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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2021年07月30日(金)

小雨が降り続く蒸し暑い一日。8時半出社。松江の大同建設から「169菅野邸」の敷地ボーリング調査の柱状図が届いたので、佐々木構造計画に転送し、杭の長さの検討を依頼する。まもなく返事が届き、報告書作成の際、内容には〈液状化判定〉を含めるように指示されたので、その旨を大同建設に転送する。籠原の植野夫妻と深谷のシグマ建設に、明日の「164植野邸」1年検査のリマインドメールを送る。豪徳寺のMさんから「170 M邸」の打ち合わせを8月4日(水)10:30amから持ちたい旨の返事メールが届く。以前報告したスケジュールよりもかなり早いので驚いているようだ。15時から『建築雑誌』11月号の特集「教育と国際化」のzoomインタビュー取材。インタビューの相手はシンガポール国立大学建築学科の坂元伝教授である。坂元さんは僕が東京理科大で非常勤をしていた頃の教え子だそうである。コロナ禍でのシンガポール大学における建築教育の方法について約30分のスライドレクチャーの後、ポストcovid19の建築教育の変化に関する加藤紘一さんの質問からインタビュー開始。Zoomによる講義や設計の講評に苦労したようだが、テレワークによって大学内で学科のDisciplineの横断が生まれたプラス面と、実空間で顔を合わせないことのマイナス面の両方があるとのこと。とりわけ直接顔を合わせないために学生相互の人間関係が形成されない点に大きな問題があるという回答。僕からは教師と学生の世代差を越えた相互交流をプラスに変える歴史的視点の重要性を指摘する。『資本主義だけ残った』は第1部「冷戦後の世界のかたち」の第1章「資本主義はただひとつの社会経済システムである」第2章「アジアの台頭と世界の再均衡化」を読み終わり第2部「リベラル能力資本主義」の第1章「リベラル能力資本主義」へ進むが、やや込み入った記述が続くので途中で一旦休止し、本書の全体像を把握するために、最後の解説「資本主義は不平等と腐敗を克服できるか」へ飛んでみる。第1部ではグローバリゼーションと資本主義には必然的な結びつきがあること、さらに著者によれば現代の資本主義にはアメリカに代表される〈リベラル能力資本主義〉と、中国に代表される〈政治的資本主義〉の2種類があることが指摘されている。前者はかつて〈新自由主義経済〉と、後者は〈社会主義市場経済〉と呼ばれていたように記憶している。今日の全国のコロナ感染者は10,743人で昨日と同じ1万人越え。東京の感染者は3,300人、埼玉853人、千葉753人、神奈川1,418人、一都三県の合計6,324人は全国の58.9%。北海道250人、群馬106人、栃木120人、茨城222人、石川110人、静岡121人、愛知230人、大阪882人、京都167人、兵庫265人、福岡478人、沖縄382人。菅総理の発言にも説得力がない。


2021年07月29日(木)

曇り一時雨のち晴れの蒸し暑い一日。8時半出社。昨日に引き続き『建築雑誌』9月号連載「境界論再考」のゲラ原稿について編集部とメールをやり取りし14時過ぎに最終稿を確定する。戸田と「170M邸」の外壁展開図について打ち合わせ。2階側壁が片持構造なので、構造システムに関する検討メールを佐々木構造計画に送信する。盆前に見積用図面一式をまとめるために、来週中の打ち合わせの依頼メールをMさんに送る。午後一番に木村が「165箱の長屋」の現場監理から帰社する。構造体の建方はほぼ完了し、外断熱パネルの取付作業中である。現場監理報告と現場写真をOさんと田中会計士に送る。『建築の難問』は、第6章「建築を評価する」「新しい凡庸さについて」「建築への問いかけ」、第7章「建築を愛しうるかという難問」の「建築の外面と内面」「建築と社会」「建築を愛する」最後に「長いあとがき」を読み終わり読了。あとがきを読むと、真壁智治さんから投げかけられた質問に対する返答をまとめた著作だとある。会話調なので読み易いが、一方で後でかなり手を入れたと思われる事後的な説明と言い訳調に引っ掛かる部分が多い。全体を通底するキーワードの〈和解〉と〈新しい凡庸さ〉には半ば共感しながらはやや反発も感じる。深澤直人が提唱する〈ふつう〉に通じる美意識だが、僕としては〈凡庸〉よりも〈ふつう〉の方がしっくりくる。オルテガ・イ・ガセットの『大衆の叛逆』が内藤の愛読書のようで何度も引用されている。内藤流の大人の論理を若い建築家がどう受け止めるか興味あるところである。引き続き『建築雑誌』10月号連載「工業化再考」の参考図書として『資本主義だけ残ったー世界を制するシステムの未来』(ブランコ・ミラノヴィッチ:著 西川美樹:訳 みすず書房 2021)を読み始める。陣内秀信さんから『都市のルネサンスーイタリア社会の底力』(陣内秀信:著 古小鳥舎 2021)が届く。1976年に出版された同名書の増補新装版である。直ちにお礼のメールを送る。8月には伊東塾でレクチャーをすると聞いたので時間があれば聴講に出かけてみよう。今日の全国のコロナ感染者は10,699人でついに1万人を越えた。東京の感染者は3,865人、埼玉864人、千葉576人、神奈川1,164人、一都三県の合計6,469人は全国の60.5%。北海道260人、群馬103人、栃木142人、茨城166人、静岡108人、愛知250人、大阪932人、京都164人、兵庫280人、福岡366人、沖縄392人。感染者数の急激な増加を受けて、政府は8月2日(月)から31日(火)まで一都3県、大阪府、沖縄県に緊急事態宣言を再発令することを決定し、さらに同期間に、北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県にまん延防止等重点措置を適用すると表明した。家早南友。


2021年07月28日(水)

晴れたり曇ったり時々俄雨の蒸し暑い一日。9時出社。新しいiPadをiMacと同期させるためにApple IDの再設定の方法についてアップル・サポートセンターに電話して訊いてみると、iPhone Proと同じ手続きが必要であるとの返答。さらに再設定後にはiPhone Proと同じようにデータが全消失することが分かったので手続きは中止。代替案として旅行中の日記をiPadから書き込む方法についてあれこれ検討する。サポートセンターとのやりとりを聞いていたスタッフが、事務所内にハードディスクが存在することを報告にくる。確認してみると2019年9月までのデータがバックアップされていることが判明。「159吉村邸」までの竣工写真や2年前までのスライドショーデータが残っていることを確認する。ハードディスクのデータの全体像が今一はっきりしないが、おそらく他にも沢山のデータが残っている可能性がある。夏休み中にゆっくりと調べてみよう。佐々木構造計画から「170M邸」の構造図を界工作舎と同じくお盆前までにまとめる旨のメールが届く。盆明けにTH―1に見積を依頼するために、盆前に一度 Mさんと打ち合わせを持つことにしよう。17年前に竣工した「箱の家064」の柳田さんからメールが届く、敷地境界について隣家と揉めているそうなのでファイルを探し出し、設計開始時にもらった敷地図と測量図をスキャンしたデータを返送する。『建築雑誌』9月号の連載原稿「境界論再考」のゲラ原稿が届いたので、加筆校正して返送する。引き続き10月号連載原稿のスケッチを続行し、参考文献について検討する。『建築の難問』は、第5章「建築を生むための難問」の「つくり手と使い手」、第6章「社会と歩む建築が抱える難問」の「3・11と建築」「建築を伝える」「都市をつくる」「建築家とは誰なのか」までを読み終わり「建築を評価する」に進む。現代はクライアントのエゴイズムと建築家の個人的な表現エゴイズムが連動していること、3・11はそうした動向に警鐘を鳴らしたことを内藤は指摘している。内藤自身の現実の活動が、そうした認識から出ていることは理解できるが、三陸や渋谷での仕事は、内藤のめざす方向とは逆の傾向を昂進しているように見えるのは皮肉である。今日の全国のコロナ感染者は9,576人で1万人まであと一歩である。東京の感染者は3,177人、埼玉870人、千葉577人、神奈川1,051人、一都三県の合計5,675人は全国の59.3%。北海道227人、栃木102人、茨城194人、静岡120人、石川119人、愛知265人、大阪798人、京都175人、兵庫254人、福岡405人、沖縄347人。首都圏集中と地方拡散が並行して急速に進んでいる。


2021年07月27日(火)

