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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2022年09月27日(火)

今日も秋晴れでやや暑い一日。8時半出社。戸田がまとめた「箱の家164」庭の植木屋根の図面をチェックし細かな修正を指示する。急いで図面をまとめて、骨組の考え方に関するコメントと屋根FRP波板のカタログ・データを加えて、昼前に植野さんに送信する。午後にはNHKラジオ原稿「家族と住まいの変容」を読み直し、若干の加筆校正を行い、図版に関するコメントを加えてNHK出版編集部に送信する。引き続き「住まいと住宅政策」のスケッチを少々。この原稿はヨーロッパからの帰国後に一気にまとめるつもりである。Booking comでローマのホテルをあれこれ探索するが、ローマ中心部には適当なホテルが見つからない。方針を変えてTermini駅付近を探索した結果、駅から歩いて5分の瀟洒なホテルに決めて予約する。これでローマの滞在日とホテルが決まったので、FacebookメッセージでFederico Scaroniさんに伝える。直ちに返事が届き、難波研OBのCristianoさんに連絡して同窓会を持ちたい旨のメッセージが届く。これで今回のヨーロッパ旅行の旅程がほぼ確定した。明日にはボローニャ空港からマドリードへの航空便とマドリードからパリへの航空便の予約購入を行うことにしよう。『精神の政治学』は、最初の「精神の政治学」を読み終わり「知性に就いて」に進む。「精神の政治学」は第一次大戦の経験によってヨーロッパ全体が精神の危機に陥ったことについての講演だが、具体的な社会現象に関する言及がほとんどなく、一般的な議論に終始しているのでなかなか頭に入ってこない。そもそも精神とは何だろうか。ヘーゲルが『精神現象学』の述べた時代精神のようなものだろうか。講演の最後あたりでヴァレリーはこう言っている。「要するに、それは信用の危機、基本的な諸概念の危機なのであって、従ってあらゆる種類の人間的な関係の危機であり、精神によって与えられたり受け入れられたりするすべての価値の危機なのである」。この指摘は、第一次大戦後の1920年代に勃興したモダニズム建築運動に対しても該当するのだろうか。19世紀以前の歴史を否定しようとした点においてはイエスだろう。しかし意識においてはそうだったかもしれないが、無意識(精神?)においては過去を引きずっていた。とはいえ、それが明らかになるのはずっと後、つまりポストモダンの時代になってからのことである。今日の全国の感染者数は43,587人で昨日から3,201人の減少。東京は約5,200人で昨日から約1,100人の減少。大阪は約3,300人で昨日から約1,000人の増加である。


2022年09月26日(月)

秋晴れで朝晩は寒いが昼間は暖かい一日。8時半出社。9時前に事務所を出て表参道経由で青山の銀行へ。Apple表参道の前には短い行列ができているが、みんな中国人のようである。道路にはマイクロバスが停まっている。iPhone14の買い占めだろうか。銀行で振り込みを済ませ、旅行用の現金を引き出し、青山の薬局で処方箋の薬を購入して10時前に帰社。Booking comでローマのホテルを探索する。5つ星の高価なホテルは若干残っているが手が出ない値段。しかしテルミニ駅付近や市内中心の4つ星以下のホテルはほとんど残っていない。ハテサテどうしたものか。しばらく待機してみよう。NHKテキスト「家族と住まいの変容」の図版リストをまとめる。明日に再読して編集部に送ろう。戸田と「箱の家164」の庭植木屋根の打ち合わせ。すべてアングル材でつくるという方針を強引に適用しているため逃げがない。主構造と母屋のような副構造の間に逃げを取る組み立てにするよう指示する。ギャラリー間の次期企画展の案内状が届く。テーマは「How is Life?―地球と生きるためのデザイン」である。
http://jp.toto.com/gallerma
展覧会の趣旨文には、こう書かれている「産業革命以降手に入れた生産力を背景に、成長を是としてきた人類の活動はプラネタリー・バウンダリーを超え、気候変動や南北格差をもたらし、声をあげることのできない生物や将来世代を搾取し続けている。その対応策として、成長の原動力となった産業や便利な暮らしを維持しつつ環境負荷を低減させる 行動がSDGsとして推奨されているが、事態はより深刻で、持続的成長ではなく成長なき繁栄を本気で 検討しなければならないところまで来ている。そのためには産業分野だけでなく暮らし自体を見直し、その 構成要素の一つ一つを地球に負荷をかけない方向に転換していかなければならない。しかし産業から サービスを買うことに慣れてしまった我々は、自らの手で衣食住やエネルギーを獲得するスキルをもたず、また産業社会的連関による包囲網はそこからの逸脱を容易には許さない。20世紀後半につくられた 生産―消費―廃棄の想定を定着し続けてきた構築環境の中に暮らしていると、その想定を疑うことも容易ではない。そこで培われた自画像は、同じ想定に基づく構築環境や暮らしを再生産してしまう。その反復 から抜け出して、成長なき繁栄を選ぶのならば、我々はどう生きるか? 建築が人々の暮らしをよりよくすることに奉仕するものであるならば、そうした包囲網を障壁として発見し 挑んでいくことから、建築的営為を始めるべきだろう。その時話し合いのテーブルにつくのは、今ここにいる自分達だけでなく、立場の弱い人、地球の別の場所にいる人、未来の人そしてヒト以外の生物かもしれない。「How is Life ?」という彼らそして私達自身への問いかけを、建築展という形にする試みに、ご期待あれ」。この趣旨文を書いたのは塚本由晴だろう。問題が深刻になればなるほど、それに対する対応が根底的になっていくことの典型的な例である。しかしながら我々の日常生活は、多種多様な伝統、習慣、決まりごとによって成立している。したがって、いきなり革命的な変化を導入することは難しく、行動は妥協的にならざるを得ない。デザイン提案を含めて過激な宣言を発することは容易だが、それを実行するのは至難の業である。思考が世界を変えることの不可能性を指摘したのはマルクスだったろうか。思考と行動の落差をどう埋めようとしているのか熟視してみたい。今日の全国の感染者数は43,587人で昨日から3,201人の減少。東京は約6,300人で昨日から約700人の増加。大阪は約2,300人で昨日から約2,200人の減少である。


2022年09月25日(日)

久しぶりの晴れでやや暑い一日。いよいよ秋の訪れだろうか。10時出社。ヨーロッパ旅行の旅程の検討を続行する。ローマから北へ移動しフェラーラに滞在する案をまとめてみる。フェラーラには行ったことがないのと、マントヴァを再訪したいからである。フェラーラからボローニャ空港行きのバスが出ている点も好都合である。ボローニャ空港からマドリードに飛び、4日間滞在してからパリに戻るという旅程は、前の案と変わりない。来週には確定してホテルと航空便を予約しよう。先日まとめたNHKテキスト「家族と住まいの変容」を読み直し加筆校正。引き続き「住まいと住宅政策」のスケッチを続行する。『精神の政治学』は、最初の「精神の政治学」を読み続ける。第一次大戦が終わった1919年以降のヨーロッパ全体のカルチャーショックと19世紀末までのヨーロッパ文明に対する自信喪失に関する講演である。当時はモダニズム・デザイン運動が停滞期に差し掛かり、ヴェルサイユ条約の影響でドイツのインフレーションが加速化して第二次大戦の予感がし始めた時代である。今日の全国の感染者数は46,788人で昨日から7,570人の増加。東京は約5,600人で昨日から約700人の増加。大阪は約4,500人で昨日から約2,200人の増加である。


2022年09月24日(土)

