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箱の家 PROJECT 青本往来記
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コンパクト箱の家

2021年04月12日(月)

晴れで過ごしやすい一日。8時半出社。『建築雑誌』5月号の連載原稿のスケッチを続行。出社した木村と「165箱の長屋」の界壁の構成やアンテナ配線の経路について打ち合わせ。併せて既存住宅の窓の防火戸化の方針についても打ち合わせ。明朝の田中会計士との打ち合わせに備えて「165箱の長屋」の第二期工事の敷地図を準備するように指示する。鈴木工務店から指示地盤の載荷試験の報告書が届き想定通りの結果なので安心する。戸田には「170 M邸」の概要書を早急にまとめるように指示する。北山恒さんから届いた『未来都市はムラに近似する』(北山恒:著 彰国社 2021)を読み始める。はじめに「未来都市はムラに近似する」、第吃堯峩畭紊ら解放されて」を読み終えて、DAIALOGUE-1「新しい都市建築のタイポロジーを目指して」に進む。第吃瑤2016年3月の横浜国立大学の退職講義録に手を加えた論考で、僕も聴講したが当時の記憶とはかなり内容が変わっているように感じる。レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』の集落論やハンナ・アレントの空間論は記憶にあるが、次の結論は新しく付け加えられたように思える。「20世紀という世紀は集落(=ムラ)年の分離を推し進めてきた。弁証法的に考えれば、この間をつなぐ空間形式を開発することが、建築家に課せられたこれからの仕事かもしれない。建築とは、人間と空間を関係づける形式である。建築とは、身体的に共同体への参加を感じる〈場〉を作る技術である」。〈ムラ〉とはコモンズを共有する人間集団=共同体と考えれば、その通りかもしれない。今日の東京都のコロナ感染者は306人、全国の感染者は2,102人、一都三県で合計599人、全国の28.5%である。大阪は603人、兵庫159人、愛知122人、沖縄37人、宮城34人でいつもの月曜日現象である。


2021年04月11日(日)

快晴で過ごしやすい一日。10時出社。戸田がまとめた「170M邸」の詳細図をdropboxから引き出して目を通す。建物中央に吹抜、階段、ブリッジが南北ニ通り、建物が東西に完全に分かれているため耐力壁の配分が難しそうだ。両側の棟それぞれが自立するように固める必要があるだろう。『建築雑誌』5月号の連載原稿のスケッチを再開する。テーマは決まっているので、実例を紹介した上で僕の考えを論理的に説明する展開にしよう。今週末までにまとめる予定。14時過ぎに散歩がてら南青山のスーパーマーケットへ夕食の買い物に行く。マイセン通りは竹下通り並みの雑踏で、交差点に面した3軒のカフェはどれも超満員で、入口には席待ちの長蛇の列ができている。青山通りの人手も多い。こんな様子ではコロナ禍はとても治まるとは思えない。15時過ぎに帰社。新しいiPadのソフトの作動確認を続けるが、dropboxが繋がらないのとmicrosoft365のiMacとのデータ共有が相変わらず作動しない。やむなくappleサービスセンターに問い合わせるが、他社のソフトなので要領を得ない。近いうちに旧iPadを下取りに出すので、データを全消去した時点で再確認するしかなさそうだ。『生命とは何か』(ポール・ナース:著 竹内薫:訳 ダイヤモンド社 2021)は、〈世界を変える〉と〈生命とは何か〉を読み通して読了。原書は2020に出版されているので新型コロナ禍のパンデミックや地球環境問題にも言及している。〈世界を変える〉では、遺伝子工学にもとづく「合成生物学」によって光合成の能力を高効率化した植物を開発し、炭酸ガス濃度を低下させるなどのアイデアが紹介されている。〈生命とは何か〉では、物理学者エルヴィン・シュレディンガー、生物学者J・B・S・ホールデン、遺伝学者ハーマン・マラーによる定義が紹介された後に、ポール・ナース自身の生命体の定義として以下の3原理が提唱されている。1)自然淘汰を通じて進化する能力を持つこと、2)〈境界〉を持った物理的な存在であること、3)化学的・物理的・情報的な機械であること、という明快な定義である。250ページの小著だが、読み易くきわめて奥の深い読書だった。本書を通じて、テクノロジーが16世紀から19世紀にかけての〈実践から理論へ〉という試行錯誤の段階から、20世紀には武谷三男が『弁証法の諸問題』で提唱した〈法則の適用〉の段階へと徐々に移行し、20世紀から21世紀にかけての生化学や遺伝子工学の出現によって、完全に〈法則の適用〉の段階に達していることを実感させられる。本書の『What is life』というタイトルから、僕は直ちに〈Fact of life〉という言葉を連想した。映画『ブレードランナー』(1982)で、自らの寿命の短さを嘆くレプリカントのロイ・バティに対して、レプリカントの設計者タイレルが言い放った台詞である。本書でポール・ナースは「進化のためには生命体は死ななければならない」と結論づけている。それこそが〈Fact of life〉である。今日の東京都のコロナ感染者は421人、全国の感染者は2,777人、一都三県で合計790人、全国の28.4%である。大阪は760人、兵庫229人、愛知129人、沖縄93人、宮城72人と一休みである。


