レンゾ・ピアノの設計で数年前にリノベーションが完成したばかりである。外装のベージュ色の石張りは周囲のコンテクストに合わせている。所々に石を加工した孔が穿たれているのは、ファサードのアクセントと日射制御だろうか。よく見ると構造は鉄骨造のようである。街の入口の門はピアノらしい鉄骨の尖塔である。国会議事堂前のカフェでビールを飲みながらしばらく休憩。その後、議事堂横の屋外劇場の裏を抜けて聖ヨハネ大聖堂へ。閉館寸前で30分しか滞在できなかったが、ここではカラヴァッジオの絵画を観る。早々に追い出され再びリパブリック通りを歩いて5時半にホテルに戻る。しばらく休憩したのち6時半にホテルの屋上テラスに上がりつまみと赤ワイン。7時にホテルを出て歩いて近くのレストランへ。ムール貝と魚介類のリゾットと白ワインの夕食。9時にホテルに戻りシャワーを浴びて早めに就寝。


2017年09月19日(火)

6時過ぎ起床。朝食後、洗面と歯磨きを済ませてから洗面用具一式をキャリーバッグに詰める。7時過ぎに妻と家を出て青山通りまで歩く。晴れで涼しい気候。タクシーで浜松町のモノレール乗り場へ。7時半のホームはラッシュアワーで人が溢れている。羽田国際空港ターミナルまでいつも通り1時間余で8時過ぎ着。JALパリ便にチェックインし、ターミナル北端の審査場でスムースに出国ゲートを通った後に、自動両替機で円をユーロに変える。ラウンジで日記を書き込んでしばらく休憩。手元に本がないので『半脆弱性』の読後評は、思いつくままの細切れ感想になってしまう。肝要な点は、〈半脆弱性〉は動的なシステムしか持ち得ない性質なので、建築や都市に適用する場合は、人間を含んだシステムを想定しなければならないことである。つまり〈建築の4層構造〉のそれぞれの層ではなく、総体を考慮する必要があるわけである。10時15分に出発ゲートに行き、少し遅れて10時40分に出発、機内で3本の映画を観たが、期待していた『エイリアン』も『ダンケルク』もなかった。イラン映画の『セールスマンの死』だけが印象に残る。定刻通り15時30分にシャルル・ド・ゴール空港着。入国審査場でコシノ・ジュンコ姉妹に会う。荷物を受け取り巨大なターミナル2Eを15分歩いてTGV駅脇の空港シャトル駅でシャトルに乗り2駅目のターミナル3駅で下車。いったん外に出て約5分歩きHotel citizenMに着く。一度泊まってみたいと考えていた完全自動のホテルである。チェックイン、支払、鍵の登録は予約したクレジットカードで自分で行い、室内の照明、空調、ブラインド、TVの調整をすべて備え付けのiPad miniによってワイヤレスで行うシステムである。空港の情報、天気予報、目覚時計の設定もできるし、WIFIはパスワードなしでどこでもつながる。慣れるまでにしばらく戸惑ったが、ベッドに横になってすべて済ませることができるのは新しい試みである。このシステムはいずれ住宅にも適用されるだろう。7時半に部屋を出て1階のセルフサービスの食堂で夕食。さすがにここの会計はウィトレスが行なっているが、すべてクレジットカード精算である。ワインをグラス2杯呑み、いい気分になったところで9時前に部屋に戻り。シャワーを浴びてからベッドに倒れ込む。


2017年09月18日(月)

7時半起床。台風一過の快晴で蒸し暑い一日。今日は祝日で事務所は休みだが、とりあえず9時に出社。日記を書き込んだ後、熊本のクライアント候補から「箱の家」に関する質問メールが届いたので、回答をまとめて返信。シャワーを浴びてからベッドの中で読書と仮眠。