雨一時晴れの蒸し暑い一日。9時出社。10時15分に事務所を出て、小雨の中を歩いて外苑前の行きつけの診療所へ。10時半から先週に受けた人間ドック診療の結果報告。医師と一緒にここ数年間の人間ドック診療データと昨年のデータとを見比べながら、診療結果について細かな所見を聴く。相変わらず肝硬変気味なのは飲酒を続けている結果なのでしょうがない。血液検査のデータで1点だけ大きな変化があることを指摘され、心臓に何か自覚症状があるかどうか尋ねられる。就寝中に寝返りを打つとたまに動悸がするくらいで大した自覚症状はないと答えるが、念のために精密検査を受けるようにアドバイスされる。来週から海外に出かけるが問題があるか尋ねると、とくに問題はないという回答。精密検査は帰国後に受けることで構わないと指摘される。いつもの通り3ヶ月分の血圧降下剤と尿酸降下剤に加えて、旅行用の常備薬を処方してもらう。受付で10月下旬の精密検査と3ヶ月後の定期検診日時を予約して12時前に診療所を出る。小雨が降り続いているので、薬局には月曜日に行くことにして12時過ぎに帰社。海外旅行に支障はないことが分かったので、改めてヨーロッパ旅行の旅程の検討を再開する。パリからナポリに飛び電車でローマに移動することと、イタリアのどこかからマドリードに飛び、パリに戻る旅程はほぼ確定したが、その間の1週間の旅程についてイタリアにするかスペインにするか、あれこれ思案を巡らせる。「箱の家164」の庭シェルターの鉄骨骨組についてスケッチを再開。システムを単純化するために柱のアングル材を背中合わせに二重にするとジョイントが単純化されることを思い付く。明日、戸田に伝えよう。『精神の政治学』(ポール・ヴァレリー:著 吉田健一:訳 中公文庫 2017)は「訳者の序」を読み終えて、1932年になされた講演「精神の政治学」に進む。夜は雨の中、表参道駅から銀座線で銀座にまで行き、18時半から久しぶりに鮨屋で夕食。20時に店を出たタクシーで帰宅。今日の全国の感染者数は39,218人で昨日から24,653人の減少。東京は約4,900人で昨日から約3,700人の減少。大阪は約2,300人で昨日から約2,600人の減少である。


2022年09月23日(金)

曇りで涼しい一日だが夜には雨になる。10時半出社。11時に難波研OBのMatyas Gutaiさんが来所。僕は2003年9月に東大の建築学科教授に就任したが、彼はその翌年にハンガリーのブタベスト工科大学から国費留学生として難波研究室に入室した。彼に続き、翌年にはハンガリー国費留学生としてPeter・Bodaさんも入室した。Gutaiさんは難波研での最初の課程博士である。大学院終了後に台湾の大学の教員に就任し、その後の一時期は母校に戻り研究活動を続けたが、5年前の結婚を機にイギリスに移り、現在はロンドン北部のレスターシャーのラフバラーにある国立大学Architecture and Construction Technology at Loughborough UniversityのAssistant Professorに就任している。僕は行ったことはないが、近くにはスターリングの工学部棟で有名なレスター大学がある。今回は広島工業大学とのワークショップのために、学生を連れて来日したそうだ。京都大学の小見山陽介さんにも会ったそうだが、どうしても僕にも会いたいというので、今日は富士登山に行く学生と別れて来所したという。今日は悪天候なので富士登山は無理だろうという話題から始まり、互いの近況について情報交換。学外での設計活動はせず、大学での研究と教育活動に集中しているという。僕は「箱の長屋165」「箱の家169」が掲載された最近の雑誌記事と図面を見せながらアクアレイヤー・システムについて説明する。彼は水を封印したパネルを組み立てた建築を研究しているからである。彼が考える原理について僕はいまだに疑問を持っているが、彼は頑として僕の意見を受け付けなかったことが記憶に残っている。いずれ彼の大学を訪問することを約束して12時過ぎに別れる。午後はNHKテキスト「住まいと住宅政策」のスケッチを続行。新しく書き下ろす予定なので、参考図書を再読する。今日の全国の感染者数は63,871人で昨日から13,512人の減少。東京は約7,600人で昨日から約1,300人の減少。大阪は約4,900人で昨日から約1,000人の減少で、やや停滞気味の感である。


2022年09月22日(木)

曇り後夜は小雨の肌寒い一日。8時半出社。TH-1に「箱の家170」の竣工図一式のデータを送信する。戸田と「箱の家164」の庭シェルターの鉄骨骨組について打ち合わせ。柱・桁・梁・筋交すべてをアングル材L-60×60でガセットプレートなしで組み立てるシステムをスケッチする。桁の長さが5mを越える場合は、亜鉛どぶ漬けメッキ 槽のサイズ制約のため二分する必要がある。そのジョイント部には柱と梁と筋交が重ならないようなシステムを考案しなければならない。NHKテキスト「住まいと住宅政策」のスケッチ続行。9月中にスケッチをまとめ、ヨーロッパ旅行から帰った後に一気に書き上げよう。Amazonから『文学界』10月号が届く。まず特集「もうひとつの芸術史」の岡崎乾二郎のインタビュー『「感覚のエデン」を求めて』を読む。岡崎はフランスで開催された個展から帰国した直後の昨年10月末に脳梗塞で倒れたため、出版直後に企画されていた『感覚のエデン』に関するインタビューは延期されたらしい。今回のインタビューは半年のリハビリが一区切りついた今年6月に行われ、著書『感覚のエデン』に関してではなく、その後6ヶ月のリハビリテーション体験を通して学んだ〈感覚のエデン〉の再獲得プロセスに関するインタビューになっている。岡崎は、脳梗塞によって一旦失われた脳と身体のネットワークの再構築のプロセスを、スウェーデンの女性画家ヒルマ・アフ・クリント(1862-1944)の生涯の抽象絵画への転換や、モンドリアン、クレー、老年期の絵画を例にとりあげ、歴史的視点を交えて論じながら、脳―身体―世界のエコロジカルな再編成プロセスとして論じている。リハビリとは、元の脳―身体―世界システムに戻すことではなく、脳と身体の〈可塑性〉によって新しいシステムを再構築するメタ学習ではないかという岡崎の指摘が興味深い。柄谷行人の講演「『力と交換様式』をめぐって」は、10月に出版予定の同名の著書に関する講演である。『世界史の構造』で論じた4種(A・B・C・D)の交換様式がもたらす4種の〈力〉を、マルクスの『資本論』を読み込むことから得た視点をもとに、問題を再整理しながら論じている。そして交換様式Dを人間の意志や努力によって生み出すことはできず、カントの統整的理念のように〈自然の隠微な計画〉が様式Dをもたらすのを待つしかないという柄谷の結論に対して、講演の企画者のひとりである『人新世の「資本論」』の著者、斎藤幸平は〈脱成長コミュニズム〉や〈生産様式の再編〉による新しい資本主義の可能性を対置している。それに対して柄谷は、斉藤が展開している社会運動に正面から反論はせずに、世界がカタストロフに向かっているのではないかという予感を提示している。現在、柄谷は81歳だが、これまで彼の予感はよく当たってきたので、これが講演の結論になっている。家早何友。今日の全国の感染者数は77,383人で昨日か7,551人の増加。東京は約8,900人で昨日から約1,800人の増加。大阪は約5,900人で昨日から約1,600人の減少である。


2022年09月21日(水)

曇り一時雨の涼しい一日。8時半出社。松江の大同建設から「箱の家169」の1階ゲストルーム天井断熱工事の見積書のメールが届く。界工作舍の工事仕様が変更され、やや過剰仕様になっている。今後のこともあり、工事費用を自社で負担することはできないという内容なので、対応について改めて考え直してみる。まず2階の空調機の設定温度を当初の想定通りに維持することを再確認した上で、1階ゲストルームの天井輻射冷暖房の効果をプラスに評価し、天井工事を最小限にとどめる旨の手紙をまとめて菅野夫妻に送る。大同建設には、界工作舍としての判断をまとめ、手紙のデータを添付して返信する。新しい試みに挑戦すると時にこうした問題が生じる典型例である。TH-1と「箱の家170」の建て替え助成金申請に関するメールのやり取り。界工作舍の担当書類を含めて早急にまとめねばならない。NHKテキスト「家族と住まいの変容」を18枚書いて完了。数枚の図版が必要だが、来週に揃えよう。NHK出版編集部から「はじめに」と「―擦泙い慮什漾廚亡悗垢襯灰瓮鵐箸届く。予想通り〈建築の4層構造〉に関する説明をもう少し分かりやすくするための加筆変更が加えられている。Amazonから『力と交換様式』(柄谷行人:著 岩波書店 2022)が出版されるというお知らせメールが届く。ヨーロッパ旅行中の10月6日(木)の出版なので、帰国後に注文することにする。一方『文学界』10月号の特集「もうひとつの芸術史」に『感覚のエデン』に関する岡崎乾二郎のインタビュー記事と、柄谷行人の講演「『力と交換様式』をめぐって」が掲載されているので、早速Amazonに注文する。明日には届くので旅行前に読んでみよう。合わせてヨーロッパ旅行に持参予定の『精神の政治学』(ポール・ヴァレリー:著 吉田健一:訳 中公文庫 2017)を読み始める。夜、戸田に旅行中の猫と植木の世話について説明する。以前の旅行中は、猫を室内に放し飼いにしたが、部屋の汚れがひどかったので、今回の旅行中はケージに入れることにし、夜は寒いので昼間にベランダに出すことにする。餌のやり方や土日曜日の世話について細かく説明する。今日の全国の感染者数は69,832人で昨日か38,085人の増加。東京は約7,100人で昨日から約3,300人の増加。大阪は約7,500人で昨日から約5,400人の増加である。先週末に戻ってしまった。