2021年04月10日(土)

快晴で肌寒い一日。8時半出社。新しいiPadのダウンロードがほぼ終わっている。ほとんどのソフトはコピーされているがdropboxのソフトはコピーされていても中のファイルファイルはコピーされていない。iPadと事務所iMacとのmicrosoftソフトの同期もうまく行かない。他の幾つかのソフトも再登録が必要なので家早何友である。木村がまとめた「166K邸」の造作家具の詳細図をKさんに送信する。11時半に戸田と週末の定例打ち合わせ。「170M邸」の平面・断面詳細図の打ち合わせ。基準寸法と屋根勾配を確認した後に、家具配置と床下空調空気の流れの制御について検討する。アトリエでの作業中に発生する接着剤の臭いが居住部分に還流しないようにすることが必要である。基本的には換気扇と換気口の配置による質ない空気の流れによって制御するが、場合によっては富山の「箱の家162」で試みた床下給気の方法も必要かもしれない。夜遅く鈴木工務店から「165箱の長屋」の今週の工事進捗報告と来週の工程が届いたのでOさんに転送する。支持地盤の耐圧試験は設定強度を問題なくクリアしていたので、設計通り工事を進めるように指示する。『生命とは何か』は〈情報としての生命〉を終えて〈世界を変える〉に進む。遺伝子発現の調節メカニズムを情報の視点から明らかにしてノーベル賞を受賞したジャック・モノーとフランソワ・ジャコブの研究が紹介されている。生体が情報処理機能の単位であるモジュールの複雑な組み合わせであるという指摘こそ、まさにポール・ヴァレリーが提唱した〈錯綜体〉のことに他ならない。要するに〈錯綜体〉とは生体における分子レベルの複雑な化学的・物理的〈機械〉のことなのである。今日の東京都のコロナ感染者は570人、全国の感染者は3,697人、一都三県で合計986人、全国の26.7%である。大阪の感染者数918人と兵庫351人は過去最高となり、愛知197人、沖縄146人、宮城109と地方拡散はさらに昂進している。


2021年04月09日(金)

晴れ後曇りの肌寒い一日。8時半出社。木村は4月から保育園への子供の送迎のため毎週、金・土は在宅勤務になる。松江の菅野さんからの手紙と写真が届く。「169菅野邸」に再利用する床タイル、家具、照明器具などの写真である。今月末に松江に行き菅野夫妻と打ち合わせるので、その際に実物を見てサイズを測りたい旨をメール返信する。菅野さんは、僕が紹介した現場監理を任せる出雲の建築家に対して一家言があるようで、その問題についての相談も書かれている。この問題については以前にも僕の意見を述べたが、菅野さんの考えは変わらないようなので、やむを得ず出雲の龜谷清さんに相談メールを送る。戸田と「170M邸」の詳細図について打ち合わせ。階段を鉄骨構造にする必要があるため、木造軸組との接合方法について検討する。方針を決めて断面詳細図にまとめてみるように指示する。4年前に購入したiPad Proの調子が悪いので、先週末にapple表参道に持参して相談した。そのまま使えるようにアドバイスを受け調整したが、海外や出張先での連絡、銀行振込、日記の書込に必要不可欠な道具なので買い替えることを決める。幸いapple表参道に在庫があるようなので、予約購入した上で直接赴いて受け取る。現在のiPad Proは今のところ稼働しているので早急に下取りに出す手配を済ませた上で、iCloudを使ってデータの移行を試みる。組み込んでいるソフトの数が多いため移行とダウンロードに時間がかかりそうだ。『生命とは何か』は読み易い文章で、ある程度は知っている知見が多いので一気に読み進み、細胞、遺伝子、進化、生化学までの4つのトピックを読み終えて〈情報としての生命〉に進む。遺伝子を構成しているのは4種類の塩基ATGC(Adenine、Thymine、Guanine 、Cytosine)であること。著者のポール・ナースは〈細胞周期〉の研究でノーベル賞を受賞したこと。自然淘汰による進化は、1)繁殖能力、2)遺伝システム、3)突然変異、の3条件によって可能になること。生体のポリマー(重合体)は5つの原子、炭素、水素、酸素、窒素、リンの5種類の化学元素からできていること。生体構造は複雑な化学的・物理的な〈機械〉であることなど興味深いトピックが紹介されている。〈箱の家〉の展開を進化をモデルに論じた『進化する箱』(難波和彦:著 TOTO出版 2015)の論理をより精緻にできるヒントを得られそうだ。今日の東京都のコロナ感染者は537人、全国の感染者は3,454人、一都三県で合計938人、全国の27.2%である。大阪の感染者数883人は昨日よりやや減ったが、奈良が96人と過去最高となり、兵庫314人、愛知172人、沖縄131人、宮城121人と地方拡散は依然として続いている。