雨のち曇りの蒸し暑い一日。8時半出社。妻からパスポートとコロナワクチン接種証明を借りてコピーする。僕の分もコピーし、接種証明書に所定の書き込みをし、二人の必要書類を揃えて渋谷区のワクチンパスポート発行係に郵送する。「170 M邸」の設備図について戸田と打ち合わせ。残された図面は外壁展開図、天井伏図、建具表なので、お盆前までに何とか揃えることができそうである。佐々木構造計画に界工作舎のスケジュールを報告し作業状況について質問する確認メールを送る。鈴木工務店と「165箱の長屋」のアルミサッシについてメールのやり取り。『建築の難問』は、第4章「建築内存在としての難問」の「作品性あるいは作家性について」「建築は芸術家か」引き続き、第5章「建築を生むための難問」の「架構について」「材料・構法・構造」「〈素形〉〈素景〉」「プレハブリケーション」「土木と建築」「アンビルトという方法」「建築は批評性をもちうるか」を読み終わり「つくり手と使い手」に進む。「プレハブリケーション」では、ハウスメーカーが1970年代に良質な住宅の供給する方向性を失ったことを批判しているが〈MUJIHOUSE〉についてはまったく触れていない。あくまで内藤の個人的経験からの議論なのに、時代潮流に対する俯瞰的な体裁をとっている点にかすかな違和感を抱く。「建築は批評性をもちうるか」では〈新国立競技場〉の国際コンペを振り返りながら、東京という都市に対するザハ・ハーディド案の批評性についてポジティブに論じている。逆に、実現された〈新国立競技場〉に対する批判のようにも読めるが、審査員としての判断の事後的な正当化のようにも読めてしまうのが皮肉である。今日の全国のコロナ感染者は7,629人。東京の感染者は2,848人、埼玉593人、千葉405人、神奈川758人、一都三県の合計4,604人は全国の60.3%。北海道138人、愛知174人、大阪741人、兵庫260人、福岡236人、沖縄354人。第5波が本格的に進んでいる。今週末までにはどうなるだろうか。


2021年07月26日(月)

晴れで蒸し暑いが夕方から曇りに変わる。8時半出社。9時前に事務所を出て表参道経由で青山の銀行へ。日差しが強いので表参道を歩く人たちは欅並木の影を選んで歩いている。銀行で雑用を済ませた後、青山通りを少し遠回りしコンビニで買い物をして10時前に帰社。甲府の「167名取邸」の住人である名取さんからメンテナンス希望のメールが届く、建具の不具合だが1年検査前なので工務店に転送し対応を依頼する。鈴木工務店と「165箱の長屋」のユニットバスについて、引き続き鋼製サッシメーカーと玄関ドアの断熱材についてメールのやり取り。『建築雑誌』10月号の連載原稿のスケッチを続行。池辺陽から受け継いだ住宅の工業生産化の思想を反芻しながら〈箱の家〉やMUJIHOUSEの考え方を紹介し、その上で住宅の工業化のこれからの方向性について考えてみよう。『建築の難問』は、第4章「建築内存在としての難問」の「モダニズムという問題」「〈中心〉と〈周縁〉」「〈私〉と〈公〉」「〈中央〉と〈地方〉」「〈都市〉と〈地域〉」「〈継承〉と〈切断〉」を一気に読み通し、「作品性あるいは作家性について」に進む。〈私〉と〈国家〉の間に〈公〉を挟むという発想や、伝統を具体的な技術ではなく精神的なものとして捉え、デジタル技術にも適用できるという継承と切断を統合しようちとする新しい伝統論の定義には共感する。とはいえ、どこかで目にした用語が内藤流に意味を読み替えられている点にはやや違和感を抱く。言葉遣いを気にしながらの読書は久しぶりである。今日の全国のコロナ感染者は4,692人。東京の感染者は1,429人、埼玉人449人、千葉509人、神奈川540人、一都三県の合計2,927人は全国の62.4%。北海道137人、大阪374人、福岡172人、沖縄116人。月曜日にしては多いので第5波が本格的になったようだが、オリンピックのニュースの盛り上がりのため、あまり問題にされていない。


2021年07月25日(日)

晴れで真夏日が続く一日。10時出社。朝早く鈴木工務店から「165箱の長屋」の今週の作業報告と来週の工程表が届いたのでクライアントのOさんと田中会計士に転送する。『建築雑誌』編集部から10月号の2回の対談のゲラ原稿が届く。僕の発言は最後の締めの部分だけなので簡単に加筆校正して返送する。『建築雑誌』10月号の連載原稿のスケッチを再開し、住宅生産の工業化の今後のあり方について考え続ける。『建築の難問』は、第3章「建築に備わる難問」の「空間について」、「時間について」、「場所について」を読み終わり、第4章「建築内存在としての難問」の「モダニズムという難問」に進む。第3章では空間論、時間論、場所論が展開されているが、ほとんどが内藤自身による解釈なので共有するのは難しい。本書はインタビューの記録であり、巻末に注のリストがあるが、参考文献はあまり挙げられていないので検証の術がない。今日の全国のコロナ感染者は5,020人。東京の感染者は1,763人、埼玉人449人、千葉279人、神奈川531人、一都三県の合計3,022人は全国の60.2%。北海道113人、愛知109人。大阪471人、兵庫138人、福岡162人、沖縄209人。感染は広がっているが、オリンピックに完全にかき消されている。


2021年07月24日(土)

曇りのち晴れの蒸し暑い一日。9時出社。11時半から戸田と週末定例の打ち合わせ。戸田がまとめた「170M邸」の展開図と電気設備図について細かく検討する。木造案よりもシステムを単純化することを基本方針として展開図と電気システムズを見直すが、木造案に引きずられている部分が多いので要注意を喚起する。天井は1、2階ともキーストンプレートの露わし仕上なので、配線経路はキーストンプレートの25亶發侶箚屬鬚任るだけ利用するように指示する。急ピッチで見積用図面の作業を進めるので、佐々木構造計画にもその旨を伝えなければならない。引き続き、同じ方針で給排水給湯システム図と空調システム図をまとめるように指示する。午後、木村から「165箱の長屋」の電気システム変更図を鈴木工務店に送信する。窓研究所のHPに掲載された、構造家の横尾真によるCOLUMN「ジャン・プルーヴェの窓#1―ディテールに宿る4つの構築的特徴」を読む。ディテールのアクロメ図と説明のために挿入されている〈クリシー人民の家〉のインテリアを紹介したvideoに感嘆する。〈クリシー人民の家〉や〈モザール広場の集合住宅〉のカーテンウォール部品は、デザインと製作を一体で引き受けたプルーヴェならではの考え抜かれたディテールである。
https://madoken.jp/culture/shin-yokoo/8405/
『建築の難問』は、第2章「建築を支えてきた難問」の「建築は世界と繋がれるのか」と「建築で人は幸せになるのか」を読み終わり、第3章「建築に備わる難問」の「空間について」に進む。第2章で紹介されている高知の〈牧野富太郎記念館(1999)〉、島根県益田市の〈島根県芸術文化センター(2005)〉は実際に訪れて痛く感心したので、内藤の自賛的コメントもスムースに受け入れることができる。今日の全国のコロナ感染者は3,574人。東京の感染者は1,128人、埼玉人345人、千葉301人、神奈川547人、一都三県の合計2,321人は全国の64.9%。北海道118人、大阪283人。


2021年07月23日(金)

今日もまた晴れで真夏日の一日。9時出社。『建築雑誌』10月号の連載原稿スケッチ開始。住宅の工業生産化についてSDGsとの関連で改めて考えてみよう。建築の工業化において今後イノベーションが可能かどうかという問題に焦点を当ててみたい。モノリシックな建築のシェルターはコンクリートのような液状の材料で巨大な3Dプリンターを使って建設されている。したがってこれまでのように工業部品を組み立てるという施工法が有効かどうかが課題になるだろう。AmazonのPrime videoで「世界の車窓から」のイタリア編とオランダ・ベルギー編を観る。どちらもかつて乗ったことある路線と将来乗ってみたい路線が紹介されていて興味深い。パリからアムステルダムまではTGVで行ったことがあるが、インターシティ線には乗ったことがない。イタリアではローマからサレルノまでの列車が懐かしい。ローマ大学とのワークショップの合間に、鈴木博之と一緒にアマルフィやパエストゥムに行った思い出深い路線である。『建築の難問』は序を読み終わり、第1章「建築という言葉の難問」の「建築を定義する」「存在としての建築、現象としての建築」を読み終わり、第2章「建築を支えてきた難問」の「建築は世界と繋がれるのか」に進む。「建築を定義する」で内藤は、建築という概念がArchitectureの日本語訳として伊東忠太によって提唱され、普及したことについて疑問を呈して上で、Architectureの意味をギリシア時代にまで遡り、システムの構築概念として広義にとらえべきであることを提唱している。確かにArchitetureが抽象的なシステムに関わるという点には同意するが、それは〈隠喩としての建築〉としてではないだろうか。「存在としての建築、現象としての建築」はコーリン・ロウが提唱した「透明性」におけるLiteralとPhenomenalの区別かと思ったが、そうではなく、外観の形態と内部空間の対比に関する議論なので、少々肩透かしである。夜はNHKでオリンピック開会式の実況中継を少しだけ観るが、すぐに飽きてベッドでiPadのザッピング。iPadでは画面を開く度にApple IDの再設定を促されるが、どうしたものか考えあぐむ。今日の全国のコロナ感染者は4,225人。東京の感染者は1,359人、埼玉人401人、千葉334人、神奈川652人、一都三県の合計2,746人は全国の65.0%。大阪379人、福岡152人、沖縄100人。一休みというところである。


2021年07月22日(木)

