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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2021年05月12日(水)

曇り一時晴れの過ごしやすい一日。8時半出社。 11時前に寺田製帽の寺田良さんが麦藁帽子の見本10本余を持参して来所。麦藁帽子といってもテクスチャーはかなり細密で色は薄い褐色である。いわゆるカンカン帽もあるが、僕はソフト帽に近い形を選び、頭のサイズを測定してもらう。出来上がりは6月末と言われたが、できれば夏至までの完成を注文し、千葉のアトリエに取りに伺っても構わないのでと頼んで昼前に終了。13時過ぎに戸田と「170 M邸」の室内展開図について打ち合わせ。Mさんから吹抜の鉄骨の手摺や居間の棚をモデュロールで割付けて欲しいと希望されたので戸田と一緒にスタディする。モデュロールの原理である黄金比を適用して割りつけを決めるように指示する。黄金比についてレクチャーする余裕はないので、休みの時に勉強するように『モデュロール機↓供戞淵襦Ε灰襯咼絅献─著 吉阪隆正:訳 鹿島出版会 1976)を渡す。鈴木工務店から「165箱の長屋」の基礎アンカーセット図が届いたので木村がチェックバックして返送する。『19世紀の建築著述家たち』は第8章「ウィリス」、第9章「ヒュプシュとルントボーゲンシュティール、ホープとネオルネサンス」を読み終わり、第10章「最初期の雑誌とドナルドソン教授」に進む。第8章ではロバート・ウィリスが、バターフィールドやラスキンが好んだシェナ聖堂大のようなイタリア・ゴシックの横縞模様を嫌ったことが紹介されている。第9章では、19世紀の建築様式のあり方についてヨーロッパで初めて問うたドイツのハインリッヒ・ヒュプシュが提唱する〈ルントボーゲンシュティル〉が紹介され、この問題を巡ってシンケルの所見やイタリア・ルネサンスに関する当時の議論が紹介される。折衷主義という言葉が使われ始めたのもこの時代だという。今日の東京都の感染者は969人、全国の感染者は7,057人。一都三県の合計1,728人は全国の24.5%。大阪851人、兵庫384人、京都148人、岡山186人、広島220人、愛知679人、岐阜134人、福岡635人、熊本111人、沖縄109人、北海道人529人。地方拡散は依然として進行し、今日から愛知と福岡に非常事態宣言が発令された。両県の感染者数が過去最高を更新したという符合は、何だか統計捜査のような感じがしなくもない。


2021年05月11日(火)

曇りのち晴れの涼しい一日。8時半出社。10時前に千葉工大の遠藤政樹さんが紹介してくれた大学院生の堂ノ下和希くんが来所。スタッフが出社するまでアルバイトの条件について簡単に話し、出社した戸田に引き継ぐ。「169菅野邸」の実施案の模型製作とアルバイト日誌の記録を依頼するように指示する。昼に木村が世田谷の「166K邸」の現場監理から帰社したのでKさんに現場写真と監理報告メールを送る。今週末に外部足場が解体される予定なので、来週水曜日に現場監理に行くことを決める。ネットで最近の〈ウッドショック〉のニュースを読む。欧米や中国での木材需要拡大や、コロナ禍の混乱による海上輸送用のコンテナ不足と運賃高騰などが相俟って、国内市場で米松や欧州材の供給不足と価格急騰が深刻化しつつあり、地域工務店の家づくりにも影響を及ぼしているようだ。「過去に例を見ない程の世界的な木材価格の上昇です。原油価格の上昇やコンテナ不足の影響による輸送コストの増大もあり価格維持が極めて困難な状況です。梁桁・柱とも120(巾・角)材が枯渇しており、120仕様は受注できません」と書かれているのは、先頃プレカットメーカーから聞いた話と同じである。18時から『建築雑誌』のzoom編集委員会開始。来年から編集委員長に就任する法政大の岩佐明彦さんが参加し、進行中の特集テーマと10月以降の特集テーマについて意見交換。僕は19時過ぎに一旦退席し20時に再参加。12月号の特集テーマに関する議論に少しだけ参加して終了。『19世紀の建築著述家たち』は第4章「モラー、ブリットン、ウィルソン」、第5章「リックマンと国教財務委員会たち」、第6章「コーモン」、第7章「ヒューエル」を読み終わり、第8章「ウィリス」に進む。考古学から派生した建築史の誕生と19世紀の建築における多様な様式が乱立する折衷主義は連動しているようだ。同時期に英国建築家協会も設立されている。18世紀までにルネサンス建築以降の研究はある程度進んでいたようだが、それ以前のロマネスクやゴシックの中世建築の研究はようやく19世紀に始まり、そのプロセスが建築史の誕生と連動したように思える。したがってゴシック様式がモダニズムにつながったというよりも、ゴシックの職人性と匿名性がモダニズム建築に引き継がれたと考えるべきかもしれない。今日の東京都の感染者は925人、全国の感染者は6,242人。一都三県の合計1,599人は全国の25.6%。大阪974人、兵庫377人、京都116人、岡山133人、広島169人、愛知578人、岐阜126人、福岡404人、沖縄132人、北海道人421人。地方拡散はますます進行している。