2021年04月08日(木)

晴れ後曇りの過ごしやすい一日。8時半出社。『建築雑誌』10月特集「人新世における建築・都市の大転換」の能作さんがまとめた趣旨文がややネガティブなニュアンスなのでコメントする。昼過ぎに木村が「166 K邸」の現場から帰社したので現場監理報告と写真をKさんに送る。14時過ぎに「165箱の長屋」の現場に赴き夕方に帰社する。支持地盤までの地業工事が完了し府中市文化財課の立ち会いで問題は指摘されなかったので、その旨を現場写真を添えてクライアントのOさんにメール報告する。北山恒さんから『未来都市はムラに近似する』(北山恒:著 彰国社 2021)が届く。法政大学の退職記念シンポジウムと「江戸東京研究センター」主催のシンポジウム「コモンズを再生する東京」で本書の出版を知ったのでamazonのカートに入れて近いうちに購入しようと考えていた。直ちにお礼のメールを送る。甲府のNさんから昨日送ったエアアクア空調の制御方法に関する質問メールが再度届いたので、アドバイスの返信メールを送る。今週末に引越して本格的に住み始めるようだ。法政大学の網野禎昭さんが木の塊のような自邸を建てた。『建築雑誌』2020年4月号特集「山を考える建築・森と街をつなぎ直す」のゲスト編集をお願いしたが、そこでの自身の主張を有言実行されているので頭が下がる。その特集でも取材した大阪の竹原義二と並ぶ本格的な〈木の建築家〉である。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20210407/3030011076.html?fbclid=IwAR2iTvWJROf_X1sQWAsBkbaGigizI5BHNq2wna3O0ZYTkmJZvCAIOXsuw4Y
昨日の『ヴァレリー:芸術と身体の哲学』の読後評「錯綜体は一人の人間の潜在的な可能性の総体として自動化された身体の機能であり、錯綜体を自覚させることが詩=芸術の役割であるというのが本書の結論である」を書きながら、僕は『建築の4層構造ーサステイナブル・デザインをめぐる思考』(難波和彦:著 INAXo出版 2009)の第2部「建築的無意識」で主張した結論と同じであることを想起していた。次はヴァレリーのいう〈錯綜体〉の生物学的な根拠を確認するために『生命とは何か』(ポール・ナース:著 竹内薫:訳 ダイヤモンド社 2021)を読んでみよう。エルヴィン・シュレディンガーの『生命とは何か』(岩波文庫)や『精神と物質』(工作舎)と同じテーマだが、物理学者と生物学者の視点の相違を確認してみたいことと、同じ生化学者のジャック・モノーの名著『偶然と必然』(みすず書房)との関係を知りたいからである。今日の東京都のコロナ感染者は545人、全国の感染者は3,447人、一都三県で合計968人、全国の28.1%である。大阪の感染者数905人は再び過去最高を更新し、兵庫311人、愛知144人、沖縄140人、宮城87人と地方拡散は依然として続いている。


2021年04月07日(水)

