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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2019年02月16日(土)

7時起床。晴れで昨日よりはやや暖かい一日。8時半出社。オンサイトへプレカット図のチェックバックを送る長いコメントメールを先行してまとめる。これにチェックバック図を添付する予定だが、佐々木構造計画の永井さんからさは昨日チャックバックが届いているのに、戸田の作業が遅々として進まない。午前中に小屋伏図をまとめ、午後一番に再度の打ち合わせ、15時過ぎにプレカット図のチェックバックがようやくまとまったので、参考図として矩計図を加えてオンサイトに送信する。これで十分に理解してもらうことを祈ろう。木村が「162酒井邸」見積の1社分の査定をまとめたので、その建設会社と酒井さんに送信。残る1社の査定は来週半ばまでにまとめる予定。来週月曜日には最初の査定回答が届く予定である。16時に事務所内外を掃除し今週の仕事を終了。その後は『都市科学事典』の原稿スケッチを少々。夕方に帰宅してiPadでオンサイトに送信したプレカット図のチェックバック図を改めて見直してみると、2点の初歩的な間違いを発見。戸田にメールで指摘し、大至急図面の修正と再送信を指示する。家早何友である。『わたしは不思議の環』を読みながら早めに就寝。


2019年02月15日(金)

7時起床。曇りで寒い一日。8時半出社。昨日オンサイトから届いた「163保田邸」のプレカット図について、佐々木構造計画の永井さんからチェックバック図面が届く。かなり大量の書き込みがあり、追加と修正の指示が行われている。このチェックバック図面に基づいて午後に打ち合わせすることを戸田に伝え、目を通しておくように指示する。永井さんとしては、大雑把で抜けの多いプレカット図にやや苛立ちを感じているようである。午後、戸田とプレカット図について打ち合わせ。先方からの図面に引きずられて戸田まで頭が混乱しているようだ。というかプレカット図なるものを初めて見たせいかシステムを十分に理解できないのかもしれない。小屋伏図については、修正点をいちいち描き込むよりも、こちらで図面を描くことにして、その方針を指示する。2月工程表では承認日が2月20日となっているが、それまでにまとめ上げるのは難しいだろう。夜、再度、戸田と打ち合わせて小屋伏図をチェック。木村は「162酒井邸」の2社の見積査定を続けている。何とか今週末か来週明けには建設会社に送信したい。『わたしは不思議の環』は、すべての論理を整数化するゲーデルの挑戦に関する議論が続く。ホフスタッターはその作業を〈アナロジー〉と呼んでいるのが興味深い。

1月30日(水)と31日(木))の日記に『未来のコミューン---家、家族、共存のかたち』(中谷礼仁:著 インスクリプト 2019)の読後評を書き、ヴァルター・ベンヤミンに倣って、人間の無意識を組織化することが建築のはたらきの本質ではないかと指摘した。このテーマについては、かつて放送大学でもとり挙げて話したことがある。放送大学のテキスト『新しい住宅の世界』(放送大学教育振興会 2013)の第12章「生きられる家」に、僕は以下のように書いている。読後評の続きとして紹介しておこう。

「建築の及ぼす作用を考えてみることは、大衆と芸術の関係について究明しようとするすべての試みにとって、意味がある。建築物は二重のしかたで、使用することと鑑賞することとによって、受容される。あるいは触覚的ならびに視覚的、といったほうがいいだろうか。このような受容の概念は、たとえば旅行者が有名な建築物を前にしたときの通例のような、精神集中の在りかたとは似ても似つかない。つまり、視覚的な受容の側での静観に似たものが、触覚的な受容の側にはないからだ。触覚的な受容は、注目という方途よりも、むしろ慣れという方途をたどる。建築においては、慣れを通じてのこの受容が、視覚的な受容をさえも大幅に規定してくる。また、視覚的な受容にしても、もともと緊張して注目するところからよりも以上に、ふと目を向けるところから、行われるのである。建築において学ばれるこのような受容のしかたは、しかも、ある状況のもとでは規範的な価値をもつ。事実、歴史の転換期にあって人間の知覚器官に課される諸課題は、たんなる視覚の方途では、すなわち静観をもってしては、少しも解決されえない。それらの課題は時間をかけて、触覚的な受容に導かれた慣れを通じて、解決されていくほかない。慣れていくことは、くつろいだひとにもできる。それどころか、ある種の課題をくつろいで解決しうることこそが、初めて、ひとが課題の解決に慣れてきたことを、あかしする。知覚に課された新しい課題がどの程度まで解決可能になったかは、芸術が提供するべきくつろぎを目安として点検できよう。」『複製技術時代の芸術』(ヴァルター・ベンヤミン:著 野村修訳 岩波文庫 1994)