2021年05月10日(月)

晴れのち曇りの過ごしやすい一日。8時半出社。9時に大塚商会に電話しデスクトップとファックスプリンターの接続の復旧点検を依頼する。引き続きネットで渋谷区ワクチン接種予約サイトにアクセスするが、5分で予約が一杯になりNG。今回のワクチンは1,500回分しかないというから当然だろう。次回予約は5月17日(来週月曜日)で17,000回分あるというのから何とかなるかもしれない。9時半に大塚商会の係員が来所しネット配線の接続とモデムの設定を変えて無事に回復する。光回線のイッツコムに乗り換えso-netとの契約は不要になったのでネット契約を解約するように指示する。明日から始まるアルバイト作業のために机の上を整理し以前僕が使っていたiMacを使うので初期化するよう指示。15時に鈴木工務店の田中さん、現場監督の志村さん、プレカットメーカーのエンジニアが来所。「165箱の長屋」の軸組木造の変更について打ち合わせ。16時半終了。『建築雑誌』編集委員会事務局から明日のzoom編集委員会の開催要領が届く。Zoom会議になってほぼ1年間が経過したが徐々に盛り上がりが欠けてきた。やはり直接顔を合わせないとコミュニケーションはうまくいかないようだ。最近の僕は特集の編集には関わらず、連載原稿に集中している。毎月の特集を巡ってテーマを決めているので編集委員会は重要な情報源なのだが、それも間接的になってきた。残り6ヶ月の連載をどう対処するか悩ましいところである。『19世紀の建築著述家たち』は第1章「ウォルポールとエセックス」、第2章「ゲーテとシュレーゲル」、第3章「イギリスの古物研究家たち」を読み終わり、第4章「モラー、ブリットン、ウィルソン」に進む。ゴシック趣味の権化であるホレス・ウォルポールから始まるところは『建築の世紀末』に似ているが、序文でペヴスナーも書いているように、本書は基本的に19世紀の英国を中心とするゴシック建築論の系譜であり、古典主義建築については論じていないようである。ゴシック建築の中心地であるフランスではゴシック建築論はそれほど盛んではなく英国が中心だったというのも不思議である。そもそも建築史は19世紀に誕生したので、ゴシック建築論の展開は建築史の誕生と並行している。その経緯を考えると、本書がウィリアム・モリスで終わり『モダンデザインの展開―モリスからグロピウスまで』へと続くのだとすれば、ペヴスナーはモダニズム建築の起源はゴシック建築にあると主張したいのだろうか。おそらくそうではないと思うが興味は尽きない。ゲーテは有名な『イタリア紀行』の中でパッラーディオやイタリア建築を称賛しているが、それは一時期だけで基本的にはロマン主義者としてゴシック建築に熱中していたという。今日の東京都の感染者は573人、全国の感染者は4,937人。一都三県の合計1,137人は全国の23.0%。大阪668人、兵庫271人、京都96人、岡山137人、広島140人、愛知426人、岐阜128人、福岡372人、北海道人409人。