晴れで肌寒い一日。8時半出社。鈴木工務店と「165箱の長屋」の工事に関するメールのやりとり。明日の午後に府中市の係員の立ち会いのもと地盤確認を行う予定である。13時半過ぎに戸田が「170 M邸」の調査から帰社したので、既存住宅の再利用する材料や家具について報告を受ける。直ちに打ち合わせ内容をまとめてMさんとTH-1に確認メールを送る。まもなくMさんから再利用する家具と部材リストの修正版が届く。構造家の金箱温春さんから『ディテールから考える構造デザイン』(金箱温春:著 学芸出版社 2021)が届く。佐々木睦朗さんに比べると、金箱さんの構造システムはややゴツい印象があるが、いろいろな建築家と多種多様な構造システムを提案できるフレキシブルな構造思考の持ち主のようである。甲府のNさんに「167N邸」のエアアクア空調システムの制御方法のマニュアルをまとめ、参考資料として熊本の「163保田邸」の温湿度データを添付して送信する。昨日検討した「169菅野邸」の浴室の変更に伴う構造システムの変更図をまとめて佐々木構造計画に送る。18時から『建築雑誌』のzoom編集会議。長谷川香さん担当の9月号特集「祝祭性と建築・都市」と能作文徳さん担当の10月号特集「人新世における建築・都市の大転換」の議論に参加して19時に退席する。夜遅く鈴木工務店から「165箱の長屋」の軸組構造材の集成材不足による樹種とサイズの変更希望メールが届いたので、できるだけ早い機会にプレカット業者との打ち合わせの機会を持ちたい旨の返信メールを送る。『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』は第敬 第1章「《主観的》な感覚」、第2章「生理学」。「結」を読み終わり読了。第1章では、身体の正常な働きが敗れるような事態において、器官が不透明化し器官の機能それ自体が知覚の対象になる現象をもたらす発見的な実践としての古典的・形式的な詩の働きについて論じながら、ヴァレリーはそれを〈精神の身体〉と呼んでいる。第2章では、自覚されることにない〈精神の身体〉の複雑な機能をヴァレリーは〈錯綜体implexe〉と呼び、フロイトの〈コンプレクスcomplexe〉に対置している。抑圧された意識としての無意識とは異なり、錯綜体は一人の人間の潜在的な可能性の総体として自動化された身体の機能であり、錯綜体を自覚させることが詩=芸術の役割であるというのが本書の結論である。僕の興味に引き寄せて言えば、錯綜体とはまさにアフォーダンスであり一種の構造(レヴィ=ストロース)である。今日の東京都のコロナ感染者は555人、全国の感染者は3,449人、一都三県で合計901人、全国の26.3%(≒1/4)である。大阪の感染者数878人はさらに東京を大幅に上まわり過去最高で、兵庫328人、愛知188人、沖縄155人、宮城118人と、地方拡散の勢いは止まらない。


2021年04月06日(火)

曇りのち晴れの涼しい一日。8時半出社。「169菅野邸」の現場監理を依頼する予定の出雲市の建築家、龜谷清さんから昨日送ったメールに対する返信メールが届く。4月30日(金)に宿泊する出雲駅近くのホテルを紹介してくれたので電話予約し、当日の夜は夕飯を一緒に食べる約束をする。昨夜検討した「169菅野邸」の2階浴室の浴槽配置の修正図面に手紙を添えて、宅急便で菅野夫妻に送付する。昼過ぎに木村が「166K邸」の現場監理から帰社したので、現場写真を添えてKさんに現場監理報告メールを送る。今日は「167N邸」の竣工写真撮影のため戸田が甲府に出張している。13時に昼間の撮影を終えた旨の報告メールが届く。18時まで一旦休憩し夕景の撮影を終えたのは20時である。遅くなったためそのまま自宅に直帰するメールが届いたので、明日の「170M邸」の現地調査の確認メールを返送する。前田記念財団から前田賞授賞式の案内状が届く。表彰式は6月4日(金)である。受賞者本人だけでなく指導教官にも会えるので楽しみである。『建築雑誌』のSlackに板谷敏正さんが8月号特集のインタビュー要旨を掲載したのでダウンロードして目を通す。公共施設や民間施設の企画やコンサルタントをしている企業に対するインタビューなので後学のために参加する。『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』は第局第3章「行為の法則化―リズムをめぐって」を読み終わり、第敬 第1章「《主観的》な感覚」に進む。第局第3章では、リズムが行為を法則化し無意識化するというヴァレリーの詩作の方針が明らかにされている。ルールにしたがって詩作を展開するヴァレリーの古典的方法に関する議論なのだが、アフォーダンスやベンヤミンの〈散漫な意識〉にも通じる行為論であり、建築デザインにもさらには一般の生活行為にも通用するように思える。今日の東京都のコロナ感染者は399人、全国の感染者は2,656人、一都三県で合計677人、全国の25.5%(≒1/4)である。大阪の感染者数719人は過去最高で東京を大幅に上まわり、兵庫276人、沖縄98人、宮城103人と、地方拡散は一気に進行している。