ここにはいくつかの視点が重なり合っている。ベンヤミンはまず、建築の受容のされ方を〈鑑賞すること〉と〈使用すること〉の二つの側面からとらえている。この二側面は、そのまま〈形態と機能〉の対比に重ね合わせることができるだろう。ベンヤミンはこの二側面を〈注視〉と〈慣れ〉の対比としてもとらえ、さらに〈視覚的な受容〉と〈触覚的な受容〉へと展開させている。それぞれのとらえ方には微妙なズレがある。そのズレをはっきりさせるために、僕はさらに二つの視点を導入してみたい。ひとつは〈空間的受容〉と〈時間的受容〉、もうひとつは〈意識〉と〈無意識〉という対比である。建築を鑑賞することは、視覚的に注目し、意識的にとらえることである。触覚的鑑賞というような鑑賞の仕方もあるかも知れないが、いずれにしても意識をそばだてることによって受容されることにおいては変わりない。鑑賞されるのは形態や空間であり、機能ではない。機能に関して、実用的鑑賞といったものを想定することも不可能ではないが、それは一時的で試験的な機能に過ぎない。機能、すなわち建築を使用することは、時間をかけて空間や形態に慣れ親しみ、触覚的な体験を通して身体化し、形態や空間を無意識の背景に沈めることである。たとえば住宅に住み始める時のことを考えてみるとよい。最初のうちは形態も機能も新鮮に見え、すべてが意識の上に浮かび上がってくる。形態はまるで芸術作品を鑑賞するように見えるだろうし、機能はいちいちマニュアルを見ながら意識的に使いこなさねばならない。しかし時間をかけて少しずつ住まいに慣れ親しみ、そこに住み込むようになると、形態も機能も意識のうえから消え、空間は身体に馴染み、無意識の背景に溶け込んでいく。こうして物理的な存在としての住宅が「生きられる家」となるのである。


2019年02月14日(木)

7時起床。曇りのち晴れの寒い一日。8時半出社。東大建築学科2007年度卒業の木葉会事務局から今週末(2/10・日)の〈卒業10年会〉で結びの挨拶をしてほしい旨のメールが届く。とりあえず快諾の返事を送ったが、会の最中にあまり呑めなくなるのでちょっと残念である。頭の中で話のトピックを整理してみる。僕は1969年に卒業したが、大学紛争の影響で卒業式はなかったし、書類上の卒業は3ヶ月ほど遅れて6月になった。卒業10年会はあったのかもしれないが出席した記憶はない。そもそも卒業してから35年間は本郷キャンパスに足を踏み入れることは一度もなかった。卒業後に初めて本郷キャンパスを訪れたのは、紛争で破壊されて以降放置され、ようやく改修が行われたばかりの安田講堂で、ルイス・カーン展のシンポジウムが開催された時である。そんな僕が建築学科の教授に招かれたのは、歴史の皮肉というしかない。今年の5月に卒業50年記念会があるのも、僕にとっては偶然とはいえ奇遇である。『都市科学事典』の原稿スケッチを続行。今日は文献リストを一通り整理する。戸田が「163保田邸」の浴室と2階のスチールバーの手摺詳細図をまとめたので、目を通しチェックした上で共有ファイルにアップするように指示する。15時過ぎにオンサイトから、ようやく軸組のプレカット図が届いたが伏図だけである。これでは高さ方向のチェックができないので、軸組図も送るように返信する。まもなく軸組図も届いたので佐々木構造計画へ転送する。ざっと目を通してみるが、大雑把な図面なので、かなり細かく手を入れる必要がありそうだ。これでは20日までの承認は難しいだろう。戸田にチェックを指示し、明日その結果について打ち合わせることにする。夜、矢橋さんから基礎立ち上り型枠の報告書が届いたので、佐々木構造計画へ転送する。

『カルロ・スカルパ』(A・F・マルチャノ:著 濱口オサミ:訳 鹿島出版会 1989)を読み終わる。いくつかのキーワードが想い浮かぶ。〈部分〉の集積によるボトムアップな〈全体〉の構築。地域性と歴史的コンテクストへの細やかな応答。現代における装飾性の意味の再発見。物質における時間の現れ。スカルパの建築は、職人的なデザインではあるが、そこから多種多様で貴重なメッセージを読み取ることができる。


2019年02月13日(水)

7時半起床。曇り時々晴れの寒い一日。9時出社。保田さんからTVのサイズについて細かなカタログの仕様データが届く。現設計は、既存TVと発売予定の同一画面サイズのTVが微妙に収まらない上に、床下空調機の搬入と取付作業も難しい寸法になっている。なので階段の蹴上寸法を微調整し、新しいTVになっても設置できる高さに変更することにして、戸田に図面の修正を指示する。午後に階段施工詳細図の変更案がまとまったので、コメントを加えて共有ファイルにアップする。階段の工事が始まってからでは、あたふたするところで、早めにチェックしておいてよかった。ヨーロッパ旅行の旅程案をスケッチし、航空便や電車のスケジュールをインターネットで調べて旅程の概要を整理してみる。今回はこれまでのように大都市の滞在はやめて、地方都市の滞在期間を伸ばし、そこから電車やバスで周辺の都市を訪ねる方針でまとめる。その方が費用も抑えられるし、移動も少なくて済むからだ。ヨーロッパのように場所毎の特性がはっきりしている地域だからこそ可能な旅程である。芳賀沼さんから電話が入る。木造仮設住宅の解体移設工事が沖永良部島で順調に進んでいるようだ。3月上旬に一度現場を訪ねて欲しいとのこと。さらに10月には木造仮設住宅の解体移築に関するシンポジウムの開催を考えているそうだ。NPOのメンバーとして、僕もできるだけの協力を約束する。15時前に事務所を出て、表参道から銀座線で渋谷桜丘の〈ショウゲート試写室〉へ。15時半から招待状をもらった『僕はイエス様が嫌い :原題 Jesus』(奥山大史:監督・撮影・脚本・編集 2018)を観る。試写会の最初の日なので、奥山大史監督の簡単な挨拶がある。まだ20代の若い監督である。この映画を制作したのは大学在学中の22歳の時だそうだ。
https://twitter.com/jesus_movie
雪国のミッションスクールに転向してきた小学5年生の男の子の家族、学校、友人との関係を淡々と描いた映画で、おそらく監督自身の体験に基づく物語だろう。僕にも似たような体験があるが、宗教心があるかどうかでこの映画の受けとめ方は大きく変わると思う。ヨーロッパで好意的に受け入れられたのは、キリスト教が根付いているからだろう。17時前終了。渋谷駅西口広場一帯は再開発が進行中でザワザワした雰囲気である。裏から眺める〈渋谷ストリーム〉や工事中の〈渋谷スクランブルスクエア〉も雑然とした佇まいに見える。2020年の渋谷西口は香港の九龍のようになるかもしれない。17時半帰社。『カルロ・スカルパ』を読み続ける。1970年代のスカルパは成熟の域に達している。彼の代表作〈ブリオン家墓地〉(1970-1975)はPadova北方のCastelfranco Venetoからバスで30分の地方にある。さらに北方のPossagnoの〈カノーヴァ彫塑館〉と合わせて何とか訪ねてみたい。