2021年05月09日(日)

快晴で初夏のように暑い一日。早朝に妻が車で出かけて行く。9時前にイッツコムの工事係員2人が光配線の引込工事に来所し約2時間かけて1階事務所のネット回線と2階自宅のTV配線を済ませる。自宅は問題ないが事務所のデスクトップとプリンターの連結が切れてしまい、あれこれ試みるがうまくいかない。やむを得ず回線を元に戻し明朝、大塚商会に連絡し点検を依頼することにする。dropboxから戸田がまとめた「170M邸」を引き出してプリントアウトし目を通す。いくつか気になる点があるので明日フィードバックしよう。千葉工大の遠藤政樹さんからアルバイトの大学院生を紹介される。まもなく本人からメールが届いたので、条件について簡単に説明するメールを送り来週火曜日から来ることになる。昨日『世界はありのままに見ることができないーなぜ進化は私たちを真実から遠ざけたのか』(ドナルド・ホフマン:著 高橋洋:訳 青土社 2020)を読み終えたが、幾つか気になるトピックがあった。なかでも重要なキーワードは〈進化evolution 〉と〈実在reality〉である。進化は突然変異と自然淘汰によって生じるが、進化の方向は適応利得によって決まるという論理が本書の肝である。要するに進化は生き残る確率が高い方に進むわけだが、その方向に最終ゴールはない。したがって進化のプロセスは結果から原因に遡る事後的説明にならざるを得ない。その論理から、進化は人間の知覚を〈実在〉の把握ではなく有利な〈インターフェース〉へと向かわせ、その結果が知覚における〈時間・空間・物体〉であり、それは〈実在〉とは無関係なインターフェースに過ぎないというわけである。その根拠は量子論やブラックホール論にあり、そこでは〈時空〉概念は通用しないという点は物理学者の共通認識になっているという。問題は量子論やブラックホール論が日常生活にどう関係しているのかだが、著者のホフマンはこの問題をコンシャスリアリズムの仮説によって解決しようとしている。意識的主体は人間に限られないと著者は主張しているが、日常スケールでは人間相互のネットワークになるから、僕の考えでは、この仮説はつまるところ社会学主義や政治主義に収斂することになるので、物理的存在からのフィードバックを失ってしまうように思う。つまり建築との関係が見えなくなるか二次的になってしまうのだ。だからこの仮説に僕は賛同できないし、検証可能性がないと思う。引き続き『19世紀の建築著述家たち』(ニコラウス・ペヴスナー:著 中央公論美術出版 2017)を読み始める。序文でペヴスナーは、本書はモリスから始まる『モダンデザインの展開―モリスからグロピウスまで』(ニコラス・ぺヴスナー:著 白石博三:訳 みすず書房 1957)の前史であると書いている。本書は『建築の世紀末』(鈴木博之:著 晶文社 1977)のスタンスにも近いように思えるので、心して読んでみよう。今日の東京都の感染者は1,032人、全国の感染者は6,493人。一都三県の合計1,801人は全国の27.7%。大阪874人、兵庫366人、京都159人、岡山151人、広島195人、愛知473人、岐阜104人、福岡529人、沖縄103人、北海道506人。明日から渋谷区のワクチン接種予約が始まる。


2021年05月08日(土)