今日も晴れで真夏日の一日。9時半出社。「箱の家163」の建主である熊本の保田和豊さんから電話が入る。保田さんは熊本の本田技術研究所でバイクの構造デザインを担当するエンジニアである。建築の構造に興味を持ち、佐々木睦朗さんに建築構造の歴史についてレクチャーをしてもらえないかと打診してきた。基本的な条件について返答し、佐々木さんに直接連絡するようにアドバイスする。「169菅野邸」と「170M邸」の図面を改めてじっくりと読み込む。細部に気になる点があるが、工事に入ってからの変更で対応できそうである。鉄骨造はやはりシステムとしてクリアである点がいい。『建築の難問』を読み続ける。序では内村鑑三や新渡戸稲造の思想を参照しながらモダニティの匿名性について論じ、土木デザインの利他性と建築デザインの署名性の対比について論じている。土木にせよ建築にせよデザインを通した「和解」がこれからのテーマではないかというのが内藤の結論である。冒頭から正真正銘のポリティカル・コレクトネスなので若干腰が引けるが、まずは正面から受け止めておこう。意地悪な読み方かもしれないが、匿名性や利他性について論じるにあたって、それを唱えた人たちの個人名を列挙していることに矛盾を感じないのだろうか。というか歴史について語るにはやはり固有名は欠かせないのではないかと思うのである。今日の全国のコロナ感染者は5,397人。東京の感染者は1,979人、埼玉人510人、千葉343人、神奈川631人、一都三県の合計3,463人は全国の64.2%。北海道140人、愛知146人、大阪461人、兵庫149人、福岡139人、沖縄153人。完全に第5波に入ったようである。


2021年07月21日(水)

今日も晴れで30度を越える真夏日の一日。8時半出社。『建築雑誌』9月号の連載原稿「境界論再考」を読み直し、若干加筆校正して編集部に送信する。ヴァーチャルリアリティにおける境界について論じた結論部はやや尻切れとんぼ気味になったが、文字数が限られていることと、僕自身にもよくわからないのでやむを得ない。昼前に佐々木構造計画から「169菅野邸」の修正構造図一式が届いたので、直ちに建築図と設備図を加えて松江の大同建設に送る。戸田は構造図を加えて「169菅野邸」確認申請の正式受付のため審査機関に赴く。15時前に事務所を出て分倍河原の「165箱の長屋」の現場に16時前に着く。すでに鈴木工務店社長、現場監督、大工棟梁の3人と木村が待機している。まもなくクライアントのOさん父娘が到着。16時から略式の上棟式。北向きに設えた祭壇に向かって二礼二拍一礼し、4軒長屋の西棟の四隅だけを塩、米、神酒で浄めた後、祭壇に戻り再度二礼二拍一礼して終了。乾杯の後にOさんが簡単な挨拶をし、棟梁が一本締めの手拍子をして16時半にすべて終了。17時半に帰社。『建築雑誌』10月号の連載「工業化再考」の参考資料として『ザ・セカンド・マシン・エイジ』(エリック・ブリニュルフソン+アンドリュー・マカフィー:著 村井章子:訳 日経 BP 2015)を読み始めたいのだが、その前に少し間を取るために『建築の難問』(内藤廣:著 みすず書房 2021)を読もうとして、なかなか食指が進まないのはなぜなのかを考える。著者の内藤廣は僕たちの世代を代表する建築家であり、かつては東京大学社会基盤学科の教授として同じ工学部一号館にいた時期もある。僕は2010年に、内藤は2011年に退職した。退職以降の東日本大震災復興事業や渋谷再開発での内藤の活躍はよく知られている。建築学科の特別講義を頼んだことがあるが、表面はきわめて控え気味な態度の割には、どことなく権力志向的で保守的な印象を拭えなかった。本書の「はじめに」を読むと、内藤自身もそのことを自覚しているようだ。僕にはかつての内井昭蔵の印象が重なって見えるのである。ともかくここ10年の時代の変化を内藤の活動に重ねて読んでみよう。今日の全国のコロナ感染者は4,943人。東京の感染者は1,832人、埼玉人381人、千葉302人、神奈川522人、一都三県の合計3,034人は全国の61.4%。北海道118人、愛知109人、大阪491人、兵庫120人、福岡136人、沖縄169人。全国的な感染拡散が続いている。オリンピック選手や関係者にも感染者が出ているので、大丈夫だろうか。


2021年07月20日(火)

晴れで真夏日の一日。8時半出社。9時にダイキンサービスセンターの技術者が来所。事務所と自宅のマルチエアコンをメンテナンスチェックする。室外機を調べると事務所のエアコンはまったく問題ないようだ。自宅の方はやや性能は落ちているが問題なく稼働している。いずれにせよ10年以上経過しているし、自宅の空調機は既に廃盤になっているため、見積をとった上で取り替えるべきだというアドバイスをもらう。事務所の方も見積を取るべきだが、機器の部品はまだ生産しているので、部品の取り替えは可能とのこと。直ちにTH-1に空調設備の図面を送り見積を依頼する。昨日に引き続き『建築雑誌』9月号の連載原稿を書く。神宮前日記の読書記録を読み返しながら、原広司や山口昌男の境界論を紹介し、バーチャルリアリティにおける祝祭や儀式のあり方についての問題提起で締め括る。明日読み返して編集部に送ろう。「169菅野邸」の構造図最終版の早急な作成について佐々木構造計画に依頼する。「165箱の長屋」の鋼製サッシの製作図チェックバックを鈴木工務店とサッシメーカーに返送する。松村秀一さんから『建築の明日へー生活者の希望を耕す』(松村秀一:著 平凡社 2021)が届く。東大退職後の仕事を見据えたような著書なので、その旨のコメントを添えてお礼のメールを送る。今日の全国のコロナ感染者は3,758人。東京の感染者は1,387人、埼玉人314人、千葉199人、神奈川433人、一都三県の合計2,333人は全国の62.1%。北海道104人、大阪313人、兵庫129人、沖縄154人。首都集中が再び全国拡散へと変わっている。


2021年07月19日(月)

今日も晴れで真夏日の1日。8時半出社。9時45分に妻の車で家を出て渋谷の東急文化村に向かい、地下のザ・ミュージアムギャラリーで開催中の『マン・レイと女性たち』展を観る。
https://www.fashion-press.net/news/72106
https://www.gqjapan.jp/culture/article/20210712-manray-news
かなり大規模な回顧展で、ダダやシュルレアリズムの懐かしいメンバーの写真も多い。約1時間かかって11時半に見終わり12時前に帰社。大同建設から「169菅野邸」工事契約書の表書が届いたので一部を訂正するようにチェックバック。昼過ぎに修正版が届いたので菅野夫妻に転送するとともにプリントアウトして宅急便で送る。今後のスケジュールについて戸田と打ち合わせ、工事契約はお盆の前後になりそうなので、菅野夫妻にスケジュールを打診するメールを送る。当初の予定よりも1ヶ月程度の遅れである。『建築雑誌』9月号の連載原稿を書き始める。書き出しはスムースに進んだが論理展開が気になり2枚書き進んだところで一旦休止。スケッチに戻り頭を整理する。気分転換に『建築の難問』を読み始める。事務所の空調機の効きが悪いのでダイキンサービスセンターに電話しメンテナンスを依頼する。明朝には来てくれることになる。今日の全国のコロナ感染者は2,329人。東京の感染者は727人、埼玉人199人、千葉234人、神奈川412人、一都三県の合計1,572人は全国の67.5%。大阪224人。月曜日なのでいつも通り減少しているが、果たして明日はどうなるだろうか。


2021年07月18日(日)

晴れで30度越えの真夏日の一日。10時出社。土居義岳さんのfacebookに、昨日聴講した東京理科大公開ゼミの感想を書き込む。土居さんは鈴木博之の弟子なので、鈴木の建築史観に関するコメントが中心になる。土居さんは長い返答を書いてくれた。『建築雑誌』9月号の連載原稿を書き始めようとするが、いまいちその気が湧いてこない。午後は帰宅し仮眠と読書の繰り返し。『超訳 ケインズ『一般理論』』(ジョン・メイナード・ケインズ:著 山形浩生:編・訳・解説 東洋経済新報社 2021)を読み始めるが、これにも食指が湧かない。これもデータ消失の後遺症かもしれない。シャワーを浴びて、半日ぼんやりと過ごす。今日の全国のコロナ感染者は3,103人。東京の感染者は1,008人、埼玉人287人、千葉254人、神奈川460人、一都三県の合計2,009人は全国の63.4%。北海道107人、大阪262人。


2021年07月17日(土)