夜に『反脆弱性 Anti-fragile』(ナシーム・タレブ:著 望月衛:監訳 千葉俊生:訳 ダイヤモンド社 2017)の再読を終了。しかし未だに問題点を整理しきれない。読み始めたのは8月27日(日)で、読み終わったのは9月14日(木)だから、いつもより時間がかかっている。というのも、読み進むにつれて、読み始めた時の印象がどんどん変わって行くので、頭を整理するのに時間がかかったからである。読み終わった感想を一言でいうなら、高度で包括的な〈時間論〉ということになろうか。しかも、膨大な知見が盛り込まれているが、単なる知見の集積ではなく、そこから〈倫理〉が導き出されている点が、これまで読んだ本の中では突出して意義深いように思う。〈脆さ Fragile〉の反意語が〈頑健 Strong〉や〈耐久 Durable〉ではなく〈反脆さ Anti-Fragile〉であるという定義が、すでに〈時間論〉を孕んでいる。というのも〈頑健〉で〈耐久〉であるとは、時間に対して安定していて動じないことを意味するが、〈反脆さ Anti-Fragile〉は、時間的変化や不確定なノイズを糧にして進化することを意味するからである。本書の冒頭で、タレブはこう言っている「反脆さは耐久力や頑健さを超越する。耐久力のあるものは、衝撃に耐え、現状をキープする。だが、反脆いものは衝撃を糧にする。この性質は、進化、文化、思想、革命、政治体制、技術的イノベーション、文化的・経済的な繁栄、企業の生存、美味しいレシピ、都市の隆盛、社会、法体系、赤道の熱帯雨林、菌耐性などなど、時とともに変化し続けてきたどんなものにも当てはまる。地球上の種の一つとしての人間の存在でさえ同じだ。(中略)反脆いものは、ランダム性や不確実性を好む。つまりこの点が重要なのだが、反脆いものは、ある種の間違いさえも歓迎するのだ」。さらにこうも言っている。「脆さや反脆さとは、変動性に関連する何かに対するエクスポージャー(さらされている状態)から、損失や利得を受ける可能性があることを意味する」。本書では、不確定で理解できないものを前もって予測し制御しようとするのではなく、それを糧にするような様々な〈反脆さ〉について論じている。不確定で予測できないものとは〈無秩序〉であり、その種別をタレブは以下のように列挙している。不確実性、変化、不十分で不完全な知識、偶然、混沌、変動性、無秩序、エントロピー、時、未知のもの、ランダム性、混乱、ストレス、間違い、結果のばらつき、似非知識。そして、これらを受け入れる〈反脆さ〉の形態について、具体例をあげ挙げながら論じている。本書は以下のような7部で構成されている。第1部「反脆さとは」では、上のような〈反脆さ〉の性質について論じている。第2部「現代性と、反脆さの否定」では、近代におけるシステムの固定化の弊害について論じている。第3部「予測無用の世界観」では、古代ローマの哲学者セネカの思想における物事の根本的な非対称性について紹介している。第4部「オプション性、技術、そして反脆さの知性」では、世界を動かしているある種の非対称性について論じながら、人間を現代まで誘ってくれたのがオプション性であることについて説明している。第5部「あれも非線形、これも非線形」では、脆さを非線形性(より具体的には凸効果)として位置付け、ある種の凸効果から得られる優位性について説明している。第6部「否定の道」では、足し算よりも引き算、作為よりも無作為、の方が賢明であることを説明し、それをリスク管理アプローチから医療に当てはめて論じている。第7部「脆さと反脆さの倫理」では、一方が利得を得れば、他方が損害を被るという〈脆さの移転〉の観点から倫理について論じている。付録において、タレブは多種多様なジャンルにおける〈脆さ〉〈頑健〉〈反脆さ〉の〈三つ組〉をリストにして紹介している。科学と技術では〈目的型の研究〉〈アドホックな研究〉〈確率論的な仮説形成とブリコラージュ〉として、政府の補助金による目的型研究がほとんど成果を上げていないことを紹介している。知識では〈明示的〉〈暗黙的〉〈暗黙的+凸性〉として、明示的な知識がほとんど有効性を持たないことを、哲学では〈合理主義〉〈経験主義〉〈引き算的な懐疑的経験主義〉として、〈オッカムの剃刀〉型の知識の有効性が論じられている。都市生活では〈ローバート・モーゼス+ル・コルビュジエ〉と〈ジェイン・ジェイコブス〉が対置されている。医療における〈干渉主義〉がもたらす〈医原病〉については学ぶことが多いし、都市計画におけるトップダウンとボトムアップの対比については〈反脆さ〉の概念に基づく根拠を与えられたように思う。つまるところ〈反脆さ〉は、対象にではなく、その変化に対応する人間や組織のシステムに埋め込まれた性質なので、建築や都市にそのまま適用するのは難しいかもしれない。これから海外に出かける僕にとっては、観光における〈目的論的誤り〉という指摘は耳が痛い。というか計画通りに行かないことで、いちいち悩んだりせず、それを新しい発見として見直すことの大切さを教えられた気がする。


2017年09月17日(日)

8時半起床。朝から雨が続く涼しい一日。10時出社。日記を書き込んだ後、一旦帰宅し旅行の準備再開し昼前に終える。12時前に家を出て雨の中、千代田線と日比谷線を乗り継ぎ六本木駅で下車。六本木ヒルズのTOHOシネマズへ12時15分着。予約購入した切符を受け取り12時35分から『エイリアン コヴェナント』(リドリー・スコット:監督 2017)を観る。一昨日公開したばかりだが、台風の雨のせいか観客は意外に少なく5割程度の入り。ネタバレになるので詳しくは書かないが、リドリー・スコットが監督したこれまでの2作『AILIEN-機戞悒廛蹈瓮謄Ε后戮魎僂討い覆い藩解しづらい部分も多々ある。TouTubeに公開されているが本編には入っていない予告編も予備知識として必要かもしれない。特に世代の異なる2人のアンドロイドを1人の俳優が一人二役で演じているため、僕も少々混乱させられる。しかもそれが物語の鍵にもなっているのである。ともかく間違いなく次作を予感させ作品である。映像は『プロメテウス』以上に壮大かつ緻密に計算され『AILIEN-機戮里茲Δ淵汽好撻鵐垢盪兇蠅个瓩蕕譴討い襪里如∨佑箸靴討亘足できる作品である。アンドロイドがバイロン(実はシェリー)の詩を唱える場面では、アルノルト・ベックリンの絵画「死の島」を思わせるショットが引用されていた。『ブレードランナー』では、アルド・ファン・エイクの「アルノルフィニ夫妻の肖像」の凸面鏡が引用されていたし、リドリー・スコットのこだわりには、いつも唸らされる。15時前に終了。15時半に帰社。齋藤さんから昨日の「161齋藤邸」のプレゼンテーションに関するメールが届く。第1案は気に入ってもらえたようだが、問題はやはり工事予算のようである。僕たちが提示した工事単価については納得できないようなので、自分でも調べてみたいとのこと。僕たちとしては、当初の予算に合わせた縮小案を作成することになった。平井さんからは「160平井邸」の図面が届いた旨のメールが届く。父親としてはやはり工事予算が心配のようである。Apple storeからMacBook修理の予約確認メールが届く。修理の前にバックアップを取るように指定されているが今日、明日は休日なので方法が分からない。やむなく帰国後に回す。夜はキャリーバッグ以外の荷物の確認。コンセントのアダプターと蓄電コード一式を揃える。文庫本2冊とガイドブック。航空券とホテルの予約をプリントアウト。9時半帰宅。旅行チャンネルTVでシチリアのパレルモ特集を観る。シチリアはタクシー移動が中心の予定だが、番組を見ていて、アグリジェントからパレルモへの移動は鉄道にしてみようかと考える。『反脆弱性』を再読しながら夜半就寝。