晴れのち曇りのやや蒸し暑い一日。豪徳寺のMさんから「170 M邸」の雨水処理と池に関する追加の要望メールが届いたので、5月中旬の打ち合わせ日時に関する確認メールを返信する。雨水利用については世田谷区の助成があるのでその仕様を確認するように戸田に指示する。11時半から戸田と週末定例の打ち合わせ。「170 M邸」の平面詳細図をチェックし部分的に修正する。修正図をまとめた上で展開図に着手するように指示する。『建築雑誌』7月号とKENCHIKUの連載原稿のスケッチ。後者は第4回目で最後なのでMUJIHOUSEの開発で学んだことを総合的に整理してみようと思う。『世界はありのままに見ることができない』は最終第10章「コミュニティー意識的主体のネットワーク」を読み終わり、訳者あとがきも読んで読了。第10章では、進化による適応利得(進化は適応に勝る定理FBT)によって私たちに与えられた知覚は、時空の内部に存在する物体から構成されるインターフェースに過ぎないというITP(知覚のインターフェース理論)に基づいて、著者は従来の科学の前提である物理主義における〈物体と意識〉という二元論に代わる〈意識的主体〉のネットワークによる〈コンシャスリアリズム(意識的実在主義conscious realism)〉という一元論を提唱し、意識のあらゆる側面は意識的主体によって数学的にモデル化されるという〈意識的主体仮説〉の検証へと進んでいる。本書の結論はこうである。「コンシャスリアリズムは、時空や物体ではなく意識こそが根本的な実在であり、それは意識的主体のネットワークとして定義される」。コンシャスリアリズムの決定的な根拠は量子力学だが、それは日常の世界には直接的な関係はない。なのでコンシャスリアリズムをそのまま日常的なスケールに適用すると、すべての要因を社会的関係に還元する社会学主義や政治主義になってしまう。僕たちはコンシャスリアリズムに建築的空間からのフィードバックを可能にする条件を考える必要がある。今日の東京都の感染者は1,121人、全国の感染者は7,251人。一都三県の合計1,871人は全国の25.8%。群馬113人、大阪1,021人、兵庫568人、京都120人、岡山189人、広島181人、愛知575人、岐阜121人、福岡519人、熊本111人、北海道403人。連休中の緊急事態宣言の効果はほとんど見られない。家早何友。


2021年05月07日(金)

曇り一時雨の涼しい一日。8時半出社。「169菅野邸」の見積要領をまとめてDropboxに保存し、戸田に目を通すように指示しフィードバックする。『別冊太陽』誌から「箱の家」の写真掲載の依頼メールが届く。「箱の家」の番号を確認した上でAtoZの坂口裕康さんに対応を依頼するメールを送る。松村秀一さんからのメールで内田祥哉さんが5月3日(月)に逝去されたことを知る。内田さんは1925年生まれだから享年96歳である。池辺陽(1920―1979)と並んで戦後の住宅の工業生産化を先導したが1970年代に内田研究室は住宅の工業化から在来木造の再評価へと転換した。ハウスメーカによる住宅供給の限界を見たのかもしれない。当時、池辺研に在籍していた僕の目には、この転換は反動的な転向に見えたので、その後の内田研出身者の活動をやや批判的に見てきた。しかし松村秀一さんが構法研究室に就任し内田研究室の工業化研究の伝統を在来木造と包摂する形で引き継いだので、それまでの考えを変えて難波研は松村研との共同研究に合流した経緯がある。内田さんは池辺よりもずっと長生きされたから大往生といえるだろう。では内田さんの評伝をまとめるのは松村さんになるのだろうか。興味あるところである。戸田と「169菅野邸」の再利用部品について打ち合わせ。図面を整理した上で「170丸山邸」に展開図に着手するように指示する。『世界はありのままに見ることができない』は第8章「ポリクローム―インターフェースの突然変異」、第9章「精査―人生でもビジネスでも必要なものが手に入る」を読み終わり、最終第10章「コミュニティー意識的主体のネットワーク」に進む。第8章で著者は、ITP(知覚のインターフェース理論)に基づいて色彩や決めが視覚系の適応度を強化していることを検証しながら、私たちの身体についてこう主張している。「私たちの身体は人類に特化したフォ―マットでアイコンとしてコード化された適応度メッセージなのである。自分を空間の内部に存在し、時間が経過しても存続するものとして知覚するとき、実のところ私たちは、自分のデータ構造の内部のアイコンとして自分自身を見ているのである」。その例証として、データ構造が重合される〈共感覚〉をあげている。第9章では、視覚のITPの広告への適用という世俗的なテーマについて検証した上で、著者は最後にこう書いている。「時空の内部に存在する物体の知覚表象は、実在でも物自体でもない。またその記述でもない。ならば、実在は永久に科学の対象にならないのだろうか。必ずしもそうではない。最終章ではそれについて検討する。今日の東京都の感染者は907人、全国の感染者は6,049人。一都三県の合計1,474人は全国の24.36%。大阪1,005人、兵庫493人、京都146人、岡山129人、愛知443人、岐阜130人、福岡472人、北海道248人。今夕、政府はいよいよ緊急事態宣言の5月31日(月)までの延長を決めた。