2019年02月12日(火)

7時起床。晴れのち曇りで昨日よりもやや暖かい一日。8時半出社。保田さんから、先週の屋根構造と小屋組の仕様変更に関する質問メールが届く。これまでの経緯を詳細に説明するメールをまとめて返送する。保田さんは根っからのエンジニアなので、細かな変更点に関しても疑問を呈してくるが、理由を丁寧に説明すれば納得してくれる。合わせてTVサイズについてもミリ単位のサイズ指定が届いたので、まとめる途中の階段詳細図を送り確認を頼む。東大建築史研の加藤耕一さんからのメールが届き、小見山陽介さんの博士論文が無事合格したとのこと。この論文によって、これまでの〈クリスタルパレス〉に関する神話的な定説が少し揺らぐかもしれない。最近、僕が読んだ一連の博士論文のほとんどが、カルロ・ギンズブルグが言うように〈歴史を逆撫でする〉ような批評的なテーマが多いように思う。小見山さんには来年度の前田工学賞に応募するように勧めてみようか。『都市科学事典』の原稿スケッチを少しずつ続行する。アレグザンダーについてはある程度方針が見えてきたが、ジェイコブズについてはどこに焦点を当てるかが難しい。JIAから「2018第16回大学院修士設計展」(総合資格 2019)の記録本が届く。今年は卒業設計や修士設計の審査員をどこからも頼まれていない。まだまだ体力と気力には自信があるのだが、そろそろ世代交代の時期なのかもしれない。夕方、京都で設計事務所を開いている界工作舎OGの寺山麦さんから「箱の家100@神戸」のメンテナンスに関する問い合わせメールが届く。添付写真に目を通し、対応の手順についてアドバスするメールを返送する。熊本の矢橋徹さんから「163保田邸」の長期優良住宅申請手続の報告メールが届く。申請書類が添付してあるので、お礼のメールを返送する。オンサイトからは天候不順のため基礎梁の型枠工事が遅れる旨の連絡が届く。今年のヨーロッパ旅行について検討を始めるのが、いつもよりも少し遅れたため、例年のように秋口の予約を取るのが難しく、少しずれ込んで10月末から11月中旬になりそうだ。早速、旅程の検討を始める。今回は北イタリアを中心にコンパクトで密度の高い旅にするつもりである。夜は読書。『わたしは不思議の環』はますます込み入った議論になる。夜半就寝。


2019年02月11日(月)

7時半起床。曇りでかすかに小雪が降る寒い一日。9時半出社。矢橋さんから「163保田邸」の2月監理計画スケジュールと基礎底盤のコンクリート納入書が届いたので、佐々木構造計画に転送する。オンサイトから届いた工程表にはプレカット図の承認日の記入があるが、まだ図面が届いていないのでチェックバックと修正が間に合うかどうかが不確定である。その旨を共有ファイルのチェック欄に書き込む。「162酒井邸」の見積比較表に目を通す。部分的に突出した金額があるが、平均的に高いわけではない。それでも総額にはかなりの差が出ているので、内訳を精査するしかない。午後は休みを決め込み、ひたすら読書。『わたしは不思議の環』は第10章「お手本としてのゲーデルの奇妙なループ」で、推論規則をすべて整数に対応させる〈ゲーデル数〉の紹介になり、議論がやや込み入ってきたので一旦休止。頭を切り替えるために『カルロ・スカルパ』の再読に転換。スカルパの全作品を時系列で紹介しており、今まで知らなかった興味深い建築がいくつか出てくる。ほとんど北イタリアに散在しているので、機会を見て訪ねてみたい。


2019年02月10日(日)