晴れで真夏の暑さ。9時出社。データ消失の後遺症が続く。電話連絡しようと思ってiPhone内の電話番号とメールアドレスも消失していることに気づく。家早南友。とはいえiMacのGmail には連絡先や住所録のデータが残っているので何とか問題を切り抜けることができる。11時半に戸田と週末定例の打ち合わせ。「170 M邸」の詳細図が一通りまとまったので、佐々木構造計画に正式に構造デザインを依頼する。9月初めまでに見積用図面をまとめてTH-1に依頼するというスケジュールであることを伝える。午後、松江の大同建設に電話連絡し7月20日(火)までに工事契約書のたたき台を送ってもらうことを確認する。土居義岳さんの東京理科大学 山名研究室公開ゼミ『「図説世界建築史14-―新古典主義・19 世紀建築〈2〉」を読む 』がYouTubeにアップされたので聴講する。
https://www.youtube.com/watch?v=GtpT75uzkiI
前半1時間がレクチャー、後半1時間が質疑応答だが、土居さんのレクチャー自体は何とか聴き取れるけれど、後半の質疑は教室の音響効果が悪くハウリングが酷くてよく聴き取れない。Zoomで参加した人の質問の方がはっきりと聴き取れるのは皮肉である。英国の建築史家デヴィッド・ワトキンはニコラウス・ぺヴスナーの弟子だが「図説世界建築史14-―新古典主義・19 世紀建築〈2〉」など一連の著作において『モダンデザインの展開―モリスからグロピウスまで』に代表されるぺヴスナーの建築史観の社会主義的イデオロギー性を徹底的に批判しているという。土居さんはワトキンの建築史観は、鈴木博之の『建築の世紀末』に類似していると指摘したが、僕はワトキンの著書は『モラリティと建築』しか読んでいないのでコンテクストがよく把握できない。というのも鈴木はデザインにおけるモラリティを重視していたからだ。その点において僕には、ワトキンよりもぺヴスナーの方に説得力があるように感じられるし、そのこと自体が歴史認識としては問題であることも自覚しているつもりである。その他ぺヴスナーがルドルフ・ウィットコウワーと同世代で同時期に英国に亡命したことなど新しい知見も得ることができた。先日の布野修司さんの「世界建築史」でも感じたが、歴史家の論説には独特の複雑さがありなかなかついていけないことを今回も痛感する。『人類とイノベーション』は第12章「現代のイノベーション欠乏を突破する」、特別追記「コロナ後の世界とイノベーション」を読み終わり読了。第12章の著者の結論はこうである。「私が本書で綴ってきたイノベーションの物語は、イノベーションが自由に大きく依存しているという教訓を教えている。イノベーションが起こるのは、アイデアが出会って番うことができるとき、実験が奨励されるとき、お金が新しい概念に向かってどんどん流れていくとき、投資する人たちが自分への見返りが盗まれないと確信できるときだ」。この視点から、最近の中国で急速にイノベーションが展開している点について、一党独裁体制下ではいずれ近い将来に限界に突き当たることを指摘し、代わってインドの急成長を予言している。今日の全国のコロナ感染者は3,886人。東京の感染者は1,410人、埼玉人318人、千葉244人、神奈川539人、一都三県の合計2,511人は全国の64.6%。北海道111人、大阪380人。


2021年07月16日(金)

曇りのち晴れの真夏のような一日。8時半出社。松江の大同建設に「169菅野邸」工事契約書のたたき台作成のリマインドメールを送る。今週月曜日に依頼メールを送ったがいまだに書類が届かない。今月末までにはまだ少し時間があるし、確認申請の審査がまだ完了していないので、とくに急いではいないのだが何の反応もないので気になったからである。豪徳寺のMさんに戸田がまとめた「170M邸」の修正詳細図を送信する。『人類とイノベーション』は第10章「偽物のイノベーション」と第11章「イノベーションへの抵抗」を読み終わり、第12章「現代のイノベーション欠乏を突破する」へ進む。第10章では、イノベーションの可能性を宣伝することで資金を集めたり株価を釣り上げた事例として「セラノス事件」が詳細に紹介されている。逆にイノベーションの失敗が更なるイノベーションを生み出したロンドンのミレニアムブリッジ(2000年)の例も紹介されている。イノベーションは試行錯誤によって進化し、シュンペーターが提唱したようにイノベーションは必ず〈創造的破壊〉を伴うのである。本章を読みながら、今回のPCのデータ全消失を何とかそのような〈創造的破壊〉に展開させるにはどうすればいいか、あれこれ考えを巡らせる。第11章では、既得権を守るために多くの大企業がイノベーションを妨害した歴史的事例として、コーヒー、マーガリン、最近では遺伝子組換(GM)食品などが紹介されている。イノベーションに対する抵抗は旧世界のヨーロッパで強いようである。すでにエスタブリッシュした大企業が多いからである。今日の全国のコロナ感染者は3,432人。東京の感染者は1,271人、埼玉人290人、千葉277人、神奈川446人、一都三県の合計2,284人は全国の66.6%。大阪254人。


2021年07月15日(木)

曇りのち晴れの蒸し暑い一日。8時半出社。9時にAppleサポートセンターに電話連絡し、一昨日からの経過と問題点を詳細に説明する。やや要領を得ない応答だが、何度か専門家に問い合わせたようだ。その結果、Apple IDを変えた場合には、iCloudのデータだけでなくiMac上にあったデータファイルも消失し、復元は不可能という回答に茫然自失する。昨日Apple表参道のスタッフに対しては、iPhone上のデータ消失はやむを得ないという同意書にチェックを入れたが、事務所のiMacのデータファイルまでが消えるという指摘はまったくなかった。家早南友無責任にも程がある。しかし文句をいっても結果は結果である。しばらくの間は頭が真っ白になり天を仰ぐ。少し時間を置いてから、気分が治ったところで気を奮い立たせ、Googleメールの送受信記録やマイクロソフトサブスクリプションに残っている記録から、最近やりとりしたデータをかき集めて、15時過ぎに何とか昨日の神宮前日記を書き込む。iPadや Macbookにも僅かだがデータが残っているのでiMacへ転送する。16時まで作業を延々と続けた結果、最近のファイルは何とか集まり、スタッフのiMacデータを加えて、当面の仕事は何とか続けることはできるようになるまで漕ぎつける。とはいえ以前の設計図、設計書類、原稿類、著作、旅行写真、講義用スライドショー、2000局余りの楽曲などのデータはすべて失われてしまった。残るデータはiMacにバックアップしたiPhoneとiPadのデータだが、昨日のアドバイスもあるので、当面は手をつけないで置くしかない。これまでに個別のファイルが時たま消失することは何度もあったけれど、今回のようなデータ全消失の経験は初めてである。思わず1979年のスペイン旅行中にセヴィリアで、ヨーロッパで撮った1ヶ月分の撮影済フィルムが入ったバックパックを丸ごと盗まれた時の気分を思い出す。ともかく今日から仕切り直しである。「170M邸」の設計監理契約書に添付する重要事項説明書を作成し捺印してMさんに送付する。銀行ウェブで寺田製帽に麦藁帽子の代金を振り込む。『人類とイノベーション』は第9章「イノベーションの経済学」を読み終わり、第10章「偽物のイノベーション」へ進む。第9章ではヨーゼフ・シュンペーターが1942年に唱えたイノベーションによる収穫逓増の法則や、テクノロジーは常の科学の上流にあり、逆に科学からイノベーションが生まれることはないこと、イノベーションはトップダウン(政府や大企業)から生まれるのではなく、ボトムアップ(民間の競争)から生まれることなどが確認されている。今日の全国のコロナ感染者は3,418人。東京の感染者は1,308人、埼玉人328人、千葉253人、神奈川403人、一都三県の合計2,292人は全国の67.15%。大阪324人。


2021年07月14日(水)

曇り一時雨の蒸し暑い一日。8時半出社。昨夜に引き続きiPhone の復元を試みるがうまくいかない。Appleサポートセンターに電話してApple表参道で直接の指導してくれるように依頼し、本日18時の予約を取る。10時半にMさんが来所。鉄骨造に変更する場合のスケジュールや仕様変更について条件を訊いた後に設計監理契約の締結。11時半終了。12時半に事務所を出て、表参道から半蔵門線、井の頭線、京王線を乗り継ぎ分倍河原駅に13時15分着。歩いて5分で「165 箱の長屋」の現場へ。鈴木工務店の志村監督と木村が待機している。木造骨組と間柱が組み上がり、外壁、床、屋根の構造用合板は取り付けている。明日に大型クレーンで鉄骨階段の設置を行い、屋根合板をすべて張り終えて来週21日(水)の上棟式を迎える予定。15時過ぎに帰社。寺田製帽から宅急便で麦藁帽子が届く。被ってみるとまだ少し緩いので縁の裏にティッシュペーパーを入れてサイズを縮める。寺田さんに帽子が届いた報告とお礼のメールを送る。みすず書房から『建築の難問』(内藤廣:著 みすず書房 2021)が届く。18時にApple表参道へ。iPhoneで新しいApple IDの設定をしてもらう。しかし昨日Appleから届いたメールとは異なり、初期設定まで戻ったためデータがすべて消えてしまう。ここで一つ目のボタンの掛け違い。事務所のiMacにデータがバックアップされているので大丈夫と考えてオーケーしたのだが、初期設定後にその点を確認すると、iMacのデータを復元するとApple IDも元の状態に戻ってしまうので、新しいApple IDが消える可能性があるとのこと。ここで二つ目のボタンの掛け違い。帰社してiMacに新しいApple IDを設定し、iPhoneと同期設定したところiMacのデータがすべて消えてしまう。焦ってあれこれ対応を試みるが復元しない。これでは仕事にならないので明日再びサポートセンターに尋ねるしかなさそうである。今日の全国のコロナ感染者は3,194人。東京の感染者は1,149人、埼玉243人、千葉208人、神奈川361人、一都三県の合計1,961人は全国の61 4%。大阪349人。感染者がますます増えている。オリンピック開催は1週間後なのにどうなるのだろうか。


2021年07月13日(火)