2021年05月06日(木)

曇り後晴れのやや暑い一日。8時出社。直ちに事務所を出て表参道経由で青山の歯科医院へ。8時半から1ヶ月半振りの歯の定例メンテナンス。下歯の裏に歯垢が沈着しているため歯科医に歯磨きの仕方の注意を受け徹底的に歯垢を除去して9時過ぎに終了。1ヶ月半後の診療予約をして歯科医院を出る。帰途に銀行に立ち寄り雑用を済ませコンビニで食材を買って9時半に帰社。昨夜のメールのやり取りで木村は今週一杯在宅勤務とする。来週月曜日からは通常勤務である。就職希望の建築家は界工作舎のインターンの条件を受け入れられないのでキャンセルする。昨日に引き続き「169菅野邸」の見積要領作成を続行。戸田と構造システムについて打ち合わせ。主に鉄骨部材の接合部について寸法調整を行い、構造図に描き込んだものを佐々木構造計画へ送信する。『世界はありのままに見ることができない』は第7章「仮想性―ホログラフィックな世界を膨張させる」を読み終わり、第8章「ポリクローム―インターフェースの突然変異」に進む。第7章では、標準的な知覚理論がITP(知覚のインターフェース理論)の視点から検討されている。私たちが三次元で物体を見るのは実在を再構築しているのではなく、それがたまたま進化によって組み込まれた圧縮アルゴリズムのフォーマットだからであり、時空と物体から成る実在の世界の内部ではなく、簡単で有用なあり方で適応度利用を表すためにホモサピエンスにおいてたまたま進化した、時空と物体というフォーマットを持つデータ構築の内部で存在し、生き、活動しているのである。つまり知覚はこのデータ構造にコード化されているに過ぎない訳である。この点を検証するために視覚的対称性(シンメトリー)がいかにコード化されているかについて検証されている。この知覚のコード化理論によって、ジェームズ・ギブソンが提唱した〈身体化された認知〉のアフォーダンス理論も否定されている。このコード化は、適用度利用関数という進化の基本的な機能によって形作られ、世界の経験とそれに基づく行動による世界に対する働きかけを形成する〈知覚perception〉-〈決定determination〉-〈働きかけaction〉すなわち〈PDAループ〉を形成する。〈PDAループ〉は実在を反映するのではなく適応度利得によってコードを淘汰するプロセスである。この考え方によって視覚系がいかに適応度メッセージによって形成されているかが検証されている。本章の結論はこうである。「時空は生命が誕生するはるか以前から設定されていた劇場ではなく、適応度利得を追跡しとらえるために、私たちがたった今作り出したデータ構造なのである」。続く第8章は、色や肌理が視覚系の適応度に不可欠のデータをコード化しているかが検討される。今日の東京都の感染者は591人、全国の感染者は4,375人。一都三県の合計1,105人は全国の25.3%。大阪747人、兵庫281人、京都130人、岡山114人、愛知290人、福岡259人、北海道320人。いよいよ明日、緊急事態宣言の延長が発表されるようだ。


2021年05月05日(水)