8時過ぎ起床。冬晴れで昨日よりは暖かい一日。10時出社。保田さんより「163保田邸」の上棟式を略式で実施する旨のメールが届いたので胸を撫で下ろす。建方は3月中旬になるだろう。できれば建方の最初から立会い、一泊して建方完了まで見届けたい。酒井さんから昨日送った書類とコメントに対する返信メールが届く。最初の1社と後の2社の見積金額が大きく異なる点が気になるそうだ。総額の20%以上も違いがあるのは確かに異常である。2社の見積査定ではその要因がどこにあるのかを明らかにしなければならない。15時前に事務所を出て千代田線で日比谷駅にて下車。地下鉄出口からそのままミッドタウン日比谷4階のTOHOシネマへ。15時35分から『ファーストマン』(デイミアン・チャゼル:監督 2018)を観る。館内は満員。『ファースト・マン:初めて月に降り立った男、ニール・アームストロングの人生』(ジェイムズ・R・ハンセン:著 日暮雅通+水谷淳:訳 河出文庫 2019)の映画化で、今年はアポロ11号が月面着陸に成功した1969年からちょうど50年目である(ちなみに東大安田講堂が陥落し、僕が大学を卒業したのも同じ1969年である)。ジョン・F・ケネディが1961年の大統領新任演説で「10年以内にアメリカは人間を月に送り、無事帰還させる」と宣言して始まった〈アポロ計画〉の最終段階の様々な事件が、ニール・アームストロングの家族生活との関係を織り交ぜながら描かれている。国家的な大事業と個人の家族生活との巨大な落差を描いた映画といっていいかもしれない。とはいえ見所は何といってもロケットの打上シーンや宇宙空間での体験のリアルな描写である。宇宙飛行士のクローズアップの多用が臨場感を高めている。それにしても当時の宇宙船のコックピットが、現代の車の表示パネルよりも古風であることに驚かされる。2時間20分のドキュメンタリーのような宇宙描写の映像を体験して18時過ぎに終了。その後、有楽町の日本料理屋で夕食を食べ千代田線で20時半に帰宅。NHKTVの特集「東京の地下空間」を見た後に早目に就寝。

『わたしは不思議の環』を読み続ける。昨年8月に読み始めて、最初の数章は『ゲーデル・エッシャー・バッハ』の冗長な繰り返しなので、我慢ができずに途中で休止した。しかし再読を初めて全体の3分の1の第8章「奇妙なループの狩猟旅行」まで進んだあたりで、バートランド・ラッセルが『プリンキピア・マテマティカ』(1913)で提唱した〈型理論 type theory〉をクルト・ゲーデルが〈不完全性定理〉(1930)によって乗り越えたというエピソードになり、それが〈自己再帰性〉のループすなわち本書のメインテーマである〈不思議の環〉に結びつけられたところで、ようやく本論が始まる。そこから著者のホフスタッターは〈自己再帰性=不思議の環〉が〈私〉の存在証明であることを検証していく。僕は30歳代の後半に『ゲーデル、エッシャー、バッハ---あるいは不思議の環』を読み、そこでゲーデルが〈不完全性定理〉の証明のために使った〈カントールの対角線論法〉を知って、その数学的な機知と美学に感動した記憶があるが、再びその説明に展開していきそうである。


2019年02月09日(土)

7時起床。曇り時々小雪でひどく寒い一日。午後は積雪注意報が出たが、結局のところ雪はほとんど降らなかった。8時半出社。熊本の矢橋さんが「163保田邸」の監理報告を共有ファイルにアップしたので、目を通した上でコメントを返送する。基礎底盤のコンクリート打ち直前の配筋検査とコンクリート打ち前の試験を含む報告なので、佐々木構造計画にも転送する。木村と「162酒井邸」の見積査定について打ち合わせ。先週末に届いた1社の見積査定が一通りまとまったので、内容に目を通し何点か変更と修正を指示する。13時半に修正版がまとまったので、査定の検討と回答を再来週初めまでに提出するように依頼して、当該の建設会社へ送信する。引き続き昨日までに届いた2社の見積内容を比較表にまとめるように木村に指示。14時過ぎに見積比較表がまとまったので、若干のコメントと界工作舎の今後の作業予定の報告を加え、2社の見積書、比較表、1社の査定リストを酒井さんに送信する。おそらく減額変更は避けられないと思われるので、その点も念頭において検討して欲しい旨のコメントを付け加える。これから工事契約予定の3月末までが正念場である。戸田が「163保田邸」の階段詳細図をまとめたので、図面を見ながら打ち合わせ。階段下の空調機の設置寸法は考慮されているのだが、所定の場所に設置するための搬入経路が考慮されていないことに気づく。階段脇の柱が風圧を受けるために奥行サイズが他の柱より飛び出しているため、正面のガラリの幅が空調機の幅より狭くなり、ガラリを取り外しても、外から空調機の収納スペースに運び込めないからである。空調機スペースの脇にはTVの設置スペースがあり、標準仕様の階段は構造を兼ねた24亳の合板によって仕切られている。このため、TVスペースの幅を可能な限り狭めて、空調機のガラリを広げるように指示する。事務所内外を掃除し15時過ぎ解散。その後、僕は『都市科学事典』の原稿スケッチを続行。夜は読書。『わたしは不思議の環』を読みながら夜半就寝。


2019年02月08日(金)