2022年09月20日(火)

一日中雨で昼間は蒸し暑いが、夜には涼しくなる。9時出社。戸田と「箱の家170」に対する世田谷区の建替助成金申請のための一連の書類の準備について打ち合わせ。ウッドショックのため木造から鉄骨造に変更した複雑な経緯があるので、以前に区役所に提出した設計監理契約書と重要事項説明書を参照しながら、辻褄が合うように設計監理料の領収証を作成する。籠原の「箱の家164」の庭シェルターについて、植野さんからもらったスケッチを見ながら構造システムについて打ち合わせ。まず屋根材は半透明のFRP波板とすることに決める、雨の際に音がうるさいかもしれないが、庭なので問題ないだろうと判断する。次に鉄骨骨組をできるだけ単純化するため、庭のスクリーンに使用しているアングル材で統一することを決める。引き続き柱の配置、桁と梁の配列、ブレースの配列を決め、ジョイントはすべてステンレスのボルトとして、現場組み立て作業が単純なシステムとする。要するにプラモデルのシステムである。NHKテキスト「家族と住まいの変容」を少々書いた後に「住まいと住宅政策」のスケッチ開始。住宅政策は『新・住宅論』ではとり挙げなかった新しいテーマである。戦後の住宅政策の展開が日本の経済成長を底辺で支え続けてきたことはあまり知られていないので、改めて注目してみることにする。『感覚のエデン』は最終章の「見ることの経験」を読み終わり読了。「見ることの経験」は、岡崎自身の著書『経験の条件』で議論されているルネサンス初期にブルネレスキによって考案された透視画法の革新性に関する議論から始まり、アーウィン・パノフスキーの『〈象徴形式〉としての遠近法』に関する議論を経て、クレメント・グリンバーグが提唱したモダニズムにおけるフォーマリズムに関する議論へと展開する。その上で『経験の条件』における最大のトピックである〈ブランカッチ礼拝堂壁画〉の革新性の読解へと話が展開する。フィレンツェの〈サンタ・マリア・デル・カルミネ教会〉所蔵の〈ブランカッチ礼拝堂壁画〉は聖ペテロの生涯を題材にした祭壇画であり、初期ルネサンス期のマサッチオとマゾリーノの共同制作によって描き始められ、後にフィリッピーノ・リッピによって完成した壁画だが、岡崎は当時のフレスコ画の画法を含めた分析を通じて、この壁画に隠された構造について詳細な謎解きを行なっている。
www.3d-virtualmuseum.it/opere/toscana-firenze-complesso-di-santa-maria-del-carmine-cappella-brancacci
さらにこの壁画の分析を通じて、近世以前の芸術の複雑で錯綜した意義と、近代以降のアートの単純で平板な意味との比較論を展開している。読みながら僕は、初期フランドル派の画家ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの〈十字架降下〉を思い出した。この10月のヨーロッパ旅行でマドリードに足を伸ばすのは、プラド美術館を再訪し、この絵画を観るのが一つの目的である。クロード・レヴィ=ストロースは『野生の思考』か『遠近の回想』のどこかで、油絵具という画材と油絵という画法を開発しながら、超絶的なリアリズム絵画を実現したファン・デル・ウェイデンのこの絵画を世界最高の絵画であると絶賛している。本書『感覚のエデン』は450ページを超える大著で、読み通すのに骨が折れたが得るものは多かった。とくに岡崎が絶えず準拠する歴史的視点の重要性を再確認させられる読書だった。今日の全国の感染者数は31,747人で昨日から6,310人の減少。東京は約3,800人で昨日から約300人の減少。大阪は約2,100人で昨日から約200人の減少である。昨日は月曜日減少だったが。今日はさらに減少している。減少傾向がこのまま続けばいいのだが。


2022年09月19日(月)

曇りのち雨で南風が強く蒸し暑い一日。昨日はゆっくり休んだので先週の疲れはとれた感じである。今日は敬老の日で祝日だが10時に出社。NHKテキスト「家族と住まいの変容」を1枚弱書く。遅々として進まないが、じっくりと取り組むつもりだ。9月中には仕上げるつもりである。丸山さんやTH-1から届いた「箱の家170」のオープンハウスの記念写真をfacebookにアップする。室内のデザインを連想させない微妙なアングルがうまく演出されている。どこで記念写真を撮るか、いろいろ考えあぐねて選んだアングルが成功している。訪問者に写真を撮るなと指示しておいて、僕だけが抜け駆けするのでは話にならないからである。それにしても丸山さん一家だけでなくTH-1のメンバーもいい顔をしているが、界工作舍は疲れのせいか幾分沈んだ表情である。『感覚のエデン』は第孤堯峽亳海離ぅ鵐侫薀好肇薀チャー」の「霧の抵抗」を読み終わり、最終章の「見ることの経験」へと進む。「霧の抵抗」は2018〜2019年に水戸芸術館で開催された中谷芙二子の回顧展カタログに寄せられたインタビュー記事だが、モダニズムからポストモダニズムへの転換期である1970年代の文化状況を概観するには格好の内容である。1972年の沖縄返還を契機に、建築では象設計集団の沖縄の仕事や関根伸夫らの〈もの派〉の作品が紹介され、その思想的背景として構造主義、パラダイム論、記号論の勃興とその影響下で展開したジェイン・ジェイコブスやクリストファー・アレグザンダーの都市論が紹介され、既存の文化制度の融解の中に中谷芙二子の〈霧の彫刻〉が位置づけられている。詳細で横断的な、僕にとっては懐かしい1970年代論である。今日の全国の感染者数は38,057人で昨日から25,987人の減少。東京は約4,100人で昨日から約4,000人の減少。大阪は約2,300人で昨日から約2,000人の減少である。今日は祝日だが、やはり月曜日減少だろう。


2022年09月18日(日)

雨が降り続く蒸し暑い一日。昨夜はウィスキーをしたたか呑んだのでやや二日酔い気味。それでも8時前に起きてゆっくり朝食を食べ10時に出社。思い立ってNHKテキスト「家族と住まいの変容」を続行し1枚分ばかり書くが再び頓挫。最初から読み直し、論理展開について再考する。家族構成の変容と住まいの変容を連動させている建築家は僅かしかいないが、そこには論理よりも仮説的なデザイン提案が介在している。それをうまく分析できないのである。おそらくダイアグラム論がヒントになるだろうが、それをかいつまんで説明するのはかなり難しい。午後はその問題について考え続ける。台風のせいで時々豪雨が訪れるので散歩に出かけることはできない。ベッドに横になり仮眠と読書。『感覚のエデン』は「8ミリ映画《回想のヴィトゲンシュタイン》への想起」を読み終わり、第孤堯峽亳海離ぅ鵐侫薀好肇薀チャー」の「霧の抵抗」へと進む。「8ミリ映画《回想のヴィトゲンシュタイン》への想起」は岡崎が1988年に制作した8ミリ映画《回想のヴィトゲンシュタイン》に関連して、ギリシア哲学におけるデモクリトスとエピクロスのマルクス的な比較論について述べた短文だが、とくに新しい発見はない。今日の全国の感染者数は64,044人で昨日から6,931人の減少。東京は約8,100人で昨日から約100人の増加。大阪は約4,300人で昨日から約1,500人の減少である。


2022年09月17日(土)