曇り一時晴れの蒸し暑い一日。8時過ぎ出社。8時半に事務所を出て、表参道駅から千代田線の我孫子行きに乗り、約1時間で柏駅に着く。東武アーバンパークライン(旧・野田線)に乗り換えて清水公園駅に10時15分着。西口から数分歩いて約束の10時半丁度に寺田製帽店に到着。籠原の「箱の家164」の工事を担当したシグマ建設による設計施工の職住一体住宅である。外壁は2階がガルバリウム波板の縦張り、1階がフレキシブルボードである。寺田良さんの製帽アトリエに入り、注文しておいた麦藁帽子を被ってみるが、やや大きいのでサイズを少し縮めるように頼む。今週中に送ってもらうこととし、その後しばらく住宅内を見学。窓の数がやや多いのが気になるがコンパクトで快適な住宅である。11時半過ぎにお暇して13時半に帰社。夕方、寺田さんからメールが届きサイズ調整をして送ったので、明日中には届くとのこと。明日の打ち合わせのために「170M邸」鉄骨案の設計監理契約書をまとめる。Appleから「iPhone Pro Maxのアクティベーションロックを解除したので、リカバリモードを使って新しいデバイスとして復元するように」という指示メールが届く。指示にしたがってソフトウェアをアップデートするがアップデートされないので、サポートセンターに電話し質問すると、何度か試みるように指示される。今夜、繰り返し試みてみよう。『人類とイノベーション』は第8章「イノベーションの本質」を読み終わり、第9章「イノベーションの経済学」へ進む。第8章では、イノベーションが生まれる条件が列挙されている。.ぅ離戞璽轡腑鵑魯璽蹐ら生じるのではなく、既存のテクノロジーの進化として生まれること、△△蕕罎襯謄ノロジーは他のテクノロジーの組み合わせであること、イノベーションには試行錯誤が不可欠であること、ぅぅ離戞璽轡腑鵑砲蓮匐力〉と〈共有〉を必要とすること、ゥぅ離戞璽轡腑鵑録祐屬集積した〈都市〉で生じる、などである。これらの法則の傍証として、先日読んだアンドリュー・マカフィーの『MORE from LESS』における〈脱物質化〉や、ジェフリー・ウェストの『スケール』で指摘された都市の〈べき乗法則〉が引用されている。今日の全国のコロナ感染者は2,386人。東京の感染者は830人、埼玉179人、千葉180人、神奈川308人、一都三県の合計1,497人は全国の62.7 %。大阪225人。一向に減る気配はない。


2021年07月12日(月)

晴れ後曇り夜は雨の蒸し暑い一日。8時半出社。松江の大同建設に「169菅野邸」の工事契約の要領についてメール連絡する。契約書類への記載条件については、現場説明の際に渡した見積要領に従うように依頼する。工期は8月上旬に工事契約を締結した場合を前提に設定するように依頼する。引き続き佐々木構造計画に上のスケジュールを伝え、確認申請の手続きを急ぐように依頼メールを送る。豪徳寺のMさんから「170 M邸」の鉄骨案を進めたい旨のメールが届く。工事費が当初の予定よりも20%以上嵩む可能性があるため、先週中はかなり悩んだようだが、ともかく先に進むことを決断したとのこと。木造案よりも全体のシステムが単純明快になり、より高性能になることは間違いないからである。改めて設計監理契約を締結させて欲しい旨を返信し、午後に設計監理契約書のたたき台を送る。まもなく返信メールが届き、明後日に来所し契約を締結することになる。近畿大学工学部の樋渡彩さんから「2020年度 都市歴史研究室報告書」が届く。樋渡さんは陣内秀信さんの法政大時代の教え子で、4年前に近代ヴェネツィアに関するテリトーリオ研究の博士論文で前田工学賞を受賞した。その後、故郷に近い広島の近畿大学工学建築学科の講師になり、2年目で最初の研究報告をまとめたようだ。4年生の卒業研究が中心だが、専門の北イタリアのテリトーリオ研究も何点か収めた充実した内容である。大学にメールアドレスを訊き、お礼のメールを送る。『人類とイノベーション』は第7章「先史時代のイノベーション」を読み終わり、第8章「イノベーションの本質」へ進む。第7章では、人類最古のイノベーションは農業革命であることが紹介され、さらに遡り、火の発見を初めとして生物と人類の発生と進化そのものがイノベーションであることが確認されている。イノベーションが生まれる基本的な条件は、人類が集まって住み、濃密なコミュニケーションが可能になってからであることが改めて強調されている。今日の全国の感染者は1,506人。東京の感染者は502人、埼玉110人、千葉114人、神奈川280人、一都三県の合計1,006人は全国の66.8 %。大阪105人。


2021年07月11日(日)

曇り一時晴れ、後に雷雨の蒸し暑い一日。10時出社。「169菅野邸」の図面を改めて見直してみる。まだいくつか気になる点があるが、工事が始まってから再検討しよう。今日は一日休みを決め込み、昼過ぎに帰宅。ベッドに横になり読書、仮眠、iPadザッピングの繰り返し。16時過ぎにものすごい雷雨。シャワーを浴びて再び読書。夜はNHKスペシャルで「第3の兵器革命、AIは戦争をどう変えるのか?」を観る。AIが兵器に使われるのは当然だが、現在読んでいるイノベーションに関する著作ではまったく扱われていない。兵器だけでなく原子力も宇宙開発も入っていない。『人類とイノベーション』は第6章「通信とコンピュータのイノベーション」を読み終わり、第7章「先史時代のイノベーション」へ進む。第6章ではスマートフォンの出現と検索エンジンの急速な開発が詳細に紹介されている。いずれも本格的な開発が始まったのは2010年前後のごく最近である。今日の全国の感染者は2,032人。東京の感染者は614人、埼玉163人、千葉183人、神奈川389人、一都三県の合計1,349人は全国の66.4 %。大阪167人。

ネットで「読売新聞」2021年6月27日号に掲載された苅部直さんの『日本近現代建築の歴史 明治維新から現代まで』(日埜直彦:著 講談社選書メチエ 2021)の書評を読む。「箱の家166」のオープンハウスで会った際に苅部さん本人から聞いたので読みたいと思っていた。2週間前の記事なので、もう時効だろうと考えて下記にコピーする。最後の段落の「重要なのは、丹下が示すような歴史との間の〈緊張〉の意識が働いているかどうかなのだろう。それを洞察し、今後の方向を示す建築論とはどういうものか」という問いかけが、現代の建築家に投げかけられた本書のメッセージだと受け止める。

「国から民間 断層見すえ」 苅部直(政治学者・東京大教授)
日本近代の建築史に関しては、一九七〇年ごろを境として、そのあと現在に至るまでの時代に関する通史が書かれていない。一般に、同時代について全体像を見わたすのは簡単でないが、日埜直彦によれば、近代日本の建築の歴史そのものに由来する困難がある。本書はそこに果敢にとりくんで、明治期に始まる百五十年の流れを見わたし、現在の状況を位置づけている。
一九七〇年の前後に、建築史の「断層面」があった。それまでは建築の近代化すなわち西洋式建築の導入を、国家が進めるという大きな前提があり、建築家たちは政府が決めた方向に多かれ少なかれ協力する形で、仕事を進めていた。しかし戦後の経済成長の結果、建築を生み出す主力は民間の建設会社に移った。建築史の「ポスト国家的段階」の到来である。
日埜が問題にするのは、この過程で生じた、思考の大きな空白である。住まう人にとって望ましい建築とはどういうものか。そうした公共の方向づけを国家の政策に事実上預けたまま、二十世紀の建築家たちは、西洋由来のモダニズムの日本への土着化に努めてきた。大きな達成を残した独立自営の建築家も例外ではない。
だが、国家の威信と結びつきながら戦後の建築界に君臨した丹下健三について、日埜が高く評価するところがおもしろい。丹下は日本の建築がおかれた条件を十分に意識した上で、それまで試みられてきた、伝統と近代の融合の型を打ち破る、ダイナミックな建築を実現した。
バブル経済崩壊、東日本大震災をへたのちの現在における、建築の新たな動向についても日埜はふれているが、重要なのは、丹下が示すような歴史との間の「緊張」の意識が働いているかどうかなのだろう。それを洞察し、今後の方向を示す建築論とはどういうものか。本書からはそんな問いが浮かびあがってくる。建築家として、また批評家としての観点が生かされた、大胆な通史の試みである。


2021年07月10日(土)