7時起床。晴れのち曇りで、昨日とは打って変わって寒い一日。ここ数日は寒暖の差が激しいが、アクアレイヤー床暖房のおかげで室内気温は常に20度前後に保たれている。8時半出社。熊本大学工学部長から先日の顧問会議に対する礼状が届く。僕は生産的なアドバイスをほとんどできなかったが、地方の国立大学の現状をある程度は理解できた。今後は学部再編や教員数削減などが続くようなので、大学としてもなんとか生き抜く道を探索しているのだろう。おそらく私立大学はもっと大変だろう。現在は大学といえども新自由主義的な競争に晒されているのだ。2月の工程表によれば、今日は「163保田邸」の基礎底盤のコンクリート打設日である。早朝から打設が始まり、午後には打ち終わったようである。オンサイトや矢橋さんからの報告はまだ届かないが、いち早く保田さんのfacebookに現場写真とコメントがアップされている。午後は『都市科学事典』の原稿スケッチを続行。文献がどこかに紛れ込み見当たらないので、思い出しながら書くしかないのだが、このペースを持続していけばスムースに書けるだろう。午後に富山のもう1社の建設会社から「162酒井邸」の見積書がメールで届く。昨日の見積とほぼ同額なので大幅な予算オーバーに天を仰ぐ。いつものこととはいえ、現実の建設状況はかなり厳しいようだ。2社とも若干の値引をしているが、先週の建設会社ほどではない。ともかくじっくり査定する必要がありそうだ。夜は読書。

Amazonから届いた『カルロ・スカルパ』(A・F・マルチャノ:著 濱口オサミ:訳 鹿島出版会 1989)を読み始める。スカルパの建築はイタリアに行く度に訪れているので何を今更という反省もあるが、思うところがあって彼の建築思想を確認してみようと考えた。「10+1 website」のブックレビュー2019「1968年以降の建築理論」で、僕は〈歴史性と地域性の再発見〉をキーワードに掲げたが、スカルパの建築はその模範的な事例であることに、改めて思い至ったからである。スカルパが戦後の盛期モダニズムの時代においてそうだったことは一種の逆説である。スカルパはF・LL・ライトやルイス・カーンと同様に特異であることが普遍的であることの好例である。ヴェネツィアをベースにしていたこともその一因だろう。並行して、去年8月に読み始めて途中で休止し机の上に積読だった『わたしは不思議の環』(ダグラス・ホフスタッター:著 片桐恭弘+寺西のぶ子:訳 白楊社 2018)の再読も始める。スカルパとホッフスタッターの組み合わせは、思考の幅を思い切り広げてくれる。


2019年02月07日(木)

7時起床。晴れでやや暖かい一日。8時半出社。『都市科学事典』の原稿スケッチを少々。11時に界工作舎OBの河内一泰さんが来所。今年4月から東海大学の特任準教授に就任することになったそうだ。杉本洋文さんの後任である。吉松秀樹さんは在任だが、体調が悪いのでほとんど大学に来ていないとのこと。そのため設計課題はほとんど河内さんが引き受けることになるそうだ。大学教員の心構えや研究室運営についてあれこれアドバイスして12時半に終了。午後は散歩がてら青山の銀行に出向き雑用。14時過ぎに帰社後は1月末までの帳簿整理。富山の建設会社から「162酒井邸」の見積書がメールで届く。予想以上のオーバーで少々ガックリ。土曜日に届く予定の他1社の見積書と合わせて酒井さんに送る予定。オンサイトから「163保田邸」の小屋組の変更に関する質問メールが届く。直ちに佐々木構造計画に転送し承認を受けるとともに、仕様の指導を受ける。戸田に指示して矩計詳細図をまとめてオンサイトに送信する。紆余曲折があったが、これで当初のコンセプト通りに構造本体と小屋組とを〈熱的〉に切り離すことができたし、工事手順も単純になったので一安心である。夜にオンサイトから基礎の配筋写真が届き、佐々木構造計画からスリーブ周りの配筋について修正の指示が届く。保田さんもfacebookに基礎配筋の写真をアップし。システマティックな配筋に感動している。明日は底盤のコンクリート打ちの予定。竹中工務店設計部から『a+u』581号「特集:手わざと建築---竹中工務店と竹中大工道具館」が届く。新神戸駅近くの竹中大工道具館の紹介を中心に竹中工務店設計部の代表的な仕事を紹介している。大手ゼネコン設計部の中では竹中工務店設計部は突出していると思う。新しいプログラムの提案はあまりないけれども、与えられたプログラムに対する職人的なデザインのレベルの高さには舌を巻く。毎年、日本建築士会連合会作品賞入賞の常連になっているのも宜なるかなである。夜は読書。『目がスクリーンになる時』を読み続ける。一気に半分まで読み進むが、依然としてベルグソン哲学の解説が続く。間を飛ばして最終章を読んでみるが、映像の紹介はまったくないし、映画に関する具体的な議論もない。要するにドゥルーズ経由のベルグソンのイメージ論で終わるようだ。これでは映画の分析はできたとしても、映画を創作することはできないだろう。家早何友。


2019年02月06日(水)