曇り後雨の涼しい一日。9時出社。菅野夫妻、大同建設、龜谷清さんへ「169菅野邸」現場説明の要領について確認メールを送る。引き続き、概要書と詳細図を見ながら見積要領の作成を開始する。『建築雑誌』7月号の連載原稿のスケッチを続行。『世界はありのままに見ることができない』は昨日に引き続いて第6章「重力―時空に見込みはない」を読み終わり、第7章「仮想性―ホログラフィックな世界を膨張させる」に進む。第6章で著者は、進化生物学が前提にしているDNAをはじめとする物体の客観的な実在性を量子力学を完全に否定し、知覚のインターフェースに過ぎないことを明らかにしている。量子論は、観察されているか否か、或いはいかに観察されているかとは独立して存在する物理的性質が物体には備わっているという主張を否定することによって、物体に関する私たちの直感だけでなく、空間と時間も打ち砕いてしまう。とはいえ私たちの日常生活は、進化によって得られたインターフェースとしての知覚によって成立している。それが実在とは無関係なインターフェースだとしたら、どのような問題が生じるのだろうか。著者は第7章で、時空とは適応度に関するデータの圧縮、そしてエラー訂正のためのコードであることを明らかにするといっている。今日の東京都の感染者は621人、全国の感染者は4,071人。一都三県の合計1,059人は全国の26.0%。大阪668人、兵庫331人、京都93人、愛知224人、福岡337人、北海道181人。非常事態宣言はいよいよ延長されそうな気配である。


2021年05月04日(火)

曇り後雨の涼しい一日。9時出社。菅野夫妻、大同建設、龜谷清さんへ「169菅野邸」現場説明の要領について確認メールを送る。引き続き、概要書と詳細図を見ながら見積要領の作成を開始する。『建築雑誌』7月号の連載原稿のスケッチを続行。『世界はありのままに見ることができない』は昨日に引き続いて第6章「重力―時空に見込みはない」を読み終わり、第7章「仮想性―ホログラフィックな世界を膨張させる」に進む。第6章で著者は、進化生物学が前提にしているDNAをはじめとする物体の客観的な実在性を量子力学を完全に否定し、知覚のインターフェースに過ぎないことを明らかにしている。量子論は、観察されているか否か、或いはいかに観察されているかとは独立して存在する物理的性質が物体には備わっているという主張を否定することによって、物体に関する私たちの直感だけでなく、空間と時間も打ち砕いてしまう。とはいえ私たちの日常生活は、進化によって得られたインターフェースとしての知覚によって成立している。それが実在とは無関係なインターフェースだとしたら、どのような問題が生じるのだろうか。著者は第7章で、時空とは適応度に関するデータの圧縮、そしてエラー訂正のためのコードであることを明らかにするといっている。今日の東京都の感染者は621人、全国の感染者は4,071人。一都三県の合計1,059人は全国の26.0%。大阪668人、兵庫331人、京都93人、愛知224人、福岡337人、北海道181人。非常事態宣言はいよいよ延長されそうな気配である。


2021年05月03日(月)