晴れのち曇りの蒸し暑い一日。9時に事務所を出て豪徳寺の「170 丸山邸」に9時45分に着く。すでにTH-1の朝倉社長と現場監督2人に戸田が待機している。まもなくMさん一家が着いたので、10時から建物引渡の手続きを開始する。TH-1からは設備機器についてはすでに説明を終えているので、引渡書類に署名捺印し、設備機器の使用説明書と保証書、鍵を渡す。界工作舍からは製本した竣工図を渡し高窓拭きをプレゼントして引渡完了。11時にイゼナの前田朋子さんが来たので、エアアクア・システムについて丸山夫妻に説明してもらう。その後しばらくの間歓談してから丸山一家、TH-1、界工作舍で記念写真を撮る。12時からの昼休みの時間を利用してiPadで日記を書き込む。昨夜の〈ルイス・カーン・シンポジウム〉第一回は思い出話ばかりで、印象に残るようなトピックはない。13時からオープンハウス開始。最初は三々五々の出足だったが、15時を過ぎる頃から訪問者が増えて16時頃には室内はかなりの人数になった。早稲田大からは中谷礼仁さんと渡邊大志さんが来てくれた。若い建築家たちも多かった。とはいえ恐れていたほどの大人数ではなく胸を撫で下ろす。エアアクア・システムについての質問が多いので、若い建築家たちにはイゼナの前田誠一社長と前田朋子さんに説明を任せる。17時に丸山一家が戻ってきたところでオープンハウスは終了。天気予報では午後は雨模様だったが、幸いにも予報は外れた。丸山さんが持参した僕の本2冊と1/100模型にサインをしてから「170丸山邸」を発つ。豪徳寺駅のホームでイゼナの前田父娘、戸田と合流したので表参道駅まで歓談し18時前に帰社。荷物を置き、一休みして18時15分に戸田と事務所を出て、表参道駅近くの居酒屋へ。店の前でTH-1の朝倉社長、現場監督の御厨さん、石原さんと合流し、オープンハウスの打ち上げ。朝倉さんと僕は日本酒を呑みながら、鳥料理と刺身で盛り上がる。アルコールが入ると朝倉社長の1人舞台で、少々疲れたせいもあり僕と他の3人は話の聞き手に回る。TH-1を女手一つで15年間経営してきただけでなく『建築技術』誌に構造家のインタビューを連載してきた経験から出てくる話題は聞いても飽きない。9時過ぎに店を出て握手して解散。帰途にウィスキーを購入し、9時半に帰宅。久しぶりにロックを煽りながら今日一日を振り返る。Facebookを開いて見ると、オープンハウス案内に「写真撮影はお断りします」と銘打ったので、若い建築家は写真を載せていないが、僕と同世代の建築家は堂々と写真をアップしているので、家早何友、溜息が漏れる。11時に就寝。今日の全国の感染者数は70,975人で昨日から4,991人の減少。東京は約8,000人で昨日から約800人の減少。大阪は約5,800人で昨日から約100人の増加である。


2022年09月16日(金)

晴れで朝夕は涼しいが昼間は残暑の一日。8時半出社。朝、小澤さんから「141小澤邸」駐車場の現場報告に対する返礼メールが届く。今週土曜日に下諏訪に行くそうなので、工務店に到着時刻を知らせるように依頼する。NHKテキスト「家族と住まいの変容」を続行しようやく10枚を書く。残すところ8枚である。夕方菅野さんから電話が入る。「169菅野邸」西陽が強いので室内温度が28度を越える時があるという。空調機の設定温度を23度まで下げるようにアドバイスするが、結露の心配があると言われ、結露防止のために1階ゲストルームの空調機吹き出し口の真下に結露防止の断熱材を貼り付け、さらに部屋全体に天井を張るように頼まれる。早速。手書きのスケッチをまとめてスキャンデータに工事概要のコメントを加えて大同建設に送信する。2階床下チャンバーの試みは良かったが、西陽制御の難しさを思い知らされた結果である。『感覚のエデン』は「生きたアーカイブーLIVING BETWEEN DIVERSITY OF TIME」を読み終わり「8ミリ映画《回想のヴィトゲンシュタイン》への想起」へと進む。「生きたアーカイブ」では、情報ソースとしての人間が歴史をつくるという趣旨で、高橋由一(1828-1894)をとり挙げ、同時代のギュスターヴ・クールベ(1819-1877)の19世紀リアリズムが包含していた問題機制を共有していたことから説き起こし、ウクライナ出身のアーティストであるダヴィッド・ブルリュークとジョン・D・グラハムの、国民国家創成期における生きたアーカイブとしての制作活動を詳細に紹介している。今日の全国の感染者数は75,966人で昨日から9,901人の減少。東京は約8,600人で昨日から約200人の減少。大阪は約5,700人で昨日から約800人の減少である。


2022年09月15日(木)

曇りで涼しい一日。朝一番に松江の大同建設から「169菅野邸」の浴室手摺工事が25度でも完了した旨の報告メールが届く。あわせて空調温度を25度に設定してもまだ暑いという菅野さんからのクレームの報告がある。直ちにメールを返信し、2階リビングと寝室の空調温度を23度まで下げ、還流ダクトを窓に沿って吹き出し、1階客室の空調機を26度設定で稼働するように依頼する。天気がいい日は西陽が室内に差し込むので暑くなるのかもしれない。9時半に事務所を出て、原宿駅竹下口で下諏訪までの予約した特急券と乗車券を受け取り新宿駅からあずさ13号に乗車。小淵沢を過ぎた辺りでおにぎりの昼食を摂り上諏訪駅であずさ号を下車。普通列車に乗り換えて12時半に下諏訪駅に着く。下諏訪は晴れで暑い。待合室でしばらく休み13時に工務店社長の車にピックアップしてもらい「141小澤邸」へ。正面の跳ね上げフェンスが取り付いて駐車場は完成している。フェンスの跳ね上げ方や鍵の閉め方などを確認し、小澤さんへの引き渡しに立ち会うように依頼して13時半に現場を発つ。下諏訪駅13時50分発の普通列車で上諏訪駅にてあずさ号に乗り換え16時半に新宿駅着。「170 M邸」の検査済証の受け取りに行く戸田と別れて17時に帰社。TH-1から届いた追加工事見積をMさんに転送し確認メールをもらう。TH-1は明日中に残工事をすべて片付けるそうだ。小澤さんに駐車場の完成写真と現場監理報告メールを送信する。夜はNHKテキスト「家族と住まいの変容」を少々。なかなか展開しない。『感覚のエデン』は「人間はロボットによって創造される」を読み終わり「生きたアーカイブーLIVING BETWEEN DIVERSITY OF TIME」へと進む。「人間はロボットによって創造される」では、デカルトの心身二元論から説き起こし、人間機械論の論理がエドガー・アラン・ポーの詩作における『構成の原理』と同型であることを検証している。ポーの詩「烏」に関するポー自身の解説がきわめて興味深い。「その構成の一点たりとも偶然や直感には帰せられないこと、すなわちこの作品が一歩一歩進行し、数学の問題のような正確さと厳密な結果を持って完成されたことを明らかにしたいと思う」。これを読んで僕は直ちにクリストファー・アレグザンダーの『Linz Café』における壁絵を描くプロセスの記述を連想した。カフェの壁絵はアレグザンダー自身が描いたもので、一見すると詩的な表現に見えるのだが、それを描くアレグザンダーが唱えるセンタリング・プロセスはきわめて正確で論理的なのである。岡崎はポーの詩作における論理的な方法から、さらに絵画史において16世紀に興隆する主題、ヨハネス・フェルメールの〈画家のアトリエ〉について考察し、画家が対象を描いている状況を描くという主題は、コンテクスト不在の自律した絵画だと主張している。しかし僕の考えでは、岡崎はとり挙げていないけれど、この主題はミシェル・フーコーが論じたディエゴ・ベラスケスの〈ラス・メニーナス〉の方がコンテクストはずっと錯綜し自律・完結しているように思う。岡崎はさらにこの論理を敷衍して、ライプニッツのモナド論へと展開させ、機械的・論理的構築が、ノイズに溢れた精神や魂を浮かび上がらせるというヴィトゲンシュタイン的な逆説的結論へと導いてている。僕の見るところ、これはベイトソンが『精神と自然』で論じていたテーマではないだろうか。今日の全国の感染者数は85,867人で昨日から14,410人の減少。東京は約8,800人で昨日から約1,800人の減少。大阪は約6,500人で昨日から約1,200人の減少である。