7時起床。雨のち晴れの寒い一日。8時半出社。前田記念財団の国際会議助成の書類7点に目を通し、審査リストをまとめる。午前中に再度じっくり時間をかけて、前田工学賞、山田一宇賞、研究助成リスト、国際会議助成リストの審査メモを読み直した上で、前田記念財団事務局へメール送信する。引き続き、前田工学賞の博士論文5編を次の審査委員に宅急便で転送。これで二次審査の僕の作業はすべて完了。最終審査の会議は3月上旬に実施される予定。熊本の保田さんから上棟式に関する相談メールが届く。儀式が苦手でコストもかかるので、あまり気分が乗らないという趣旨である。「159吉村邸」でもクライアントの要請で上棟式を中止したが、建設会社の社長はいささか意気消沈し残念がっていた。今回は地鎮祭も実施しなかったし、保田さんのような超合理主義者には、伝統的な儀式は馴染まないのかもしれない。僕もとくに拘りがある訳ではないのだが、工事の一つの区切りとして簡単な直会くらいは実施してはどうかと進言する。午後『都市科学事典』の出版社の編集部から原稿依頼の確認メールが届く。締切は4月末である。僕はクリストファー・アレグザンダーとジェイン・ジェイコブズについて書くことになっている。いつも通りに原稿スケッチを開始する。富山の建設会社に「162酒井邸」の質疑に関する確認メールを送る。昨日に質問書を送る旨の連絡があったが、まだ届いていないからである。今週末が見積書の提出締切なので、そろそろデッドラインだが家早何友である。夜、熊本のオンサイトから2月工程表、基礎配筋の写真、小屋組の変更に関する質疑が共有ファイルにアップされる。

Amazonから届いた『目がスクリーンになる時 ゼロから読むドゥルーズ「シネマ」』(福尾匠:著フィルムアート社 2018)を読み始める。ジル・ドゥルーズの著作『シネマ』を読解する本であり、週刊『読書人』の書評を見て良質の映画論だと評価されていたので、気分転換に読んでみたいと思った。しかし豈図らんや、ジル・ドゥルーズ経由のアンリ・ベルグソン論が延々と続くばかりで、映画の話題はなかなか出てこない。ベルグソンは大学院生時代に『物質と記憶』と『創造的進化』を読んで、当時カントに心酔していた僕のセンスに合わないと感じて早々に遠ざけた記憶がある。とはいえ平易な文章なので、しばらく再挑戦してみようか。


2019年02月05日(火)

7時前起床。曇り時々晴れで昨日とは打って変わり寒い一日。8時過ぎ出社。直ちに事務所を出て青山の歯科医院へ。8時半から1ヶ月半ぶりの歯のメンテナンス。歯垢を除去した後、浮き上がった歯茎に薬を注射して9時過ぎに終了。3月末のメンテナンス日時を予約して9時半に帰社。「163保田邸」の長期優良住宅の確認手続書類を熊本県土木部建築住宅局へ提出する作業を矢橋さんに依頼するメールを送信。地方での長期優良住宅の申請は東京での手続だけでは終わらないことが分かったためである。昨日に引き続き、夕方までかけて前田工学賞の博士論文のうちの残り2編、建物外壁の延焼に関する研究と、鉄骨柱の局部座屈に関する研究を読み込む。前者は以前から気になっていた発泡断熱材を使った外断熱構法の防火性能に関する研究が中心で、北京オリンピック直前のCCTVホテルの火災、上海の超高層ビル火災、一昨年のロンドンのマンション火災などが生じる度に、僕は外断熱の防火性の重要性を痛感してきた。これまで外断熱に可燃性の発泡断熱材を使ってきたために、起こるべくして起こった火災であり、早急な対策が必要だと考えていたので、この問題についてようやく本格的な研究が実施された社会的な意義は大きいと思う。「箱の家」では外断熱が標準仕様だが、不燃材であっても結露の可能性があるグラスウール断熱材ではなく、湿気の浸入が皆無で不燃の発泡断熱材であるユリアフォーム(尿素樹脂)のパネルを使用している。後者の論文は、箱型鉄骨柱の局部座屈の研究だが、僕には古いのか新しいのか判断がつかないテーマである。既往研究に関する報告を読む限り、既往研究はかなり多いようだが、大部分は実験的な研究で、座屈の詳細なメカニズムについては明らかになっていないらしい。本研究ではそのメカニズムを理論的に明らかにしようとしている。学問的には興味深いテーマではあるが、果たして実用性に直接結びつくのかが、今一読み切れない。これで5編の論文の審査がすべて終了。審査リストに書き込んだ講評を読み直し、相対評価を記入する。引き続き、研究助成の評価リストに目を通した後、国際会議の書類審査に進む。明日までには審査結果をまとめて事務局に送る予定。木村が「162酒井邸」の見積を「163保田邸」の工事契約見積と比較したリストを作成したので、細かなコメントを加えて酒井さんに送信する。改めて見積内容に目を通すと気になる項目がいくつか見られるので、今週末に届く予定の2社の見積と比較してみよう。夜は読書。『現代思想』1月号の特集「現代思想の総展望」を散読するが、学ぶところはあまりない。夜半就寝。


2019年02月04日(月)