2017年09月16日(土)

7時起床。晴れで涼しい一日。8時半出社。10時半過ぎに齋藤さん一家が来所。「161齋藤邸」の第1回プレゼンテーション。模型と図面を見ながら設計の考え方を説明。案自体は気に入ってもらえたようだが、工事概算金額には少々びっくりしたようだ。最初に聞いていた予算を大幅にオーバーしているからである。それに対して、僕たちとしては、第1案は齋藤夫妻の希望をすべて満足させるような案を設計したら、工事費はどれだけになるかを知ってもらいたかったと説明する。最初から工事費を先行させるやり方もあるが、齋藤邸の場合は、敷地にゆとりがあることと、自邸にかける齋藤さんの意気込みを優先することにした。第1案はかなり背伸びした案だが、持ち帰って夫婦でじっくり話し合って欲しい旨を伝える。改めて予算の上限を支持してもらえれば、第2案を作成すると説明し12時前に終了。午後は木村+戸田と「160平井邸」の打ち合わせ。まだ設計内容に落ちがあるので調査と修正を指示する。木村は来週、審査機関に正式に提出する「159吉村邸」の確認申請書類の準備作業。この間、僕はMacBookを持ってアップルストア表参道へ。充電の際に異常な音がするので調べてもらおうと思ったが、メンテナンス・デスクは予約で一杯なので、その場で明後日正午に予約。夕方、ようやく「160平井邸」の図面がまとまったので、平井さんに宅急便にて送付。その後、スタッフを自宅に呼び、留守中の猫の餌と植木の水遣りについて説明。6時過ぎ解散。ジラルデッリ青木さんから帰国前のメッセージが届いたのでお礼のメッセージを返送。夕食後に旅行の準備作業を開始。iPhoneで行先の天気予報をチェックしながら、着替えを取捨選択する。マルタもシチリアもこの先10日間はそれほど暑くないようだし、パリやベルリンはほぼ秋の気候だが、それほど寒くはないようだ。いつものリモアのコンパクト・キャリーバッグにぴったり納める。思い立って明日の『エイリアン コヴェナント』の切符を予約。飛行機の中でも観ることができるだろうが、まずは大画面で観ておきたいと考えた。『反脆弱性』を再読しながら夜半就寝。


2017年09月15日(金)

7時起床。晴れでやや涼しい一日。8時半出社。9時前に事務所を出て、散歩がてら青山の銀行に行き雑用。いつもは月末の作業だが、9月中は海外なので早目に済ませる。13時、出版社編集部が審査対象の論文を届けてくれる。審査の経緯と要領について説明を受けた後、昨今の建築関係の出版事情についてしばらく四方山話。『メタル建築史』や『構造・構築・建築』についてもよく知っているようだ。木村と「161齋藤邸」第1案の設計要旨、プレゼテーション図面、模型について最後のチェック。アクリルケースを作成すれば完成である。3時半に事務所を出て青山歯科医院へ。下奥歯の最後の治療。仮蓋を除去し、歯の内側を念入りに掃除した上で本蓋を被せる。削る作業がかなり繰り返されたが痛さはほとんど感じないので完治しているという歯科医の診断。これで固い食材を噛んでも問題ないそうだ。5時半帰社。6時半過ぎにジラルデッリ青木美由紀さんが来所。伊東忠太の本を通して知り合い、facebookでやりとりしてきたが、直接会うのは初めてである。写真よりも少し印象が異なるのは、写真ではいつも笑顔だからかもしれない。真面目な顔で話す青木さんはずっと知的で魅力的である。30分程度歓談した後、妻が加わり、歩いて原宿の行きつけのイタ飯屋へ向かう。娘も参加予定だったが、残念ながら体調不良で欠席。いつもは静かな店なのに若い客が大声で話すので少々五月蝿い。和牛のカルパッチオ、ポルチーニやカラスミのパスタなどをいただきながら赤ワインで話は盛り上がる。イスタンブールやイタリアでの生活、伊東忠太の研究の経緯、今後の出版と研究の予定などを訊く。来週、僕たちが行くシチリアについても話題になった。どんな話題にも的確に対応する才気煥発な女性である。今年中に再来日の予定があるので、その際には是非とも娘を会わせたい。再会を約して9時半に店を出る。竹下通りの入口で別れ、10時前に帰社。スタッフと明日の予定を簡単に打ち合わせ10時に帰宅、ウィスキーを呑み直し『反脆弱性』を再読しながら夜半就寝。

1997年に米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた土星探査機カッシーニが、20年間の探査任務を終えて日本時間の今日(9/15)土星の大気に突入するそうだ。燃え尽きて消滅するまで土星大気などの観測を続け、地球に向けた最後の信号は午後8時55分ごろに届く見通しである。カッシーニを完全に擬人化しているせいか、記事を読んでいると胸が熱くなる。ほとんどの人がこういう感情を共有するのはなぜだろうか。不思議だが論理では説明できない現象である。


2017年09月14日(木)