2022年09月14日(水)

曇り日晴れの暑い一日。今日は「170 M邸」の竣工写真撮影なので、戸田は朝から現地に向かっている。世田谷区役所の建築課から助成金の件で電話が入ったので戸田に連絡するように電話する。NHKテキスト「家族と住まいの変容」を続行。少しずつ執筆していくが集中できないので遅々として進まない。『新・住宅論』を読み直して頭を整理する。難波研究室OBのMatyas Gutaiさんからメールが届く。現在、彼は英国の大学の教授になっているが、今月下旬に学生と一緒に来日するらしい。事務所を訪問したいというので可能な日時を返送する。東京都立産業技術大学准教授の伊藤潤さんから『デザインの歴史』(暮沢剛巳+伊藤潤+山本政幸+天内大樹+高橋裕行:著 学芸出版社 2022)が届く。先頃、資料として送った〈箱の家001〉を掲載した本である。大学や専門学校でデザイン史を学ぶための教科書として編纂されたもので。「アーツ・アンド・クラフツ」から始まり現代の「デジタルデザインと現代的課題」までの近代デザイン史を7部のカテゴリーに分け、各カテゴリーに複数のトピックスを配列し、全部で44のトピックにまとめている。カラー図版が満載の見るだけで楽しい本である。第5部「高度成長期と日本のデザイン」のトピック33「生活領域横断型ブランド」に〈MUJIHOUSE〉の原型として〈箱の家001〉が掲載されている。全体を概観するとバウハウスとグロピウ、ル・コルビュジエは大々的に紹介されているが、ミース・ファン・デル・ローエはチューゲントハット邸と記念切手の写真が掲載されているだけで、バルセロナ・パヴィリオンやアメリカでの建築は掲載されていない。これでは近代建築史としては画龍点睛を欠くが、デザインの世界ではミースはあまり重要視されていないのだろうか。『感覚のエデン』は「運動イメージの構造的な把握に向けて」を読み終わり、「人間はロボットによって創造される」へ進む。「運動イメージの構造的な把握に向けて」では、前節と同じく、絵画は視覚的にではなく概念的に把握され理解されるという逆説的主張が、脳科学などを引用しながら展開されている。今日の全国の感染者数は100,277人で昨日から12,705人の増加。東京は約10,600人で昨日から約1,700人の増加。大阪は約7,700人で昨日から約1,900人の減少である。


2022年09月13日(火)

曇りのち晴れの今日も暑い一日。8時半出社。9時前に事務所を出て豪徳寺の「170 M邸」に10時15分前に到着。外構工事は最後の詰めが進行中である。植栽は引き渡し後にMさんが植木屋に依頼するそうなので竣工写真の撮影時には植栽は存在しない。まもなく戸田が到着したので、オープンハウスの受付机を、道路側の玄関前ではなく、南側の土間入口の脇に置き、入口前で靴を脱いでもらうように指示する。大学生や関係のない人は中に入らず、外で入場を断ることができるようにするためである。室内に入ると家具が運び込まれて雑然としている。撮影には家具があった方がいいとMさんにアドバイスしたのだが、半ば引っ越し状態になってしまったようだ。家具と段ボールの量がかなり多いので、整理しないと写真撮影が難しいかもしれない。TH-1現場監督が、階段最上段の床板のフレキシブルボードを剥いでいるので、なぜか尋ねると塗装のムラが目立つのでやり直すことになったとのこと。10時過ぎに佐々木構造計画のスタッフ一同が到着する。明治大学の川島範久さんと界工作舍OB杉村浩一郎さんも一緒にくる。外観を見ながら、外構、外装、庇、ベランダなどについて簡単な説明を行う。引き続き正面玄関から入り佐々木さんにM夫妻を紹介する。構造システムについて簡単な説明を頼む。まもなくjt編集部の鈴木尚道さんが着いたので、Mさんを紹介してから、室内を案内して建築の概要を説明する。あらためて内外全体を見直してみると、僕の感覚では細かな要素がやや過剰で雑然とした印象を受ける。これはM夫妻もデザイナーであり、追加要求の要素が随所に加わっているからである。もっとも残念なのは階段が吹抜け空間から見えないことである。上下に移動する人の動きが見える点が吹抜け空間の最大の魅力なのだが、今回は階段下にトイレと倉庫が置かれ、吹抜け側に食器棚の壁が建てられたため、階段は完全に裏に隠れてしまった。それでも何とか一室空間性が感じられるのは、吹抜けに面した2階ブリッジの存在と天井面のキーストンプレートが天井面全体に連続しているためだろう。M夫妻とTH-1に挨拶して11時半に現場を発ち、佐々木構造計画と一緒に梅ヶ丘駅まで歩き12時半に帰社。戸田は現場に残り、現場監理を続けながら家具の整理を手伝う。天気予報では明日はいい天気なので、竣工写真の撮影日和のようである。上田宏さんにあらためて確認メールを送る。NHKテキスト「家族と住まいの変容」を続行。論理展開にあれこれ頭を捻る。19時前に戸田が帰社。「170 M邸」の現場監理報告と明日の竣工写真撮影について打ち合わせてから帰宅。『感覚のエデン』は「トリシャ・ブラウンー思考というモーション」に寄せて」を読み終わり、「運動イメージの構造的な把握に向けて」へ進む。「トリシャ・ブラウン」は、モダンダンサーのトリシャ・ブラウンのダンスに関する評論である。岡崎はジョン・ケージの音楽やロバート・ラウシェンバーグのアッサンブラージュを例にとり挙げながら、1960年代のアートが明らかにしたのは、アートの素材や内容は先にあるのではなく、制作することつまり形式化することによって、初めて素材や内容として認識されるという逆転の論理であることを検証している。いわゆる事後的な論理であり、ラウシェンバーグのゴミやデュシャンの小便器は、美術館に置かれることによってアートになったのというのと同じ論理である。これは磯崎が提唱した〈大文字の建築〉にも通じる発想であり、カントにまで遡る認識の主観的カテゴリー論の敷衍ともいえるだろう。今日の全国の感染者数は87,572人で昨日から34,654人の増加。東京は約8,900人で昨日から約3,200人の増加。大阪は約9,600人で昨日から約7,000人の増加である。


2022年09月12日(月)

曇りのち晴れの蒸し暑い一日。9時出社。NHKテキストの「はじめに」と「―擦泙い慮什漾廚鯑匹瀋召掘加筆校正してNHK出版編集部に送信する。引き続き「家族と住まいの変容」に取りかかる。新たに書き下ろすというよりも『新・住宅論』の同テーマの章を再編集する形だが、書き進むうちに新しいトピックを思いついて論がズレていく。9月中には何とか仕上げたい。Facebookで東工大建築学科主催のオンライン「ルイス・カーン研究連続講演会」のフライヤーを発見したので、全6回をすべて聴講登録する。ヨーロッパ旅行中のレクチャーもあるようだが、現地では昼食時に当たるので、時間が調整できれば聴講しよう。前田記念財団事務局から前田工学賞審査会の日程確認のメールが届く。3月の二次審査までの審査日候補をスケジュール表で確認し返信する。『感覚のエデン』は「トリシャ・ブラウンー思考というモーション」に寄せて」を読み続ける。今日の全国の感染者数は52,918人で昨日から28,573人の減少。東京は約5,700人で昨日から約2,100人の減少。大阪は約2,600人で昨日から約3,200人の減少である。月曜日減少だが、このまま進むことを期待しよう。


2022年09月11日(日)