7時起床。晴れで暖かい一日。8時半出社。午前中は小見山陽介さんの博士論文の追記加筆部分に目を通す。図面の解説がかなり追加されたようだ。基本的なテーマに変わりはないので、問題はない旨のメールを建築学科事務局に返信。オンサイトの坂本さんから「163保田邸」の基礎梁配筋の写真が届く。佐々木構造計画から、配筋ピッチ、配管スリーブ周りのかぶり厚のチェックなど、現場撮影の日時と巻尺当てなどを指示される。界工作舎からも矢橋さんに構造に関する現場監理の要領について依頼メールを送る。富山の建設会社から「162酒井邸」の構造に関する質問が届いたので、木村と内容を検討し回答をまとめて返信する。午後から夕方までかけて前田工学賞の博士論文のうち、RC柱の残存耐力に関する研究と、設計プロセスにおける言語のはたらきに関する研究の2編を読み込む。エンジニアリングがテーマの前者については、序論の研究の背景と目的、既存研究、結論のまとめに目を通し、数式の入った中間の詳論部分は理解できないので、コンテクストを辿るだけにする。後者論文は僕の守備範囲なので詳細に読み込む。設計方法の研究は背景や動機、文献調査までは興味深いのだが、そこで得られた仮説理論の検証方法が難しい。優れた建築をデザインするための研究だから、学生相手のシミュレーション実験ではいささか物足りない。やはり優れた建築の実務設計プロセスを辿ることによって詳細に調べ上げなければ検証にはならない。一般解よりも優れた個別解の検証こそが、この種の研究の最大のポイントだが、残念ながらそこまでには達していない。夜は読書。

『世界史を変えた新素材』(佐藤健太郎:著 新潮社 2018)を読み終わる。とり挙げられている素材は歴史順に、以下の12種類である。金、陶磁器、コラーゲン、鉄、セルロース(紙)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコン(ケイ素)。いずれも原子・分子レベルの物性の紹介から始めて、発見の歴史とその応用範囲が紹介されている。建築に関係がある素材もたくさん含まれているが、建築的な面からの検証はほとんどないので一般教養知識として読んだ。〈材料〉という言葉の定義は「物質のうち、人間の生活に直接役立つもの」である。現在までに知られている物質の数は1億4000万を越えるそうだが、材料はそのほんの一部である。最終章では、最近開発された新素材として、光ファイバー、屈折率がマイナスのメタマテリアル(超越物質)、常温超電導物質、リチウムイオン電池、有機薄膜太陽電池、光触媒、炭素繊維、カーボンナノチューブ、青色LEDなどが紹介されている。さらに、AIを使いビッグデータを組み合わせることによって新素材探索を行う〈マテリアルズインフォマティックス〉という手法も紹介されている。思想界では〈新実在論〉が流行だが、モノそのものの世界の方がよほどリアルである。


2019年02月03日(日)

昨日はいろいろなことを経験したので興奮したのだろうか。昨夜はさまざまな夢で何度も目が覚める。このためやや二日酔い気味。7時半起床。今日は鈴木博之さんの6周忌である。椅子に座りしばらく沈思黙考。8時に部屋を出て1階の食堂で朝食。8時半過ぎに部屋に戻りTVのニュース番組を観る。今日の熊本地方は曇りのち小雨の天気予報。10時半過ぎにチェックアウトし、ロビーのソファでゆっくりと日記をまとめる。11時半前に矢橋さん、上野さん、オンサイトの坂本さんが到着。小雨の中を歩いて上町通りの中華レストランへ。葉祥栄が設計した平屋の店で、通りに面してカフェ、中庭を挟んで奥に中華レストランがある。1984年に開店したそうで、中庭の欅は今や大木になっている。少し二日酔い気味なので春雨の五目麺を注文。保田さんにメールで2時頃に現場に着く旨を伝える。1時前に店を出て坂本さんの車に同乗し大津町の建設現場へ向かう。雨の中を東に向かって40分ほど走り14時前に現場に到着。矢橋さんたちはすでに到着し、現場では鉄筋工1人が基礎の配筋作業を続けている。外周基礎の立ち上がりの配筋途中で、底盤の配筋を含めて完成までには1週間以上かかりそうだ。給排水のスリーブを確認して、とりあえず現場監理は終了。まもなく保田さんが着いたので、現場の進行状況についてしばらく説明。坂本さんからは屋根の断熱パネルと小屋組の工事手順がきわめて難しいので何とかならないか相談を受ける。小屋組が本体軸組と構造的に一体になったため、本体軸組と小屋組の工事を同時にやる必要があり、断熱パネル工事を先行する必要があるからである。屋根の構造用合板12亳を24亳に変えれば小屋組を後工事にできると伝えたら、できればそうしたいという回答。追加工事の費用の問題もあるので、手間工事を含めて検討を依頼する。合わせてプレカット図と2月の工程表の早急な提出を頼む。坂本さんの車で14時半過ぎに現場を発ち熊本空港へ15時過ぎに到着。予定より一便早い羽田行に変更し16時前に熊本空港を出発。18時過ぎに羽田着。20時前に帰社。写真と書類を整理し20時過ぎ帰宅。早目に就寝。


2019年02月02日(土)