晴れのち曇りでいよいよ夏になったような暑さの一日。8時半出社。「165箱の長屋」二期工事の設計要旨と平面図を宅急便で送った旨をOさんと田中会計士にメール報告する。まもなく田中会計士から返信メールが届き、プログラムについて検討中のことなので、これ以上の作業は一時ペンディングとする。昼前に松江の菅野さんから電話が入り「169菅野邸」の界工作舎の査定に対する大同建設からの回答金額を承認するので、工事契約へ向けての作業を進めてよいという回答をもらう。今後の工事契約の手順については、来週早々に大同建設へ連絡することにしよう。昼前に戸田と週末定例の打ち合わせを行い「169菅野邸」の工事契約のための図面を整備すると共に、確認申請の審査を急いで進めるように指示する。鈴木工務店から「165箱の長屋」の今週の工事報告と来週の工程が届いたので、直ちにOさんと田中会計士に転送する。16時に解散。『人類とイノベーション』は第4章「食糧のイノベーション」、第5章「ローテクのイノベーション」を読み終わり、第6章「通信とコンピュータのイノベーション」へ進む。第4章では、ジャガイモのイノベーションから始まり、空気中の窒素を固定してアンモニアを合成し植物の肥料を作るイノベーション、遺伝子組換えによって収穫量が増えたコムギや害虫耐性を持った綿花などのイノベーションや、新たな遺伝子編集技術であるCRISPR(クリスパー=定間隔を置いた短い短文のクラスタ)の開発経緯が紹介されている。第5章では13世紀にアラビア数字の〈ゼロ〉をヨーロッパに紹介したレオナルド・ダ・ピサ(通称 フィボナッチ)と15世紀にそれを商業取引に導入し広めたルカ・パチョーリの仕事の紹介から始まり、下水からの臭気の逆流を防止するS型、U型の排水トラップ、波板鉄板、コンテナ、キャスター付スーツケース、マクドナルド・ハンバーガーなど日常生活に不可欠なイノベーションが紹介されている。波板鉄板が発明されたのは19世紀初めで、大英帝国の世界進出にとって重要なシェルター技術となり、鋼板への強化と耐候性のメッキの改良が進み、現在ではオーストラリアが主要生産国だそうである。十数年前にメルボルン大学で講演した際に、national treasure に指定された鉄骨フレームのプレファブ住宅を見学したが、それはイギリスで製作され船便で運ばれた住宅で屋根は波板鉄板で葺かれていた。どんなイノべーションも、一般に考えられているように、いわゆるアイデアのひらめきから生まれるのではなく、漸進的な改良と進化によって生まれるという指摘が興味深い。要するに発明とイノベーションとは異なるということである。今日の全国の感染者は2,278人。東京の感染者は822人、埼玉150人、千葉180人、神奈川355人、一都三県の合計1,507人は全国の66.2 %。大阪143人。


2021年07月09日(金)

曇り時々雨の蒸し暑い一日。8時半出社。ALSOK山陰から「169菅野邸」警備システムの最終案が届く。機器の追加と細かなシステム変更があるため、戸田と検討し代替案をまとめてALSOK山陰と菅野夫妻に返信する。松江の大同建設から「169菅野邸」の査定回答が届く。昨日送った構造変更も反映されている。戸田に内訳の精査を指示した結果、とくに問題はないことを確認できたので、見積書の表紙と工事項目内訳の2枚を菅野夫妻に送って検討を依頼し、全ページをプリントアウトしたものを宅急便で送付する。査定回答を佐々木構造計画にも転送する。木村から「165箱の長屋」の二期工事の平面図と設計趣旨が届いたので、一部加筆訂正した上でプリントアウトし、クライアントのOさんと田中会計士に宅急便で送る。昨日の打ち合わせに基づいて木村がまとめた「165箱の長屋」のスチールサッシ製作図を鈴木工務店とスチール指しメーカーに送信する。『祝祭都市―象徴人類学的アプローチ』(山口昌男:著 岩波書店 1984)は興味を持った第一部「深層の都市へ」の第1章「文化の仕掛けとしての都市」と第3章「都市の抱える闇」、第3部「都市の起源・起源の都市」を一気に読み通す。発売直後の1984年に一度読んだ記憶があるが、その時よりも僕自身の読み方が少し変わっているのを感じる。1970年代には都市の匿名性や都市文化の祝祭性はリアルに実感できたので、興奮しながら都市を徘徊した記憶があるけれど、2000年代以降になるとその実感は薄れてきた。ネット社会になったためか、僕の年齢のためか、おそらく両方だろうが、『建築雑誌』9月号特集で2020年代の〈都市の祝祭性〉をあらためてテーマにする意味が理解できた気がする。頭を整理した上で9月号連載原稿「境界論」のまとめに着手しよう。少し間が空いたが『人類とイノベーション』(マット・リドレー:著 太田直子:訳 ニュースピックス 2021)の再読を開始する。今日の全国の感染者は2,278人。東京の感染者は822人、埼玉150人、千葉180人、神奈川355人、一都三県の合計1,507人は全国の66.2 %。大阪143人。


2021年07月08日(木)

雨のち曇りのやや涼しい一日。8時半出社。10時に戸田と「169菅野邸」の構造変更について打ち合わせ、結果をまとめて松江の大同建設に送信。明日の査定回答の締切を1日延期して明後日の7月10日(土)とし、その旨を菅野夫妻にも伝える。豪徳寺のMさんから昨日渡した「170M邸」の工事概算書に関する質問メールが届いたので回答メールを返信する。15時に鈴木工務店とスチールサッシ加工メーカーが来所。「165箱の長屋」のスチール製高窓サッシと玄関スチールドアについての打ち合わせ。打ち合わせは木村に任せる。建方は来週に開始するので週の半ばに現場監理に行くことにする。16時過ぎ終了。寺田製帽の寺田さんから注文していた麦藁帽子が完成した旨のメールが届いたので7月13日(火)に千葉の清水公園まで受け取りに行くことにする。久しぶりにスタッフと一緒に夕食を外で食べる。来週から非常事態宣言なので外食は難しくなるからである。『MORE from LESS―資本主義は脱物質化する』(アンドリュー・マカフィー:著 小川敏子:訳 日本経済新聞出版社 2020)は、第14章「この先にある未来へ」、第15章「賢明な介入」、結論「未来の地球」を一気に読み通して読了。第14章では、今後も経済成長を持続するための戦略について、製造業、エネルギー、輸送手段、農業におけるイノベーションの可能性を紹介し、それぞれの部門における脱物質化の推進を提唱している。第15章では、地球温暖化防止のために〈希望の四騎士〉のうちの.謄ノロジーと∋駛楴腟舛凌篆覆箸いΓ仮魴錣鵬辰┐董↓H娠する政府とせ毀韻亮覚という2条件について検討している。政府の介入については炭素税の導入と原子力発電の推進という二つの条件を挙げている点が注目される。その他、プラスチックゴミ問題や所得の偏在に対する対応も提案されている。さらにぬ唄峇覿箸篁毀臼親阿砲弔い討皀ーボン・オフセットや〈第二啓蒙主義〉の諸活動が提唱されている。本書は総じてテクノロジーと資本主義に期待する立場で書かれた内容であり、いわゆる脱成長主義とは正反対の立場である。建築家としての僕の立場に引き寄せていえば、建築の工業生産化を脱物質化に向けてさらに推し進めるという方向性を再確認するような結論だといえる。原子力発電に対しては技術的な立場から、市民のアレルギーが強いことへの疑問を示している点が考えさせられる。引き続きAmazon古書から届いた『祝祭都市―象徴人類学的アプローチ』(山口昌男:著 岩波書店 1984)を読み始める。今日の全国の感染者は2,246人。東京の感染者は896人、埼玉155人、千葉200人、神奈川322人、一都三県の合計1,573人は全国の70.0 %。大阪125人。首都圏集中が止まらないため、オリンピックは無観客での開催が決定された。


2021年07月07日(水)

小雨のち曇りの蒸し暑い一日。8時半出社。10時半に界工作舎OBの杉村浩一郎さんが来所。南房総市のプロポーザルコンペで実現したIT企業のオフィスが完成したので写真を持参する。建築の雑誌に掲載できないか問われたので、写真と資料を揃えて雑誌の編集部へ送るようにアドバイスする。「箱の家139」の夫人が来所し、室内機が故障したので、アクアレイヤー・システムと空調システムの分離を希望される。直ちに工務店とイゼナに連絡し、その旨を伝えて対応を依頼する。松江の菅野さんにメールを送り、昨夜からの大雨の状況を問い合わせる。直ちに返事メールが届き、早朝に警戒警報が出たが現在の菅野邸は高台にあるので問題はないとのこと。「165箱の長屋」の鉄骨階段について鈴木工務店とメールのやり取り。18時から『建築雑誌』のzoom編集委員会開始。今回は長澤夏子さん担当の11月号特集「変化する建築教育と国際のこれから」と高口洋人編集長担当の12月号特集「進化する技術とまちづくり、モビリティと都市」について意見交換する。11月号の特集にはもはや僕は出る幕はないのでコメントは控える。12月号の特集に対しては、いささかテクノロジー偏重である点に注意を喚起し、もっと社会的視点を取り入れるべきであることをアドバイスする。テクノロジーの予想は分かりやすいので議論するのは比較的簡単だが、その社会的影響について検討するのは難しい。しかし重要なのはテクノロジーそのものではなく、それが社会や私たちの生活もたらす影響の方である。編集長の提案なので編集委員はコメントしにくいようだが、編集委員会にとっては最終号の特集なので、もう少し突っ込んで検討してもらいたい。夜、佐々木構造計画から確認申請審査機関の指導による「169菅野邸」の構造システムの変更に関する報告メールが届く。工事費に関わる変更が何点かあるため、早急に変更点をまとめて大同建設に報告する必要がある。この問題については、明朝に戸田と打ち合わせすることを確認して10時過ぎに帰宅。『MORE from LESS』は、第11章「どんどんよくなる」、第12章「集中化」、第13章「絆の喪失と分断」までを読み終わり、第14章「この先にある未来へ」に進む。第11章では、ジョン・スチュアート・ミルが1828年の演説で述べた箴言が記憶に残る。「私が観察したところでは、賢者と崇められるのは、皆が絶望する中でひとり希望を抱くものではなく、皆が希望に満ちているなかで一人絶望する者である」。歴史家はそのような役割を担っているのかもしれない。この章では第10章までの条件を受けて、地球温暖化や貧困などの問題が徐々に解決に向かっていることが確認されている。第12章では〈セカンド・マシン・エイジ〉におけるテクノロジーと資本の都市への集中によって富の偏在が進行していることが指摘されている。第13章では、人間関係の分離による〈社会関係資本(ソーシャルキャピタル)〉の衰退と権威主義の勃興について検証されている。テクノロジーの進展と資本主義がもたらしている負の影響である。総体的な富は増加しているが、中流階級だけがそこから取り残され激しい不公平感をもたらしている。ドナルド・トランプ政権の誕生はその結果だという。これはアメリカに関する分析だが、日本も例外ではないだろう。今日の全国の感染者は2,191人。東京の感染者は920人、埼玉157人、千葉139人、神奈川250人、一都三県の合計1,466人は全国の66.9 %。大阪151人。政府はついに東京に対して7月12日(月)から来月8月22日(日)まで緊急事態宣言を再発出する方針を固めた。家早何友。