晴れで清々しい一日。9時半出社。熊本の保田さんから「163保田邸」の3月以降の温湿度データが届く。3月中旬までは空調機は暖房モード21度設定で稼働しアクアレイヤー水温は22-23度だが、3月下旬以降4月末までは空調を停止し、アクアレイヤー水温は21度で安定している。この間は天井扇も還流ファンも停止しているが、室内温度は24度を前後している。保田さんによれば、暑い日は2階ベランダの掃き出し窓と台所の小窓を開けて風を通しているそうだ。あれこれ窓の開閉を試してみたが、この方法が最も快適で有効であることが分かったという。要するに一室空間の2階南東と1階西北の立体的対角線を風が通ることになるわけである。この空気流は太平洋側では一般的かもしれない。今後の参考にしよう。保田さんは入居して3年目で庭の植栽に興味を持ち始めているようだ。まずはオリーブの樹を2本植えることから始めて、クローバなどいろいろ試しているようなので今後の展開が興味深い。写真家の上田宏さんから「箱の家167」の竣工写真が届いたのでお礼のメールを返送する。34歳の若い建築家から界工作舎に入所希望の応募メールが届く。履歴書を見ると中国からの留学生で東京都市大学を卒業した後に、僕も知っている設計事務所で働いた経験があるようだ。どこで募集情報を得たのか分からないが、ともかく一度面接することにして、その旨のメールを返信する。『世界はありのままに見ることができない』は第5章「錯覚―デスクトップ画面のはったり」を読み終わり、第6章「重力―時空に見込みはない」に進む。第5章の趣旨は「各知覚系は、パソコンの画面上に表示されるユーザーインターフェースのようなもの」である。パソコンの画面表示は実装されたハードウェアによってうみ出されているのだが、画面上のインターフェースの表示構造(知覚)はハードウェアの構造(実在)とはまったく異なる。このインターフェースは自然選択によって形作られ、生物種ごとに異なっている。著者はこの主張を〈知覚のインターファース理論(ITP)〉と名づけ、空間、時間、物体に対する私たちの知覚は、自然淘汰によって形作られたITPに他ならないと主張する。さらにITPの主張はイマヌエル・カントの思想と類似している点について論じながらも、ITPは、知覚は実在の再構築(カントのいう現象)ではないと主張するゆえに、カントが提唱する〈物自体 Ding an sich〉の存在については否定している。一方で、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルが提唱する〈環世界 Umwelt〉はITPに近いとも指摘する。さらに本章では、論理や数学のように実在との直接的な関連を持たない能力については、コミュニケーションの手段として自然淘汰を受けた結果であることを認めている。今日の東京都の感染者は708人、全国の感染者は4,470人。一都三県の合計1,276人は全国の28.5%。大阪847人、兵庫344人、京都121人、岡山109人、愛知304人、福岡285人、北海道114人。連休の小康状態である。


2021年05月02日(日)

曇り時々雷雨の涼しい一日。10時出社。今月末のスケジュールを確認し5月28日(金)に日帰りで「169菅野邸」の現場説明に行くことを決め往復の航空便を予約購入する。一昨日の菅野夫妻との打ち合わせを思い出しながら図面をチェックする。西風が予想以上に激しかったので外付けブラインドの強度を再確認する必要があるかもしれない。外構の植栽工事については菅野さんに任せることにしたが、建物の足元周りの修景は重要な条件なので再度検討の必要があるだろう。昼過ぎに散歩がてら南青山のスーパーマーケットに買い物に行く。曇りだが過ごしやすい気候なのでマイセン通りのカフェはいつも通り満員である。青山通りの人通りも多い。こんな状態ではコロナ禍は治らないだろう。午後はベッドに横になり仮眠と読書。『世界はありのままに見ることができない』は第4章「感覚―適応は真実に勝る」を読み終わり、第5章「錯覚―デスクトップ画面のはったり」に進む。第4章では〈ユニバーサル・ダーウィニズム〉の視点から「適応度は真実に勝る」という〈FBT定理〉が導き出され「空間、時間、形、色調、彩度、明るさ、肌理、味、匂い、運動などの知覚の語彙は、実在をありのままに記述することができない」という結論が導き出される。FBT定理は「私たちの知覚の構造は、実在の構造の一部を保存する」という知覚の科学や、科学一般における真正な観察という一般に広く受け入れられている〈批判的実在論〉を標的にしている。本章の結論はこうである。「私たちは、実在を理解する目に、空間、時間、物体を捨象した、より根本的な枠組みを構築し、この新たな枠組みのダイナミクスを理解しなければならない。そしてこのダイナミクスをホモ・サピエンスが備える時空インターフェースへと投影し返せば、ダーウィンの進化論を取り戻せるだろう。ダーウィンの思想は、人間の知覚が持つ時空や物体の言語に包摂される、より深い未知のダイナミクスに関する未完成のヒントとして、ダーウィンの進化論自体を再考するように促す」。これを言い換えれば、ダーウィンの思想は現行の進化論に対しても適用できる自己言及的なメタ理論なので、さらに突っ込んで検討し理論に人為的淘汰をかけるべきであるという主張である。第5章以降はその作業のようである。今日の東京都の感染者は879人、全国の感染者は5,900人。一都三県の合計1,568人は全国の27.1%。大阪1,057人、兵庫539人、京都164人、岡山114人、愛知390人、福岡417人、北海道326人は過去最多となる。