7時前起床。急いで朝食を摂り8時出社。洗面用具とiPadを鞄に詰め8時半に事務所を出る。表参道駅から銀座線で新橋まで行き山手線で浜松町へ。モノレールに乗り換え羽田第1ターミナルに9時半着。セキュリティチェックも問題なく通過し10時5分発熊本空港行に搭乗。機内は満員。日記をまとめて送信。12時前に熊本空港着。熊本市内行きリムジンバスに乗り約50分で通町駅にく。上町通りを北上し約10分歩いて13時過ぎにアークホテル熊本城前にチェックイン。部屋でしばらく休憩。15時前に2階の会議室へ。15時から熊本大学工学部顧問会議。日本中から集まった10人の顧問と工学部の関係者17人が相対して座り、まず工学部長が工学部の教育と研究の現状、今後の計画などについて30分余のスライドレクチャー。その後1時間半をかけて顧問からのコメントと質疑応答。大学教員ではない外部の識者は活発に意見を述べるが、僕のような立場の人間には問題点さえ理解できず終始沈黙。17時過ぎに一旦休止し部屋に戻って休憩。この間に富山の建設会社から「162酒井邸」の見積が届いたので、直ちに酒井さんに転送。予想通り予算をオーバーしているがギリギリ射程範囲である。17時半から10階のレストランに集合し会食。西向きの窓から夕日に浮かび上がる熊本城のシルエットが眺められる。アルコールが入ると俄然会話が弾むが、大学の問題ではなくほとんど四方山話。正面に座った建築学科の山成實さんは僕のことをよく知っておられるようで、あれこれ建築談義。19時半に散会。一旦部屋に戻り20時前にロビーへ。まもなく熊本大学の田中智之さん、矢橋徹さん、スタッフの上野さんが来る。ホテルから東へ上町通りを横断して10数分歩き田中さんが予約したワインバーへ。簡単なつまみとマスターが勧める赤ワインをいただきながら歓談。4人で4本空けたところでいい気分になり23時前に店を出る。明朝の「163酒井邸」の現場監理の時刻を確認し、ホテル前で別れ、部屋に戻ってそのままベッドに倒れこむ。


2019年02月01日(金)

7時起床。昨夜は少し雪が降ったが、今朝はピーカンの晴れで北風が吹く寒い一日。8時半出社。東大建築学科の加藤耕一教授から小見山陽介さんの博士論文最終版がメールで届く。早速ダウンロードするが、昨年末読んだ版よりも格段に増えて200ページを越えている。合否の締切は来週末なので急いで目を通さねばならないが、基本的に問題はないだろう。富山の酒井さんから模型が到着したことに加えて、設備機器類の変更に関するメールが届く。それに対して、まもなく出てくる見積書の査定と、それに対する建設会社の回答を踏まえて減額変更を行う時点まで待って欲しい旨の回答メールを返送する。岩元真明さんから建築学会『建築討論』の〈渋谷ストリーム特集〉がリリースされたという連絡メールが届く。早速、界工作舎HPとfacebookに掲載する。
https://medium.com/kenchikutouron/028-201902-特集-建築批評-東急設計コンサルタント-小嶋一浩-赤松佳珠子-cat-渋谷ストリーム-9ddbf4e58dc8
特集記事は、赤松佳珠子さんを囲む若い建築家達の対談、僕の論文、石榑督和さんの論文、若い建築家たちのショートレビューというなかなか充実したラインアップである。岩元真明と能作文徳が、視点は異なるとはいえ〈渋谷ストリーム〉をレム・コールハースの〈ヴォイドの戦略〉の適用例として注目している点が興味深い。13時過ぎに事務所を出て、表参道から千代田線で湯島駅にて下車。歩いて約10分で近現代建築資料館に14時前着。14時から第14回の企画小委員会。柏木博、太田泰人、鰺坂徹の企画委員に、資料館からは浅田副館長、川向正人、桐原武志、遠藤信行、ほか6人出席。僕の司会で前回記事録の確認、今年度の二つの展覧会の報告、来年度以降の展覧会の計画の報告など。安藤忠雄展の開催可能性について議論。2020年の東京オリンピックに合わせての丹下健三展など企画は充実している。16時終了。千代田線で帰途に乃木坂にて下車し、ギャラリー間で開催中の「RCR Architects Geography of Dreams」展を観る。3階展示室では、壁際に小さくて精緻な模型毎に作品のビデオ紹介が並び、中央にには大きな円形の机の上に、和紙に手描きによる地図のような巨大なドローイングが置かれ、その上に、細かなメッセージを描いた沢山の半透明の小さな円盤が天井から吊るされかすかに回転している。外部テラスには壁際に太い木材を組み合わせた巨大な構築的オブジェが置かれている。4階の展示室には、窓際のスペースに、滲んだような模様を染み込ませた沢山の帯状の和紙を天井から吊り下げた柔らかなインスタレーションがあり、その間を抜けていくと、奥の暗室では、RCRメンバーの故郷のスペインの森と、彼らが訪れた奈良の吉野の森の風景を並べた美しい映像が、壁一杯に投映されている。知的で静謐な展示に心が和む。2年前に東大の安田講堂でRCR Architectsのプリッカー賞受賞記念講演を聴き、作品集も購入したので、彼らの作品についてはある程度知っていた。批評性はないが、デヴィッド・チッパーフィールドやピーター・ズントーに並ぶ真摯な正統派建築家チームだと思う。17時半帰社。夜は週末の所内打ち合わせ。木村には「162酒井邸」の明日の見積査定を依頼。戸田には「163保田邸」のベランダ制作詳細図を今夜中に仕上げて共有ファイルにアップするように指示。『世界史を変えた新素材』を読みながら夜半就寝。


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