2021年04月05日(月)

曇り時々晴れで夜には晴れる涼しい一日。8時半出社。甲府のNさんに「167N邸」のオープンハウスのお礼と訪問者のリストを送る。間もなくN夫人から引越しのスケジュールについて打診メールが届く。早めに荷物を運び込みたいようだが、天気予報で明日の甲府は天気がいいので、写真家の上田宏さんに連絡し竣工写真の撮影を明日に決めたため、引越荷物の搬入スケジュールについて調整する。小川建設から「166K邸」の4月の工程表が届いたのでKさんに転送する。細かな設計変更があるので小川建設にメールで伝える。「169菅野邸」の菅野夫人から図面が届いた旨のメールが届く。4月末の打ち合わせが可能だという承諾をもらったので、直ちに出雲空港への往復航空便を予約購入し、菅野夫妻とナック建築事務所にスケジュールを確認のメールを送る。夕方、菅野さんから電話が入り、浴室の浴槽の配置を変えて欲しいと頼まれる。浴槽に入って宍道湖を眺めるために、浴槽を窓際に寄せるのではなく、窓に直行するように置いて欲しいそうだ。戸田と相談していくつかの案を検討した結果、浴槽の両側に床を残して浴室の中央付近に置く配置に決め、床梁の配置を変更するように指示する。(株)ニチハから今年のNICHIHA SIDING AWRD 2021の審査委員長の依頼が届いたので承諾メールを返送する。前田記念財団から今年の前田工学賞受賞論文の推薦文の依頼が届く。締切は今月末なのでじっくり考えて書くことにしよう。『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』は第局堯峪間」の第1章「形式としての〈現在〉」と第2章「抵抗としての〈持続〉」を読み終わり、第3章「行為の法則化」に進む。第1章ではカントの直観の形式としての時間を手がかりに、構造化された形式としての「現在」という時間について論じられる。第2章では〈注意〉の本質はその対象と主体との分離不可能性にあり、両者がずれることによって〈持続〉がもたらされる。この辺りの議論はベンヤミンの〈散漫な意識〉と〈注視〉を連想させる。今日の東京都のコロナ感染者は249人、全国の感染者は1,572人、一都三県で合計491人、全国の31.2%である。地方拡散は止まらず、大阪の感染者数は341人と今日も東京を上まわり、兵庫人87、沖縄人50、宮城55人と月曜日現象だが、地方拡散の比率は変わらない。


2021年04月04日(日)

曇り時々小雨で風が強い涼しい一日。9時出社。昨日のオープンハウスの写真をfacebookにアップする。10時半過ぎに妻と家を出て千代田線で日比谷駅にて下車。11時半から久しぶりに日比谷TOHOシネコンで『ノマドランド』(クロエ・ジャオ:監督 2020)を観る。アメリカ中西部のエンパイアという高地にある石膏採掘場の社宅に住む初老の女性が、採掘場で働いていた夫が亡くなったのをきっかけに、ヴァン車での流浪の生活を始める。あちこちのキャンプ場で同じような流浪の生活を続ける人たちと知り合い、人生について語り合い、別れる生活が淡々と描かれている。別れの時間は決まって朝と夕方で、朝日と夕日を眺める主人公が何度も描かれる。時折、砂漠に一本だけ立つサボテンの映像が差し挟まれるのは何かの象徴だろうか。大きな事件は起こらないが、小さなトラブルが続き、その度に主人公の心は揺れ動くが、時間は淡々と過ぎていく。「こういう生活をノマド(遊牧民)というんだ」とか「この放浪生活には〈さよなら〉はない。〈また会おう〉だけだ」とか「ホームレスじゃなく、ハウスレスです」とかといった言葉が耳に残る。ノマド生活者に初老の人が多いのはアメリカ社会の厳しさだろう。その意味では協力し合う老人たちの緩やかなアソシエーションといってよいかもしれない。もっと暴力的ではあるが『No country for old men 』(コーエン兄弟:監督 2008)に通じる面もあるような気がする。ともかく、人生について、自分の生き方について、さらには現代社会について、改めて考えさせる腹に応える映画である。監督は中国人女性で、原作とプロデューサーも若い女性である。13時過ぎに終了。地下鉄で表参道まで戻り、そのまま家に帰る妻と別れて、散歩がてら青山通りを外苑西通りまで歩き、スーパーマーケットで夕食の買い物をして14時前に帰宅。その後はベッドに横になりiPadで日記を書き、仮眠と読書。夜はビフテキとたっぷり赤ワインを呑み、いい気分になる。今日の東京都のコロナ感染者は355人、全国の感染者は2,471人、一都三県で合計756人、全国の30.6%である。地方拡散は止まらず、大阪の感染者数は593人と今日も東京を上まわり、兵庫人211、沖縄人96、宮城80人と地方拡散が続いている。