6時半起床。晴れで暑い一日。7時半過ぎ出社。直ちに事務所を出て、副都心線の明治神宮前駅8時過ぎ発の電車に乗り、和光市で東武東上線の急行に乗り継いで終点の寄居駅に10時着。タクシー乗り場で栃内と待ち合わせ「アタゴ第2工場」の現場へ10時15分着。現場事務所の山口さん登坂さんと一緒に工事中の「アタゴ第2工場」の内外をゆっくり見て回る、建築工事はかなり進んでおり、現在内部は主に設備工事、外部は外構工事が中心である。第1工場よりも全体的に天井が低いのは、第1工場で、安全を見て天井を高くしたことのフィードバックだろう。気積が減理、熱負荷は削減されたかもしれない。間仕切りや会議室、トイレ、ロッカーはコンパクトに納まっている。建物の足元周りを注意深く観たが、大きな問題点はなく11時半に終了。歩いていつもの和風ファミレスに立ち寄り昼食を摂って15時に帰社。木村+戸田と「160平井邸」打ち合わせ。図面内により詳しい説明を加えるように指示。17時半に吉村夫妻が来所。「159吉村邸」の詳細部分の確認と工事契約金額について打ち合わせ。アクアレーヤー・システムについては今回初めて床下空調方式と床下敷込方式の両方を採用するので、工事記録をとってはどうかという提案をもらう。工事契約金額を決め、契約の作業を進めることを確認し7時前に終了。直ちにTH-1に打ち合わせ結果の報告メールを送る。みすず書房から『ポチョムキン都市』(アドルフ・ロース:著 鈴木了二・中谷礼仁:監修 加藤淳:訳 みすず書房 2017)が届く。『虚空に向けて』『にもかかわらず』に続くロース三部作の最終巻である。夜は読書。『反脆弱性』を読み終わる。最後あたりは、読み始めた時の印象から随分変わったので、週末に再読してみよう。


2017年09月13日(水)

7時起床。晴れのち曇りで蒸し暑い一日。週末にかけて台風18号が関東に近づき大荒れになりそうだ。8時半出社。ニチハから「158吉村邸」の先週末のメールに対する返事が届く。僕の希望をそれなりに受け入れてくれたようだ。引き続きTH-1からニチハの回答を盛り込んだ最終工事金額の回答が届く。残念ながら今一歩、吉村さんの希望には届いていないが、止むを得ず吉村夫妻に報告メールを送る。芦澤泰偉さんからA&Fの原稿が届いた旨の返信メールが届く。文字数は何とか納まりそうだとのことなので胸を撫で下ろす。写真の扱いに関するコメント、プロフィール、顔写真を送って作業はすべて終了。残りの作業はゲラの校正だけである。木村と「161斎藤邸」の打ち合わせ。基本図面と設計要旨をチェックし、齋藤さんの希望に合わせて微調整を行う。模型の途中経過をチェックし、これまでの模型を参考にしがらスクリーンの表現を決める。旅行前の仕事の区切りが徐々に収斂していく。旅行の準備は連休中にすることにして、その前に一通り仕事をまとめよう。明日は「アタゴ第2工場」の現場監理に行ってから、午後には「160平井邸」の打ち合わせの予定。

『反脆弱性』は、日常生活の中で疑問を持たずに続けている多くのことに、次々と疑問符をつきつけてくる。タレブの考えは進化論と自分の経験から導き出されたものなので説得力がある。要するに〈時間〉と〈歴史〉がうみ出した法則なのである。旅行を機会に色々試みてみようと考えて、まずタレブのアドバイスにしたがって、行きつけの診療所に電話し、海外旅行前の定期検診予約を旅行後に延ばし、残った一週間分の血圧降下剤を旅行中に散発的に服むことにする。『反脆弱性』は明日中には読み終わるので、改めて頭を整理してみよう。


2017年09月12日(火)

7時起床。小雨のち曇りのち晴れの蒸し暑い一日。8時半出社。今朝は木村と戸田は高井戸の「160平井邸」の既存住戸調査に出かけている。朝から集中し芦澤泰偉さんに頼まれたA&Fの原稿「箱の家の自然」を14時過ぎにようやく書き上げる。頼まれたのは15枚だが思い切って縮めても20枚が限度で、個別の〈箱の家〉の紹介をする余裕はないので、やや尻切れトンボな原稿になってしまう。5戸の〈箱の家〉の写真を添付して芦澤さんに送信。さてどうなることやら。引き続き今週土曜日のプレゼンテーションのために「161齋藤邸」設計要旨をまとめる。工事費の概算をどう計算するか悩んだが、進行中の「158吉村邸」の単価を適用するのがもっともリアリティがあるので、それを元に計算すると、かなり予算をオーバーした数字になる。抑え気味の概算に変えるかどうか思案のしどころである。スタッフの意見も聴いてみよう。ある組織から論文審査の依頼メールが届く。前田記念財団に似た博士論文の審査である。名誉なことなので引き受けることにするが、締切が10月末は少々キツイので半月の延期を頼む。論文は今週金曜日に届くことになった。9時半帰宅。シャワーを浴び『反脆弱性』を読みながら夜半就寝。

『反脆弱性』では、建築についても論じられている。タレブはブノワ・マンデルブロにしたがって建築のフラクタル性の重要性を主張している。部分の集積によるボトムアップな建築は必然的にフラクタルな形態になるが、アントニオ・ガウディ賛歌は今更という気がする。むしろ最近の建築では、外壁や屋根に植物を導入し、内外空間を相互貫入させようとする試みが多く見られるが、これもフラクタル性追求の一種かもしれない。「161斎藤邸」でもフラクタルな〈箱の家〉を試みてみようか。〈医原病〉をテーマに、タレブは薬の服用に関する持論を展開している。身体に対する薬の効果は非線形だから、重篤な病気でない限り、定期的に服用するのは逆効果だという。タレブはそれを〈凸バイアス〉と呼び、薬の服用をランダムにする方が、身体にはかえって効果的だと主張している。血圧に関しても同じことがいえるかも知れない。興味深い仮説なので、早速今度の海外旅行中に血圧降圧剤で試してみよう。


