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サステイナブル・デザインは なぜ敬遠されるのか

難波和彦

僕の研究テーマはサステイナブル・デザインである。学生の設計製図においても、できる限りサステイナブル・デザインに関連した課題を出すようにしている。しかしサステイナブル・デザインは学生にはあまり評判が良くない。なぜだろうか。

建築家を志す学生は人とは違ったユニークなデザインをめざす傾向がある。彼らは自分のイメージをストレートに表現するデザインをやりたがる。要するに、彼らは目立ちたがり屋の野心家なのである。建築家にとって野心的であることは重要な条件である。問題はその具体的な表現の仕方である。自分のイメージをストレートに表現するのは、もっとも安易な方法である。それに対して、サステイナブル・デザインは、自分のイメージをもっとも制約されるジャンルである。そこではデザインに取りかかる前に、設計条件を徹底的に調査しなければならない。たとえばリノベーションやコンバージョンにおいては、既存の建物を詳細に調べ、潜在的な可能性を読み取らねばならない。デザインのエネルギーの大部分はその作業に注がれる。

イメージのストレートな表現はモダンなスタイルである。これからのデザインは既存のコンテクストにいかに働きかけるかが勝負である。設計教育はそのような方向に修正されねばならない。でなければサステイナブル・デザインはいつまでたっても社会に根付かないだろう。

 

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