曇り一時晴れのやや暑い一日。10時出社。10月1日(土)からのヨーロッパ旅行にについて検討する。旅程は暫定的に決めているが、19日(月)以降に確定し、為替レートを見極めた上でその週末にヨーロッパ内での移動航空便を予約購入する予定だが、最近はskyscannerからプライス・アラートと称して、以前チェックした航空便の価格変動を為替レートの変動に合わせて、その都度メールで知らせてくるようになった。情報が多いのは悪いことではないが、早く買いなさいと急かされているような気分になる。留守中の猫や植木の世話についても、手順をまとめて、戸田に依頼することにする。NHKテキストの要領を再確認したところ、〈はじめに〉が大幅にオーバーしていることと、各章の文字数は6,000字ではなく7,000字である。急いでそれぞれの文章を調整する。何とか明日中には編集部に送ろう。『感覚のエデン』は「言葉の真理あるいは言葉の心と理―藤富保男『詩の窓』に寄せて」を読み終わり「トリシャ・ブラウンー思考というモーション」へ進む。「言葉の真理あるいは言葉の心と理―藤富保男『詩の窓』に寄せて」は、藤富保男『詩の窓』に関する評論である、岡崎は詩の論理が、絵画や建築すなわち造形の論理に似ていることを、オブジェ(概念)の階層性によって説明している。詩も建築も論理生成術であるという主張が示唆的である。今日の全国の感染者数は81,491人で昨日から11,250人の減少。東京は約7,800人で昨日から約2,200人の減少。大阪は約5,800人で昨日から約1,600人の減少である。


2022年09月10日(土)

晴れで暑い一日。今日は人間ドック診療なので朝食抜きである。8時半に出社し人間ドックの提出書類一式に必要事項を書き込む。9時15分に事務所を出て外苑前の診療所へ。10年前から通っている行きつけの診療所で、院長は東大医学部卒の顔見知り医師である。当初は地下1階だけの医院だったが、この10年間で徐々に規模が拡大し、現在は地下を出て1階から3階までになった。医師は癌と老人病の専門で、3階は癌専門のフロアになっている。循環器系や消化器系の専門外の診察については、東大医学部の後輩医師が出張診療しているので、人間ドックの対応は土曜日だけのようである。受付に必要書類を渡し、検尿後に控室で着替えた後、2階に上がり9時半過ぎから人間ドック診察開始。最初は内臓と循環器の超音波診療。昨年からの変化について院長の説明を受けながらの診療。頸動脈のプラーク沈着には大きな変化はないようだが、腹部の脂肪肝については相変わらずのようだ。引き続くレントゲン撮影で微かな影が発見されたので、午後にCTスキャンで精密検査をするように指示を受ける。視力と呼吸器の検査の後、血圧と心電図検査。最後に採血と胃の内視鏡検査。麻酔で眠った状態での検査なので、目が覚めると終わっている。控室に戻り麻酔が解けるまでしばらく眠る。20分程度眠った後に11時半完了。受付でCTスキャン診療の書類を受け取り、地下鉄銀座線外苑前から溜池山王駅にて下車。5分ほど歩いてCTスキャン診療所へ12時着。書類を渡し、必要事項を書き込んでから医師の面談。去年と同じ手続きだが、今年の若い医師は慎重に細かなことまで説明する。いわゆるインフォームド・コンセントである。承認書にサインした後に12時半からCTスキャン開始。造影剤を血管に注入すると身体全体が内側から熱くなる。約20分間スキャンし13時過ぎに終了。地下鉄で外苑前まで戻り、駅近くの蕎麦屋で軽い昼食を摂る。14時前に帰社。人間ドック診療中にも「170 M邸」の検査結果について何度かメールをやりとりしたが、戸田の連絡不足がもたらした結果は界工作舍の責任である。面倒なことを考える気にもなれないので、直ちに結論を出してTH-1とMさんに連絡する。体力のない時の判断はあまり思考を伴わないので早い。あまり気分は良くないが戸田を怒る気にもなれない。終わりよければすべてよしとしよう。建築史家の陣内秀信さんから『トスカーナ・オルチャ渓谷のテリトーリオ』(植田暁+陣内秀信+M.ダリオ・パオルッチ+樋渡彩:著 古小鳥舎 2022)が届く。イタリアのトスカーナ州の街シエナの南方に広がるオルチャ渓谷は、2004年に世界遺産に指定されているが、本書は陣内研のOBOGによるオルチャ渓谷の街と田園風景のテリトーリオ研究である。陣内さんの序文を読むと、ますますイタリアに行きたい気分になる。今回のry邸にはトスカーナは入っていないが次回は訪ねてみよう。直ちにfacebookで紹介する。
https://www.amazon.co.jp/トスカーナ・オルチャ渓谷のテリトーリオ-都市と田園の風景を読む-陣内-秀信/dp/4910036032/ref=sr_1_1?crid=3KG28DY52AEL&keywords=トスカーナ・オルチャ渓谷のテリトーリオ&qid=1662793771&sprefix=トスカーナ+オルチャ渓谷のテリトーリオ%2Caps%2C168&sr=8-1
『感覚のエデン』は「詩という認識」を読み終わり「言葉の真理あるいは言葉の心と理―藤富保男『詩の窓』に寄せて」へ進む。「詩という認識」では、詩は散文による小説とは異なる独特の論理を持っているという主張である。僕はエドガー・アラン・ポーの詩くらいしか読んだことがないので、そんなことを考えたこともなかった。寺山修司が「俳句は好きだが和歌は嫌いだ」といったのは、俳句の論理は詩的だが、和歌の論理は散文的だからである。そう考えれば何となく納得できる。今日の全国の感染者数は92,741人で昨日から9,750人の減少。東京は約10,000人で昨日から約800人の増加。大阪は約7,400人で昨日から約100人の増加である。


2022年09月09日(金)

曇り時々小雨の蒸し暑い一日。8時半出社。9時過ぎに事務所を出て、小雨の中を豪徳寺の「170 M邸」現場へ向かう。今日は10時から施主+事務所の検査である。現場ではTH-1の朝倉社長も待機している。外構はまだ工事中で、内部にはまだかなりゴミが残っている。まず残工事のリストを見ながら工事日程の確認。引き続き1階土間からチェックしていく。仕上のニュアンスについてはM夫妻と界工作舍のテイストが若干食い違っているようだ。丸山夫妻は主に設備機器とくに照明器具に対する細かなクレームを提示するが、TH-1はこれ以上の対応は難しいという返答。確かに通常の「箱の家」よりもMさんの注文は細かいので、TH-1としては〈できるーできない〉の対応をはっきりさせる方針らしい。僕としては木部全般の表面が毛羽立っているのでペーパーがけを徹底するように指示するに止める。11時半に朝倉社長と一緒に現場を発ち12時過ぎに帰社。昨日書き終えたNHKテキスト「―擦泙い慮什漾廚鯑匹瀋召后コロナ禍とSDGsという現在の2つの問題と住まいの関係について論じた後に、住まいの複雑な問題について論じるための枠組として〈住まいの4層構造〉を紹介し15枚を若干超えたところで完了。引き続き「家族と住まいの変容」を書き始める。『新・住宅論』にも同じテーマの章があるが、読み直してみると論理展開が冗長で再編集が必要のようである。家早何友。『感覚のエデン』は「ウナギイヌという官能について」を読み終わり「詩という認識」へ進む。「ウナギ犬という官能について」は、赤塚不二夫の漫画『天才バカボン』に出てくるウナギイヌをダシにした感覚論だが、あまり説得力はない。ナンセンスに哲学はあまり通用しないようだ。今日の全国の感染者数は99,491人で昨日から12,913人の減少。東京は約9,200人で昨日から約1,400人の減少。大阪は約7,300人で昨日から約1,000人の減少である。


2022年09月08日(木)

雨時々曇りのやや肌寒い一日。9時出社。NHKラジオのテキスト「―擦泙い慮什漾廚亮紘を続行。時折テキストのラインアップを確認し『新・住宅論』に目を通しながら、頭の中でストーリーを組み立て直しながら、集中して書き続けた結果、夕方までに何とか枚数15枚を書き上げる。できれば9月中に「家族と住まいの変容」まで書き上げたいがどうなることやら。書きながらあれこれ考えるうちに、当初、想定したストーリーから徐々にズレていく。一番大きなテーマは新型コロナ禍の流行だが、非日常的な出来事と日常的な生活との関係をどう調整するかが大きな課題である。祝祭や儀式と新型コロナ禍とはどちらも非日常的な出来事だが、住まいに及ぼす影響は本質的に異なるように思う。その違いについて論じるには、やはり〈建築の4層構造〉が必要に容易に思えるが、それをどこに入れるか、思案のしどころである。『感覚のエデン』は「感覚のエデンー蛇に学ぶ」を読み終わり「ウナギ犬という官能について」へ進む。「感覚のエデン」では、エデンに住んでいるアダムとイブが蛇に唆されて知恵の樹の実を食べてしまいエデンから追い出されるという神話から説き起こし、エデンにおける感覚そのものと、現世における知恵を伴った感覚との比較論を展開している。要するに、知恵を伴わないエデンにおける感覚にはリアリティがないという主張である。当たり前のことをここまで遠回しに論じる岡崎の思考実験に呆れると同時に感心する。今日の全国の感染者数は112,404人で昨日から17,389人の減少。東京は約10,600人で昨日から約3,000人の減少。大阪は約8,300人で昨日から約1,300人の減少である。