2017年09月11日(月)

7時起床。晴れのち曇りの過ごしやすい一日。8時半出社。10時に平井直子さんとお母様が来所。「160平井邸」の図面一式に従って設計概要を説明。使用予定の材料や機器のカタログ・コピーを渡す。僕たちの提案は、ほぼ受け入れてもらえそうだが、展開図がまだ描けていないので家具や棚類の使用は決まっていない。マンションに住む場合は収納の量が大きな課題だが、現設計では収納が少ないようだ。そこで居間がやや広めなので、壁面一面に壁収納を加えることを提案する。展開図を今週中に仕上げて送付することを約し、次回の打ち合わせ日時を決めて11時過ぎに終了。木村・戸田に展開図を描くために、既存住戸の棚類を調査するように指示し、明朝に再度、高井戸のマンションに行くことにする。昼過ぎにニチハから査定回答を水曜日まで待ってほしい旨の電話連絡。期待した対応ではないのでキレそうになるがグッと我慢する。15時にTH-1の朝倉社長と渡邊さんが来所。まず「160平井邸」の相談。大工の都合で工事着手は来年2月頃になりそうだとのこと。ならば設計と見積は早めにまとめて、その後に少し時間をかけてフィードバックを試みることにしよう。16時に吉村夫妻が来所。「159吉村邸」の三者会談。工事金額はほぼ収斂しているが、まだ最終金額の合意には至らない。ニチハの回答を待って明後日に再検討することとし17時に終了。いつもながら工事契約金額への収斂プロセスは宙ぶらりん状態の連続だが、ここが我慢のしどころである。A&F原稿のタイトルを「〈箱の家〉の自然」に決めて昨日までの原稿を読み直し内容を大幅に変更する。一気に15枚書くがまだ終わらない。ともかく考えたことをまとめることにしよう。夜は読書。21時半に帰宅。『反脆弱性』を読みながら夜半就寝。


2017年09月10日(日)

8時起床。晴れで蒸し暑い一日。10時出社。日記を書き込んだ後に戸田がまとめた「160平井邸」の図面に一通り目を通す。引き続きA&F原稿に向かうが、気分が乗らず昼前に休止。午後はシャワーを浴びてからベッドに横になり仮眠と読書のくり返し。再度、出社して原稿に取り組もうかと思ったが『反脆弱性』が面白くて読み続ける。〈反脆弱性〉に関するタレブの主張は、すべて自分の経験に基づいているため、説得力があるだけでなく〈反脆弱性〉の事例の紹介が、そのまま自伝になっているので、ハイレベルな小説を読んでいるような感じである。それにしても〈理論〉に対するタレブの不信感は徹底しており、彼の主張は理論信者である僕の頭脳に突き刺さる。彼によれば〈理論〉は〈実践〉から生みだされるのであり、逆ではない。とりわけ技術史に関する彼の主張には説得力がある。その点でタレブは徹頭徹尾ボトムアップ論者である。理論信仰とボトムアップ的実践が対立していることを思い知らされる。


2017年09月09日(土)

7時起床。晴れでやや暑いが過ごしやすい一日。8時半出社。9時前に渋谷区中央図書館から電話があり、今日は土曜日なので借りている『東洋建築の研究』を11時過ぎから正午の間に返却するように頼まれる。やむなく「159吉村邸」の境界確定と井戸の確認作業を木村に頼む。11時に事務所を出て、約10分歩いて渋谷区中央図書館へ。1階カウンターで本を返却した後に竹下通り入口のビル工事現場を眺めながら11時半前に帰社。13時半に木村が帰社したので現場の状況の報告を受け、既存井戸への対応に関する私見メールを吉村さんに送信する。その後「160平井邸」のプレゼンテーション打ち合わせ。戸田がまとめた概要書を見ながら平井さんの希望を再確認し、既存と改修工事の区分を明確に表示するように指示。A&F原稿を少々。15時過ぎに今日の仕事を打ち上げたが戸田は18時頃まで作業を続ける。夜は銀座の行きつけの中華料理屋で夕食。食事中に火災警報が鳴り消防車が駆けつけて騒然としたが、まもなくいたずらであることが判明し事なきを得る。9時帰宅。『反脆弱性』は上巻を読み終わり下巻に進む。


2017年09月08日(金)

7時起床。曇り後晴れでやや暑い一日。8時過ぎ出社。直ちに事務所を出て青山歯科医院へ。8時半から奥歯治療の継続。かなり念入りに奥歯の底を消毒清掃しセメントで蓋をする。歯の奥に微かな鈍痛を感じる。再来週に海外に出かける旨を歯科医に伝え、一週間後の治療日を予約して9時半に帰社。木村+戸田と「160平井邸」の打ち合わせ。アクソメのアングルを確定。明日までに概要書をまとめるように指示する。木村は「161齋藤邸」のプレゼンテーション模型の製作に着手。午後はA&F原稿に集中し17時までに半分の8枚まで書く。何とか週末までにはまとめよう。夕方TH-1から見積査定の回答が届く。期待したほど減額されていないので、メーカーに直接メールを送り、来週月曜日の三者会談までに再検討を依頼する。回答によっては、僕としては何らかの対応を考えざるを得ない。パリの坂茂事務所から9月28日(木)の〈ラ・セーヌ・ミュジカル〉の見学スケジュールが届く。当日、坂さんはパリにいないので、パリ事務所のスタッフが案内してくれるそうだ。easyjet社からパリーベルリン航空便の予約確認メールが届いたので、往復航空券をWalletにダウンロードする。夜は読書。『反脆弱性』を読みながら夜半就寝。投資や金融に携わるニューヨークやロンドンの人々に関するタレブの経験談には目からウロコが落ちる。