2021年05月01日(土)

7時起床。やや二日酔い気味なので熱いシャワーを浴びて目を覚ます。7時半に1階のレストランで朝食を摂る。入口でマスクと手袋を渡されたのには少々驚く。宿泊客は観光客が主だが職人風の人も多い。8時過ぎに部屋に戻り、昨日の日記をまとめて界工作舎HPに書き込む。10時にチェックアウト。ロビーで戸田と待ち合わせて、しばらく一休み。10時20分にホテルを出てJR出雲駅に沿って高架下に造られているショッピングセンター内の〈ナック建築事務所〉に10時半着。中央の通路に沿って棚のようなスクリーンで囲まれた一画が事務所になっている。列車が通る音が伝わってくるのが特殊な条件だが、それ以外は屋根付きの街路に開かれた事務所である。龜谷清さんと東本貴弘さんに「169菅野邸」の図面一式を渡して概要を説明し、何点か質問を受ける。現場監理は龜谷さんに担当してもらうことを決めて5月末の現場説明への立ち合いを依頼する。その後、龜谷さんの車で出雲の〈大社文化プレイス〉(1999)まで送ってもらう。伊東豊雄さんと佐々木睦朗さんとの最初の協力作品と記憶している。なだらかな丘状の屋根の下に2つの劇場と図書館を納めた建築で、図書館の2箇所に屋根に差し込まれた円形の中庭から採光するシステムは、界工作舎が設計した〈なおび幼稚園〉(2004)でも採用した。しばらく見学した後、東へ5分歩くと参道入口の大鳥居が見える。そこから北へ約15分歩き出雲大社の入口に到着。曇りで風が強く、参道は参拝客でかなり混み合っている。出雲空港行のバス停留所と出発時刻を確認してから、正面の鳥居から境内に入り、さらに参道を約10分歩いて本殿の境内に着く。境内西側の〈庁舎〉(菊竹清訓:設計 1963)の跡には似ても似つかない木造の新庁舎が建てられている。
https://izumooyashiro.or.jp/attention2
東側の宝物殿も菊竹清訓の設計だが、今も健在である。確か担当は内藤廣さんだったと記憶している。
https://izumooyashiro.or.jp/precinct/keidai-index/shinkoden
本殿を仰ぎ、しばらく境内を散策した後に参道を下る。境内を出て少し参道を下った食堂で軽い昼食を摂る。少し元気が出たので、再び山道を上り、入口鳥居の手前で右に曲がり、5分ほど坂道を下った先にある〈古代出雲歴史博物館〉(槇文彦:設計 2007)に向かう。低層の伸び伸びしたシルエットとコルテン鋼の赤錆色の外装が印象的な建築で、建物周りの笹の植込に目を惹かれる。出雲一帯の古代史に関する展示を1時間ほど見学。14時半に館を出て入口鳥居脇のバス停留所で待機。14時50分発の出雲空港行のバスに乗車し15時半に空港着。出発ロビーで菅野夫妻に現場監理を龜谷清さんに依頼する旨をメール報告。連休明けの作業について戸田と打ち合わせ。16時10分発の羽田行に搭乗。機内は半分の乗客。少し遅れて18時に羽田着。到着ロビーで戸田と別れ19時半前に帰宅。東京は小雨模様。『世界はありのままに見ることができない』は第4章「感覚―適応は真実に勝る」を読み終わり、第5章「錯覚―デスクトップ画面のはったり」に進む。今日の東京都の感染者は1,050人、全国の感染者は5,986人。一都三県の合計1,654人は全国の27.6%。大阪1,262人は最多を更新。兵庫539人、京都158人、愛知398人、福岡352人、沖縄105人、北海道180人。


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