2022年09月07日(水)

雨一時曇りの蒸し暑い1日。9時出社。NHKラジオのテキストの執筆を続け「住まいの現在」をようやく5枚書き進む。書くうちに次から次へと細かなトピックに気がつき、どこまで書くか迷ってしまう。枝葉末節にこだわっても仕方がないのだが、専門家でない人には細かな説明の方が分かりやすいからである。気分転換に読書に切り替える。『感覚のエデン』は「魚の教えーXΘTΣ」を読み終わり「感覚のエデンーヘビに学ぶ」へ進む。「魚の教えーXΘTΣ」はヤン・ブリューゲル(父)が旧約聖書のヨナ書の場面、ヨナが鯨によってニネヴェに運ばれ、口から出た場面を描いた絵画を紹介しながら、ローマ帝国における貨幣の問題を論じ、貨幣になぞらえて異物としてのイエスについて論じている。XΘTΣとはギリシア語で魚を意味するが、初期キリスト教ではイエスを表す記号として用いられたそうである。ヨーロッパ旅行の旅程とホテルを再検討し、若干の変更を行う。急激に円高が進行しているので移動の航空券の予約購入は、出発ギリギリまで待つことにしよう。行きつけの診療所から、今週末の人間ドックの確認メールが届いたので、急いで問診票に必要事項を書き込む。今週は仕事が盛り沢山である。今日の全国の感染者数は129,793人で昨日から17,595人の増加で先週末に戻る。東京は約13,600人で昨日から約4,100人の増加。大阪は約9,600人で昨日から約2,500人の減少である。


2022年09月06日(火)

朝のうち曇り後晴れで今日も残暑の一日。9時出社。TH-1から「170 M邸」詳細工事の質疑メールが届いたので返信。9日(金)は施主+事務所検査である。間に合うだろうか。昨日に引き続きNHKラジオテキストを続行。「はじめに」を5枚書いた後に「1)住まいの現在」に移り2枚半まで書いたところで筆が止まる。本棚から『新・住宅論』を取り出し再読して頭を整理する。こうした作業がこれから2年間続くことを考えて天を仰ぐ。難波研究室OBの森山一さんから今年の難波研同窓会の日程について打診メールが届く。ちょっと早いような気もするが、山代悟さんが返事メールを送っているので僕も同じ条件であることを返信する。2009年のローマ大ワークショップに参加した学生で、ワークショップの翌年に東大建築学科の建築史研究室に留学し、現在はローマ大学の教員になっているFederico Scaroniさんから、facebookメッセージが届く。僕の日記を読んでローマに来ることを知ったらしい。同窓会をやりたいそうだがどうなることやら。ボローニャの予約したホテルを、駅に近いホテルに変更する。ボローニャには2泊しかしないので、駅から歩いてチェックインできるし、駅から他の都市への移動にも便利だからである。「箱の家163」の保田さんのfacebookで知ったのだが、MUJIHOUSEではなく、外観が「箱の家」にそっくりな住宅を、宮崎県のパワービルダーが提供している。細部を見るとデザインが微妙に異なり、「箱の家」のコンセプトは理解されていないようだが、家具まで趣味が同じである。HPを見ると、はっきり「箱の家」と謳っているので、これは間違いなく確信犯である。怒るべきか笑うべきか。家早何友な現象である。これはなんとしてでもfacebookで公開して世に問うべきだろう。
https://www.chitose-home.com/brand/大塚モデル1号棟/?fbclid=IwAR17whTcKrnpmNL0Tlxizo6x4gPn6JKmlNZ4OCyiWgbiiaygXN-2IJ_hdxY
https://www.chitose-home.com/brand/series/hako/
今日の全国の感染者数は112,198人で昨日から44,155人の増加で一昨日に戻る。東京は約9,500人で昨日から約2,200人の増加。大阪は約12,100人で昨日から約8,500人の増加である。


2022年09月05日(月)

朝のうち曇り、後はピーカンの晴れで残暑が続く一日。9時出社。今朝は「170 M邸」竣工検査なので、戸田は現場に赴いている。〈NICHIHA SIDING AWARD 2022〉の総評に取り組む。入選作リストを一覧し、全体の傾向について600時余でまとめる。2019年に応募案のインターネット受付を始めたが、ようやくその方法が根付いた結果750点を越える応募があった。しかしながら安易に応募する作品も増えたため、結果的にはレベルの底上げ効果にはなっていない。とはいえ上位50点のレベルは確実に上昇していることも確かである。サイディングは外装材の標準仕様としての地位を確立しつつある印象を受ける。来年はどうなるか期待しよう。昨日に引き続きNHKラジオテキストの「はじめに」を続行する。相変わらずなかなか発火しないので四苦八苦し、夜までにようやく3枚1,200字を書き上げる。明日には何とか5枚を書き上げて次に進みたい。JIA新人賞事務局から審査員紹介の資料の送付を求めるメールが届く。顔写真、経歴、作品2点である。作品写真は上田さんの写真を解像度を落として送信する。下諏訪の工務店から「141小澤邸」駐車場の工事写真が届く。屋根デッキまで終わっているが、跳ね上げドアは納入日が不確定でまだ取り付けられていない。とりあえず小澤さんに報告メールとして転送する。久しぶりに京都の岸和郎さんからメールが届く。世田谷や軽井沢での仕事が動き始めたので、一度界工作舍に立ち寄りたいとのことである。AIAフェロー授与の祝賀会に僕は出席できないので、ヨーロッパ旅行から帰った頃に会う約束をする。ナポリに行くなら足を伸ばしてパエストゥムまでいってはどうかというアドバイスをもらうが、2009年のローマ大ワークショップの際に鈴木博之さんと一緒にサレルノ経由でアマルフィとパエストゥムを訪ねる2泊3日の旅行をしている。その話を岸さんにもしたはずだが忘れているようだ。今日の全国の感染者数は68,043人で昨日から39,760人の減少。東京は約7,300人で昨日から約2,300人の減少。大阪は約3,600人で昨日から約4,000人の減少である。月曜日減少だろう。


2022年09月04日(日)

曇りのち晴れで久しぶりに暑い一日。ゆっくりと朝食を摂り10時半出社。NHKラジオのテキスト執筆を開始する。編集部からもらったこれまでのテキストに目を通すと、すべてのテキストの冒頭に、放送には使われない約2,000字の〈はじめに〉が置かれている。文体はデスマス調である。まずは〈はじめに〉から書き始める。昨日に引き続きヨーロッパ旅行の旅程の検討を続ける。Booking. comでナポリ、ローマ、ボローニャ、マドリードのホテルを仮予約し、パリは前回と同じCDGリムジンバス停留所に近いオペラ座近くのホテルにする。ヨーロッパ内の移動には格安航空便を選ぶためSkyscannerでは仮予約はできないので、出発1週間前に予約購入することにする。これまで何度か格安航空で失敗したことがあるので要注意である。『感覚のエデン』は「ルールはいつでも〈世界に一つしか存在しない具体的事物〉として現れる」、「メルヒェン・クリティックーアリにもハナにも心があり、言葉がある」を読み終わり「魚の教えーXΘTΣ」へ進む。「メルヒェン・クリティック」は、ドイツの哲学者ヨハン・ゴットフリート・ヘルダーを引用しながら、言語が心を作り精神を宿させるというグレゴリー・ベイトソン的な主張を展開している。岡崎によれば、メルヒェンは形式的自律性をもった物語におけるプライム・オブジェクト=原型である。今日の全国の感染者数は107,803人で昨日から15,297人の減少。東京は約9,600人で昨日から約3,000人の減少。大阪は約7,600人で昨日から約1,800人の減少