2021年07月06日(火)

曇りのち雨の蒸し暑い一日。8時半出社。戸田がまとめた「170M邸」の平断面詳細図と概算見積の資料に目を通し問題点を整理する。10時半にMさんが来所。図面を見ながら木造から鉄骨造への変更点について簡単に説明する。いくつか質問を受けた後に、資料を見ながら工事費の概算について説明し、コストダウンについて何点かの設計変更の可能性を指摘する。とりあえず鉄骨案を持ち帰って夫人と相談してもらうことにして11時半に終了。『建築雑誌』9月号の連載原稿「境界論」のスケッチを続行。以前読んだことがあるような記憶があるが、参考文献として山口昌男の『祝祭都市』をアマゾンに注文する。並行して現在読んでいるイノベーションに関する本から10月号特集「人新世の建築・都市論」の連載原稿のテーマを「工業化再考」とすることを思いついたので、これもスケッチを開始する。SDGsのために工業化をやめるのではなく、さらに推進することの可能性について考えてみよう。『MORE from LESS』は、第7章「何が脱物質化を引き起こすのかー市場と驚異」、第8章「アダム・スミスによればー資本主義についての考察」、第9章「さらに必要なのはー人々、そして政策」、第10章「〈希望の四騎士〉が世界を駆け巡る」を読み終わり、第11章「どんどんよくなる」に進む。第7章では脱物質化のアプローチはスリム化、置換、最適化、消滅の4点であるとして、それぞれについて検討している。著者のマカフィーは本書の前に『ザ・セカンド・マシン・エイジ』(エリック・ブリニュルフソン+アンドリュー・マカフィー:著 村井章子:訳 日経 BP 2015)を出しており、そこでは脱物質化を〈第2機械時代〉のキーワードに挙げている。第8章では市場の力を検証するためにアダム・スミスやマルクスにまで遡って資本主義の問題点を再検討し、歴史的な事例を挙げながら社会主義批判を展開している。さらに1980年代にサッチャーやレーガンが提唱した新自由主義や市場原理主義をフリードリヒ・ハイエクを参照しながら検証している点には説得力がある。第9章は、テクノロジーがもたらす公害などの〈外部性〉を解決するには、テクノロジーの進歩と資本主義の2条件に加えて、市民の自覚(public awareness)と反応する政府(responsive government)の2条件が必要であることを提唱し、.謄ノロジーの進歩、∋駛楴腟繊↓H娠する政府、せ毀韻亮覚、の4条件を〈希望の四騎士〉と呼んでいる。第10章はここまでのまとめとして、近来の〈希望の四騎士〉の進展とその成果について検証している。今日の全国の感染者は1,670人。東京の感染者は593人、埼玉137人、千葉138人、神奈川198人、一都三県の合計1,066人は全国の63.8 %。大阪136人。首都圏集中が止まらないため、オリンピックが無観客になるのはほぼまちがいないように思われる。菅政権は何としてでも有観客の開催に拘っているようだが。


2021年07月05日(月)

雨のち曇りの蒸し暑い一日。8時半出社。9時過ぎに事務所を出て小雨の中を青山の銀行へ。小雨が降り続いているので表参道の人通りは少ない。上半期の源泉所得税の支払を済ませて10時過ぎに帰社。ニュースでは今年の国税収入は過去最高の60兆円を越え、消費税収入も過去最高だそうだ。ステイホームのための企業収益が増え、ネットでの買物が増えたのだろうか。一般庶民の実感とはややかけ離れた現象である。「165箱の長屋」のクライアントから、銀行の融資に必要なので確認申請審査済証を送って欲しい旨のメールが届いたので宅急便で送付する。戸田と「170 M邸」の鉄骨詳細図の打ち合わせ。木造よりも構造、外壁、屋根のシステムが明解になっている。引き続き工事費の概算について検討。昨年完成した「箱の家164」が鉄骨造で使用は若干異なるが、契約工事費を面積単価にして計算し、とりあえず概算工事費を提示することにする。『MORE from LESS』は「はじめに」から第6章「なぜリサイクルや消費抑制は失敗するか」までを一気に読み通し、第7章「何が脱物質化を引き起こすのかー市場と驚異」に進む。第3章までは18世紀の産業革命から現代までの技術史の概要を辿り、工業化の進展がもたらしたエネルギーと資源の限界や公害などの社会問題が紹介されている。第4章「アースデイと問題提起」では、その問題に対して1970年にアメリカ全土で開催された〈アースデイ〉において提唱されたCRIBという問題提起が紹介される。CRIBとは、C( Consume Less)=消費量を減らす、R(Recycle)=リサイクル、I(Impose Limit)=制限を設ける、B(Back to the land)=大地に還れ、という行動規範の提唱である。昨今に唱えられているSDGsとかなり似ていることに驚かされる。1968年にスチュアート・ブランドが発行した『ホール・アース・カタログ』もこの運動の一環であり、少し遅れて『成長の限界』(1972)も出版されている。同時期にバックミンスター・フラーが提唱したMore with Lessとエフェメラリゼーションの概念も紹介されている。著者はエフェメラリゼーションを〈脱物質化(Dematerialization)〉と言い換えている。第5章「脱物質化というサプライズ」では、アメリカにおける1900年から2010年までのコモディティ(資源やエネルギー)100品目の消費量の変遷について統計資料を調べたところ、GDPは持続的に上昇しているが、これに対してコモディティ品目の多くは消費量のピークを過ぎでいることが判明したことが紹介されている。つまり多くのコモディティにおいて2000年代前後に〈脱物質化〉が始まっているのである。第6章「なぜリサイクルや消費抑制は失敗するのか」は、CRIBのうちのC(Consume Less)とR(Recycle)が〈脱物質化〉とは関係がなく、失敗する理由について詳しく検討されている。SDGsに対する批評的な視点を与えてくれる興味深い内容なので、さらに読み進んでみよう。今日の全国の感染者は1,030人。東京の感染者は342人、千葉112人、神奈川180人、一都三県の合計710人は全国の68.9 %。


2021年07月04日(日)

小雨のち曇りの肌寒い一日。10時出社。妻と一緒に家を出て小雨の中を近くの投票所に出かけ、都議会議員選挙の投票を済ませる。渋谷区は定員2人で6人が立候補している。夜に投票結果を調べると、妻と僕が投票した候補者は2人とも当選している。「170 M邸」の図面を見ながらコストダウンの方策についてあれこれ思案するが、家具の削減くらいしか思いつかない。とりあえず概算工事費をMさんに提示して検討してもらうしかないようだ。『境界の発生』(赤坂憲雄:著 講談社 2002)の「境界観念の古層 その他」を読む。基本的な趣旨は昨日読んだ山口昌男の「記号と境界」と同じだが、赤坂は柳田國男に対して批判的だった折口信夫に依拠しながら境界論を展開している。興味深いのは、赤坂がマルクスの『資本論』の次の指摘に注目している点である。「商品交換は、諸共同体の終わるところで、諸共同体が他者たる諸共同体―または他者たる諸共同体の諸成員―と接触する点で、始まる」つまり商品交換が行われる場所=市は、共同体と共同体の境界=周縁で開かれるということである。さらに僕が幼少期に経験した〈ドンド焼き〉について、赤坂は折口を引きながらこういっている。「道祖神勧進やどんど焼きなど、サイの神をめぐる祭りを行うのは、例外なしに村の子供たち(成年戒を受ける以前の者たち)である。いわば子供の完成せぬ魂の霊化したものが村を離れることができずに、村境に残りとどまっている、それが子供の祀る神の本源なのである。賽の河原や沖縄にいうわらび墓などは、ここに起源を有するとされる」。ドンド焼の経験者である僕としては、こうした祭りの際に気分が高揚したことは記憶しているが、その習俗が社会的にどんな意味を持っていたのかは依然として謎である。境界論の勉強は一旦休止し『MORE from LESS―資本主義は脱物質化する』(アンドリュー・マカフィー:著 小川敏子:訳 日本経済新聞出版社 2020)を読み始める。B・フラーのMore with Lessやエフェメラリゼーション、ユリウス・ポゼナーが唱えた非物質化=Dematerializationといった一連の技術史の概念を確認するためである。今日の全国の感染者は1,485人。東京の感染者は518人、埼玉124人、千葉141人、神奈川226人、一都三県の合計1,009人は全国の67.9 %。