2021年04月03日(土)

晴れのち曇りの暖かい一日。6時間起床。7時過ぎに出社しメールチェック。7時半に事務所を出て原宿駅から山手線で新宿駅まで行き8時発の中央線特急あずさに乗車。車内で日記をまとめて界工作舎HPに書き込みその後は読書。9時半に甲府着。木村、戸田と合流しバスで山梨県立美術館前にて下車。10時過ぎに「167N邸」に着く。N夫妻と工務店が待機している。直ちに引渡の手続き開始。電気、給排水、アクアレイヤーの機器説明をした後、書類を渡して11時過ぎに終了。界工作舎からNさんにたか窓拭きを贈呈。Nさん一家、工務店社長夫妻、界工作舎で記念撮影。オープンハウスの準備をして11時半に一旦現場を発ち、県立美術館前のピザ屋で昼食を済ませ、13時前に「167N邸」に戻る。13時からオープンハウス開始。期待していなかったが予想以上にたくさんの人たちがやってくる。一昨年に竣工した「164U邸」のUさん、工事中の「166k邸」のKさん、実施設計中の「170M邸」のMさん一家の他に、工務店を紹介してくれた渡辺安徳さんを初めとして甲府の建築家が数人、イゼナの前田誠一社長と前田朋子さん、イゼナ関係の甲府の建築家とそのクライアント数人。インテリアデザイナーの飯島直樹さんと友人せんるいのりこさんが訪れたのにはびっくりする。甲府近くで川釣りをするので立ち寄ったそうだ。この間に「165箱の長屋」のクライアントOさんや田中会計士とメールのやりとり。工事が始まると細かな問題が生じるようだ。17時前にNさんが来られたので、大急ぎで清掃と片付けを済ませてNさんの車で甲府駅まで送ってもらう。駅ビル内の寿司屋で木村、戸田と簡単な打上げ。ビールと日本酒でいい気分になる。18時半過ぎ甲府駅発の特急あずさに乗り20時過ぎに新宿駅着。木村、戸田と別れて21時前に帰宅。長い一日が終了。ウィスキーを呑みながらあれこれ考える。今日の東京都のコロナ感染者は446人、全国の感染者は2,775人、一都三県で合計814人、全国の29.3%である。地方拡散は止まらず、大阪の感染者数は666人と今日も東京を上まわり、兵庫206人、沖縄117人、宮城136人と地方拡散が加速している。


2021年04月02日(金)