2017年09月07日(木)

7時起床。曇り時々雨の涼しい一日。8時半出社。10時から木村+戸田と「160平井邸」の打ち合わせ。建築、電気、空調の平面図と仕様を確認した上で、アクソメのアングルと描き方をチェックバック。「137志賀邸」の改修を参考にしながら、仕上げと改修項目をまとめた概要書を作成するように指示する。さらにジェームズ・スターリング流のアクソメの省略法について話す。引き続き「161齋藤邸」の打ち合わせ。構造システムと建築空間のアクソメ図をチェックバック。平・立・断面図を見ながら、模型製作のため暫定的に日射スクリーンの材料と構法を決める。週末にはプレゼンテーション用模型の作成に着手する予定。A&Fの原稿を書き始めるが、全体の方針は見えているにもかかわらず、なかなか発火しない。海外旅行の宿泊ホテルと移動の航空便について、ホテルや航空会社から確認のメールが届き始めたので、旅程を最終チェックし確認の返信メールを送る。夕方、栃内が大洗の「158石邸」現場監理から帰社。屋根の金属工事、外部のアルミサッシ、ガラス工事がほぼ完了し、残りのシェルター工事は外装だけである。海外からから帰国したら僕も現場監理に行ってみよう。夜は読書。旅行前に『反脆弱性』を読了したい。


2017年09月06日(水)

7時起床。小雨のち曇りの涼しい一日。8時半出社。木村がまとめた「161齋藤邸」の基本図について打ち合わせ。構造システムに若干の変更を加えてチェックバック。隣家側が南なので日射を採り入れながら視線を制御することと、前面道路側は逆に西日を遮蔽しながら空間的に開放することが課題である。構造システムと建築のアクソメをまとめるように指示する。13時に妻と事務所を出て、地下鉄半蔵門線と有楽町線を乗り継ぎ、終点の新木場駅でJR京葉線に乗り換え、新浦安駅で下車。タクシーで順天堂大浦安病院に14時過ぎに到着。叔母が入院している部屋に行くと精密検査中。小一時間待って15時前に部屋に戻ってくる。意外に意識はしっかりしており会話もできるほどに回復しているが、眼鏡をかけようとする手が小刻みに震えるのは脳梗塞の症状かもしれない。近況についてしばらく会話。15時半過ぎにお暇し17時過ぎに帰社。佐々木睦朗さんからのメールで、一昨日の夕刻に播繁さんが亡くなったという知らせが届く。入院中に一度お見舞いに行きたかったが果たせなかった。17時半に栃内が「アタゴ第2工場」の設備工事監理から戻ってくる。とくに大きな問題はなかったようだ。夜は読書。21時半帰宅。

『反脆弱性』を読み続け、ようやく著者タレブの考え方が見えてくる。『ブラックスワン』は未来の予測不可能性がテーマだったが、本書は確率論や複雑性理論など予測精度をいくら上げても〈ブラックスワン〉を予測することは不可能であることを再確認した上で、その対処法を模索している。つまり事象予測法の精緻化ではなく、むしろ不測の事態に対するシステム側の体制のあり方を追求すべきであり、その答えが〈反脆弱性〉なのである。したがって本書の根本的なテーマは、つまるところ〈時間論〉であることが分かる。この視点から見ると、加藤耕一の『時がつくる建築』や大月敏雄の『町を住みこなす』に対して僕が抱いた一抹の疑問の理由も明らかになる。それは両著とも、建築や町の時間的変化を予測すべきであり、予測できると主張している点にある。ある意味で、それは当然だろう。研究者は研究対象を熟知しているがゆえに、その変化を予測できると思い込み勝ちだからである。しかしながらタレブによれば、大勢に影響のない微細な変化は難なく予測できるが、重大な変化つまり〈ブラックスワン〉は本質的に予測不可能である。したがって追求すべきなのは、建築や町の時間的変化の予測ではなく、むしろ時間的変化に対する建築や町の〈反脆弱性〉なのである。まだ全体の1/3までしか読んでいないので、はっきりとした結論は分からないが、今後はそういう視点から読み進めることにしよう。


2017年09月05日(火)