2022年09月03日(土)

曇り一時晴れの蒸し暑い一日。9時出社。「170M邸」の空調マニュアルのたたき台を作成したので、戸田に図面を加えて仕上げるように指示する。夏季、冬季、中間期に分けて、エアコンの温度設定、還流ダクトの上下切替、天井扇の回転方向、高窓の開閉、玄関土間の換気について説明したマニュアルである。いよいよ9月に入り日本のコロナ水際対策が7日(水)から緩和されることが決まったので。ヨーロッパ旅行の旅程の再検討を始める。パリを基点にすることはいつも通りである。シャルル・ド・ゴール空港に午後に到着した後、その夜にナポリに飛ぶことは決めているが、それ以降の旅程は未定である。マドリードまで足を伸ばすかどうかについても思案中だが、何とかプラド美術館を再訪したいので、頑張って足を伸ばしてみたい。まずは暫定的に行先の日程を決め、ホテルの仮予約から開始する。イタリア国内は電車で移動するので問題はないが、どこからマドリッドに飛ぶかが問題である。Skyscannerで確かめると、フィレンツェかボローニャから飛ぶのが好都合のようである。しかしどちらも3年前にしばらく滞在しているので、長く滞在する気にはなれない。ボローニャに短期滞在し、マントヴァかリミニまで足を伸ばすことを考える。出発まで1ヶ月を切ったのでホテルの予約も徐々に難しくなっているようだ。『感覚のエデン』は「火星の住民と地球の芸術家」を読み終わり「ルールはいつでも〈世界に一つしか存在しない具体的事物〉として現れる」へ進む。「火星の住民と地球の芸術家」は火星の北極に氷が発見されたというニュースに関する芸術家としての岡崎独自の解釈である。ここでもカントが引用されているが、やや牽強付会な解釈に思える。今日の全国の感染者数は123,100人で昨日から5,628人の減少。東京は約12,600人で昨日から約200人の増加。大阪は約9,400人で昨日から約100人の減少という停滞状況である。


2022年09月02日(金)

曇り時々雨の涼しい一日。9時前に出社。9時過ぎに事務所を出て表参道駅から豪徳寺の「170 M邸」現場へ。豪徳寺駅から現場までは土砂降りの雨の中を歩く。内道工事と家具工事の最中で大工とTH ~1to戸田が打ち合わせている。久しぶりにM夫人と会ったので、Mさんを交えた3人で、工事の邪魔にならないようにベランダに出て30分ばかり四方山話。夏休み中にM一家はコロナに罹り大変だったとのこと。一家はワクチンを一度も接種していないそうだ。Mさんは頻繁に現場監理に立ち会っているので、Mさんに希望による細かな追加変更があちこちに存在する。旧宅の建築材料や家具の再利用も内外に散在しているが〈箱の家〉の仕様を再利用部材に合わせるようなデザインにはしなかったため、内外の空間は〈箱の家〉と再利用部材の競演のような幾分ノイジーな印象になっている。そういう意味では〈箱の家〉の新境地であることは確かである。現場監理は戸田に任せて11時半過ぎに現場を発ち、再び土砂降りの中を広徳寺駅まで歩き12時半に帰社。14時に戸田が帰社。まもなくTH-1から追加家具建具の見積書が届くが、かなり高額なのでビックリ。工事最終段階での追加工事にありがちな現象だが、いささか理不尽といわざるを得ない。現場監理報告に添えて、そのままMさんに転送するが、予想通り中止の返事メールが届く。界工作舍としては無駄骨の作業となった。家早何友。『感覚のエデン』は「準備と注解」を読み終わり「火星の住民と地球の芸術家」へ進む。「準備と注解」は、ルネサンス期のドイツの画家アルブレヒト・デューラーの『絵画論』に関する詳細な検証である。岡崎は、新カント派のワールブルク研究所のメンバーであるアーウィン・パノフスキーの『イデア』を引用しながら、デューラーの絵画論に潜むカント的アンチノミー(二律背反)を検証している。今日の全国の感染者数は128,728人で昨日から約21,178人の減少。東京は約12,400人で昨日から約2,000人の減少。大阪は約9,500人で昨日から約1,600人の減少である。


2022年09月01日(木)

雨のち晴れの蒸し暑い一日。9時出社。〈岸和郎のAIA 名誉フェロー記念シンポジウム実行委員会〉から、岸さんのシンポジウムと祝賀会の案内メールが届く。開催日は10月2日(日)なのでヨーロッパ旅行の出発日の翌日である。事情を説明し、残念だが出席できない旨の返信メールを送る。昨日「箱の家164」の植野さんから庭の植栽屋根のスケッチが届いたので、精査した上で戸田と打ち合わせる。鉄骨骨組みの部材サイズをガラス屋根の荷重で決めることになるが、現在の駐車場の鉄骨部材サイズはややオーバースペックに思えるので、1ランク落としたサイズを選ぶことにする。詳細の検討と図面化は「170 M邸」の竣工図をまとめた後に行うように指示する。17時半からArchitekturforum Zürichで開催されるシンポジウム『篠原一男の空間から学ぶ』をオンラインで聴講する。能作さんはシンポジウムを紹介したfacebook上でシンポジウムについてこうコメントしている。「〈失われたのは空間の響きだ〉篠原一男によるこの言葉は、戦後の復興が終わり、高度経済成長期の只中に書かれた論考のタイトルです。環境問題が地球規模の問題となり、低成長により格差が広がり、民族間の対立が散発する現代において、建築に求められる社会的要件はより複雑化しています。それらの要件に応答すべく、建築家は知的で創造的な奮闘を続けています。一方で、空間を言及するチャンスは減っているように思います。これからの建築において、空間はどのような価値を担うのでしょうか。このシンポジウムでは、篠原一男を生んだ日本の建築家と、篠原一男の影響が顕著なスイスの建築家の対話によって、この問いの一端を掴むことを目的とします」。コーディネーターは常山未央、パネリストは、貝島桃代、クリスチャン・デリ+アンドレア・グロリムンド、能作文徳、オリバー・リュッチェンス、坂牛卓の5組である。貝島さんは東工大院生時代に雑誌取材した篠原一男の自邸訪問について話し、クリスチャン・デリ+アンドレア・グロリムンドは東工大百年記念館や住宅など実見した3つの篠原建築について紹介し、能作さんは篠原の民家研究を現代のSDGsの視点で引き継いだ自作3点を紹介し、オリバー・リュッチェンスは篠原の作品集から影響を受けた自作と計画案2点を紹介し、坂牛さんは篠原建築を〈幾何学と感情〉というコンセプトで継承した自作2点を紹介する。日本人パネラー3人の発表はそれなりに説得力があるが、スイス側パネラーの発表が余りにショボイので、その後のディスカションを聴く気にはなれず退席する。何となく盛り上がりに欠けるシンポジウムだった。東大建築学科の教え子で、映画監督に転身した松本准平さんの最新作がfacebookで紹介されている。『桜色の風が咲く』(監督:松本准平 2022年11月4日公開)である。松本さんの映画はいくつか観たことがあるので、ぜひ足を運んでみよう。
https://www.facebook.com/jumpei.matsumoto
https://gaga.ne.jp/sakurairo/?fbclid=IwAR1Vt8KdJjnmwLtbi6_FDtgT-5TGzOpPK2D-NuienpOIMulk6zAD0s8ZWoY
『感覚のエデン』は「芸術教育とは何か?―教育と芸術そして科学」を読み終わり、「準備と注解」へ進む。「芸術教育とは何か?」は、岡崎がディレクターを務めた〈四谷アート・ステュディウム〉のカリキュラムの詳細な紹介で、カントの三批判やジョン・デューイ教育論に基づいて、ウィリアム・モリスやバウハウスを紹介しながら、モダンな芸術教育のカリキュラムについて理論的検証を展開している。岡崎の視野の広さと深さには感心するが、理論としては万全でも、芸術教育の方法としては難しい印象を持つ。今日の全国の感染者数は149,906人で昨日から約19,894人の減少。東京は約14,400人で昨日から約1,000人の減少。大阪は約11,100人で昨日から約5,300人の減少である。


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