2021年07月03日(土)

雨のち曇りの涼しい一日。8時半出社。『建築雑誌』7月号が届いたので界工作舎HPとfacebookにて紹介する。特集テーマは『不確実な時代のプレ・デザイン:前編』で8月号と併せて2回の特集である。それを受けて連載記事も「プログラム理論再考」と題し、7、8月号の2回にわたって近代建築史におけるビルディングタイプ論からプログラム論への移行を辿る。熊本の保田さんから「箱の家163」の6月の温湿度データが届いたので直ちにお礼のメールを送る。その上で今年上半期の温湿度データをじっくりと読み込み、竣工したばかりの「166K邸」のクライアントKさんに空調機の温度設定についてアドバイスのメールを送る。まもなくK邸でも温湿度計を置いてみようかという返信メールが届く。11時半に週末定例の打ち合わせ。戸田がまとめた「170 M邸」鉄骨案の平面詳細図と断面詳細図をチェックバック。来週火曜日のMさんとの打ち合わせに備えて「箱の家164」の契約金額を分析し工事費の概算金額を計算してみるが予想以上でかなり厳しそうだ。木村とは「165箱の長屋」の内装施工図について打ち合わせ。16時解散。山口昌男の「記号と境界」(『文化と両義性』(山口昌男:著 岩波書店 2000所収)を読み終わる。〈構造と出来事〉を媒介する〈語〉の働きに関する記号論的分析から説き起こし、自然と文化、混沌と秩序を媒介する境界としての祝祭の分析へと展開する。山口はこう書いている。「民俗において、境界というのは、意味出現直前または消滅寸前表現であるといえよう。混沌は、このましからざる要素で生活の秩序には入ってきてもらいたくはないが、時と場所を限定して意識、話題にのぼることが密かに望まれる要素であり、それは民族の中でさまざまな形をとる」。つまり祝祭は自然と文化、混沌と秩序を分離しつつ媒介する境界で開かれるのである。山口は柳田学を参照しながら境界の多様な表れを列挙している。‘餐朕澄母个凌澄法↓▲肇鵐鼻丙元祖后砲旅垰、8杜擁茵↓ぅ轡絅の者、ゥ轡絅神、μ嫣痢↓Д汽ド神、被差別民、ミサキ、橋姫などである。山口はいう「秩序を確認するためには、境界設定することが必須の前提であり、境界のイメージが生き生きと、想像力に働きかけるように浮かび上がらせるためには、この空間に出没する魔性の者をつくり上げるのが最も有効な近道である」。本論を読むうちに、僕は幼少期に山口県の小さな町で経験したさまざまな祝祭や儀式を想い出した。いつも葬列の先頭に立って白い幟を振りながら踊っていた「イッセンマーコ」と呼ばれる謎の痴呆の人物、毎月近隣で開催され参加者全員で般若心経を唱える弘法大師講、毎年正月に列車を借り切って開催された太宰府天満宮参り、正月開けの15日に正月飾りやお守り、お札などを田んぼの中で一斉に焚いた〈ドンド焼き〉、真冬に家を一軒ずつ回り玄関前で太鼓を叩きながら念仏を唱えお布施をもらっていた日蓮宗の僧の勤行、祖父の命で弟と二人で装束を纏い錫杖を持って練り歩いた八幡宮祭、裏山の神社で毎年春先に開かれた神明祭、遠方の親戚に招かれて参加した盆踊りなどさまざまである。これらの祝祭や儀式にどのようなはたらきがあったのか、いまだに理解できないままである。とはいえ9月号の連載では、その記憶から説き起こしてもいいかも知れない。今日の全国の感染者は1,881人。東京の感染者は716人、埼玉116人、千葉157人、神奈川254人、一都三県の合計1,243人は全国の66.1 %。大阪148人。依然として首都圏集中が続く。


2021年07月02日(金)

土砂降りの雨が続くやや肌寒い一日。8時半出社。確認申請審査機関から「169菅野邸」の構造に関する問い合わせの電話が入る。構造システム変更後の図面がまだ届いていないとのことなので、直ちに佐々木構造計画に対応を依頼するメールを送る。先週末に引き渡しした「166K邸」のKさんからメールが届く。引越しが一息ついたようで今日の雨が軒樋のない庇から落ちる様子が綴られている。室内環境が安定し前面道路のバスの揺れや騒音が消えぐっすり眠れるようになったのが何よりである。「165箱の長屋」の敷地の地目変更に関する件で測量士とメールのやり取り。確認申請が認可され着工した段階で既存の農地を宅地に地目変更するらしい。松江の大同建設から見積査定に関する質問メールが届いたので回答をまとめて返信する。『建築雑誌』の取材原稿の校正について編集部とメールのやり取り。原広司の「境界論」(1981)(『空間〈機能から様相へ〉』原広司:著 岩波書店 2007所収)を読み終わる。本論の冒頭に「はじめに閉じた空間があったーと私は発想する」というライプニッツの〈モナド論〉のようなメッセージが置かれ、論文の最後にもまったく同じメッセージが置かれている。建築のデザインとは、閉じた空間に孔を穿つことであるという〈有孔体論〉を唱えた原らしいメッセージである。原は東大内田祥哉研究室の大学院生だった1960年代に性能論に関する博士論文をまとめている。その論文では、人の出入、光、風、熱などの個々の性能パラメーターをいかに統合し評価するかというアプローチが採られており、それがデザインの方法論としての〈有孔体論〉へと展開したのである。つまり閉じた空間に穿たれる孔が、個々の性能パラメータに対応するというイメージである。「境界論」では空間の境界を〈エンクロージャー〉〈フロア〉〈ルーフ〉という3つの抽象概念に分類し、それぞれの特性を世界中の集落調査で得た事例によって検証している。原研究室で学んだ山本理顕や小嶋一浩が自らの建築デザインにおいて、この原のアイデアを吸収し原以上に明快に展開していることを思い浮かべながら読む。原はあくまで空間的・形式的な条件にもとづいて境界論を展開しており、後に参照するが、山口昌男や赤坂憲雄のように民俗学や文化人類学にもとづく意味論的な視点は採っていない。さらにいえば僕が考える境界論は原のそれとは正反対である。原とは逆に僕は「はじめに開かれた空間があったーと私は発想する」という老荘思想や生物の発生学から出発する。つまり混沌とした無限定な場が徐々に分化していくというイメージである。原は〈閉じた空間〉を自立した個人とみなしているが、僕は〈開かれた空間〉を大人になる前の子供とみなしている。自立した個人は連帯して社会をつくり、子供は成長して社会的個人として自立するというイメージなので、最終的にめざすところは同じかもしれない。引き続き山口昌男の「記号と境界」(『文化と両義性』(山口昌男:著 岩波書店 2000所収)を読み始める。今日の全国の感染者は1,763人。東京の感染者は660人、埼玉125人、千葉149人、神奈川230人、一都三県の合計1,164人は全国の66.0 %。大阪123人。首都圏集中は続く。


2021年07月01日(木)

曇りのち雨の涼しい一日。8時半出社。鈴木工務店から「165箱の長屋」の受電システムに関する質問メールが届く。長屋全体で一括受電し地中で配電をするために受電柱の詳細とハンドホール位置を図面化し返信する。菅野夫妻から見積査定リストが届いた旨の確認メールが届く。午後、戸田が「170 M邸」の基本図、断面詳細図、規矩図をまとめたので、佐々木構造計画に送り確認を依頼する。引き続き豪徳寺のMさんにも送り来週の打ち合わせを依頼し火曜日に決める。それまでに工事費の概算をまとめておかねばならない。16時からYouTubeで「『真壁智治はナニモノ!?』―50年の時代性を振り返る」を観る。真壁さんが今年の建築学会文化賞を受賞したことを記念して開催されたイベントで1960年代末から50年に渡る真壁さんの活動を振り返りながら北山恒さんがコメントする。僕にとっても雑誌『都市住宅』や〈コンペイトウ〉の活動など懐かしい話題が出てくるので楽しく聴講する。17時半終了。
https://www.youtube.com/watch?v=4JK3hJCbyDY&t=1023s
『人類とイノベーション』は第3章「輸送のイノベーション」を読み終わり、第4章「食料のイノベーション」へ進む。第3章のプロペラ機からジェット機への展開が興味深い。この調子で細かな話題が続くので、一旦休止し『建築雑誌』9月号の連載テーマ「境界論」に関する文献調査に切り替える。まずは原広司の「境界論」(1981)(『空間〈昨日から様相へ〉』所収)から読み始める。1970年代末に興隆した記号論と原研究室の〈集約調査〉の成果である。今日の全国の感染者は1,754人。東京の感染者は673人、埼玉142人、千葉139人、神奈川211人、一都三県の合計1,165人は全国の66.4 %。大阪108人。首都圏集中は慢性化している。


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