7時起床。曇り時々晴れの過ごしやすい1日。8時半出社。縦ログ構法本の原稿を読み直した上で、図版と写真を整理し、数回に分けてフリックスタジオに送る。締切日よりも10日間早い。一昨日に訪問した〈福山の住宅〉の画家、小林正人さんとfacebookで友達申請し、お礼と感想のやりとり。岩元真明さんのページには土居さんもコメントを書き込んでいる。昼前に散歩がてら表参道を通って青山の銀行へ。先週末にApple PayのiPhoneスイカにチャージしたが、金額が表示されないのに、カード側の記録には引き落とし金額が表示された。実際に引き落とされているかどうかを銀行側に確認してもらうと、引き落としの記録はないとのことなので一安心。それにしても、なぜApple Pay上のカードに引き落とし金額が表示されるのかが解せない。8月28日(月)には、9月5日(月)のシステム・メンテナンスの知らせが届いたが、僕が金額をチャージしたのは9月2日(土)である。最終的にはモバイルSuicaに問い合わせるしかないが、何度電話してもオペレーターに繋がらない。原宿駅のみどりの窓口が閉鎖されてしまったので渋谷まで行かねばならないが、面倒なのでまだ行かずじまいである。家早南友。ともかくカードの支払記録が届くのを待って再確認しよう。「161齋藤邸」の斎藤さんから敷地測量図が届く。当初もらった敷地図とほぼ同じなので、木村と打ち合わせ、模型製作に着手するための図面一式の作成を開始。斎藤さんにお礼と来週末のプレゼンテーションの提案メールを返送。直ちに承諾のメールが届く。16時に吉村夫妻が来所し「159吉村邸」のコストダウン変更の打ち合わせ。TH-1からの査定回答の金額が予想以上に高かったので細かな工事項目を中止する。査定回答に関する質疑とコストダウン項目を整理しTH-1に送信。来週に三者会談を持つことになった。17時半終了。夜はA&Fの原稿を少々。なんとか今週中に目処をつけたい。9時半帰宅。シャワーを浴びた後『反脆弱性』を読みながら夜半就寝。


2017年09月04日(月)

7時半起床。曇りの涼しい一日。9時前に出社。昨夜、従兄弟から叔母が脳梗塞で入院したというメッセージが届く。先月に叔父が亡くなってから心労が溜まっていたのだろうか。同じ病院なので今週水曜日に見舞いに行くことにする。10時半前に栃内と事務所をでて副都心線、東武東上線を乗り継ぎ終点の寄居駅に正午着。電車内からメールでTH-1から届いた「159吉村邸」の見積査定回答を吉村さんに送り、明日の午後に打ち合わせることにする。タクシーでいつもの和風ファミレスまで行き昼食。しばらく休んでから13時半に店を出て歩いてアタゴ第1工場へ。現場は風が強く寒い位である。14時から9月の現場定例会義。工事は残すところ1ヶ月半で、既に7割方進んでいるので、打ち合わせの内容は細かな点ばかりである。15時に終了後、現場に赴く。外部のガラス工事が終了しているため工場内部は殊の外静かで、設備工事が着々と進んでいる。30分ばかり工事の様子を見て回った後に現場小屋で一休み。4時前にタクシーで現場を発ち6時に帰社。20時から木村+戸田と「160平井邸」の打ち合わせ。案はほぼ収斂したのでアクソメと展開図を描くように指示。昨日の日記を書き込んで10時帰宅。『反脆弱性』を読みながら夜半就寝。


2017年09月03日(日)

6時半起床。寝汗をかいたのでシャワーを浴び、7時過ぎにロビー階の食堂で朝食を摂る。職人風の宿泊客が多いようだ。8時前に部屋に戻り8時からNHKEテレで『日本の家』を観ようとしたが、東京とは番組構成が違うようで放映していない。やむなく8時過ぎにチェックアウトし歩いて柳井駅へ。8時半過ぎの普通電車の岩国行に乗車。穏やかな瀬戸内海を眺めながら9時に岩国駅着。ホームを移動して白市行に乗り換え、宮島口を通り過ぎで10時前に広島駅の一駅前の新白島駅にて下車。地下鉄アストラムラインに乗り換えようとするがJR駅からの接続は分かりにくい。昨日は駅の上空を走る新幹線からCAtがデザインしたヴォールト状の新白島駅がはっきり見えたが、山陽線の上下線ホームからはまったく見えないのである。何か事情でもあったのだろうか。案内に従ってガード下を取り抜け、エレベーターと階段を上下してアストラムライン新白島駅に辿り着く。ともかく乗り換えの動線は、ほとんどJRの悪意としか思えないほど最悪である。JR線ホームからヴォールトの駅シェルターが少しでも見えれば、降りたくなる人が増えるに違いないのに残念至極というしかない。3駅乗って終点の本通り駅にて下車、地上に出て歩いて5分で三分一博志設計の〈おりづるタワー〉へ。入館料1700円とはチト高いが12階の〈ひろしまの丘〉からの平和公園の眺めは圧巻である。カフェでアイスコーヒーをもらい、階段状の木床に座りながら、しばらく眺望を堪能し昨日の日記を書き込む。広島工業大学で建築学会の大会を開催中らしく、この間に何人かの知り合いに会う。小1時間滞在した後にスパイラルスロープ〈散歩坂〉を地上階まで下り外に出る。原爆ドームの脇を抜けて丹下健三の〈平和記念資料館〉へ向かうが、本館と資料館との連絡通路の工事中で足元まではいけない。やむなく資料館のホールを抜けて平和通りのイサム・ノグチの欄干を眺めながら大橋を渡り、左に折れて元安川に沿って紙屋町まで戻り、日曜日でごった返す本通り銀天街を東に向かって歩く。途中で左折し路地脇のうどん屋で軽い昼食。インターネットで調べると村野藤吾の〈平和記念聖堂〉もメンテナンス工事中なので行くのを諦めて13時過ぎに店を出る。相生通りに出て広電に乗り広島駅へ13時半着。予約した新幹線まで1時間弱あるので、駅ビル2階の食堂街を見学。通路に沿ってラーメン屋、居酒屋、お好み焼屋など屋台風の店が並び通路は客で一杯である。14時過に新幹線待合室に移動し、しばらく休憩。14時22分発の新幹線に乗り14時45分に福山駅着。ホームで中川純さんと合流。車内で会った小泉雅生さんと金子尚志さんのレンタカーに同乗し鞆の浦の岩元真明+千種成顕設計の〈福山の小屋〉のオープンハウスへ15時半前に到着。既に岩元夫人の緒方菜穂子さんと娘さん、姜順英さん、竹内誠一郎さん、丁周磨さんらが待機している。皆、東大建築学科の教え子である。海を見渡す緩やかな斜面上の敷地で、宮森洋一郎設計の既存のRC+S造2階建住宅の脇に建てた木造平屋の住宅である。建主は既存住宅と同じ東京芸大教授の小林正人夫妻である。30亳の杉パネルを切妻に組み、麻ロープでトラスに組んだユニークな構造デザインは僕の教え子で岩元さんの後輩の荒木美香さんである。かっちりした既存住宅とプリミティブハットのような小屋という対照的なデザインは、建て主の希望だそうだ。まもなく土居義岳さんや佐藤淳さんが到着。しばらく岩元+千種両氏の説明を聞いた後に既存住宅も見学させてもらう。16時過ぎにお暇して聴竹居を設計した藤井厚二の設計の〈鞆の浦〉にある〈後上邸〉へ。藤井の実兄の邸宅で、最近メンテナンス工事を終えたらしい。突然の訪問なので当然内部は見学できないが、集落の最も高い場所にあり斜面に佇つ外観を遠望する。隣の寺の参道からは〈鞆の浦〉の集落全体を見渡すことができる。歩いて港まで降りると、港岸の直ぐ傍に重要文化財である太田博太郎の生家があることを発見。以前は酒屋だったそうだ。太田博太郎先生は東大建築史講座の巨匠であり鈴木博之が尊敬した建築史家である。僕も講義を聴いたことがある。集落内をしばらく散歩した後に車で福山駅へ18時に戻る。駅前で皆さんと別れ、バスで駅に着いた姜、竹内、丁の3人と近くの居酒屋で夕食。色々と近況を聞く。19時半に店を出て20時前に福山発の新幹線で新大阪へ。車内でもハイボールを飲みながら歓談。新大阪駅で別れ、21時過ぎ発ののぞみに乗り換えて品川駅に23時半着。24時に帰宅。猫に餌をやり、ウィスキーを呑み直して1時過ぎに就寝。長い一日だった。