曇りのち晴れのやや涼しい一日。8時半出社。9時に田中会計士からメールが届く。昨日地鎮祭を行った「165箱の長屋」の銀行融資が問題なく実行される予定であることの報告と、二期工事のプログラム変更の相談について相談したいというので再来週に打ち合わせを行うことになる。11時前イッツコムの工事担当員2人が来所。駐車場の弱電盤の点検から始めて事務所と2階自宅のネット配線やケーブルテレビの配線経路を調べて昼過ぎに終了。光ケーブルの引込と室内配線工事は別の日に行うそうだ。甲府のN夫妻から明日の「167N邸」のオープンハウスに関する注意喚起のメールが届く。昨日の山梨県のコロナ感染者が急に増えたので、来訪者に対し氏名と所属の記録に加えて、検温とマスク、手袋の着用を依頼される。『建築雑誌』4月号が届いたので、昨日の地鎮祭の写真も併せてfacebookにアップする。『建築雑誌』5月号特集「建築生産のアップデート」の連載原稿のスケッチを開始。通常、生産技術は生活機能と切り離されて論じられるが、僕はそういうスタンスに疑問を持っている。生産技術が独立したサブシステムであることは十分認識しているが、それを生活機能と空間に結びつけるのがデザインだと考えるからである。その点を歴史的な事例と僕が手がけた実験住宅によって論じてみたい。『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』は第2章「装置を作る」を読み終わり、第局堯峪間」の第1章「形式としての〈現在〉」に進む。第2章ではヴァレリーの言語観に関するやや煩瑣な議論が続くが、言語の起源は身振りと模倣にあるという考え方は発見的であり、アンドレ・ルロワ=グーランの『身振りと言葉』を想起させる。人の身体に働きかける仕掛けを組み込んだ動的な装置としての詩というアイデアは、第2部の形式主義(フォルマリズム)にスムースに結びつくし、多分にモダニズム的である。今日の東京都のコロナ感染者は440人、全国の感染者は2,759人、一都三県で合計841人、全国の30.5%である。地方拡散は止まらず、大阪の感染者数は613人と今日も東京を上まわり、兵庫174人、沖縄103人、宮城116人もほぼ変わらない。


2021年04月01日(木)

晴れで過ごしやすい一日。8時半出社。9時前に事務所を出て表参道経由で青山の銀行へ。暖かいので薄着の人が多い。経費の振込を済ませて10時前に帰社。11時半に木村と事務所を出て半蔵門線、井の頭線、京王線を乗り継ぎ分倍河原に12時半過ぎ着。駅前の中華料理屋で昼食を摂り歩いて13時15分に「165箱の長屋」の敷地に着く。現場監督を担当する鈴木工務店の志村さんが地鎮祭の準備をしている。13時半から略式の地鎮祭。二礼二拍一例をした後に敷地四隅に、塩をOさんの長女が、米を僕が、お神酒を志村さんが撒き、式台に戻って乾杯し終了。Oさんにお礼を述べ、近所への挨拶は志村さんに任せて現場を発ち15時過ぎに帰社。今日は新年度の始まりなので、宮本佳明さん(早稲田大)、長谷川香さん(東京芸大)、中川純さん(東京都市大)他、数名の知人から教職新任の挨拶メールが届く。その他facebookにも若い人の新任報告が続々とアップされて世代の交代を痛感する。僕にとって同じような季節の区切りといえば、孫たちの進級、確定申告、3月25日の僕の誕生日くらいである。明後日の甲府の「167N邸」のオープンハウスについて数件の問い合わせメールが届く。甲府のコロナ感染者はほとんどいないので通常のオープンハウスであることを返信する。18時から鈴木工務店がホストで「165箱の長屋」の工事協力業者が一堂に会したzoomの顔合わせ会議開始。通常は建主に対する顔合わせのイベントだそうだが、今回は設計者との顔合わせである、現場監督の志村さんの司会で、まず僕が設計の趣旨について説明し、続いて大工、金属工事、塗装工事、電気工事、給排水工事、イゼナが挨拶。木村が質問に応えて19時前に終了。『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』の序「創造後の創造」、第1章「装置としての作品」を読み終えて、第2章「装置を作る」へ進む。第1章では、生産者―作品―消費者というメタファーによってヴァレリーの詩学が論じられる。この構図はミシェル・ド・セルトーが『日常的実践のポイエティーク』(ミシェル・ド・セルトー:著 山田登世子:訳 国文社 1987)で提唱した構図を先取りしている。この構図において捉えられる作品=詩を、ヴァレリーは〈装置(machine)〉と名付けている。この辺り発想はモダニズムにおける機械のメタファーを連想させる。同時のこのようなヴァレリーの詩学はクレメント・グリーンバーグが提唱したモダニズムにおける作品の純粋性=自律性にも通底している。今日の東京都のコロナ感染者は414人、全国の感染者は2,606人、一都三県で合計841人、全国の32.3%である。感染者の地方拡散は止まらず、大阪の感染者数は616人と東京をさらに上まわり、兵庫199人、沖縄93人、宮城133人も減る気配はない。


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