2017年09月02日(土)

歯痛は消えていつも通り7時起床。早朝から雨が降り始め後に晴れる。8時過ぎ出社。日記を書き込んだ後アップル・サポートサービスセンターに電話する。iPhone Apple Payスイカの残金が少なくなったので、昨夜クレジットカードから入金したが、iPhoneスイカにチャージ金額が表示されないので、カード会社に問い合わせた。しかしチャージ金額が引き落としされていることまでは確認できたが、iPhoneスイカへの金額非表示の問題までは分からないと言われたからである。エンジニアがあれこれ調べてくれたが、結局、JRスイカの係に問い合わせるしかないという返答。やむなく9時半に事務所を出て表参道駅で改札を通ったら、いきなりチャージ金額が表示される。家早南友だが、表示されたのは最初の入金額だけで、カード会社を変えて2回入金した金額までは表示されない。品川駅のみどりの窓口で問い合わせようとしたが、改札を出ないといけないため時間切れで諦め10時半ののぞみ新幹線に乗車。14時半過ぎに徳山駅着。山陽本線に乗り換えて柳井駅に15時半着。タクシーで〈柳井の町家〉へ。弟夫婦に挨拶し、仏壇に線香をあげた後に、歩いて墓参りへ。線香をあげて16時半に戻る。弟夫婦としばし歓談した後に、駅近くのホテルまで送ってもらいチェックイン。しばらく休んでから6時前にホテルを出て歩いて駅近くの居酒屋へ。弟夫婦、甥と彼の娘の5人で会食。土曜日で店内は満員。焼酎のロックを呑みながら昔話で盛り上がる。9時過ぎに店を出てホテルに戻り、ビールを呑み直し、シャワーを浴びてそのままベッドに倒れ込む。


2017年09月01日(金)

今日も5時過ぎに目が醒めるがほとんど歯痛はない。この時刻の目覚めはここ数日の習慣になったようだ。そのまま再び眠り7時起床。曇り時々晴れで秋のように涼しい一日。8時半出社。木村と戸田と「160平井邸」の打ち合わせ。戸田がまとめた目標案の建築図、電気図、設備図を見ながら打ち合わせ。予想通りほぼ素人に近い案なので、〈箱の家〉のコンセプトについて細かく説明しながらチェックバック。照明計画については、生活動線を踏まえながら〈明るさ〉よりも〈暗さ〉をデザインすることの重要性について説明する。空調設備についても空気の流れを抑えながら、必要最小限の能力に抑えることを指示する。目標を明確にした上で、既存との相違を図面と改修項目に明示するように指示。午後、木村は「161齋藤邸」の事前相談と「159吉村邸」の構造設計の仮申請のために審査機関へ赴く。5時半に帰社したので「161齋藤邸」の事前相談の結果報告を受けながら設計変更の検討。審査機関の指導をそのまま設計に反映させるのではなく、指導を受け入れながら、それを契機にデザインをさらに展開させることの重要性を指摘する。栃内が整理した「158石邸」の現場監理報告のメールを石さんに送信。「アタゴ第2工場」については現場から提案のあった設計変更について打ち合わせ、結果をまとめて大成建設に送信。合わせて今週の現場監理報告をまとめて永吉工場長にメール送信。9時半帰宅。明日の帰郷の準備をした後『反脆弱性』を読みながら夜半就寝。


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